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<フリーター探索編> ~ジーナはどこへ消えた?~
第八十二話:フリーター、地竜と相打つ
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ローグ山の内部、洞窟深部。
小さな村が丸ごと入りそうな空洞。
「嫌じゃ嫌じゃ! 死にたくないのじゃぁあああーーっ!!」
エル姫が絶叫する。
俺の第三夫人を自任する異国のお姫様は、無限ランプを振りまわしながら懸命に逃げる。
「グギャオォォオオオーーーッ!!!」
地竜が咆哮する。
無限ランプの強烈な光を嫌がる地竜は、顔をそらし目を半分つぶったまま、ドスドスとエル姫に迫る。
地竜の背後。
風の精霊デボネアの助けを借りて空を飛ぶ俺は、神器「畜生剣」を構え、地竜の弱点である首の後ろに狙いを定める。
「エル! 近くの枝道に逃げ込め!」
俺はエル姫に向かって叫ぶ。
直後、高速飛行で地竜を追い抜きざま「畜生」の決めゼリフとともに剣を振る。
ガギンッ!
鈍い音が響き、畜生剣の一撃が弾かれる。
手ごたえは芳しくない。
地竜の全身を覆う亀の甲羅のような鱗は、岩石とは硬度が段違いだった。
<むおっ! 領主リューキ殿! 全然タイミングがあってませんぞ!>
<わかってる! けど、実際にやってみると難しくって……>
思わずため息をつく。
地竜の頭から背中、尻尾にかけて、ゴツゴツと角ばった突起が並んでいる。
ただし、地竜の最大の弱点である突起の隙間は数センチ程度しかない。
高速で飛行し、すれ違いざまに斬りつけるのは至難の業だ。
「リューキはん。頑張りやー! けど、エル姫はんが枝道の奥に隠れたら、洞窟のなかは暗くなってまったな。リューキはん、地竜があんま見えへんとちゃうか?」
「そうだけどさ、あんなに怖がってるエルに枝道から出て来いなんて言えないよ」
地竜に追いかけられたエル姫は、狭い枝道に逃げ込んだ。
結果、無限ランプの光は枝道から僅かに漏れ出るだけで、洞窟内はほぼ暗闇となってしまった。
デボネアとドムドム……もとい、畜生剣は、少しの光量でも問題ないようだが、俺はそうはいかない。
精霊は、あらゆる能力がケタ違いに高いのだとあらためて思い知らされた。
次の手を考えながら飛行を続けていると、徐々に目が慣れてくる。
エル姫の無限ランプの光が強烈だったので気づかなかったが、洞窟内は完全な暗闇ではなかった。
天井から壁まで、ボワッとした淡い光が一様に広がっていたのだ。
幻想的な光景は「魔素蛍」という小さな虫が作り出したもの。
まるで、人間界にいる「土ボタル」みたいだと俺は思った。
「魔素蛍は魔素を吸収して光るんや。洞窟の中では、怪物の死骸もエサにするから、洞窟の掃除屋とも言われてるんやでー」
「そうなんだ。デボネアは結構物知りなんだね」
「昔、エル姫はんに聞いた話や。こないときに披露するとは思わんかったわー」
風の精霊デボネアが答える。
好奇心旺盛なデボネアは、つきあいの長いエル姫から魔界の情報をときどき聞いていたそうだ。
そんな豆知識じみた話を聞き、俺はちょっとしたアイデアを思いついた。
「デボネア。風の力で魔素蛍を集められるか?」
「そないなこと簡単やけど、なにすんのや?」
「魔素蛍を地竜にまとわりつかせたい。この虫は魔素をエサにして光るんだろ? 魔素を過剰摂取してる地竜は虫にとってご馳走みたいなモノだと思うんだ」
「そうかもしれへんけど。魔素蛍は小っこくて弱っちい虫やで? 地竜は精々くすぐったくなるくらいや」
「別に魔素蛍で地竜を倒せるとは思ってないよ。地竜の鱗の隙間にでも潜り込んで光ってくれればいい。要は暗闇で目立てばいいんだ」
「はーん! そういうことか! よっしゃ、やったるでー!!」
風の精霊デボネアが発生させた竜巻が、洞窟の天井をサラッとなでる。
竜巻が通過した後の天井からは光が消え、代わりに竜巻が淡く白光する。
次いで、竜巻はうねうねと揺れ、地竜に向かって魔素蛍を一気に吐き出した。
「ギャォオオオオオオオオオオーーーーーッ!」
地竜が苦しげな叫び声をあげ、すぐに煌々と輝きはじめる。
「リューキはん。ホンマに上手くいきよったわ! 地竜は自分の身体をかきむしりまくっとるわ!」
「よし! あれだけ目立てばこっちも狙いやすい。ドムド……畜生剣、行くぞ! お前の力を見せてくれ!!」
<むおおっ! 憎っくき地竜めをやっつけますぞーっ!!!>
地竜の後方にまわりこみ、高速飛行で一気に迫る。
三、二、一、「畜生!!」
俺は神器の剣を横殴りに振るう。
ガゴンッ!!
