悪役令嬢と呼ばれた私に裁きを望むならご自由に。ただし、その甘露の罠に沈むのはあなたですわ。

タマ マコト

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第2話:断罪の招待状は、香水みたいに甘ったるい

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 翌朝。
 ノワゼル伯爵邸の窓辺に差し込む光は、昨日のシャンデリアみたいに派手じゃない。だけど、やけに正直だ。埃も、紅茶の湯気も、カーテンの織り目も、全部を同じ温度で照らす。

 リシェルは朝の紅茶を口に含み、ゆっくりと喉に落とした。
 甘くない。渋い。けれど、舌の奥が少しだけ痺れる。

「……今日のは、香りが強いわね」

 独り言みたいに呟いた瞬間、扉が三度、控えめに叩かれた。
 音は丁寧で、でも急いでいる。貴族の礼儀と、侍女の焦りが同居するリズム。

「入って」
 リシェルが言うと、扉が開いた。

 エルナ・クレストが現れる。小柄な体に似合わない速い動き。焦げ茶の三つ編みはきっちり結ばれているのに、毛先だけが少し跳ねていて、今朝の彼女が落ち着いていないのがわかる。紅茶色の瞳が、リシェルの机の上ではなく――彼女の手元へ、そしてリシェルの顔へと、忙しなく揺れた。

「リシェル様。……来た」

 彼女は短く言い、封を切っていない一通の封筒を差し出した。

 真っ白な紙。厚みのある繊維。角は完璧に揃っていて、触るだけで“金がかかってます”とわかる。封蝋は深紅で、王家の紋章が押されていた。見るだけで、肩が重くなる類のやつ。

「王宮から?」
「うん。……“正式に”ね」

 エルナの口調はぶっきらぼうだ。けれど、それは礼を欠きたいわけじゃなくて、心配が喉を塞ぐときの癖だ。彼女は“綺麗に喋る”より先に、“危険を伝える”ことを選ぶ。

 リシェルは封筒を受け取った。指先に紙の冷たさが移る。
 そして――香り。

 甘い。
 花でも香水でもない、もっと狡い甘さ。脳の奥にふわりと膜を張り、考える速度を落とす匂い。

 リシェルが封蝋に触れた瞬間、エルナが舌打ちした。

「やっぱり。リシェル様、そのまま触らないで」
「もう触れてしまったわ」
「触れたなら、せめて広げる前に手袋替えて。これ、紙に魔力の香がしみ込んでる。人を浮つかせるやつ」

 リシェルは小さく目を細めた。
 紙に染み込ませた魔力。たぶん“祝賀”の名目で堂々と混ぜられる。断罪を演出するための、甘い麻酔。

「よくわかったわね」
「元暗殺者ナメないで。……こういうの、昔いっぱい嗅がされた。頭をふわふわにして、判断遅らせて、うっかり余計なこと言わせるやつ」

 エルナは自分の鼻先を軽く指で叩き、苦い顔をした。
 その一瞬、彼女の過去が影みたいに覗いた。闇の組織、湿った地下、香と血の匂い。生き残るために覚えた“嗅ぎ分け”。

 リシェルは何も聞かない。
 聞くのは簡単だ。でも、過去は本人が触れたいときに触れるべきだと知っている。

 代わりに、リシェルは静かに立ち上がり、引き出しから新しい手袋を取り出した。白い革。薄いのに、指先の感覚を奪わない上等なもの。

「ありがとう、エルナ」
 リシェルは手袋をはめながら言った。声は柔らかい。甘い。
「あなたの勘は、いつも私を守るわ」

 エルナの喉が、小さく鳴った。
 彼女は視線を逸らして、髪の端を指でいじる。照れ隠しみたいに早口になる。

「別に。……守ってるっていうか、損したくないだけ。あんた死んだら、私の生活終わるし」
「それも立派な理由よ」
「……だから、その笑い方やめて。心臓に悪い」

 リシェルは微笑んだ。
 エルナが“心臓に悪い”と言うのは、怖いからではない。あまりに優しくされると、怖くなるのだ。優しさは罠だった経験が、彼女の中に根を張っている。

 リシェルは封筒を机に置き、手袋越しに封蝋を割った。
 ぱき、と乾いた音。
 丁寧に整えられた罠ほど、破れるとき音が大きい――そんな言葉が、自然に胸の内で鳴る。

 中から出てきた招待状は、さらに上質だった。紙の表面に薄い光沢があり、角度を変えると細かな金箔がきらきら浮く。文字は流麗な筆跡。だけど文章の内容は、氷みたいに冷たい。

