1 / 20
第1話 婚約破棄の夜
しおりを挟む王都アウロリアの春は、音から始まる。クリスタルのグラスが触れ合う乾いた高音、絢爛なドレスの裾が床を擦る囁き、オーケストラの弦が夜を蜜のように伸ばす。王城の大広間は、光に飽和していた。五百の燭台、十万の火の粒。すべてが祝祭の色をして、誰かの幸福のためだけに燃えている。
私は、ルビー・カルネリアン。侯爵家の長女として、この煌びやかさに見合う笑顔を、十五歳の春から練習してきた。今日も完璧に微笑んでいる――はずだった。胸元の紅玉が、心臓の鼓動に合わせてわずかに震える。胸骨の裏側で、知らない鳥が暴れているみたい。落ち着け、と自分に言い聞かせる。すべて予定通り。夜会の主賓は王太子。彼の隣に立つのは、婚約者である私のはず――だった。
「ルビー嬢、殿下がお呼びです」
家令の低い声。私は一歩踏み出す。床は白い大理石。足音が吸い込まれ、代わりに天井のフレスコ画が降りてくるような圧がある。人々が道を開ける。視線が集まる。視線は刃だ。慣れている。切り傷だらけでも、しなやかに歩くことはできる。
王太子アメジスト。紫水晶の名を持つ男は、いつも通り完璧だった。光をまとい、冷たい。目元の影だけが、私の知る少年の名残だ。幼い頃、彼の書斎で読み聞かせをした寓話の登場人物みたいに、正しさでできている人。右隣には、蒼。その蒼は絹のような髪と、祈りの形をした笑顔を持っていた。聖女サファイア。噂で何度も聞いた名。近くで見るのは、初めてだ。
「ルビー・カルネリアン」
殿下の声はよく通る。少しだけ、弦をきつく張ったチェロみたいな硬さが混ざっている。嫌な予感は、もう形になっていたのだと思う。だって、人は幸せを告げるときに、こういう呼び方はしないから。
「君との婚約は、ここに破棄する。僕は聖女サファイアを選ぶ」
時間が、唐突に縁取られる。音楽は続いているはずなのに、耳に入ってこない。代わりに、自分の指先の感覚だけが刺さるほど鮮明になる。グローブの内側で爪が掌を握り、紅玉が微かに鳴いた気がした。冗談、ではない。冗談なら、誰かが笑う。誰も笑わない。代わりに、誰かが息を呑み、誰かが扇を上げ、誰かが舌打ちした。
私は、唇を開く。そこに用意していた言葉は、なぜか全部こぼれ落ちて、残ったのはとても短いものだった。
「……お幸せに、殿下」
私の声は凍っていた。でも、震えてはいなかった。凍りついた湖面は、滑るにはちょうどいい。誰も落ちる音は聞こえない。ただ、薄氷の下で流れている水の音がする。流れは速い。行き先は、私にもわかっている。
大広間の空気がゆっくりと動く。人々が一様に、私の顔を見た。好奇、憐憫、勝利、安堵。色んな感情が混ざった濁流が、足首に絡みつく。私は微笑む。完璧な型で。父の家庭教師に教わった通りに。顎の角度、頬の筋肉、瞳の開き。笑顔とは、盾だ。
「殿下は勇気ある決断をなさいました。王国のためにも、最善でしょう」
言葉は礼儀で包んで外に出す。内側に何が入っているかは、誰にも見えない。聖女サファイアが小さく会釈した。絹が擦れる音。視線が触れる。彼女の瞳は湖の色。でも、底は見えない。
「ルビー様……どうか、私をお赦しください。殿下の心は、私を求めました。私はただ、神の導きに従っただけで――」
「赦すかどうかは、神様が決めること?」
私の声は柔らかい。サファイアの肩が少し震える。周囲で、誰かが囁いた。「悪役令嬢の最後のあがきだわ」「聖女様のお情けにすがるなんて」。音の輪郭が鋭くなる。痛くない。痛くない、と何度も自分に言う。痛みが遅れてやってくる。その前に、立っていればいい。
