人類戦線

さむほーん

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怪奇編

第一話 国家

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あれから、およそ半年が経った

その間僕たちがやっていたことといえば、情報の整理と暴徒の鎮圧くらいだ

でも、そうやって暴れてる人たちを鎮めたおかげか、求心力は上がってきた印象だ

これからの行動も少し楽になるかもしれない

それと、城崎の腕は完治した

おかげで事務作業とかが大分捗っている

それと、少しずつだが、分かってきたことがある

まずは、あの小さなバケモノだ

どうやら、あれは怪談とかが実体化したようなものらしい

有名な怪談の【ダッシュ】と都市伝説の【シャイガイ】を組み合わせたような見た目をしていたし、行動も似ていたらしい

つまり、怪異が噂通りに現れたってことだ

原因が何なのかは一応まだ不明だけど……多少の予測はついてる

どこかの霊能者が無理やり呼び出したりしていないんなら、ほぼ確実に誰かの装備だろう

まあ、城崎は何か他に思い当たることがあるみたいだけど……

僕には他の案はいまいち思いつかないから、その辺りは放っておこう

そして、もう一つ

明日から僕は弘岡と一緒に怪異の調査に行くことになった

怖いのはあんまり好きじゃあないんだけど、仕方がないから行くことにしよう

それに、ここ一年以上弘岡と一緒に仕事をしていない

久しぶりに一緒に仕事ができるのなら、それはそれで嬉しい

今日はゆっくりと本拠地を見回るとしようか

あ、それと、本拠地は官邸……ということになっている

やっぱり、公的な場所を本拠地にしたほうが安心する人も多いみたいだ

まあ、実際に本拠地っぽい役割を果たしているのは学校なんだけどね

カモフラージュとして使っているみたいだ

ん?あれは……

「お疲れ様~今日も頑張ってるね~」

「あ、神さん。ど~も~」

それと、一応ここでは僕は幹部的な立ち位置になっているみたいだ

だから、周りの人達からは結構敬われていたりする

まあ、敬うというより、適当に上に見ているっぽい言葉を使っているだけにも見えるが

それでも、下に見られるよりは気分が良い

「ん?てか、ここ……」

農地、か

農地ってことはが居るのかな?

探してみると……

あ、いたいた

「お久、芳枝ちゃん。」

「あ、神や~ん。最近こっちの方来ないよね~何かあったの~?」

それはもちろん、あなたのことが苦手だからです、とはとても言えず……

「いや、僕も色々と仕事があってちょっとこっちに手を回す余裕が……」

「……それ、農業が優先度低いってこと?」

あ、ちょっとミスったかも……

少し怒気をはらんだ声が芳枝ちゃんから届く

怒らせちゃったかな?

「いや……僕ってそういうの苦手じゃん?だから、変に手伝うと邪魔になるかな~って……」

ここまではOKか?

……よし、反応を見る限りは大丈夫そうだ

「だから、参加はしなかったんだけど……もしかして参加したほうが良かった?だったら城崎に伝えてくれれば助かるな。」

ここで城崎に押し付ける

城崎が僕に振ってくる仕事はどれも危ないやつばかりだ

他にできる人も居るには居るだろうけど、そんなに多くないはず

汚れ仕事を任せられる人の稼働時間を減らすよりは他の人を用意して芳枝ちゃんのところに貸し出すだろう

こういうことはやりすぎるとだんだん無視されていくけど、一回くらいなら大丈夫でしょ

まあ、今回だけってことで

「……わかった。また今度伝えとくよ~。神やんも、そういう勘違いされやすいこと言うの、やめなよ~」

どうやら、落ち着いてくれたみたいだ

強制労働にならなくて良かったよ

いや、戦えば勝てるけど、メンタル的な問題で芳枝ちゃんに勝てる気がしないんだよ

なんというか……すでに負けている感じがするというか……

あれだよ。いくら殴れば勝てることが分かっていてもヤクザのボスに殴り掛かることは無いでしょ?

……ちょっと違うか?

ま、いっか

それより、僕は僕の仕事を進めておかないと

「あ、僕はこのあと明日に向けた調整があるから、じゃ。」

「おっけ~。いってらっしゃ~い」

――――――――――――――――――――

「あ、須斎。こんなところに居たんだ」

須斎は体育館の近くで走っていた

てっきり自分の部屋に居ると思ってたよ

まあ、それは僕が普段の須斎の行動を知らないからそう判断した、ってのが理由として大きいんだけど

「そうだ。弘岡が今どこにいるか分かるかな?」

結構弘岡と仲が良かったはずだから、知っているかもしれない

「ああ、美優か。今は図書室に居るぞ」

図書室か

結構近いな

そういえば、弘岡ってどんな本を読むんだろう……

話した内容も大体任務に関することだから、人柄とかは全然わかんないんだよな……

ま、多少はどういうことをしそうかくらいは分かるけど、内心を読めるほど付き合いが長いわけではない

そもそも、僕は十年来の付き合いの城崎が何をするかの予測すらつけられない人間なんだから

人の心の機微が分かる分けないんだよなぁ……

「さて、それはそうと、探しに行くか」

――――――――――――――――――――

一人で本を読める時間というのは貴重

蒼井が過保護なところがあるからあんまり自分の時間が取れない

前はそこまで過保護でも無かったけど、一年前に怪我をしたのが効いたらしい

……ここが切りが良いか

しおりを挟んで顔を上げると、そこには神柱が居た
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