 ――聖女フィオナ・ルミエールの奇跡の祝賀会に、ノワゼル伯爵令嬢リシェルを招待する。
 ――併せて、貴族の規範を守るための公正な審問を執り行う。

「……言い方だけは上手い」
 エルナが吐き捨てる。
「祝賀と審問をセットにするって、性格悪い」

「悪いのは性格だけじゃないわね」
 リシェルは指先で文字をなぞった。
「“公正”って単語を入れるのが、いちばん狡い。これがあると、反対した人が“公正に逆らう悪”になる」

 エルナは口を尖らせる。
「じゃあ、行かないって選択肢は?」
「行かないと、もっと狡くなる」
「……どう狡く?」
「『欠席した=罪を認めた』って言うわ」
 リシェルはさらりと言った。
「それに、私が行かないと、彼らはきっと民衆にまで話を持っていく。噂を“事実”にするのが得意だから」

 エルナは拳を握る。
「ムカつく」
「うん」
 リシェルは否定しない。
「ムカつくわね」

 その瞬間、また扉が叩かれた。今度は低く、規律のある叩き方。軍人のリズム。

「どうぞ」
 リシェルが言うと、扉が開き、ヴァルト・グラディスが現れた。

 黒髪に群青の瞳。背が高く、肩幅が広い。動かないだけで壁みたいな存在感があるのに、彼はいつも必要以上に目立たないようにしている。騎士とは、見せるための鎧じゃなく、守るための盾だと理解している人の立ち方だ。

 ヴァルトは部屋に入るなり、まずリシェルに深く頭を下げた。

「リシェル様。黒薔薇騎士団、副団長ヴァルト。報告に参りました」
「ありがとう。顔が硬いわね」
「……はい。嫌な風が吹いております」

 ヴァルトの視線が、机の上の招待状に落ちた。
 その一瞬で理解したらしい。彼の顎がわずかに引き締まる。

「来ましたか」
「ええ。香り付きでね」
 リシェルが言うと、エルナが「香り付き最悪」と小さく呟いた。

 ヴァルトは短く頷き、報告を続けた。

「王太子派閥の貴族が、王宮周辺の衛兵配置を増やしています。名目は祝賀会の警備強化ですが、実態は“演出”です」
「演出?」
 エルナが眉を跳ねさせる。
「何それ、舞台監督でも気取ってんの?」
「そういうことだ」
 ヴァルトは表情を変えずに言う。
「出入口の動線、証人席の位置、見物席の配置。……誰がどこで何を見るか、すべて決めている」

 リシェルは紅茶を一口飲んだ。渋みが喉を撫でる。
 甘い招待状に対して、この渋みがちょうどいい。

「つまり、“私が悪役に見える角度”を作るのね」
「はい」
 ヴァルトは拳を握りしめた。
「そして、リシェル様が何を言っても“悪役の言い訳”に聞こえるように。……周囲の空気まで、作り替えるつもりです」

 エルナが吐き出すように言う。
「最悪。ほんと最悪」
 彼女はリシェルを見た。
「ねえ、こういうとき、ぶっ壊していい? 舞台ごと」

 その問いは、軽口のようでいて本気だ。
 エルナの本気は短刀みたいに切れ味がある。
 ヴァルトもまた、同じ方向の本気を持っている。彼の本気は大剣みたいに重い。

 けれどリシェルは、微笑むだけだった。

「ぶっ壊すのは簡単よ」
 扇子を閉じる音が、乾いた。
「でも、ぶっ壊すと、彼らは被害者の顔をする。今はそれがいちばん面倒」

 ヴァルトが低く言う。
「……では、どうされます」
「見守るわ」
 リシェルはさらりと答えた。
「彼らが“握った刃”を、どう握るのか」

 その瞬間、部屋の空気がわずかに変わった。
 扉の外――廊下の影が、濃くなる。

「……来たわね」
 リシェルが呟く。

 次の瞬間、扉が音もなく開き、カイエン・ラグナードが入ってきた。入室の気配が静かすぎて、エルナが毎回ちょっとだけムカつく顔をする程度には、彼は“影”として完成している。

