愛してくれなかった貴方へ、永遠に枯れない呪いの花束を

タマ マコト

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第2話 三年前のプロポーズ

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夜の学校って、昼と別の生き物みたいに見える。

昼間は人がごちゃごちゃ歩いて、無駄に明るいテンションで「すごーい」とか「やばい」とか言ってて、それぞれの“作品”に薄く貼りつけられた自尊心をなでるみたいに見て回るんだけど。

夜になると、ぜんぶ静かになる。飾りとして置かれていた作品たちが、本来の顔でこっちを見てくる。展示室のスポットライトだけが残って、廊下のガラスが黒くなって、街の明かりがビルの窓に映って揺れる。

12月の卒展の夜。冬特有の乾いた空気。手が冷えると、指の骨の形が意識に浮かび上がってくる感じがする。痛いってほどじゃないけど、ものに触れるたび「生きてる手です」って確認されるみたいな、あの感覚。

私は学校の屋上にいた。非常階段をぎしぎし言わせながら上がった先、警告の札もチェーンも無視して。冷たいビル風が髪を容赦なく散らしてくる。風が強いと、呼吸がちゃんと通らないから喉が焼ける。でも、その焼ける感じが好きだって思ったのはたぶん彼のせい。

足元のコンクリートは昼の熱をすっかり逃がして、石みたいに硬い。屋上の柵の向こう、街のライトがざくざく刺さったガラス片みたいに瞬いてる。赤、白、オレンジ、黄、青、信号機、車のブレーキ、コンビニ、マンションの窓、どこかのタクシーの行灯。それぞれが切られた夜の破片。

冬の東京って、ちょっとだけクリスマスの飾りみたいに見える。綺麗っていうより、冷たいままキラキラしてて残酷。息を吸うだけで胸がきゅってなるのに、それすらイルミネーションの一部みたいに許されてる感じ。

「寒くないの?」

背中から声がした。

私は振り向く。そこにいるのは黒瀬湊。あのときの彼は22歳で、まだ“すでに出来上がってる大人”っていうより、“早すぎる成熟を無理やり着てる子ども”の匂いがあった。

湊って、ひとことで言うと整ってる。輪郭が綺麗。鼻筋も目元も、写真に撮ったら修正いらないタイプ。でも、その整い方がいわゆるアイドルの無害な整いじゃないんだよね。目が静かすぎて、少し怖い。

まぶたのラインはきれいに落ちてるのに、笑うとすぐ目尻に疲れが出る。夜更かしとストレスでできる薄いクマ。ちゃんと寝てないひとの目。なのにその目が、まだ熱を失ってない。芯だけずっと燃えてるストーブみたいに、無音で明るい。

「別に。ちょっと肺が痛いくらい」

「それ普通に寒いっていうんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ」

彼はそう言いながら、コンビニのホットコーヒーを一本、私の手に押しつけてきた。自販機の缶じゃなくて、コンビニのやつ。白いフタがついてる紙カップ。ローソンの青いロゴ。まだ湯気がちゃんと立ってる。

「飲め」

「え、ありがと。買ってきてくれたの?」

「いや、盗んできた。馬鹿かよ。買ったに決まってんだろ」

「うん、そうだよね、ありがとう。優しい」

「……優しくはない」

そう言うところが、もうやさしい。ずるい。ずるいけど、当時はまだそれを“ずるい”って言葉にできるほど余裕がなかった。今みたいに冷静でもないし、疑い深くもなかった。あのときの私はただ、彼の言葉ひとつで胸の奥のスイッチ全部が同時に入って、視界に火花が散るみたいに息が苦しくなる女の子だった。

紙カップを握る指先がじんわりあたたかい。さっきまでかじかんでた指の骨が、少しずつ戻っていく。指って自分の中でいちばん「自分」って感じの場所だから、そこに温度が戻るのは安心感になりやすい。たぶんそれを、彼は感覚で知ってた。

「卒展、おつかれ」

「おつかれさま」

「お前のやつ、見た」

「うん」

そこまで言われて、私は少し呼吸が浅くなるのを自覚して、慌てて意識的に息を吸った。冷たい空気が肺に入って、心臓がきゅっと縮む。やだ。今、それ言われるの、やだ。心臓がちゃんと動く音が自分でも聞こえる。こんなの、ばればれじゃん。

「よかった」

「は?」

「お前のやつ、よかったって言ってんの」

「いや、なんかそういう適当なのいいから」

「適当じゃない。ちゃんと見た」

「……ほんとに見た?」

「全部見た」

「じゃあ、説明して」

「は?」

「あなたの“よかった”って、なにが、どう、よかったの?」

彼は小さく鼻で笑った。からかうっていうより、ちょっとだけ呆れてる。けどその呆れは、バカにする種類じゃない。むしろ“わかってんだろ、ほんとは”っていう目だった。腹立つ。好きだけど。

