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第五章 武闘会?いいえ舞踏会です
#130 記憶
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『何故ですか!?女王よ!!』
男の切羽詰まった声が白亜の間に響く。
『……これが、ガイアの御意思なのだよ』
女性の悲しげな声は、周りの男達にかき消された。
『認めない!認めませんぞ!』
『お前のような魔女は女王ではない!!』
『打ち倒せ!!』
向けられる殺意。欲に染まった醜い目。誰も彼も、彼女を理解した人は居なかった。
「はっ……!!」
ガバッと身体を起こす。何もしていないのに、全力疾走した後のように息が切れている。肩で息をしながら、額から滴る嫌な汗を拭う。
夢だ。正確には、女王……ノビリテスから受け継いだ記憶が見せた過去だ。彼女の、最後の記憶。
フェーリエはカーテンが閉められた窓を見る。漏れ出る光は無く、まだ夜であることが分かる。
「はぁ~」
ため息を付きながらベッドに倒れ込む。バフッと柔らかいベッドが沈む。目が完全に冴えてしまった。
チラリと右を見ると、アウラ専用のベッドですやすやと眠るアウラが移る。精霊は寝る必要は無い。その上姿を出さずに魔力空間に居れば時間は感じないらしい。だが、現実で寝たがるのだ。
自然と浮かんだ笑みを消し、天蓋を見つめる。自宅謹慎を命じられて三日。毎晩毎晩夢に見るのは彼女の記憶だ。彼女が生まれてから死ぬまでの記憶。
ガイアの愛し子は転生しても記憶が残りやすいらしい。もしくは、意図的に継承することが出来るのだとか。
歴代の女王は大臣達に言われるまま記憶を継承し、自分自身の人生を歩むことは許されなかった。ガイアが愛するのは始まりの少女と信じる欲深い大臣達のせいで、女王達は少女の記憶を持っていなければならなかった。
つまり、フェーリエが受け継いだのはノビリテスの記憶だけではない。全てのガイアの愛し子の記憶を手に入れたことになる。しかし情報が多すぎて、まだまだ鮮明に思い出すことは出来ない。だからこそ、思い出すのは主軸になるノビリテスの記憶だ。
(そう言えば、私の前の子の記憶は無いんだっけ?)
継承と銘打つだけあり、ノビリテスの次の記憶は受け継がれなかった。ガイアを呼び出して問いただした少女の事は気になるが、結局は赤の他人だ。知りすぎても仕方が無い。
(私が皐月の頃の記憶を持ってるのも、ガイアの愛し子だからなの?)
であれば、何故異世界に魂が飛んだのだろう。色々と考え出したが、フェーリエは首を軽く振って布団を被り直した。
疑問は残るが、考えても仕方が無い。夜明けもまだなのだ。二度寝しよう。
「リエ、起きているか?」
「お兄様?何かご用で?」
二度寝をしたフェーリエは無事寝坊し、朝食を家族で取り損ねた。コックに申し訳ないと思いつつ、朝食を部屋に運んでもらい、手を伸ばした時、兄が無遠慮に部屋に入ってきたのだ。だからこそ、少々不機嫌な声が出てしまった。
「近々舞踏会がある」
「武闘会?」
フェーリエがファイティングポーズをさっと両手ですると、兄は違うそうじゃない、とため息を付いた。
「舞踏会、ダンスパーティーだよ。リエが嫌いな社交界」
「ああ、そっちですか。で、それがどうしました?」
ドレスの新調話だろうか、いや、変な騒ぎはするなよと言いたいのかも知れない。
「パートナーのことなんだが……」
「え!?お兄様じゃないんですか?」
フェーリエは社交界が苦手だ。それ故、パーティーに滅多に参加しない。そんなフェーリエに舞踏会があると言うぐらいなのだ。王族主催の、断れないパーティーなのだろう。いつもフェーリエのパートナーを務めるのは兄であるクロリネだったのだが……。
「私は断ったんだけど……まぁ、とにかく合って話を聞いてあげて欲しい」
すっと兄が身をずらすと、とあるヒトが現れる。