「リシェル様」
 カイエンは最短の礼をして、室内の人物を一瞥した。
 状況を一秒で把握する目。エルナの苛立ちも、ヴァルトの怒りも、招待状の匂いも。

「招待状ですか」
「ええ。甘ったるいの」
「……紙に魔力。浮つかせる香りですね」
 カイエンが言うと、エルナが「でしょ」と腕を組んだ。

 カイエンは続ける。
「断罪は刃。ですが刃は、握る者の手も切ります」

 ヴァルトが低く唸る。
「それを理解していれば、こんな芝居は打たん」
「理解していないから、握る」
 カイエンは冷たく言い切った。
「そして、切れる」

 リシェルは扇子の柄を指先でくるりと回し、まるで花の香りを確かめるみたいに微笑んだ。

「なら、握り方を見守りましょう」
 その声は甘い。
 けれど中身は、氷みたいに澄んでいる。

 エルナが不満そうに眉を寄せる。
「……見守るって言い方、優しすぎ。あいつらのこと、守るわけ?」
「守らないわ」
 リシェルは即答した。
「見守るだけ。落ちる瞬間まで」

 ヴァルトの目がわずかに柔らかくなる。
 彼はリシェルの言葉の中に、ただの放置じゃない“意志”を見たのだ。

「リシェル様は……優雅なまま戦う」
「戦ってないわ」
 リシェルは軽く肩をすくめた。
「私は嘘に触れないだけ。触れないと、嘘は勝手に腐るのよ」

 カイエンが低く頷く。
「周囲の敵意は増えるでしょう。警備も“敵”の可能性があります」
「わかってる」
 リシェルは机の上の招待状を指先で押さえた。
「でも、彼らは今、“勝ったつもり”で準備してる。勝ったつもりの人は、自分の足元を見ない」

 エルナが小さく笑った。
「足元が崩れるの、楽しみ?」
「楽しみじゃないわ」
 リシェルは微笑みのまま言う。
「ただ、当然の結果を見るだけ。……甘い罠に沈むのは、私じゃない」

 その言葉が、部屋の温度を少しだけ下げた。
 けれど不思議と寒くはない。
 むしろ、澄んだ夜風みたいに気持ちがいい。

 ヴァルトが一歩前に出る。
「では、我々はどう動けば」
「いつも通り」
 リシェルは穏やかに言う。
「ヴァルトは“表”を。騎士団の動きを、合法の範囲で押さえて」
「承知」
「エルナは“裏”で。香りの魔力、どこまで効くか調べて。誰が運んだかもね」
「任せて。……そういうの、得意」
 一瞬だけ、エルナの目が暗く光った。過去が武器になるときの顔。
 リシェルはそれを責めない。武器があるなら、正しく使えばいい。

「カイエンは、私の影」
「はい」
 カイエンの返事は短い。
 短いから重い。

 リシェルは招待状を折り畳み、封筒に戻した。
 そして、まるで香水瓶を閉じるみたいに、丁寧に机の端へ置く。

「……こんなに上質な紙を、こんなくだらない舞台に使うなんて」
 エルナがぼそっと言った。
「趣味悪いよね」

「趣味が悪い人ほど、上質なものが好きなのよ」
 リシェルは笑った。
「上質に包めば、中身も上質に見えると信じてる」

 ヴァルトが言う。
「中身が腐っていても」
「ええ」
 リシェルは頷いた。
「でも腐りは、いつか香る。香りは隠せない」

 その言葉に、エルナがぴくりと反応した。
 香り。匂い。魔力。嘘。腐敗。
 全部が一本の線で繋がっていく。

 カイエンが窓の外を見た。庭の木々が揺れている。
「……風が変わります。王宮の方角から」
「断罪の風ね」
 リシェルは立ち上がり、窓辺に歩いた。

 庭の冬薔薇はまだ固い蕾を握っている。
 花が咲く前の、硬い沈黙。
 咲けば美しい。けれど咲くまでがいちばん強い。

 リシェルはガラスに指先を添え、静かに笑った。

「香水みたいに甘ったるい招待状……ふふ」
 そして呟く。
「甘いものはね、飲みすぎると胸焼けするのよ」

 背後で、エルナが不機嫌そうに言った。
「じゃあ、吐かせよう」
 ヴァルトが低く頷く。
「吐かせます」
 カイエンは静かに、刃を抜かないまま答えた。
「……吐く前に、自分で飲んだと気づかせましょう」

 リシェルは振り返る。
 四人の視線が交わる。
 敵意の匂いが世界に満ちても、この部屋の中だけは、ひどく静かで、ひどく強い。

「行きましょう」
 リシェルは甘く言った。
「彼らの舞台へ。……私を裁きたいなら、ご自由に、ってね」

 招待状は机の上で、まだ甘い香りを放っている。
 まるで“これからの地獄”に、砂糖を振りかけるみたいに。

 でもリシェルは知っている。
 砂糖は、火を消さない。
 むしろ焦げた匂いを、より濃くするだけだ。
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