湊はポケットに片手を突っ込んだまま、夜景のほうじゃなくて私のほうを見続ける。真正面からまっすぐ見られるの、正直きつい。逃げ場がない。照明のない屋上で、彼の目だけが街の光を反射して細く光る。冬の水面みたいな反射。

「生と死の設計図」

「……え?」

「お前のインスタレーション。あれ、ただの花の墓標じゃない。『死んだものを愛おしむ』っていう、よくある追悼ごっこでもない」

彼の声は落ち着いていて、なのに心臓に直接触ってくるみたいに近い。物理的には距離あるのに、耳の奥で囁かれてるみたいな錯覚。

「お前のはさ、『生かしておくために、どこを切り取ってどこを捨てるか』っていう設計思考だった。切り花の寿命を前提にした外科手術。死を前提に、どう長く、綺麗に、生かすか。そのバランスを図面にしたみたいなやつだった」

呼吸が一瞬止まった。

その説明は、展示キャプションにも書かなかった言葉だった。

私がやっていたのは、ただ花を並べることじゃなかった。花を「永く」とどめるための“切除のデザイン”だった。どこを捨てれば、どこを犠牲にすれば、まだここに置いておけるか。美しさは、その切り方に宿る。犠牲の形こそが、愛の輪郭になる。

それをちゃんと見抜いたの、彼だけだった。

「他のやつらさ、“きれい”とか“儚い”とか言ってたけどさ。そういうのじゃないんだよな。あれ、残酷なんだよ。ちゃんと。だからいい」

私は黙って彼を見た。目が熱い。まぶたの裏がびりびりする。でも泣きたくない。泣いたらたぶん、なにか壊れる。壊れたら今この瞬間が全部逃げていく。逃げてほしくない。

「……そんなこと、言われたの、初めて」

「知ってる」

「知ってるって、なにそれ」

「俺しか言ってないから、俺が初めてに決まってるだろ」

「そういう言い方さあ」

「事実」

わかってるよ、って口の中でだけ言った。声に出したら、絶対震えるから。唇が熱い。ホットコーヒーより熱い。

彼はふっと目線を街に落として、それからまた私に戻す。その一瞬の切り替え方が、彼の性格をすごく表してる気がした。例えばだけど、彼はずっと孤独で、それを観測する癖がある。外の街、外の人間、そのバランスを読む癖が身についてる。そうやって自分の居場所を常に調整してきた人間の動き。

「あのさ」

湊が唐突に言った。声が、いつもよりほんの少しだけ低い。真面目なやつの声だった。

「俺さ、こういうの下手なんだけど」

「こういうのって?」

「こういうのはこういうの」

「説明になってない」

「バカ」

「いまバカって言った?」

「言った」

「言わないで」

「うるさい」

このやり取り、あとから思い返すと信じられないくらい甘い。息が詰まって死にそうなくらい甘い。なのに、あの瞬間の私は甘さを半分も味わえていなかった。味わい方を知らなかった。だって、私は“誰かとちゃんと生きる”って経験値がゼロだったから。

私は小さいころから、感情をまともに出すと怒られる家で育った。

「泣きすぎ」
「重い」
「依存体質で気持ち悪いからやめな」
「そういう女、捨てられるよ」
「ちゃんと自分で立ちなさい。他人に頼らないで」

それを言う母の声は冷たかったわけじゃない。むしろ実用的で、効率的で、仕事ができる大人の声だった。「女は面倒くさいと思われたら終わりだから、はい笑って愛嬌出して、男に負担かけないで、ね?」っていう、あの親切そうな毒。

“感情を持ってること自体が迷惑”という教育。

私はそれに従って、感情を見せるかわりに「機能する娘」でいようとしてきた。怒られないバランスで笑って、言われる前に空気を読んで、迷惑にならないようにあらかじめ自分の温度を下げて、下げて、下げて。

そうするとね、心の中でひとつ問題が起こるんだよ。自分がちゃんと存在してるって感覚が、削れちゃうの。私はここにいるっていう実感のかわりに、「役に立ててるから私はここにいていい」という条件つきの在留許可証みたいなもので自分を納得させ続けることになる。

つまり私は、生きているかどうかを「必要とされてるかどうか」で測る人間になった。

だから、あの日の屋上で、彼に正面から見つめられて「お前の作品はこれで、こういう理由で良かった」と断言されただけで、私の中のぜんぶが一気に満たされていった。息ができなくなるくらい、一気に。

必要とされる、っていうのは――正しく見られる、ってことだから。

嘘や遠慮じゃなく、「これが君だろ」って指をさされること。それを優しくでも乱暴でもいいから押しつけられること。それは私にとって、「存在していいよ」って言われるのと同じ意味だった。