父の顔が視界の端に見えた。口元が固い。彼はこういう時のために生きている人だ。決断のために呼吸している。母は目を逸らした。妹は、唇を噛んでいる。誰も間違っていないのだと思う。間違っているのは、世界の方。世界は時々、ひどく雑に誰かを選ぶ。
「ルビー」
殿下が一歩、近づく。私は自然に退く。香の匂いがする。黒檀と柑橘。冬の書斎の匂い。懐かしさは、毒に似ている。
「君は賢い。これが王国のためだと理解できるはずだ。君の家の功績は忘れない。必要な補償はする。だから――」
「――だから、黙って消えてくれ、でしょう?」
胸が、くつ、と鳴る。あ、笑ってしまった、と私は思う。誰かが息を呑む音。殿下の目がわずかに揺れる。いつも動かない湖の水面に、石を投げたみたい。彼はすぐに整える。完璧な男。だからこそ私は、落ちていく。
「消えますよ、殿下。美しく。あなたの望む通りに。カルネリアン家の名誉を守るやり方で」
「ルビー!」
父の声が鋭く飛ぶ。私の名を呼ぶのはいつも叱責の直前。でも、今日は違った。彼の目に焦りが混ざっていた。家の利害の計算式に、予期せぬ変数が入った顔。私は軽く会釈して、彼に微笑む。大丈夫、という眼差しで。大丈夫。私はもう、落ちる場所を選んでいる。
サファイアが一歩、進む。膝を折りそうなほどに、慈愛の顔を作っている。私に触れようとした指先は白魚のように細い。美しい。美しいものは、壊れやすい。
「ルビー様、本当に……」
「触れないで」
言葉が冷たく落ちる。彼女の指先が空を掴む。大広間の空気がさらに冷える。氷の粒が目に見えた気がした。聖女の顔が、微かにこわばる。そこに、ほんのわずかの安堵を見た気がした。――安堵? 私が退いたから、ほっとした? 心の内側で赤い紙がぱちんと弾ける。音は小さいのに、火の気配が濃くなる。
「失礼しました……私は、王太子殿下を、国を、救わなければ」
「そう。救って」
救ってみせて。私の中で、ゆっくりと何かが笑う。長い間、眠っていたもの。名もない熱。指先が、ドレスの内側で小さく痺れた。紅玉のペンダントが胸元で音もなく震える。心臓がそれに応える。鼓動が、数拍遅れで返事をする。
ここでは泣かない。泣く場所は別にある。泣き終わったら、私は火になる。今、その約束を自分に課す。グラスの縁に紅い液体が波立って、私の瞳を染める。私はその波を飲み干す。甘い。甘さは鈍い刃だ。刃は鞘に収める。
「ルビー嬢、控室へ」
家令が再び現れ、道を作る。私は礼をして後ずさる。背を向ける瞬間、殿下の低い呼吸が耳を撫でた。言葉にはならない。言葉にならないものは、いつも遅れてやってきて遅すぎる。
控室は静かだった。壁に飾られた花が夜の匂いを吐いている。扉が閉まる音が、世界と私を分けた。私は鏡の前に立つ。そこには、完璧な笑顔を貼り付けた女がいた。頬はわずかに上がり、瞳孔は収縮し、肩は下がっている。息は浅い。首に触れると、紅玉が指に冷たい。
「――おめでとう、殿下」
口の中で呟いてみる。味がする。鉄の、血の、味。言葉が舌に重くこびりつく。鏡の中の女が微笑む。その笑顔は、もう盾じゃない。刃だ。ああ、そうか、と私は思う。今の私には、刃が必要だ。
扉がノックされる。妹の声。「お姉様……」
「開いているわ」
入ってきた彼女は、私と同じ赤い髪をしている。幼い頃は姉妹だと一目でわかったけれど、今は違う。彼女の目は、水。私の目は、火。
「本当に……破棄、なの?」
「夢ならよかったのにね」
