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奈落の底にて
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ここは何処だ。
ただただ暗い。
多分、普通の人間だったら見えない位、ただ暗黒が広がっていた。
「ううっ、体が痛い」
自分の体を見ると、足は完全に折れている。
腕も片方の腕は変な方向を向いていて動かせない。
あばらが折れているのか上半身が痛くて堪らない。
背骨も折れている気がする。
顔も恐らくは潰れているだろう。
どこもかしこも痛くて仕方ない。
多分、天使だから死なないが、こんなの...人間だったらどれ程鍛えても死ぬわ。
しかし、体が全く動かない...ただ痛い。
天使だから、恐らく時間がたてば回復するだろう。
だが、早く回復させるには、何か食べなければ...
こんな所には、何も無いだろうな。
暫く寝ることにした。
駄目だ、痛くて眠れない。
千切られた羽の跡が刷れる度に痛い。
暗闇の中目を凝らしていると小さなトカゲの様な生き物がいた。
《食べなければ》
動く片方の腕でその生物に手を伸ばして潰した。
火なんか起こせないからそのまま口の中に入れた。
生臭くて不味い。
だが、この生物は無数にいる。
これで当座の間の食料と水分は大丈夫だろう。
時間の流れが解らない...頭が可笑しくなりそうだから、勝手に時間を考えるようにした。
【自分時間1日目】
体はまだ動かない。
不味いトカゲを食べながら周りを見渡した。
よく見ると沢山の骸骨が近くにあった。
これは、多分殺された勇者やその仲間の可能性が高い。
近くには、聖剣やら見る者が見たら涎を垂らしそうな、凄い物が散らばっている。
体は痛くて動けないが、考える時間は物凄くある。
倒される直前、頭に浮かんだ事だ。
俺は...前に堕天使とも武神とも戦った記憶がある。
それこそ、何回なんて数じゃない、とてつもない数、殺され続けた。
だけど...それは何時の事だ。
今では無い...そして前世でも無い。
だが、俺には、何故かその記憶がある。
そして、俺には相棒が居た...長い年月共に過ごして、一緒に負け続けた相棒。
....駄目だ、その相棒が誰なのか思い出せない。
【自分時間2日目】
天使の体は思ったより治りが早い。
羽を除き体はある程度治った。
近くにあった錆びた剣を杖代わりに少し歩いてみた。
勇者以外にも騎士やら魔導士の死体もある。
多分、あいつ等には利かないが聖剣や特殊な杖、他にも貴重に見える物が沢山ある。
一応、貰っておくか?
「収納...」
何だ、俺、収納魔法なんて何で使えるんだ?
誰から教わったんだ、思い出せない。
大切な仲間?
可笑しい、俺の前世はただのクズ、東京で暮らしていた。
魔法なんて無縁な世界で暮らしていた。
思い出せない。
【自分時間3日目】
羽は生えて来ないが、体は杖をつかないで歩ける位にはなった。
思ったより此処は広い、少しリハビリを兼ねて歩いてみた。
彼奴らとは戦う運命にある。
だが、今の俺じゃ、敵わない。
気休め程度に、拾った剣を振ってみた。
幼馴染を思い出した。
顔は良く思い出せない。
だけど、女の子で見惚れる程の剣技だった。
そして...俺もかなりの剣の使い手だった....?
そんな訳無い。
これは夢なのか?
【自分時間4日目】
解らない、俺は気が狂ってしまったのか?
仲間に会いたい、凄く会いたい...新宿の? 渋谷の?
違う、仲間...仲間...誰の事だ。
解らない、解らない、解らない。
だが、思い出さなくてはならない気がする。
【自分時間5日目】
解らないが、何かを思い出す度に涙がこぼれてくる。
だが、それが何なのか思い出せない。
俺は狂ってしまったのか?
死にかけた恐怖で、殺されかけた恐怖で...妄想が暴走したのか?
堕天使と戦った? 武神と戦った? 頼りになる仲間がいた? 共に戦う相棒がいた?
