確定推理  東狐 司(とうこつかさ)は、答えは解るが過程が解らない

石のやっさん

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第一章 高校篇 あるアイドルの死

第15話 知っている天井

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「う~ん」

見知らぬ天井…なわけ無いな。

良く知っている天井だ。

此処はうちの近所の春日野クリニックの病室だ。

小さい頃から良く通っていたこの場所、入院する度にみた懐かしい天井だ。

「痛っ」

頭が痛い。

見た感じ包帯を巻かれているから、頭に怪我をしているみたいだ。

しかし、相も変わらず母さんは来ていないのな。

まぁ俺の事は嫌いみたいだから仕方が無い。

此処の病院には何回も通っていて村井院長と父さんは仲がよいから、まぁ大丈夫だろう。

外が明るい。

という事は今は次の日の朝って事…

しかし、あの時に俺を殴ってきた奴は誰だ?

『次は…殺す』

あの声の雰囲気は『犬神翼』の声に似ていた気がする。

だが、確証は持てない。

俺と犬神先輩は友達じゃない。

生徒会からのお知らせで、声を聞いた事位しかないから、絶対という確証は持てない。

それに聞こえてきた、赤ん坊の声は何だったんだ。

まさか『呪い』関係か?

俺の場合はお婆ちゃんや自分の能力があるから『呪いや心霊がある』事は知っている。

だが、本当に人の生死に関わるような『呪い』や『霊』は滅多にないとお婆ちゃんが言っていた。

どう考えても犬神先輩や萌子がそこ迄の力を持っているとは思えない。

しかし、明確な殺意『次は…殺す』と俺を脅し攻撃をしてきた。

これで、この事件は自殺じゃなく他殺の可能性が高いと言う事になる。


◆◆◆

暫くすると病室に2人組の警官がやって来た。

「あんな所でなにをしていたんですか?」

此処は無難にやり過ごした方が良いだろう。

「あの場所で先輩が死んだと聞いたので供養でも、そう思いまして」

「成程ね、確かにあの場所で高部さんっていう少女が数日前に死んだ…だが供養という割には花もお線香も持っていって無いじゃないか? どう言う事かな?」

ヤバい…どうする?

「取り敢えず、手だけあわせようと思って…」

「そうですか? それで? 君と高部さんはどう言った関係なのかな? こちらで調べた交友関係には無かったけど?」

「知り合いでも無いですね…しいて言えば俺がファン、それ位です」

「ほう、君は只のファンというだけで、警察が封鎖した女子トイレをこじ開け中に入るのかね? 他に何かあるんじゃないのかな?」

どうすれば良い?

警察が絡むなら俺の事はすぐに調べれば解かるだろう。

「警察の方なら、もしかしたらご存じかも知れませんが、俺の祖母は所謂、霊能者でした。そのせいか偶に虫の予感がするのです」

「虫の予感?」

「はい、この事件は自分の身近な何かが関わっている…そんな感じです」

「霊能力ね…まぁそれはおいておき、君は誰に襲われたんだい! 顔は見たのかい?」

「黒い影を見ましたが、それだけですね! あとは赤ん坊の泣き声を聞いた気がします」

「本当ですか? まさか? それで相談なんですが、貴方のDNAを採らせて頂いて良いでしょうか?」

DNA? なんでだ…まさか俺は容疑者になってしまったのか?

「何故ですか?」

「やましい事が無いなら提出できるだろう!」

「提出するのは構わないですが理由を教えて貰えませんか?」

「ふぅ、仕方が無いな、此処だけの話だが、死んだ高部麻美子は妊娠していた」

赤ん坊の声が聞こえたのはそのせいか…いやないな。

「それでDNA検査ですか? それなら協力しますよ」

外で待っていたのだろう、鑑識っぽい人が入ってきた。

「この綿棒で口の中を擦らせて下さい」

「はい」

俺が口を開けると綿棒の様な物で俺のDNAを素早く採取した。

「ご協力感謝します」

「いえ」

「他に何か気がついた事はありますか?」

何かあった時の為に、伝えて置いた方が良いだろう。

「犬神翼、湯浅萌子…その名前が『こっくりさん』をした時に出ました。絶対に言わないで下さいよ」

「ふっ、我々は警察官だ、そんな眉唾な話は誰にも出来ない」

「ちゃんとした話で何か解ったら知らせて下さい」

そう言うと警察官達は名刺を置いて帰っていった。

◆◆◆

しかし、俺の母さんは本当に俺の事が嫌いなんだな。

未だに顔を出さない。

さっき先生と看護師から、5針縫う程の傷だが、思った程重症ではないが、場所が場所なので3日間程入院する事になる。

そう説明を受けた。

3日間の入院か…

暇だ。

仕方なく、TVカードを買ってTVを見ていた。

スマホはこの病室では禁止だ。

この部屋は3人部屋だが、あとの二つのベッドは今は空いている。

大きな部屋に1人…何となく寂しいが仕方ない。

眠るとしますか…

◆◆◆

首を吊った高部先輩がこちらを睨んでいる。

俺は何故公衆便所に居るんだ…

『助けて…』

なにから助ければ良いんだよ…

『赤ちゃんを、赤ちゃんを助けて』

「おーい」

「おーい…」

「って痛いっ」

「あっ起きた…」

「陽子?」

「うなされていたから、起こしたんだけど? 大丈夫?」

頬っぺたがヒリヒリするから多分ビンタをしたのかも知れない。

「ああっ大丈夫だよ! 頬っぺたはヒリヒリするけどね」

「あっゴメン…だけど、かなりうなされていたよ! だから起こした方が良いかなって思って」

「ああっ悪夢を見ていたから助かったよ!それでどうして陽子が此処にいるんだ」

「幼馴染なんだからお見舞い位はするよ! それにおばさんに着替えや日用品を頼まれたから持ってきたんだ」

「あっ…悪い」

「司とおばさん仲が悪い物ね…何時もの事だから構わないよ! それで、その頭どうしたの?」

「言いたくない」

「ど.う.し.た.の!」

幼馴染だから解る。

これは陽子の『私怒っています』モードだ。

理由を言うまで絶対に納得しない。

「公衆便所が気になってちょっと調べていたら、誰かに殴られたみたいだ」

「高部先輩と司って知り合いだったっけ? 私の知る範囲じゃ付き合いがあった様に思えないけど?」

「いや…少し気になっただけだよ…別に親しい事は無かったな」

『萌子が絡んでいるから』とは言えないな。

しかし、不味いな。

この分じゃ自殺じゃない可能性が高い。

そう考えると、萌子も殺人犯の仲間の可能性が高い。

幼馴染の友達が『殺人犯』なんて洒落にならない。

何も証拠が無い状態で『警戒してくれ』って言うのは無理だ。

「変な事に首を突っ込むから、こんな目に遭うんだよ!もう関わらない方が良いよ」

「そうだね、そうするよ」

此処まで来たら、もう関わらないのは無理だな。

自分達のすぐ傍に犯人がいるかも知れないんだから。

「本当に気をつけてよ!私、司が怪我したと聞いて、凄く心配したんだからね」

「ありがとうな…気をつけるよ」

俺がそう伝えると陽子は安心した顔をして、その後、適当に雑談をし帰っていった。





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