鈍い音とともに腕が痺れる。
念を込めるタイミングはあっていた。
太刀筋はドムドムが調整したので、剣の当たり所も悪くない。
だが、地竜へのダメージは軽微だったようだ。
<リューキ殿! 『斬る』のではなく『突き』を試してくだされ! 我が刀身は、先端のみが不懐なるアダマンティン。突きの方が威力は格段に上がりますぞ! ただし、突きは地竜に真正面から当たることになりますので、ご注意くだされ!>
<分かった! やってみよう!!>
<むおおおおおーっ! 領主リューキ殿は勇者なり! 危地に飛び込むことに迷いがござらん! 拙者、猛烈に感動しましたぞぉーーーっ!!>
神器「畜生剣」が腕のなかで振動する。
もしかしたら土の精霊の戦士は男泣きしているのかもしれない。
ふたたび、地竜の後方にまわりこむ。
剣を両手で構え、真正面に向け、一気に加速する。
三、二、一、「畜生!!」
ザシュッ!
「グギャァアアアアアァアアアアーーーーーッ……」
地竜が断末魔をあげ、その場に崩れ落ちる。
実際、俺は十分な手応えを感じた。
だが……
「おお、ぐ……痛えよ」
「リューキはん! 大丈夫か!!」
俺は地竜に致命傷を与えた。
ただし、俺自身も無傷ではなかった。
苦し紛れに頭を振った地竜の角が、俺の腹に当たったのだ。
右の脇腹に痛みが走る。
見ると服が大きく裂け、血が滲んでいた。
そう。数多の戦場を無傷で切り抜け、人間界では銃弾すら跳ねかえしたジーナの衣装が破れていたのだ。
地上に降りた俺のもとに、エル姫が駆けてくる。
彼女は泣きながら俺の身体を激しく揺さぶる。
「リューキよ! 死んだらいけないのじゃ! リューキが死んだら、わらわも生きておらぬのじゃ!!」
「変なこと言うな、俺は死なない! くっ、傷はともかく、アバラは折れたかも」
「アバラか!? ここじゃな!?」
「だから痛いって!!」
パニック状態のエル姫が俺の身体を乱暴に触りまくる。
もう少し優しくしてほしいものだ。
怪我の痛みに耐えながらエル姫をなだめようとすると、視界の端に地竜がのそりと起き上がるのが見えた。
「な!? アイツ、まだ生きてるのか! くっ、トドメを刺さなきゃ!」
「リューキよ! もう良いのじゃ! いまのうちに逃げようぞ」
「……いや、地竜が回復してさらに魔素を吸収したら、とてつもなく危険な存在になる。それこそ『変異龍デュカキス』のようにね」
「ダメじゃ、ダメじゃ、嫌な予感がするのじゃ……」
エル姫が首をぶんぶん振る。
彼女が俺の身を心配してくれる気持ちはうれしい。
けど……
「エル、これは領主としての責務でもある。こんな危険な輩をワーグナー城の地下に飼っておくわけにはいかない」
「……わかったのじゃ。じゃが、わらわたちは一蓮托生じゃ! 我が従姉妹のジーナ、怒ると怖い女騎士のエリカ、乳のデカイ守護龍ヴァスケルがおらぬいま、わらわが御主人さまを助けるのじゃ!」
エル姫が無限ランプを高く掲げる。
「やるのじゃー!」と叫びながら、へっぴり腰で地竜に向かって行く。
「エル! 無理するな! 俺に任せておけ!」
俺は、エル姫の背中に向かって宣言する。
畜生剣を構え、ふたたび風の精霊デボネアの助けを借りて宙を舞う。
「いてて……」
「リューキはん。ホンマ、大丈夫か?」
「正直言うとめっちゃ痛い。けど、泣きごと言ってる場合じゃないからな。てか、俺より地竜の方がフラフラだから、なんとかなるだろう。さっさと片付けて、ひと休みしよう」
「リューキはん。無理はアカンけど、油断も禁物やで!」
「ああ、分かってるよ」
俺は、デボネアにさらっと返答する。
三度宙に浮かんだ俺は、地竜の後方から高速飛行で迫る。
三、二、一、「ガッデ……!?」
無限ランプのまぶしさを嫌ったのだろうか。
俺が一撃を放とうとした瞬間、地竜は身体の向きを変えてしまう。
ガギンッ!!