そんな時を俺が過ごした。
うん、妄想だ。
俺を殺した堕天使が何で俺に微笑むんだ。
俺の体を千切った武神が何で、優しそうに俺に微笑む。
そもそも、堕天使や武神に殺された俺が何で堕天使や武神と笑っている。
仲間は老いて死んでいくなか...俺だけが歳をとらない。
こんな訳は無い。
これは俺の妄想...多分俺の夢だ。
ただただ暗い。
多分、普通の人間だったら見えない位、ただ暗黒が広がっていた。
「ううっ、体が痛い」
自分の体を見ると、足は完全に折れている。
腕も片方の腕は変な方向を向いていて動かせない。
あばらが折れているのか上半身が痛くて堪らない。
背骨も折れている気がする。
顔も恐らくは潰れているだろう。
どこもかしこも痛くて仕方ない。
多分、天使だから死なないが、こんなの...人間だったらどれ程鍛えても死ぬわ。
しかし、体が全く動かない...ただ痛い。
天使だから、恐らく時間がたてば回復するだろう。
だが、早く回復させるには、何か食べなければ...
こんな所には、何も無いだろうな。
暫く寝ることにした。
駄目だ、痛くて眠れない。
千切られた羽の跡が刷れる度に痛い。
暗闇の中目を凝らしていると小さなトカゲの様な生き物がいた。
《食べなければ》
動く片方の腕でその生物に手を伸ばして潰した。
火なんか起こせないからそのまま口の中に入れた。
生臭くて不味い。
だが、この生物は無数にいる。
これで当座の間の食料と水分は大丈夫だろう。
時間の流れが解らない...頭が可笑しくなりそうだから、勝手に時間を考えるようにした。
【自分時間1日目】
体はまだ動かない。
不味いトカゲを食べながら周りを見渡した。
よく見ると沢山の骸骨が近くにあった。
これは、多分殺された勇者やその仲間の可能性が高い。
近くには、聖剣やら見る者が見たら涎を垂らしそうな、凄い物が散らばっている。
体は痛くて動けないが、考える時間は物凄くある。
倒される直前、頭に浮かんだ事だ。
俺は...前に堕天使とも武神とも戦った記憶がある。
それこそ、何回なんて数じゃない、とてつもない数、殺され続けた。
だけど...それは何時の事だ。
今では無い...そして前世でも無い。
だが、俺には、何故かその記憶がある。
そして、俺には相棒が居た...長い年月共に過ごして、一緒に負け続けた相棒。
....駄目だ、その相棒が誰なのか思い出せない。
【自分時間2日目】
天使の体は思ったより治りが早い。
羽を除き体はある程度治った。
近くにあった錆びた剣を杖代わりに少し歩いてみた。
勇者以外にも騎士やら魔導士の死体もある。
多分、あいつ等には利かないが聖剣や特殊な杖、他にも貴重に見える物が沢山ある。
一応、貰っておくか?
「収納...」
何だ、俺、収納魔法なんて何で使えるんだ?
誰から教わったんだ、思い出せない。
大切な仲間?
可笑しい、俺の前世はただのクズ、東京で暮らしていた。
魔法なんて無縁な世界で暮らしていた。
思い出せない。
【自分時間3日目】
羽は生えて来ないが、体は杖をつかないで歩ける位にはなった。
思ったより此処は広い、少しリハビリを兼ねて歩いてみた。
彼奴らとは戦う運命にある。
だが、今の俺じゃ、敵わない。
気休め程度に、拾った剣を振ってみた。
幼馴染を思い出した。
顔は良く思い出せない。
だけど、女の子で見惚れる程の剣技だった。
そして...俺もかなりの剣の使い手だった....?
そんな訳無い。
これは夢なのか?
【自分時間4日目】
解らない、俺は気が狂ってしまったのか?
仲間に会いたい、凄く会いたい...新宿の? 渋谷の?
違う、仲間...仲間...誰の事だ。
解らない、解らない、解らない。
だが、思い出さなくてはならない気がする。
【自分時間5日目】
解らないが、何かを思い出す度に涙がこぼれてくる。
だが、それが何なのか思い出せない。
俺は狂ってしまったのか?
死にかけた恐怖で、殺されかけた恐怖で...妄想が暴走したのか?
堕天使と戦った? 武神と戦った? 頼りになる仲間がいた? 共に戦う相棒がいた?
そんな時を俺が過ごした。
うん、妄想だ。
俺を殺した堕天使が何で俺に微笑むんだ。
俺の体を千切った武神が何で、優しそうに俺に微笑む。
そもそも、堕天使や武神に殺された俺が何で堕天使や武神と笑っている。
仲間は老いて死んでいくなか...俺だけが歳をとらない。
こんな訳は無い。
これは俺の妄想...多分俺の夢だ。
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