妹は唇を噛む。血が滲む。ハンカチを手渡す。彼女は首を振る。「お姉様、私……何もできなくて……」
「できることなんて、最初から決まってる。あなたは愛される人になる。私は――」
言葉が喉で止まる。私は何になるのだろう。復讐者? 魔女? 破滅? どの語も舌に合わない。鏡の女が、少しだけ眉を寄せる。紅玉の中で、光がふっと揺れた。
「私は、私に戻るだけ。余分な飾りはいらない」
「でも……お父様が、家を守るためには……」
「ええ。わかってる」
家のため。国のため。男たちのため。神のため。私の人生はいつも誰かの“ため”にあった。だから今度は、私のためにする。鏡の前で、私は耳飾りを外す。髪をほどく。ひとつ、またひとつ、音が落ちる。飾りが消えていくたびに、呼吸が深くなっていく。
「ルビー様」
父が入ってくる。妹は慌てて一礼して下がる。父の目は固い石。視線が私の肩から喉へ、そして紅玉へと移る。彼は扉が閉まる音を確認してから、低く呟いた。
「お前は、王都を離れる。明朝の馬車で辺境へ。――反論は許さん」
「はい」
その返事に、父が一瞬驚いた。「お前は……何も言わないのか」
「言っても変わらないでしょう? 私は、家の娘ですから」
父の唇がわずかに歪む。勝利にも安堵にも見えない、苦い形。彼は壁に視線を逸らしてから、絞るように続けた。
「……すまない」
その言葉は、私に向いていなかった。彼自身への赦しのために投げたもの。私は頷く。許すとも、許さないとも言わない。どちらでも、いいのだと思う。重要なのは、次にどこへ向かうかだ。
「行ってらっしゃいませ、と言うべきかしら」
「……行け」
父が出ていく。扉が閉まる。静けさが戻る。私は鏡を見つめる。泣くなら、今だ。私は、泣かない。涙は熱を奪う。熱は必要だ。明日の朝まで、生き延びる燃料として。
夜会はまだ続いていた。音楽が遠い。私は控室の窓を開ける。春の冷たい風が、熱い頬を撫でる。王城の尖塔が、星を刺している。尖塔は、祈りの形だ。祈りは、時々、呪いに似る。
「お幸せに、殿下」
今度は、はっきりと口に出す。言葉は羽のように軽いのに、落ちた場所で鋭い音を立てた。床の下、どこかで薄氷が割れる気配。私は胸元の紅玉を握る。冷たさの奥に、微かな脈動。石が、呼吸している。それは私の呼吸だ。なら、私の血もまた、石のように硬くなるべきだ。
夜会場に戻る前、私は赤い口紅をひく。色は濃く、よく似合っている。死に化粧は、生きる宣言の反対側にある。廊下に出る。人の声、人の匂い、人の温度。すべてが私を拒絶する準備をしている。いいわ、と心の内で呟く。拒絶は、火を強くする。
大広間の入り口で一度だけ振り返る。控室の鏡はもう私を映していない。映る必要がないから。私が私を見張る必要がないから。私はもう、決めたのだ。落ちる先は、私が決める。落ち切ったところから、私は登る。焼け跡の匂いを知っている木だけが、強く根を張る。炎は壊すけれど、同時に形を与える。鋳型に流した鉄のように。
会場に戻ると、誰かが私を見て笑った。誰かが唇を歪めた。誰かが哀れんだ。誰かが勝ち誇った。私の足取りは軽い。音楽はもう、甘くない。リズムが骨に響く。骨は、私の中で最も信じられる硬さをしている。
「ルビー様、御身を」
家令が差し出した手を、私は取らない。自分の足で階段を下りる。裾が階段を撫で、赤い布が波打つ。波は音もなく砕けて、光だけが跳ねる。私はその光の粒をひとつ、舌で受け取るような気持ちで、微笑む。甘い。甘いものが、もう怖くない。
王太子と聖女の前を通る時、私は立ち止まり、深く礼をした。礼は儀式。儀式は劇。劇は刃。刃は、鞘に収めたままでも刺さる。
