確定推理  東狐 司(とうこつかさ)は、答えは解るが過程が解らない

石のやっさん

文字の大きさ
54 / 59
第四章 回答編

第52話 萌子SIDE 追い詰める

しおりを挟む

司くんのお見舞いに行くと、すれ違いざまに大神先輩が病院に来ていた。

どうしようかな?

「陽子ちゃん、私用事思い出したから、ゴメン!」

「そう、解った、それじゃ…」

「うん、それじゃぁ」

私は先に病院の外へ出て、反対側の西口から入りなおした。

そのまま、隠れながら司くんの病室まで戻ってきた。

聞き耳を立てて病室の中の声を聞いてみた。

「ありがとうございます! ですが、先輩と俺は名前位は知っていますが、付き合いは殆ど無いですよね?どうかしたんですか?」

「はははっ、それが生徒会の辛い所なんだよ! 教師がお見舞いに行って来いって言うから来たんだ、これお見舞いのバナナ…思ったより元気そうだね」

「はい、打ち所が良かったみたいで…」

どう考えても可笑しい。

会長や副会長なら解る…だが書記が一人で来るなんて可笑しい。

しかも、学校に司くんは怪我の届け出をだしていない筈だ。

怪我したから病院に行っているだろうとは思っていたけど、入院しているなんて…私も陽子から聞いて驚いた位だ。

引き続き息を殺して聞いてみた。

「そう、それは良かったね…それで犯人の心当たりはあるのかな?」

「いえ、無いですね…頭を殴られた後『次は…殺す』って言われた位ですね…あと何故か赤ん坊の声が何処からか聞こえてきた気がします」

「赤ん坊の声だって…」

「はい、幻覚かも知れないけど、腐った臭いがしてきて何処から兎も角赤ん坊が泣く声が聞こえてきたんです…そして目の前を黒い影がよぎったら誰かに殴られて…これです」

『次は…殺す』は私、赤ちゃんの声は猫の無き声だ。

「赤ん坊の声だって? 腐った臭い…冗談だよな…」

「多分、幻覚かも知れませんが、確かに聞こえたんですよ…」

盛りのついた猫の声は本当に赤ちゃんの泣き声そっくりだ。

あの状況で聞いたら…そう思っても仕方ないな。

「揶揄っているのか!」

「揶揄って居ません! だから幻覚だって言っているでしょう? 頭を強く打ったから…だけど、不思議な事に高部先輩妊娠していたみたいですよ!」
「君は何を言っているんだ…冗談だろう…」

「いえ、俺、念の為にとか言われてDNA検査をしましたから」

「DNA検査…麻美子…」

「どうしたんですか犬神先輩…」

「そうか…そうか…」

「犬神先輩? どうしたんですか?」

「ああっ、何でもない…それじゃ僕は失礼するよ」

明らかに動揺しているわね。

まぁ、その赤ちゃんの親が犬神先輩、貴方なんだものね。

司くんを怪我させた事…許さないから。

◆◆◆

「犬神先輩」

「君は…?」
名前なんて名乗る必要は無い。

「信じられない! 自分で怪我させてお見舞いですか? ちょっと、そこのテラスで話しませんか?」

「君は何を言っているんだい?」

「とぼけても無駄ですよ! 私、犬神先輩が高部先輩を妊娠させた事知って…」

「解ったから、ついて行くから…静かにしてくれ」

まぁ、こう言えば犬神先輩はついて来るよね。

「それで君は、何を言っているんだい、悪質な冗談は止めてくれないかな?」

「悪質…そうかな? 私、高部先輩を妊娠させた相手が、犬神先輩だって知っているんですよ?」

「何だって…そう言う冗談は止めてくれ、悪質すぎるぞ!」

「証拠? 高部先輩が妊娠していて、それが自殺に関係しているからか、警察が相手を探しています…まぁ尤も犯罪者扱いにならないみたいですが…」

「そうかい…」

安心しきっているわね。

「ですが、民事は違いますよ! 高部先輩を妊娠した相手を血眼になってプロダクションが探しています!それで賠償責任をさせるみたいですね…映画やドラマの主人公が決まっていたから…10億円位かな」

「10億…」

「当たり前じゃないですか?でも先輩未成年だから大丈夫です! 払うのは親ですから…それにお姉さんがいるから多分どうにかなりますよ」

「親? 姉さんが…なんで?」

「高部先輩のプロダクションって、経営者がワンニャンプロと一緒なんですよ…ワンニャンと言えばAVですよね、だからお姉さんがAVに出ればそれで解決です…まぁ30本位出されられそうですが…」

「そんな…姉さんは婚約が決まって…そうだ、まだ僕だと確定したわけじゃ」

「まぁ、そうですね…ですが、司くんに警察はDNA鑑定させましたから、次は付き合っていた大神先輩の所に来るんじゃないでしょうか? 高部先輩、私以外にも相談していたみたいだし、日記もつけていたから、そろそろ解かるんじゃないですか!」

「そんな…」

「そんなじゃないですよ! 妊娠させた挙句『子供を産みたい』っていった高部先輩に『降ろせ』って言ったんでしょう? 高部先輩、相当恨んで死んだんじゃないですか? お腹の赤ちゃんだってきっと同じです...貴方がクズだったから2人の命が亡くなった…そして未成年だから、その責任は家族が支払う事になる。 家から何から失って『大好きなお姉ちゃん』はAVに出て男に抱かれる人生、きっと恨まれますね…クズに相応しい生活ですよ!」

「だけど、まだ僕だって解かったわけじゃない」

「そう、そこがこの話の逃げ道です! 今、先輩が死ねば…もう立証できない! 死んであの世に行って高部先輩や赤ちゃんと暮らせばいんじゃないですか?さっき、廊下で聞きましたが、赤ちゃんの声聞いたんなら、死後の世界があるのかも知れませんね…」


「そうか…あはははっ、それが良いのかもね」

別に、あんたの家族や高部先輩なんてどうでもよいわ。

私は司くんを傷つけた事が許せないのよ…精々、精神を削ってやるわ。

まぁ、正常な頭なら、自分や家族は何も罪を償う必要は無い。

それに直ぐ気がつくから、精々1週間の憂さ晴らし。

多分、司くんのDNAをとったのは恐らく不審者に見えたから。

自殺と確定した女性の子供の特定をする程暇じゃない。

プロダクションだって高部先輩との契約だから、犬神先輩は関係ない。

万が一訴えられても、少額で終わる筈だ。

だから、これは私が盛った話だわ。

司くんを怪我させた意趣返しをしただけ。

◆◆◆

馬鹿なの…なんでこの程度で自殺しちゃうのかな?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...