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第四章 回答編
第52話 萌子SIDE 追い詰める
しおりを挟む司くんのお見舞いに行くと、すれ違いざまに大神先輩が病院に来ていた。
どうしようかな?
「陽子ちゃん、私用事思い出したから、ゴメン!」
「そう、解った、それじゃ…」
「うん、それじゃぁ」
私は先に病院の外へ出て、反対側の西口から入りなおした。
そのまま、隠れながら司くんの病室まで戻ってきた。
聞き耳を立てて病室の中の声を聞いてみた。
「ありがとうございます! ですが、先輩と俺は名前位は知っていますが、付き合いは殆ど無いですよね?どうかしたんですか?」
「はははっ、それが生徒会の辛い所なんだよ! 教師がお見舞いに行って来いって言うから来たんだ、これお見舞いのバナナ…思ったより元気そうだね」
「はい、打ち所が良かったみたいで…」
どう考えても可笑しい。
会長や副会長なら解る…だが書記が一人で来るなんて可笑しい。
しかも、学校に司くんは怪我の届け出をだしていない筈だ。
怪我したから病院に行っているだろうとは思っていたけど、入院しているなんて…私も陽子から聞いて驚いた位だ。
引き続き息を殺して聞いてみた。
「そう、それは良かったね…それで犯人の心当たりはあるのかな?」
「いえ、無いですね…頭を殴られた後『次は…殺す』って言われた位ですね…あと何故か赤ん坊の声が何処からか聞こえてきた気がします」
「赤ん坊の声だって…」
「はい、幻覚かも知れないけど、腐った臭いがしてきて何処から兎も角赤ん坊が泣く声が聞こえてきたんです…そして目の前を黒い影がよぎったら誰かに殴られて…これです」
『次は…殺す』は私、赤ちゃんの声は猫の無き声だ。
「赤ん坊の声だって? 腐った臭い…冗談だよな…」
「多分、幻覚かも知れませんが、確かに聞こえたんですよ…」
盛りのついた猫の声は本当に赤ちゃんの泣き声そっくりだ。
あの状況で聞いたら…そう思っても仕方ないな。
「揶揄っているのか!」
「揶揄って居ません! だから幻覚だって言っているでしょう? 頭を強く打ったから…だけど、不思議な事に高部先輩妊娠していたみたいですよ!」
「君は何を言っているんだ…冗談だろう…」
「いえ、俺、念の為にとか言われてDNA検査をしましたから」
「DNA検査…麻美子…」
「どうしたんですか犬神先輩…」
「そうか…そうか…」
「犬神先輩? どうしたんですか?」
「ああっ、何でもない…それじゃ僕は失礼するよ」
明らかに動揺しているわね。
まぁ、その赤ちゃんの親が犬神先輩、貴方なんだものね。
司くんを怪我させた事…許さないから。
◆◆◆
「犬神先輩」
「君は…?」
名前なんて名乗る必要は無い。
「信じられない! 自分で怪我させてお見舞いですか? ちょっと、そこのテラスで話しませんか?」
「君は何を言っているんだい?」
「とぼけても無駄ですよ! 私、犬神先輩が高部先輩を妊娠させた事知って…」
「解ったから、ついて行くから…静かにしてくれ」
まぁ、こう言えば犬神先輩はついて来るよね。
「それで君は、何を言っているんだい、悪質な冗談は止めてくれないかな?」
「悪質…そうかな? 私、高部先輩を妊娠させた相手が、犬神先輩だって知っているんですよ?」
「何だって…そう言う冗談は止めてくれ、悪質すぎるぞ!」
「証拠? 高部先輩が妊娠していて、それが自殺に関係しているからか、警察が相手を探しています…まぁ尤も犯罪者扱いにならないみたいですが…」
「そうかい…」
安心しきっているわね。
「ですが、民事は違いますよ! 高部先輩を妊娠した相手を血眼になってプロダクションが探しています!それで賠償責任をさせるみたいですね…映画やドラマの主人公が決まっていたから…10億円位かな」
「10億…」
「当たり前じゃないですか?でも先輩未成年だから大丈夫です! 払うのは親ですから…それにお姉さんがいるから多分どうにかなりますよ」
「親? 姉さんが…なんで?」
「高部先輩のプロダクションって、経営者がワンニャンプロと一緒なんですよ…ワンニャンと言えばAVですよね、だからお姉さんがAVに出ればそれで解決です…まぁ30本位出されられそうですが…」
「そんな…姉さんは婚約が決まって…そうだ、まだ僕だと確定したわけじゃ」
「まぁ、そうですね…ですが、司くんに警察はDNA鑑定させましたから、次は付き合っていた大神先輩の所に来るんじゃないでしょうか? 高部先輩、私以外にも相談していたみたいだし、日記もつけていたから、そろそろ解かるんじゃないですか!」
「そんな…」
「そんなじゃないですよ! 妊娠させた挙句『子供を産みたい』っていった高部先輩に『降ろせ』って言ったんでしょう? 高部先輩、相当恨んで死んだんじゃないですか? お腹の赤ちゃんだってきっと同じです...貴方がクズだったから2人の命が亡くなった…そして未成年だから、その責任は家族が支払う事になる。 家から何から失って『大好きなお姉ちゃん』はAVに出て男に抱かれる人生、きっと恨まれますね…クズに相応しい生活ですよ!」
「だけど、まだ僕だって解かったわけじゃない」
「そう、そこがこの話の逃げ道です! 今、先輩が死ねば…もう立証できない! 死んであの世に行って高部先輩や赤ちゃんと暮らせばいんじゃないですか?さっき、廊下で聞きましたが、赤ちゃんの声聞いたんなら、死後の世界があるのかも知れませんね…」
「そうか…あはははっ、それが良いのかもね」
別に、あんたの家族や高部先輩なんてどうでもよいわ。
私は司くんを傷つけた事が許せないのよ…精々、精神を削ってやるわ。
まぁ、正常な頭なら、自分や家族は何も罪を償う必要は無い。
それに直ぐ気がつくから、精々1週間の憂さ晴らし。
多分、司くんのDNAをとったのは恐らく不審者に見えたから。
自殺と確定した女性の子供の特定をする程暇じゃない。
プロダクションだって高部先輩との契約だから、犬神先輩は関係ない。
万が一訴えられても、少額で終わる筈だ。
だから、これは私が盛った話だわ。
司くんを怪我させた意趣返しをしただけ。
◆◆◆
馬鹿なの…なんでこの程度で自殺しちゃうのかな?
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