畜生剣は地竜の首の後ろではなく、アゴのあたりに刺さる。
刀身の半ばあたりまで食い込んだ剣は、抜こうとしてもビクともしない。
<むおおおおーーーっ! 中途半端ですぞ! マズイですぞ! 早く地竜を仕留めてくだされ! 急ぐのですぞぉおーーっ!!!>
<わ、わかったぁ!!>
俺は、剣を地竜の頭に押し込もうとする。
同時に、地竜の大きな腕が俺の身体をつかみ、鋭い爪を立ててくる。
「ぐっ! うぐぐっ、負けるかぁああーーーッ!!」
力を振り絞って剣を押し出す。
地竜につかまれた腹が焼けるように熱くなる。
剣を突き立てる手の感覚が薄れていく。
目に力を失った地竜が崩れ落ちる。
俺も一緒に地面に転がる。
……なあ、みんな、俺はちゃんと領主らしい仕事をしてるだろ? だから、ちょっとだけ休んで良いかな?……
俺は意識を失った。
小さな村が丸ごと入りそうな空洞。
「嫌じゃ嫌じゃ! 死にたくないのじゃぁあああーーっ!!」
エル姫が絶叫する。
俺の第三夫人を自任する異国のお姫様は、無限ランプを振りまわしながら懸命に逃げる。
「グギャオォォオオオーーーッ!!!」
地竜が咆哮する。
無限ランプの強烈な光を嫌がる地竜は、顔をそらし目を半分つぶったまま、ドスドスとエル姫に迫る。
地竜の背後。
風の精霊デボネアの助けを借りて空を飛ぶ俺は、神器「畜生剣」を構え、地竜の弱点である首の後ろに狙いを定める。
「エル! 近くの枝道に逃げ込め!」
俺はエル姫に向かって叫ぶ。
直後、高速飛行で地竜を追い抜きざま「畜生」の決めゼリフとともに剣を振る。
ガギンッ!