湊はその夜、それをなんのためらいもなくやってきた。

だから、たぶんその時点でもう、私はダメだったんだと思う。もう彼なしで立てなくなってた。立てるふりはできても、立つ理由が消えてた。

湊はコートのポケットをもう片方もまさぐって、なんだかもたもたした手つきで小さな箱を出した。黒いベルベットとかじゃない。ブランドのロゴもない。ただの白い紙箱。雑貨屋とかで売ってる安いやつ。

「え、なにそれ」

「うるさい、見るな」

「見ないとわかんないでしょ」

「黙ってろ」

「こわ」

「怖くねえよ」

「いや十分こわいよ。なに? そのキャラ急に」

彼は耳の先を赤くしながら、箱を開けずに、指でぎゅっと握りしめた。間合いが1歩だけ縮まる。コンクリートの上で、靴の先がかすかに触れそうな距離。心臓が、変なリズムで跳ねる。タタ、タタタ、タタ。呼吸に合わない。苦しい。

「笑うなよ」

「笑わない」

「絶対笑うなよ」

「わかったってば」

「これはさ、ほんとはもっとちゃんとするやつなんだろうけど、俺そういうの向いてないから」

「……」

「だから、こういうの下手なんだけど」

そこで、彼は小さな箱を開いた。

中に入っていたのは細いリングだった。シルバー。飾りほとんどなし。小さな小さなストーンがひとつだけ入ってる。ダイヤなんかじゃないと思う。たぶんキュービックとか、そういうやつ。値段とか知らないけど、“高いもの”っていうより“今すぐ渡せるもの”って感じのやつ。

でも、私にはそれがちゃんとわかった。大事なのは値段じゃない。これがどういう意味か、彼がどんな顔で持ってきたか、そっちが全部。

湊は、いつもより少しだけ不器用な声で言った。

「俺さ」

呼吸が止まる。心臓が跳ねる。肺がうまく動いてくれない。

「俺さ、ひとりで生きるの、別に怖くないと思ってたんだよ。これまでそうだったから。高校のときからずっと、自分で動いて、仕事もして、必要なものは自分で取りに行けばいいって思ってたし。なんならそのほうがラクだと思ってた」

彼の視線は私の指に落ちる。まだ箱の中のリングには触れていない。触れないで、私の指の形を見ている。そこがもう、ずるい。

「でも、お前といるときは、逆に怖くなった」

「……怖い?」

「うん」

「私、怖い?」

「いや、そうじゃなくて」

彼は息を一回だけ吐く。白い息が、風にちぎれてすぐ消える。この寒さでも彼は震えない。芯が強い人間って、こういうところでわかる。

「お前がいないときの自分を想像したら、普通に無理だなって思った。あ、これ俺、ひとりだと死ぬな、ってちゃんとわかった。あ、俺もうひとりじゃ歩けないんだなって思った」

「……」

「だからさ。なんか、これ、一緒にやろうっていう、あれ。ちゃんと生きよっていう、あれ。……あー、だめだ俺ほんとこういうの下手。マジで文章化できない。クライアントのコピーならいくらでも書けんのに、なんでこれ言葉にならねえんだよ」

一気に喋って、ちょっとだけ俯いて、自分の言葉に自分で照れて、でも逃げないで続ける彼はずるい。ほんとずるい。逃げない男はそれだけで凶器なんだよ。わかって言ってる? わかってないだろ。だから余計に刺さるんだよ。

彼は私をちゃんと見て言った。

「一緒にいようってこと。ちゃんと生きよってこと」

言葉にした瞬間、世界の音が透き通った。

本当にそういう感覚だった。いや、もっと正確にいうと、いままで世界って濁ってたんだ、って逆算で理解した。街の音、車の音、遠くの電車のレールの振動、下の階でまだ残ってる展示室のスポットライトのジーッていう電気の唸り、それらが全部いきなりクリアになる。高音域が一気に開く。世界がハイレゾになる。耳の奥がキーンってするくらい、透明になる。

私は、息を吸うだけで痛かった。甘すぎて痛い。胸の奥が、熱すぎて苦しい。喉の内側がこそばゆい。自分の体が全部、今初めて心臓を受け取ったみたいに反応する。

「……それ、プロポーズみたいだね」

やっと出てきた私の声は、驚くほど掠れていた。情けないくらい震えてた。でもその震えは、恥じゃない。私にとっての“生きてる証拠”だった。

湊は一瞬だけ目を見開いて、すぐに小さく笑った。目尻がやわらかく下がる。その笑い方、いまでも、ガラスの中の黒薔薇を見るたびに思い出す。

「うん。プロポーズってことでいいけど」

「こと“でいいけど”?」

「いや、なんか、ちゃんと形式整えてからとかさ、本当はそういうのあるんだろ。でも俺、待てる感じしないし」

「待てない?」

「うん。だって、なんか、いま言っとかないと、消える気がするから」

「……消える?」

彼は夜景を一瞬だけ見た。遠くの赤い点滅。クレーンの先の航空障害灯。街の流れ。東京って、いつでも光ってるくせに、ひとりずつはめちゃくちゃ簡単に消える街だ。人間なんて、すぐ入れ替わる。誰かの代わりなんていくらでもいる。そのことを彼は知ってるんだと思った。彼はこの街の中でずっと戦ってきたから。

「うん。だから、今」

そう言って、彼は私の左手を取って、指先をそっと持ち上げた。触れ方はやさしいのに、逃がすつもりがない圧がちゃんとある。優しい執着。私がいちばん欲しかったもの。

指に、リングが通される。

細い金属が肌に触れる。冷たい。少しだけ重い。でも、重いというより、位置がはっきりする感じ。指のこの場所は私のもの、って線が引かれる。境界線がくっきり浮き上がる。

私の中で、「私はここにいていい」という感覚が、初めて正しく形になった。

ああ、この人は、私を必要としてる。

それはつまり、この世界に私はちゃんと存在してていいっていう意味。

「……」

声にならない音が喉の奥で転がる。泣きたい。泣いたらきっとこの夜が壊れる。泣かなかったら、私の中身がうるさすぎて壊れる。どっちにしろ壊れる。どうしたらいいかわかんない。息するのも難しい。

「りお」

名前を呼ばれる。心臓が跳ねる。呼吸が止まる。世界がそこでまた一段階、輪郭を増す。私はこの瞬間、名前というものに初めてちゃんと意味を持たせてもらった気がした。りお、っていう音が、「ここにいていいよ」の別名になった。

「俺、たぶん、ひとりで生きたら壊れるから」

「……」

「一緒に壊れてくんない?」

変な言い方だった。本当に変だった。ロマンチックでもなんでもない。漫画だったらボツになる。けど、その不器用さが、たぶん彼の本当で。飾りをのっける余裕もテクニックもなくて、今の体温のまま、ここ置いとくから拾って、って差し出してる感じ。

私は、それが嬉しかった。

この人は、私に“きれいな安心”なんてくれない。そうじゃなくて、“あなただから必要なんだよ”っていう生々しい形をくれる。汚いまま、未加工のまま、投げてくれる。

そんなの、欲しいに決まってるじゃん。

私はふるふると笑って、涙をこぼさないように目尻をきつく上げて、口角を噛むみたいにして、言った。

「いいよ」

「……いいの?」

「いいよ。壊れるときは一緒ね。ひとりで壊すの禁止」

「わかった」

「浮気したら殺す」

「あー、それは死ぬな俺」

「うん。死んで」

「即答すんな」

「うん」

「うん?」

「うん」

私たちは、笑った。12月の夜風の中で、手を繋いで、馬鹿みたいに。私の指にはリングが光って、風が痛いのに胸の中はあたたかくて、息を吸うたびに世界が甘くて痛い味になる。

この瞬間、私は決めた。

私の心のいちばん奥のいちばん奥。誰にも触らせたことのない場所に、私はひとつだけ、はっきりした言葉を刻んだ。

――この人だけは、枯らさない。

花みたいに美しい時間はすぐにしおれるって、私は誰より知ってる。切り花は生き残るために、どこかを犠牲にする。どこかを捨てる。犠牲の形が愛の形になる。

だったら私は、犠牲を全部私が払う。ぜんぶ私が持つ。ぜんぶ私が抱える。そうすれば、彼は枯れない。彼の時間は、私が維持する。彼の世界は、私が守る。彼の未来は、私が保存する。

「枯れないでね」と私が言ったわけじゃない。口には出してない。でも、私の呼吸すべてがその願いだった。吐く息の熱が「あなたは枯れないで」、吸う息の冷たさが「私が枯れるから大丈夫だよ」、そう言ってる感じだった。

彼は私の額にそっとキスを落とした。やわらかくて、一瞬で終わるものだったのに、世界の音がまた透き通った。街の細い音が、ガラスの破片みたいな光が、ぜんぶ「生きていいよ」って揺れた。

私はその夜、はっきりと理解した。

私はきっと、もうだめだ。もう戻れない。

だって、こういう愛は花じゃない。枯れて土に還る予定のものじゃない。

これは、永遠に閉じ込めておく前提の愛だ。

保存して、標本にして、壊れないようにして、ずっと、ずっとここに置いておく前提のやつ。

あのとき胸の中で固まった“枯らさない”っていう決意は、綺麗な誓いなんかじゃなかった。未来へのやさしい願いでもなかった。

それは、呪いの種だったんだって、今ならはっきりわかる。
でもあの夜の私は、それを「愛」としか呼べなかった。
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