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第27話 権蔵SIDE ハーレムどころか......
しおりを挟む結局、4家が集まる前に2家の話が終わってしまった。
そして、最後は南条家との話し合いだ。
あそこの主、南条数馬は網元で南条水産の社長だ。
ある意味、農業と畜産から大きくなっていった古馬家とは一番遠いとも言える。
婚姻を結んだとしてお互いに利は少ない。
男1人に女3人。
傷つけた責任は別として、選ぶ立場にあるかと思っていたが、2人から交際を断られた。
古馬家の跡継ぎが嫁も碌にとれない。
良い恥さらしになる。
ただでさえ芽瑠さんとの婚姻が上手くいかなかった事で、村の重鎮が煩い。
『人の婚約者寝取って、振られちまったのか……情けねー男だ』
『人の女と男女の関係になって、結婚もしねーなんてまさか強姦でもしたんじゃあるめーな』
『権蔵さん、あんたぁ、ただ、恥かいただけじゃねーのか』
そんな事言いよる。
頭が痛い。
確かにあんな大事になってこれじゃ、そう言われても仕方が無い。
正一は寝取った女に逃げられて、実情は兎も角、今泉は本家の後妻を娶った。
美沙を儂がどう扱っていたか、皆は知っている。
だが、この事実だけで考えたら正一の情けなさだけがどうしても目立つ。
『人の女に手を出して逃げられた挙句、その責任を親に取って貰った』のだから。
せめて真理愛さんと結ばれてくれんだろうか……
それに失敗したら、もう目も当てられない。
真理愛さんと上手くいかなかったら、近隣に年頃の子は居ないから、かなり年上の未亡人の中から選ぶしかない。
記憶違いじゃ無ければ、若くて……38歳か。
本家の跡取りが未亡人と結婚。
醜聞もそうだが、しっかり子供を産んでもらわないと古馬の家が絶えてしまう。
その状況で年上の嫁は、かなりのリスクがある。
今後の事を考えたら、真理愛さんと結ばれて貰わなくちゃ困るな。
◆◆◆
嫌な予感がした。
また、先方が此方に来るというのだ。
本来の非は此方にある。
数馬さんの性格なら『息子を連れて謝りに来い』そう言っても可笑しくない。
それが、当初からさして何も言って来なかった。
なんだか、嫌な予感がする。
恵子さんの時の様にならないと良いが……
「正一、真理愛さんは本当に大丈夫なんだろうな?」
正直言って不安でしょうがない。
「親父、大丈夫だと思う……多分」
流石に座敷牢に入れっぱなしという訳にいかないから風呂に入らせ背広を着させた。
客間で余裕を持ち南条家の到着を待った。
『多分』か、この勝負、負けかもな……
◆◆◆
「いやぁ権蔵さん、久しぶりだな。 正一君も元気そうで何よりだ」
数馬さんの様子がおかしい。
最初から怒鳴るか文句を言って来るかと思ったら普通に挨拶をしおった。
「あの、数馬さんこれは一体どう言う事なのだ……」
「いやぁ……これは正一君ばかりを責められない。まぁ、色々と複雑だ。ゆっくり話そう。上がっていいか?」
「そうか、まずは上がってくれ」
またなにか可笑しな方向に話が進んで行くような気がする。
「それで、どう言う事だ……なんだか当初の話と違ってきている気がするが……」
「権蔵さん、その事なんだが、古馬家の責任と言うのなら東条家の芽瑠さんと和也くんにだけで北条にも南条にも詫びなんて必要無いし、取る必要も無いんじゃないか? そう言う事だ」
「いや、正一は男で女性を傷物にしたんだ。責任位取るべきだ」
「あのな、権蔵さん。敢えて言わせて貰うぞ! そう言う事言いだしたら、あんたはどうだ? 昔から女癖が悪くかなり手を出していたんじゃないのか? その中には初物も居たんじゃないのか?」