鈍い音が響き、畜生剣の一撃が弾かれる。
手ごたえは芳しくない。
地竜の全身を覆う亀の甲羅のような鱗は、岩石とは硬度が段違いだった。
<むおっ! 領主リューキ殿! 全然タイミングがあってませんぞ!>
<わかってる! けど、実際にやってみると難しくって……>
思わずため息をつく。
地竜の頭から背中、尻尾にかけて、ゴツゴツと角ばった突起が並んでいる。
ただし、地竜の最大の弱点である突起の隙間は数センチ程度しかない。
高速で飛行し、すれ違いざまに斬りつけるのは至難の業だ。
「リューキはん。頑張りやー! けど、エル姫はんが枝道の奥に隠れたら、洞窟のなかは暗くなってまったな。リューキはん、地竜があんま見えへんとちゃうか?」
「そうだけどさ、あんなに怖がってるエルに枝道から出て来いなんて言えないよ」
地竜に追いかけられたエル姫は、狭い枝道に逃げ込んだ。
結果、無限ランプの光は枝道から僅かに漏れ出るだけで、洞窟内はほぼ暗闇となってしまった。
デボネアとドムドム……もとい、畜生剣は、少しの光量でも問題ないようだが、俺はそうはいかない。
精霊は、あらゆる能力がケタ違いに高いのだとあらためて思い知らされた。
次の手を考えながら飛行を続けていると、徐々に目が慣れてくる。
エル姫の無限ランプの光が強烈だったので気づかなかったが、洞窟内は完全な暗闇ではなかった。
天井から壁まで、ボワッとした淡い光が一様に広がっていたのだ。
幻想的な光景は「魔素蛍」という小さな虫が作り出したもの。
まるで、人間界にいる「土ボタル」みたいだと俺は思った。
「魔素蛍は魔素を吸収して光るんや。洞窟の中では、怪物の死骸もエサにするから、洞窟の掃除屋とも言われてるんやでー」
「そうなんだ。デボネアは結構物知りなんだね」
「昔、エル姫はんに聞いた話や。こないときに披露するとは思わんかったわー」
風の精霊デボネアが答える。
好奇心旺盛なデボネアは、つきあいの長いエル姫から魔界の情報をときどき聞いていたそうだ。
そんな豆知識じみた話を聞き、俺はちょっとしたアイデアを思いついた。
「デボネア。風の力で魔素蛍を集められるか?」
「そないなこと簡単やけど、なにすんのや?」
「魔素蛍を地竜にまとわりつかせたい。この虫は魔素をエサにして光るんだろ? 魔素を過剰摂取してる地竜は虫にとってご馳走みたいなモノだと思うんだ」
「そうかもしれへんけど。魔素蛍は小っこくて弱っちい虫やで? 地竜は精々くすぐったくなるくらいや」
「別に魔素蛍で地竜を倒せるとは思ってないよ。地竜の鱗の隙間にでも潜り込んで光ってくれればいい。要は暗闇で目立てばいいんだ」
「はーん! そういうことか! よっしゃ、やったるでー!!」
風の精霊デボネアが発生させた竜巻が、洞窟の天井をサラッとなでる。
竜巻が通過した後の天井からは光が消え、代わりに竜巻が淡く白光する。
次いで、竜巻はうねうねと揺れ、地竜に向かって魔素蛍を一気に吐き出した。
「ギャォオオオオオオオオオオーーーーーッ!」
地竜が苦しげな叫び声をあげ、すぐに煌々と輝きはじめる。
「リューキはん。ホンマに上手くいきよったわ! 地竜は自分の身体をかきむしりまくっとるわ!」
「よし! あれだけ目立てばこっちも狙いやすい。ドムド……畜生剣、行くぞ! お前の力を見せてくれ!!」
<むおおっ! 憎っくき地竜めをやっつけますぞーっ!!!>
地竜の後方にまわりこみ、高速飛行で一気に迫る。
三、二、一、「畜生!!」
俺は神器の剣を横殴りに振るう。
ガゴンッ!!
鈍い音とともに腕が痺れる。
念を込めるタイミングはあっていた。
太刀筋はドムドムが調整したので、剣の当たり所も悪くない。
だが、地竜へのダメージは軽微だったようだ。
<リューキ殿! 『斬る』のではなく『突き』を試してくだされ! 我が刀身は、先端のみが不懐なるアダマンティン。突きの方が威力は格段に上がりますぞ! ただし、突きは地竜に真正面から当たることになりますので、ご注意くだされ!>
<分かった! やってみよう!!>
<むおおおおおーっ! 領主リューキ殿は勇者なり! 危地に飛び込むことに迷いがござらん! 拙者、猛烈に感動しましたぞぉーーーっ!!>
神器「畜生剣」が腕のなかで振動する。
もしかしたら土の精霊の戦士は男泣きしているのかもしれない。
ふたたび、地竜の後方にまわりこむ。
剣を両手で構え、真正面に向け、一気に加速する。
三、二、一、「畜生!!」
ザシュッ!