「貴方は……!?」
思ってもみなかった人物が現れ、フェーリエは無事朝食を食べ損ねた。
男の切羽詰まった声が白亜の間に響く。
『……これが、ガイアの御意思なのだよ』
女性の悲しげな声は、周りの男達にかき消された。
『認めない!認めませんぞ!』
『お前のような魔女は女王ではない!!』
『打ち倒せ!!』
向けられる殺意。欲に染まった醜い目。誰も彼も、彼女を理解した人は居なかった。
「はっ……!!」
ガバッと身体を起こす。何もしていないのに、全力疾走した後のように息が切れている。肩で息をしながら、額から滴る嫌な汗を拭う。
夢だ。正確には、女王……ノビリテスから受け継いだ記憶が見せた過去だ。彼女の、最後の記憶。
フェーリエはカーテンが閉められた窓を見る。漏れ出る光は無く、まだ夜であることが分かる。
「はぁ~」
ため息を付きながらベッドに倒れ込む。バフッと柔らかいベッドが沈む。目が完全に冴えてしまった。
チラリと右を見ると、アウラ専用のベッドですやすやと眠るアウラが移る。精霊は寝る必要は無い。その上姿を出さずに魔力空間に居れば時間は感じないらしい。だが、現実で寝たがるのだ。
自然と浮かんだ笑みを消し、天蓋を見つめる。自宅謹慎を命じられて三日。毎晩毎晩夢に見るのは彼女の記憶だ。彼女が生まれてから死ぬまでの記憶。
ガイアの愛し子は転生しても記憶が残りやすいらしい。もしくは、意図的に継承することが出来るのだとか。
歴代の女王は大臣達に言われるまま記憶を継承し、自分自身の人生を歩むことは許されなかった。ガイアが愛するのは始まりの少女と信じる欲深い大臣達のせいで、女王達は少女の記憶を持っていなければならなかった。
つまり、フェーリエが受け継いだのはノビリテスの記憶だけではない。全てのガイアの愛し子の記憶を手に入れたことになる。しかし情報が多すぎて、まだまだ鮮明に思い出すことは出来ない。だからこそ、思い出すのは主軸になるノビリテスの記憶だ。
(そう言えば、私の前の子の記憶は無いんだっけ?)
継承と銘打つだけあり、ノビリテスの次の記憶は受け継がれなかった。ガイアを呼び出して問いただした少女の事は気になるが、結局は赤の他人だ。知りすぎても仕方が無い。
(私が皐月の頃の記憶を持ってるのも、ガイアの愛し子だからなの?)
であれば、何故異世界に魂が飛んだのだろう。色々と考え出したが、フェーリエは首を軽く振って布団を被り直した。
疑問は残るが、考えても仕方が無い。夜明けもまだなのだ。二度寝しよう。
「リエ、起きているか?」
「お兄様?何かご用で?」
二度寝をしたフェーリエは無事寝坊し、朝食を家族で取り損ねた。コックに申し訳ないと思いつつ、朝食を部屋に運んでもらい、手を伸ばした時、兄が無遠慮に部屋に入ってきたのだ。だからこそ、少々不機嫌な声が出てしまった。
「近々舞踏会がある」
「武闘会?」
フェーリエがファイティングポーズをさっと両手ですると、兄は違うそうじゃない、とため息を付いた。
「舞踏会、ダンスパーティーだよ。リエが嫌いな社交界」
「ああ、そっちですか。で、それがどうしました?」
ドレスの新調話だろうか、いや、変な騒ぎはするなよと言いたいのかも知れない。
「パートナーのことなんだが……」
「え!?お兄様じゃないんですか?」
フェーリエは社交界が苦手だ。それ故、パーティーに滅多に参加しない。そんなフェーリエに舞踏会があると言うぐらいなのだ。王族主催の、断れないパーティーなのだろう。いつもフェーリエのパートナーを務めるのは兄であるクロリネだったのだが……。
「私は断ったんだけど……まぁ、とにかく合って話を聞いてあげて欲しい」
すっと兄が身をずらすと、とあるヒトが現れる。
「貴方は……!?」
思ってもみなかった人物が現れ、フェーリエは無事朝食を食べ損ねた。
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