「ああ……」
「あんたの息子は同じような事をしただけだ……なぁ正一君」
「あの……」
「別に怒っておりゃせん、女房は怒り心頭だったが、男として仕方ない事だ……なぁ、真理愛」
「まぁ、仕方ないよ。 大体、鹿馬高校(しかまこうこう)の僕たちの学年は4人しか居なくて、しかも、片道1時間30分かけて僕たちの4人は通っていたんだから、こうなっても仕方ないんじゃない? 近隣の村に男は正一1人。あとの3人は僕を含んで全員が女の子、いつも4人で一緒に過ごしていたんだから間違いも起こるって」
「そうは言っても、正一は……」
「恥ずかしいから権蔵おじさん、そう言う事は言わないで良いよ。だけど正一だってそんな環境で3年間暮らせばそう言う事したくなるでしょう? しかも家に帰れば権蔵おじさんは若い後妻の美沙と犯りまくっていたんだから、おかしくならない方が可笑しいよ。こんな田舎だからエロ本も手に入らないんだからね……問題があるとしたら、高校卒業後もズルズルと付き合っていたのが問題なのかな?」
「それはどう言う事だ……」
「もしかしたら、恵子や芽瑠は綺麗ごとを言っているかも知れないけど、僕は嘘をつきたくないからから敢えて言うね。結構やりまくっていたよね? Bまでだけど、ねぇ 正一」
「ああっ」
「ああっじゃないでしょう? 16歳位から結構していたじゃん。最後の一線は越えていなかったけどさぁ」
「そうだな、だが今それを言わなくてもいいだろう」
「いや、言うべきだね! 大体恵子や芽瑠は僕らに巻き込まれたようなもんだし、芽瑠だって正一ばかりが悪い訳じゃない。悪いと言うなら全員が悪いんだから」
「それはどういう言う事じゃ……何かあるのか?」
「こんなカラオケや映画館すらない場所で何年も一緒に居る環境。 僕と正一も、最初は『友人』だったよ。普通に遊んでいたけど、権蔵おじさん、家でも外でも美沙相手に凄い事していたじゃない?そんな物、近くで見させられた状態でやりたいざかりの男の子が過ごすんだよ。風俗もないこんな場所でね、身近な女の子に手を出すって!女の子だって性欲はあるからまぁ、そういう関係になるよね。一番最初にそういう関係になったのは恥ずかしいけど僕。権蔵おじさんと美沙の凄いのを見ちゃったから『ちょっとやってみない』みたいなノリでね。その次は恵子……最後に芽瑠だよ」
「今の話を聞くと……随分前、16歳からそう言う関係になっていた。そう言う事か? 最近、そういう関係になった。そういう訳じゃ無いのか?」
この馬鹿が、何故事前に儂に話しておかないんだ。
「あのさぁ、権蔵おじさんってあんな凄い事を美沙にしていた癖に、最後の一線はしてなかったよね? あれって妊娠が怖かったからなのか、美沙が嫌がったからだよね……だけど、それで思いついちゃったんだよね『最後の一線を越えなければ問題無いって』 ぶっちゃけ穴さえ使わなければ処女だから問題無いんじゃないかって、流石に避妊具なんて買ったら村じゃバレバレだもんね」
「凄まじい考えだな……」
「まだ、子供だった正一や私に、あんな変態みたいな行為を見せるような事をしていた権蔵おじさんに言われたくないな……」
「儂が悪いのか……」
「権蔵、お前が悪い……お前の事を持ち出されちゃ、この馬鹿娘に文句が言えない。『古馬本家の当主がやっているのと何が違うの』と言われたらな……」
「数馬……すまない」
あれをしっかり見ていた……そう言う事か。