「重ねて、殿下と聖女殿に祝福を」
顔を上げる。その一瞬、アメジストの瞳が揺れた。サファイアの指が無意識に胸の十字を切る。私は知っている。この揺れと怯えを。人が“正しい”と思うことの裏側に溜まる影の形を。そこに火はよく燃える。
私は背を向ける。音楽が戻ってくる。人が踊る。世界は続く。世界はいつだって、誰かの終わりと誰かの始まりを同じ場所に置く。私はその間を、赤い線で縫い合わせる。針は熱い。糸は長い。縫い終える頃、きっと別の布になっている。
夜が深くなる。微笑みの筋肉が、少しだけ疲れる。だけど、顔には出さない。私は踊らない。踊るのは明日の朝、馬車の上で。車輪のリズムに合わせて、私の心は踊る。黒の森へ、辺境へ。誰もいない場所へ。そこでこそ、私は火になる。
夜会の終わりに、私は最後のグラスを手に取る。赤い。真っ赤。グラスの縁に自分の影が揺れる。私は静かに囁く。誰にも聞こえない音量で。けれど、必ず届く場所に。
「――あなたの幸福を、紅玉の炎で焼き尽くす」
その言葉は、呪いじゃない。宣言。私の物語が始まる音。大広間の天井に描かれた天使が、ほんの少しだけ目を伏せたように見えた。神さえも、目を逸らす夜がある。今夜がそうだ。なら、私が見る。真っ直ぐに。燃やすべきものと、残すべきものを。
夜は、まだ長い。けれど、もう怖くない。光を待つだけの夜じゃない。私自身が光になる夜。たとえその光が、誰かを焼く炎であっても。いいのだ。焼け跡には、新しい芽が出る。焼けた土ほど、肥えるのだと、庭師が教えてくれた。あの庭師の手は土の匂いがして、優しかった。優しさは覚えている。忘れない。だから私は、優しさのために、燃える。
グラスを置く。音が小さく響く。終わりの鐘のように、始まりの鐘のように。私は踵を返す。赤いドレスが、夜の海を裂く。人々の視線が、その跡に集まる。いいわ、見ていて。私が堕ちるところも、私が昇るところも。物語は、観客を必要としない。でも、観客がいると、火は高く上がる。
私の第一幕は、ここで閉じる。幕の向こうに、森が待っている。黒い樹々、冷たい風、獣の匂い。そこに私の次の台詞が置かれている。剣と、火と、約束と。私はそれを取りに行く。
――さようなら、婚約破棄の夜。ようこそ、復讐の夜明け。
2
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
婚約破棄された王太子妃候補ですが、私がいなければこの国は三年で滅びるそうです。
カブトム誌
恋愛
王太子主催の舞踏会。
そこで私は「無能」「役立たず」と断罪され、公開の場で婚約を破棄された。
魔力は低く、派手な力もない。
王家に不要だと言われ、私はそのまま国を追放されるはずだった。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
この国が長年繁栄してきた理由も、
魔獣の侵攻が抑えられていた真の理由も、
すべて私一人に支えられていたことを。
私が国を去ってから、世界は静かに歪み始める。
一方、追放された先で出会ったのは、
私の力を正しく理解し、必要としてくれる人々だった。
これは、婚約破棄された令嬢が“失われて初めて価値を知られる存在”だったと、愚かな王国が思い知るまでの物語。
※ざまぁ要素あり/後半恋愛あり
※じっくり成り上がり系・長編
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる