追放された無能令嬢、実は転生賢者でした――王国が滅びてももう知りません

タマ マコト

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第10話 許さなくていい、それでも世界を終わらせないために

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 アストレイア王国からの正式な書簡が届いたのは、朝と昼のあいだみたいな、妙に中途半端な時間だった。

 研究棟の窓には薄い陽が差していて、机の上の術式板にはまだ昨夜の計算跡が残っていた。リリアは結界補助式の誤差を詰めている最中で、ちょうどインクの先を止めたところだった。

 扉が叩かれる。

「入ります」 
 女性研究員の硬い声。 
「皇子殿下がお呼びです。至急」

 至急。

 その一言だけで、胸の奥が嫌なふうに沈む。

 リリアはペンを置いた。最近は嫌な予感に慣れてきたつもりだったけれど、それでも“王国関係”の空気だけは、すぐに喉の奥へ冷たいものを落としてくる。

「何かありましたか」 
「アストレイア王国より、正式な外交文書が届きました」 
「……そうですか」

 聞いた瞬間、指先の温度が少し下がる。

 ついに来たのだと思った。

 来ない方がおかしい。辺境被害はすでに“局地的”で片づけられる段階を越えていた。奈落封環の揺らぎは表層の結界崩壊として目に見え始め、魔物災害の規模も広がっている。

 けれど、来たからといって、いい気分にはなれない。

 会議室へ向かう廊下はいつもと同じはずなのに、今日は靴音がやけに硬く響いた。

 扉を開けると、そこにはすでにカイルとエドガー、外務官数名、そして帝国軍の実務官まで揃っていた。机の中央には封を切られた羊皮紙が広げられている。王家の紋章入り。見慣れたそれが、今はずいぶん遠い国のものに見えた。

「来たか」 
 カイルが言う。

「はい」 
「座れ」 
「内容は?」 
「先に読むか」

 カイルが一枚の書簡を差し出す。

 リリアは受け取った。紙は上質で、香も焚かれている。辺境都市が壊滅寸前だというのに、こういうところだけは変わらず王国らしい。

 視線を落とす。

 文面は丁重だった。 
 形式としては非の打ち所がないくらい整っている。

 アストレイア王国東部ルクス辺境都市および周辺地域において、未曾有の結界異常および魔物災害が発生していること。王国単独での解析と鎮静化が困難であること。よって、ヴァルディオン帝国の有する高度な魔導技術および古代魔法知見を借り受けたく、結界調査支援のための協力者派遣を要請すること——

 そこまで読んだところで、リリアは静かに紙を机へ戻した。

「……ああ、なるほど」

 声がひどく平らだった。

 カイルが目を細める。 
「何が見えた」 
「何も変わってないなって」

 外務官の一人がわずかに顔をしかめる。

「文面に不備が?」 
「不備、というより、本音が透けてるだけです」 
「説明してもらえるか」 
「ええ」

 リリアは羊皮紙を指先で軽く叩いた。

「謝罪がないんです」 
「……」 
「私個人に、じゃありません。これまでの運用や判断に対する説明も、責任の所在も、一切ない。ただ“古代魔法に長けた協力者”を寄越せと言っている」

 会議室が静まる。

「つまり、必要なのは人じゃなく技術だと言っているのと同じです。あるいは資源」 
「厳しい解釈だな」 
 外務官が言う。

「厳しくないです。王国はいつもこうでした」 
 リリアは視線を上げた。 
「都合の悪い部分は書かない。必要な機能だけ切り出して要求する。感情も責任も後回し」

 言葉にしてみると、ひどくよく出来た構文だった。

 “古代魔法の扱いに長けた協力者”。

 名前を消せば、人格も消える。  そうすれば使いやすい。 
 過去に何をしたか、何を切り捨てたかを考えなくて済む。

 リリアは小さく息を吐いた。

「この文面のまま戻れば、私はまた同じです」 
「利用されると」 
 エドガーが言う。

「はい。必要だから呼ばれる。用が済めばどうなるかは、たぶん相手の都合次第」

 部屋の隅に置かれた時計の針が、妙に大きく鳴る。

 誰もすぐには口を開かなかった。

 王国の立場から見れば、辺境都市は今すぐにでも助けが必要だ。実際、報告書によればルクスでは結界外壁の一部崩落が起き、避難が間に合わなければ被害はさらに拡大する可能性が高い。

 分かっている。 
 分かっているのだ。

 でも、それとこれとは別だ。

「私は行きたくないです」 
 リリアは静かに言った。

 はっきり言葉にすると、胸の奥に少しだけ熱が走る。

「助けが必要なのは分かります。でも、この文面に応じて戻るのは無理です。だって私は、また“便利な協力者”にされるだけだから」 
「当然の反応だな」 
 エドガーが低く言う。

 外務官は難しい顔をした。 「しかし、拒否した場合、王国側はより拙速な手段に出る可能性があります。接続役の再構築、あるいは封環への強引な介入など」 
「それも分かっています」 
「なら」 
「分かっていても、嫌なものは嫌です」

 少しだけ語気が強くなる。

「自分を雑に扱った側が、困った途端に“でも君が必要だ”って言ってくる。それを受け入れられるほど私はできた人間じゃない」 
「誰も、できた人間であることを求めてはいない」 
 カイルが言った。

 リリアは彼を見る。
  黄金の瞳は相変わらず静かで、こちらの感情を煽らない。

「なら、どうしろって言うんですか」 
「答えを急ぐな」 
「急ぎますよ。王国は待ってくれない」 
「だからこそだ」

 カイルは机上の書簡を指で押さえた。

「今ここで感情だけで決めれば、後悔する」 
「……」 
「拒絶するにしても、関わるにしても、線引きが必要だ」

 リリアは唇を噛んだ。

 分かっている。 
 彼の言うことはいつも、嫌なくらい正しい。

 でも今は、その正しさにすぐ頷けるほど心が整っていなかった。

「少し外します」 
 そう言って立ち上がる。 
「リリア」 
「すぐ戻ります」

 会議室を出る。

 廊下へ出た瞬間、胸の奥に溜めていた息がひどく重く感じた。窓際まで歩き、両手を石の縁へつく。冷たい。

 帝都の空は澄んでいる。遠くに見える塔も、中庭を行き交う研究員たちも、いつも通りだ。なのに、自分だけがまた、王国の手に喉元を掴まれたような気分になっていた。

 嫌だ。

 戻りたくない。 
 使われたくない。 
 許したくない。

 でも——

 もし星喰いが本当に封環の底から漏れ出せば、被害はアストレイア王国だけで終わらない。帝国の地脈も揺れる。辺境の村も、帝都も、無関係ではいられない。

 つまりこれは、私情だけで切れる問題ではない。

「最悪……」

 誰に向けるでもなく呟く。

 その時、足音が近づいた。

「ここにいたか」 
 振り返らなくても分かる。カイルだ。

「追いかけてきたんですか」 
「放っておくと、考えを自分の中で絡めすぎる」 
「ひどい言われよう」 
「事実だろう」 
「……否定はしません」

 隣に立っても、彼はすぐには何も言わなかった。無理に慰めない。黙って時間を置く。そういう距離のとり方が、この人は上手い。

 しばらくして、カイルが口を開く。

「王国を許す必要はない」 「……」 
「謝罪がない以上、なおさらだ」 
「じゃあ、拒否していいってことですか」 
「そう単純でもない」 
「ですよね」

 苦く笑う。

 ほんとうに、この人は甘いことを言わない。

 でもその代わり、こちらが痛い現実から逃げようとすると、ちゃんと止める。

「リリア」 
「何ですか」 
「王国を許すことと、世界を終わらせないことは別だ」

 その言葉は、予想していたのに、やっぱり胸に残った。

「……」 
「許さなくていい。受け入れなくていい。だが、その上で“何を条件にどこまで関わるか”は選べる」 
「条件」 
「そうだ。飲めないなら飲まなければいい。だが何も示さず拒否すれば、向こうは学ばない」 
「条件を出したところで、守ると思います?」 
「守らせる形を考える」

 リリアは目を閉じる。

 条件。

 関わるとしても、自分の人生をまた勝手に使わせないための線。  今までのように曖昧な善意や義務感で飲み込まれないための枠。

「例えば?」 
 ぽつりと問う。

 カイルは即答しなかった。少しだけ考えてから、実務家らしい口調で言う。

「まず、君個人の身柄と帰還義務を切り離すこと」 
「……」 
「王国側への支援は、帝国調査団として行う。君が戻るのではなく、帝国が介入する形だ」 
「それなら」 
「次に、支援目的を“王国救済”ではなく“奈落封環崩壊防止”に限定する」 
「感情の整理がしやすいですね」 
「だろう」 
「あと」 
「王国側に、現在判明している結界記録の全面開示を要求する」 「それは必要です」 
「当然だ。隠し事をされたままでは動けない」

 リリアは少しずつ、頭の中の霧が薄くなるのを感じた。

 怒りは消えていない。 
 嫌悪もある。 
 でも、感情に全部を持っていかれたままでは、本当に最悪の形でまた使われるだけだ。

 だったら、先に条件を作る。

「……さらに」
 自分の中から言葉を探す。 
「私の名前を、向こうの要求文書に勝手に紐づけないこと」 
「いい条件だ」 
「必要なら私が出るとしても、それは“王国の元婚約者”としてじゃない」 
「では?」 
「帝国調査団の協力者としてです」

 口にした瞬間、少しだけ胸が楽になる。

 そうだ。 
 自分で立場を決めるのだ。 
 向こうが決めた役割に滑り込むのではなく、自分の言葉で枠を作る。

 カイルは小さく頷いた。

「それでいい」 
「簡単に認めますね」 
「妥当だからだ」 
「……皇子殿下って、たまに人を肯定するのが上手いですよね」 
「褒めているのか」 
「事実です」 
「そうか」

 そこで会話が一度切れる。

 外の風が少しだけ吹き込んできて、窓辺の薄い帳を揺らした。

 リリアは遠くを見ながら言う。

「王国を助けたいわけじゃないんです」 
「知っている」 
「でも、辺境で怯えてる人たちがいるのも分かる」 
「それも知っている」 
「自分でも、どっちに寄ればいいのか分からない時があります」 
「寄らなくていい」 
「え?」 
「どちらか一方に寄る必要はない。嫌悪も責任感も両方持ったままでいい」

 その言葉に、リリアは思わず笑ってしまった。

「ずるい」 
「何が」 
「答えをひとつにしなくていいって言うの、すごく救われるのに、全然甘くない」 
「甘くないから成立する」

 たしかにそうだ。

 この人は“君は優しいから助けるんだろう”とは言わない。 
 “過去は忘れて前を向け”とも言わない。 
 ただ、矛盾を抱えたまま選べと言う。

 それは簡単ではない。 
 でもたぶん、一番誠実だ。

 会議室へ戻ると、全員の視線が集まった。

 リリアは席に着く前に一度だけ深く息を吸った。

「支援を全面拒否はしません」 
 静かに言う。 
「ただし、条件があります」

 外務官が背筋を正す。エドガーは腕を組み、カイルは何も言わず続きを待った。

「第一に、私は王国へ“戻る”わけではありません。行動するとしても、帝国調査団の協力者としてのみです」 
「妥当だな」 
 外務官が記録をとる。

「第二に、支援目的は王国の体面保全ではなく、奈落封環の崩壊防止に限定してください」 
「明文化可能です」 
「第三に、王国側は結界運用記録、改修履歴、接続役に関する資料を、秘匿なく開示すること」 
「……かなり踏み込むな」 
「当たり前です。散々隠されてきたんだから」

 自分の声が、思ったより安定していることに驚く。

「第四に」 
 少しだけ間を置いた。 
「私の身柄、役割、判断について、王国が一方的に決める権利はないと、あらかじめ確認してください」

 その条件は、机の上へ短い沈黙を落とした。

 王国が嫌がるのは分かっている。 
 でも、ここを曖昧にしたら全部が元に戻る。

 “必要だから我慢して” 
 “今は国のために” 
 “終わったら考える”