「グギャァアアアアアァアアアアーーーーーッ……」
地竜が断末魔をあげ、その場に崩れ落ちる。
実際、俺は十分な手応えを感じた。
だが……
「おお、ぐ……痛えよ」
「リューキはん! 大丈夫か!!」
俺は地竜に致命傷を与えた。
ただし、俺自身も無傷ではなかった。
苦し紛れに頭を振った地竜の角が、俺の腹に当たったのだ。
右の脇腹に痛みが走る。
見ると服が大きく裂け、血が滲んでいた。
そう。数多の戦場を無傷で切り抜け、人間界では銃弾すら跳ねかえしたジーナの衣装が破れていたのだ。
地上に降りた俺のもとに、エル姫が駆けてくる。
彼女は泣きながら俺の身体を激しく揺さぶる。
「リューキよ! 死んだらいけないのじゃ! リューキが死んだら、わらわも生きておらぬのじゃ!!」
「変なこと言うな、俺は死なない! くっ、傷はともかく、アバラは折れたかも」
「アバラか!? ここじゃな!?」
「だから痛いって!!」
パニック状態のエル姫が俺の身体を乱暴に触りまくる。
もう少し優しくしてほしいものだ。
怪我の痛みに耐えながらエル姫をなだめようとすると、視界の端に地竜がのそりと起き上がるのが見えた。
「な!? アイツ、まだ生きてるのか! くっ、トドメを刺さなきゃ!」
「リューキよ! もう良いのじゃ! いまのうちに逃げようぞ」
「……いや、地竜が回復してさらに魔素を吸収したら、とてつもなく危険な存在になる。それこそ『変異龍デュカキス』のようにね」
「ダメじゃ、ダメじゃ、嫌な予感がするのじゃ……」
エル姫が首をぶんぶん振る。
彼女が俺の身を心配してくれる気持ちはうれしい。
けど……
「エル、これは領主としての責務でもある。こんな危険な輩をワーグナー城の地下に飼っておくわけにはいかない」
「……わかったのじゃ。じゃが、わらわたちは一蓮托生じゃ! 我が従姉妹のジーナ、怒ると怖い女騎士のエリカ、乳のデカイ守護龍ヴァスケルがおらぬいま、わらわが御主人さまを助けるのじゃ!」
エル姫が無限ランプを高く掲げる。
「やるのじゃー!」と叫びながら、へっぴり腰で地竜に向かって行く。
「エル! 無理するな! 俺に任せておけ!」
俺は、エル姫の背中に向かって宣言する。
畜生剣を構え、ふたたび風の精霊デボネアの助けを借りて宙を舞う。
「いてて……」
「リューキはん。ホンマ、大丈夫か?」
「正直言うとめっちゃ痛い。けど、泣きごと言ってる場合じゃないからな。てか、俺より地竜の方がフラフラだから、なんとかなるだろう。さっさと片付けて、ひと休みしよう」
「リューキはん。無理はアカンけど、油断も禁物やで!」
「ああ、分かってるよ」
俺は、デボネアにさらっと返答する。
三度宙に浮かんだ俺は、地竜の後方から高速飛行で迫る。
三、二、一、「ガッデ……!?」
無限ランプのまぶしさを嫌ったのだろうか。
俺が一撃を放とうとした瞬間、地竜は身体の向きを変えてしまう。
ガギンッ!!
畜生剣は地竜の首の後ろではなく、アゴのあたりに刺さる。
刀身の半ばあたりまで食い込んだ剣は、抜こうとしてもビクともしない。
<むおおおおーーーっ! 中途半端ですぞ! マズイですぞ! 早く地竜を仕留めてくだされ! 急ぐのですぞぉおーーっ!!!>
<わ、わかったぁ!!>
俺は、剣を地竜の頭に押し込もうとする。
同時に、地竜の大きな腕が俺の身体をつかみ、鋭い爪を立ててくる。
「ぐっ! うぐぐっ、負けるかぁああーーーッ!!」
力を振り絞って剣を押し出す。
地竜につかまれた腹が焼けるように熱くなる。
剣を突き立てる手の感覚が薄れていく。
目に力を失った地竜が崩れ落ちる。
俺も一緒に地面に転がる。
……なあ、みんな、俺はちゃんと領主らしい仕事をしてるだろ? だから、ちょっとだけ休んで良いかな?……
俺は意識を失った。
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