創世の炎

凌729

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3章 続く不安と、堕天使の野望

第9話「堕ちた炎と再会」

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堕天使ルシファーの力と陰謀によって、焔 楓は堕天化してしまう。
そんな中同時刻、水木 葵はというと--

「楓さん、大丈夫かしら……?」

葵は堕天使の拠点に連れて行かれたであろう焔 楓の事をかなり心配していた。

「探すにも何処に居るのか分からないし、探すに探せないわね……」

葵は楓が戦闘していたであろう場所に再び足を運んでいた。その時--

「誰を探してんだ?ウリエルの守護者よ」

すると突然、目の前に一人の男が立っていた。

「堕天使!!!」

葵は目の前の堕天使に向かって、そう叫んだ。

「俺の名は堕天使ベリアル、言葉の魔術使いだ!」

「言葉の魔術使い……」

堕天使ベリアルは自身の名を名乗った。それを聞いた葵は、堕天使ベリアルの能力に違和感を持った。

「言葉の魔術……、まさか、それで楓さんを!?」

葵は目の前の堕天使ベリアルの言葉を聞いて最悪の事を頭に浮かべつつ声に出した。

「焔 楓を連れ去ったのは確かに俺だぜ?それじゃあ感動のご対面と行こうぜ?」

堕天使ベリアルは、自身が焔 楓を連れ去ったのを認める。そしてベリアルは意味深な事を言った。

「えっ、嘘、まさか……!?」

葵は堕天使ベリアルの後ろから現れた人物を見て異常な程驚く。

「・・・。」

現れた人物は、無言のまま葵の様子を伺っている。

「フハハッ!これぞ感動の再会ってやつだな!」

堕天使ベリアルは、そう言いながら笑う

「楓さん……」

そう現れた人物は葵が探していた人物の焔 楓だ。しかし楓の様子は以前と違く簡単に言えば無感情だった。

「楓、後は頼んだぞ!」

「・・・。」

(コクリ)

楓は無言のまま堕天使ベリアルの言葉に頷くと自身の右手を葵の方へと向けた。

「やるしか無いのね……。守護霊ウリエル召喚!」

(キュィィィーーーン)

(ボォォーーー)

「くっ!!」

葵が守護霊ウリエルを召喚した直後、楓は右手から炎を連続で放つ。

(ドンッ、ドンッ、ドォォーーン)

葵は楓が放った炎をギリギリで避ける。

「・・・。」

(ボォッ、ボォ、ボォ)

楓は手加減などせず本気で次々と炎を放っていく。

「この程度なら……!!」

(シュンッ、シュンッ、シューン)

葵はそれを見事に躱して楓の方へと少しずつ近づいて行く。

「っ!!!」

それに気づいた楓は、少し距離を取ろうと試みる。

「ごめんなさい、楓さん!!必殺、シャイニング・レイ」

(キンッ、キュィンッ、ズッドオォーン)

葵は楓に謝りつつ自身の技を使った。

「・・・カハッ!」

楓は見事に葵の技を喰らいその場に膝をついて軽く吐血する。

「楓さん、今の私の技でだいぶ体力を削ったはずよ?目を覚まして楓さん!」

「キッ!!」
 
葵がそう問いかけるも、楓は葵の事を睨む。

「……。(まだ洗脳は解けて無いのね)」

葵は無言のまま楓の事を考えていた。

(ザッ!)

葵がそう考えていると、膝をついていた楓が立ち上がる。

「・・・。」

楓は無言のまま葵の方を見て、様子を伺っている。

「まだ続ける?(様子を伺っている?)」

葵は、いつでも攻撃出来るように準備をしておく。

「・・・。」

(ボォォォーー)

すると突然、楓の周りに炎が発生した。

「!!」

それを見て葵は驚くも確信。戦闘はまだ終わってないと。

「・・・ファイア。」

そう楓が言うと楓は、葵の方に向かって突撃して来るあの炎を纏ったまま。

「シャイニング・シールド!!!」

(キーーン)

葵がそう叫ぶと葵の周りに光る巨大なシールドが出現する。

「・・・特攻」

(ギュィィィィーーーン)

楓は、葵のシールドに突撃する。

「ぐっ、(何てパワーなの!?)」

葵は、必死でシールドに力を送るも楓の突撃でキツイ状態が続く……

(ピキッ、ピキッ)

「ニヤリッ!」

「まさか……!?」

葵がシールドに力を送り続けるも楓のパワーが上回っているのか、葵のシールドにヒビが入り始める。それを見て不敵に笑う楓、焦り始める葵。

「ファイアバースト!!」

(ボォォォーー)

(ビキッ、ビキッ、バキーーンッ!!)

「しまっ・・・」

(ドォォォーーーン!!!)

「・・・。」

楓は、葵が埋もれている岩の方を見ている。

(ガラリッ、ドカーンッ)

「ケホッ、ゲホッ、ハァ…、ハァ…」

楓が見ている岩の中が崩れて中から葵が出てくる。しかし葵は相当ダメージを負ったようでギリギリの状態になっていた。

「ハァ…ハァ…(このままじゃ勝てない)」

葵は相当息切れしている。そして楓の方を見てどうにか出来ないかと考える。

「・・・。」

楓は未だに葵の方を見ているだけで攻撃しようともしない。

「?(どう言う事、今なら私を倒せるチャンスなのに、どうして楓さんは攻撃して来ないの?何か理由があるのかしら?)」

葵は突撃して来ない楓に対し、違和感を感じ始めていた。

「・・・終わり?」

すると楓がポツリと葵に向かって言う。

「まだよ、でも何で楓さん、攻撃して来ないのかしら?さっきの貴女なら私を完全に倒せたはず。(これで、どう乗ってくるかしら…?)」

葵は楓に軽い挑発を掛けて見る事にした。それに楓が乗ってくるかは分からないが・・・。

「・・・確かにチャンスだったけど、それだと面白くないから……。」

葵の問いかけに楓は、素直に答えそう葵に伝えるのだった。
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