 そんな言葉でまた囲い込まれる未来が、あまりにも容易に想像できた。

 エドガーが低く唸る。

「悪くない」 
「悪くない、ですか」 
「いや、かなりいい。王国側は嫌がるだろうがな」 
「嫌がってくれないと困ります」

 そう言うと、少しだけ笑いが起きた。重い空気の中で、ほんのわずかな揺らぎだったけれど、それだけでも息はしやすくなる。

 カイルが文書に目を落とし、淡々と言う。

「この条件で返答文を作る。王国が飲まないなら、帝国単独で国境外観測と辺境防衛を強化する」 
「それで構いません」 
「本当にいいのか」 
「いいです。飲めない条件なら、最初から向こうは私を人間として扱う気がない」

 言い切った瞬間、胸の奥に一本、芯が通るのを感じた。

 怯えていないわけじゃない。 
 王国からの要請文は、今でも喉を締めつける。 
 辺境の被害を思えば胸も痛む。

 それでも、以前の自分ならここで黙ってしまっていただろう。必要とされたことを喜ぶふりをして、また役目に飲み込まれたかもしれない。

 でも今は違う。

 感情だけで拒絶しない。 
 かといって、善意だけで差し出しもしない。 
 条件を持って、自分の意志で関わり方を決める。

 それは小さな違いのようで、たぶん人生を丸ごと変える違いだった。

 会議が終わったあと、外務官たちが返答文の草案作成へ散っていく。エドガーもぶつぶつ言いながら資料を抱えて出ていった。

 部屋に残ったのは、リリアとカイルだけだった。

 静かな部屋で、カイルが言う。

「よく立て直したな」 
「……褒めてます?」 
「事実だ」 
「最近それ多いですね」 
「嫌か」 
「嫌じゃないです」

 少しだけ笑う。

「でも、正直まだ揺れてます」 「当然だ」 
「条件を出したところで、王国が受け入れる保証はない」 
「ない」 
「それでもやるしかない」 
「ああ」 
「……怖いですね」 
「そうだな」

 そこでカイルは、机の上に置かれた王国からの書簡へ視線を落とした。

「だが、君はさっき一つ、前よりはっきり選んだ」 
「何を」 
「“どう関わるかは自分が決める”ということだ」

 その言葉に、リリアは少し黙った。

 王国に必要とされることなんて、もう嬉しくない。 
 許す気もない。 
 でも、だから全部を投げるのではなく、自分の側から条件を作って選ぶ。

 それは確かに、昔の自分にはできなかったことだ。

「……そうですね」 
 小さく答える。 
「少しだけ、前に進んだ気はします」 
「十分だ」 
「皇子殿下」 
「何だ」 
「さっきの、“許す必要はない、ただ世界を終わらせないための選択をしよう”って」 
「……」 
「だいぶずるい言葉でした」 
「そうか」 
「すごく助かりました」 
「それならいい」

 たったそれだけの返事だったのに、妙に胸に残った。

 大げさに励まされるより、ずっといい。 
 きれいごとで押し流されるより、ずっと信じられる。

 窓の外では、帝都の空が少しずつ夕方の色へ変わっていく。

 アストレイア王国は今も崩れ続けている。 
 辺境都市では、今この瞬間も怯えている人がいる。 
 王国からの文面は、相変わらず何も変わっていなかった。

 けれど、その何も変わらない世界に対して、リリアの方は確実に変わり始めていた。

 もう、ただ切り捨てられるだけの無能令嬢ではない。 
 ただ役目を背負わされるだけの装置でもない。 
 怒りも嫌悪も抱えたまま、それでも条件を持って世界に関わろうとする、自分自身の意志を持った人間だ。

 その輪郭はまだ細い。 
 でも折れそうでいて、意外なくらいしぶとい。

 リリアは机の上の返答草案用紙を見つめ、静かに言った。

「じゃあ、次は向こうの答え待ちですね」 
「ああ」 
「嫌だな」 
「同感だ」 
「珍しく意見が合いました」 
「珍しくはない」 
「そうでしたっけ」 
「君が思っているよりは」

 その言葉に、リリアは少しだけ目を丸くし、それから小さく笑った。

 世界はまだ全然やさしくない。  でも、全部が敵というわけでも、もうなかった。
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