「まぁ、最後は欲に負けて、全員が一線を越えちゃったんだけどね……正一、僕言ったよね!? 芽瑠とは最後まではしちゃいけないって。それなのに、和也くんとの婚約が決まったら惜しくなったのか最後までしちゃうんだから……和也くんとは顔見知り位のつき合いだから正一の側に居たけどさぁ、和也くんが、かわいそ過ぎて僕、思わず『なんだか、ゴメンね』って謝っちゃったよ。あのさぁ、正一はなんで、あそこ迄和也くんにマウント取りたいの? あれ、正直言って見ていて凄く痛かったよ。恵子だって君が芽瑠と一線超えた事を黙っていたから『知っていて黙っていたのは謝るわ』って和也くんに謝っていたよね? なにか和也くんにコンプレックスでもあるの?」
「いや、彼奴は幼馴染だし、いつも周りから褒められて、俺は……」
「はいはい、馬鹿だよね! 和也くんはさぁ、高校も行かないで頑張ってスーパーの社長になったんだよね? そりゃこんな辺鄙な所で買い物が楽になる施設を作ったんだから評価されるって。私の村にも支店があるから、私だって凄いなぁ~位思っているよ……ねぇお父さん」
「まぁなビールも摘まみも何時でも買えるしな」
「それで正一さぁ、和也くんが必死に働いているなか、高校時代を楽しく幼馴染の女の子3人と、イチャイチャラブラブで過ごして一線は越えなくてもヤリまくっていたんだよ……そして卒業したら大学まで行かせて貰って、その間もお遊び三昧。その状態で幼馴染の和也くんの婚姻相手は正一の手垢まみれの芽瑠。最後の一線を芽瑠と超える意味あったのかな? どう見ても、正一の勝ちじゃん。惜しくなって抱いたにしても態々マウントまで取る意味あったのかな?」
「……」
「ねぇ。あのまま、恵子か私と結婚して芽瑠を和也くんに押し付けて、古馬本家の後を継げば勝ちだったじゃん。なんであんな事したの?」
「それは……まぁ血迷っていたとしか思えん」
「そうなのかな……本当に?」
「本当だ」
「そう、なら良いや……」
「それで、色々な事情はわかったが、それで実際の話正一と結婚してくれるのか?」
「その前に、正一に聞きたい! 正一は古馬本家と私、どっちが欲しい?」
「それはどう言う意味だ」
「そうね、古馬本家を捨てれば僕がお嫁さんになってあげる。捨てられないなら、これで付き合いはおしまい……どっち?」
「俺は……」
「はい、おしまい。僕はもう君のお嫁さんになる事はないよ! 正一。和也くんが私の恋人だったら即答で私って答えただろうね。この間、結婚した美沙の為に命がけで戦ったらしいからね。ねぇ君に聞きたいんだけど、正一、恵子でも私でも芽瑠でも結婚できるチャンスはあったよ。君しだいで誰とでも結婚は出来たと思う。馬鹿な話だけどハーレムだって出来たかも知れない。器があればね、なんで出来なかったか解るかい?」
「解らない、だけど真理愛、俺は君の事を好きだ……愛している嘘じゃない」
「それ嘘だよ。 君にとっての一番は古馬本家。 体まで許して深い関係になった女よりそっちが大切なんだろう? だから、君とは結婚もしないし、親友も辞めるつもりだよ『正一くん』」
「儂から頼んでも駄目か」
「そうですね、それじゃ権蔵おじさんの頼みなら条件付けで聞きますよ?」
「本当か」
「はい、私がお嫁さんになるんじゃ無く、正一くんが婿に来るなら良いですよ! 尤も私は次女だから南条の後継者にもなれませんが……」
「それじゃ……意味がない」
「私を射止めるのは簡単。私を一番に考えてくれるだけで良いんですよ……出来ないならゴメンです」
「まぁ、こんな話で馬鹿やったのは、お互いさまだから謝罪も要らない、それじゃぁな権蔵さん……落ち着いたら酒でも飲もう」
「そうじゃな……」
正一……一体なにをしてくれているんだ。
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