白命

haru

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終わらない

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瞼を透かして瞳孔を刺激する朝の光。
僕はぐっと伸びをしてベッドから這い出る。

……どうして何も変わらないんだ。
真っ白。どこを見渡しても真っ白。
書き出しすら冒頭と変わっていないじゃないか。
どういうことだ、このベッドがゴールでは無かったのか。



もういい。また地獄のように歩き続けるのは嫌だ。丁度ここにベッドの角がある。少しばかり痛いかもしれないがこれしかない。もう疲れたんだ。
足の力を抜き、頭を振り下ろして倒れていく。

死ねばきっと楽になれる。

世界がスローに見える。何分もかけて倒れているように見える。
そのとき、僕の頭に何かの記憶が、走馬灯が流れ込んできた。

生まれてから大して何かに困るわけでもないある程度恵まれた生活をしていた。自分自身も平凡な人間として生きていた。
ただ高校へ入ったころに僕は生きるのが辛くなった。毎日朝早くから出ていって1日の大半を勉強に費やし部活でボロボロになった体を引きずってかえる。この平凡な日々に終わりが見えなくなってしまって僕は辛くなってしまった。
終わらない。いつまでこんな手探りの毎日を生きて行けばいいのかわからない。もう疲れた。だから、高校二年生の冬、僕は薬を一瓶飲んで眠りに着いた。
そんなことを、思い出した。

これは、罰だったんだな、と思った。
これは自分で命を絶った僕への罰。
生き残した手探りの日々を送らせる罰。
と言うことは……
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