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第3話 ジムナ村
しおりを挟む此処は何処だ。
また、知らない場所だが、今迄いた神の空間とかではなく、普通の部屋だ。
木で出来た部屋に木製のベッド。
そこで僕は寝ていた。
横を見ると大きな鏡があって、そこには黒毛黒目のなかなかの美少年が映っていた。
僕?
確かに僕だけど、随分とカッコ良く見える。
モデル、芸能人並とまではいかないが、かなり魅力的なクラスの人気者と言えるレベルだ。
尤も、これが僕だと解るレベルで、知り合いに会ったら『見違えたよ』と褒められる感じだ。
う~ん『綺麗な僕』って感じだな。
ドアを開けるとそこにはカウンターがあり、酒場の様な雑貨屋の様な感じのお店みたいな場所だった。
僕と目が合うなり筋肉質の老人が声を掛けてきた。
「ようこそ!異世界の方!此処はジムナ村。俺は村長兼冒険者ギルドのギルマスのギルダーだ」
うん、完璧に異世界だ。
「はじめまして、翼と申します。目が覚めたらここにいて…ここは何処ですか?」
「ああっ、此処はジムナ村の冒険者ギルドだ。お前さんはそこの転移部屋から現れたんだ!」
転移部屋。
やはり、此処は異世界で間違いない。
だが、なんで僕は1人なのかな?
他の皆は何処に行ったんだ。
「僕以外に此処から出て来た人は居ないんですか?」
「ああっ『異世界人』の事だよな?もう数十年ジムナ村の転移室から現れた人は居ないぜ。一緒に来た人って意味なら、恐らくは此処じゃない何処かに転移されている筈だ」
話しを聞くと、あの空間で選んだ神様を崇拝している教会に転移した可能性が高いらしい。
同じ神様を選んだ人間は基本的に同じ場所に転移するそうだ。
僕の同級生は46人居る。
それがあちこちに数人ずつ別れて転移していった。
そういう事だろう。
「成程、それじゃ他の異世界人は何処か違う場所に転移していった。そう言う事ですね」
「まぁな、恐らくは王都や帝都の中央教会、聖教国の教会辺りが多いと思うな! ジムナ村に来る異世界人は、神様を選ばなかった異世界人だから、まず来ることは無いんだ。あんた、なんで折角祝福を貰えるのに貰わなかったんだ?凄いチャンスなんだぜ」
「僕には前の世界から仲の良い神様が居たから選ばなかったんです」
ギルダーさんの顔が曇った気がした。
「あのよ、その神様本当に大丈夫なのかい?」
ギルダーさんの話では、以前にも、そう言ってこの世界の神様の祝福を断った者がいたそうだ。
「それでどうだったんですか?」
「ああっ、本当にその人たちの神様が居たのかどうか解らないが、皆、悲惨なステータスのままで、何も活躍できず、最後には…まぁ悲惨な人生だったよ。詳しくは止めて置こう」
その目には哀れみがあった。
「そうなんですか?」
僕の神様はそんな事しないから安心だ。
「ああっ、此処は辺境にある田舎の村だが、異世界人の面倒は3か月はみる事が決まっているから安心しろよ生きていく事が出来る位にはしてやるからな」
「お願いします」
「任せておけ」
「それで、聞いておきたいのですが、この村は裕福ですか?」
「聞きづらい事を聞いてくれるな!決して裕福じゃないな」
良かった。
これなら、安心だ。
「それじゃ、早速だが、冒険者として登録させて貰うぜ! 冒険者証があれば、身分証明になるし、何処の街や村にも出入りが自由だ。それに冒険者ギルドで仕事をするのにも必要だ」
「お願いします」
まだギルダーさんにしか会って居ないけど、過ごしやすそうな村だな。
ここなら、普通に暮らせる気がする。
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