人類戦線

さむほーん

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怪奇編

第二十五話 検査

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「やあ、久しぶりだな。神柱くん」

「あ、千尋さんこそ。お久し振りです」

久しぶりに出会った所長は、相変わらず目の下に酷い隈を作っていた

大方、寝ずに研究をやっているんだろうけど……

装備の研究ってそんなに楽しいのかな?

「寝たほうが効率上がると思いますよー」

「効率は上がるだろうが、作業時間が減るんだよ。それで、何を持ってきたんだい?」

彼女には予め、どういう用事でここに来たのかを伝えてある

「うん。これ、どうぞ」

そう言って、袋の中に入れたモノを手渡す

「なるほど……少し預からせてもらおう。それと、装備を使いだしてから、何か肉体に変化は起こっているか?」

変化?

「何で変化なんですか?何かそういう事例が?」

というか、肉体に変化が起こるってそもそもどういうこと何だ?

「ああ、どうやら、装備が降ってきてから二・三ヶ月したくらいから自身の身体能力が急激に上昇してきたり、視力や聴力が大幅に上昇したという事例が報告され出したんだ」

へー……そんなこと有るんだ……

あれ?そういえば、僕も妙に足が速くなってたっけ?

あれは気の所為って言うレベルなのかな?

「多分、それ、僕にも起こってると思う」

「……そうか、なら、調べたいから暫く研究所に泊まって貰っても構わないか?」

泊まり……か

じゃあ院長に連絡してそのことを伝えておかないとね

「ちょっと保護者に話を聞きますね」

そう伝えてすぐに電話をかける

「お!やっと出たか!賢明!」

嬉しそうな声で院長が出る

「あ、院長?今日ちょっと外泊して良いかな?」

「外泊?どこにだ?」

今まで僕はあまり外泊する機会がなかったから院長としても僕が泊まる先が読めないのだろう
不思議そうな声で聞いてきた

「いや、ちょっと研究所に」

「研究所!?だ?!」

研究所に泊まる話をしたら院長は急に声を荒げた

「何のって……一応、再生医療?」

それを言うと、更に焦り出す

「いや……何というか、まあ、お前がそうしたいんなら構わねぇが……」

「分かった!じゃあ、芳枝ちゃんのお世話、よろしくね!」

そう言ってすぐに電話を切る

面倒なことを言われる前に話を終えるのは、僕が日常生活で使える数少ないテクニックだ

「あ、それで、大丈夫そうか?」

「はい。保護者の意見としては好きにして良いんですって」

多分あの言葉はそういう意味なんだろう

「保護者か……そういえば、あの人は君にとって何なんだ?」

「祖父です」

僕の本当の祖父だ

両親は仕事の関係上、近所どころか国内にも居ないことが多いからね

僕にとって一番身近な肉親っていうのは祖父母になる

とは言っても、僕が二歳くらいの頃に祖母は他界しているから馴染みが有るのは祖父だけなんだけど

「なるほど、そうか。まあ、取り敢えず許可は取れたんだな?」

そわそわしながら聞いてくる

「取れましたよ~。じゃあ、早めに検査とか終わらせときます?」

「そうだな。じゃあ、こちらに来てくれ」

僕は所長に言われるまま隣の部屋の中に入った

――――――――――――――――――――

「クソ……よりにもよって生物系かよ……」

俺が賢明にしたことがバレるか……?

だが、急に来たやつを検査しようとする研究員だ

そいつは知的好奇心を優先するタイプの筈……

だとしたら、に気が付いても放置する可用性もある……か?

よし、それに賭けるしか無いな

「頼むぞ……」

――――――――――――――――――――

「よし、それじゃあ、まずは血液を採取させてもらおう」

部屋に入って早速注射器を向けられる

「どのくらい痛いですか?」

針が長いので痛そうに見えるけど、大丈夫なのかな?

「ああ、そこは問題無い。蚊の針を参考に開発された注射器だから痛みは殆ど無い筈だ」

へぇ……そうなんだ

「そういうの、バイオミミクリーとか言うんでしたっけ?」

「ああ。だから、装備で変化した肉体のデータもそういった技術に役立つかもしれない」

なるほど、それは確かに面白そうだな……

「で、本当に痛くないんですか?」

「そこに関しては保証しよう。痛みは文字通り蚊に刺されたような程度だとな」

なるほど

なら、一応大丈夫かな?

「じゃあ、お願いします」

針が僕の左腕に入っていくが、あまり……いや、全く痛みは感じない

凄いな……ここまで分からないものなんだ……

「よし、これで大丈夫だ。少し目眩がするかもしれないから休んでおいてくれ」

献血の時と同じような言葉をかけられる

ベットに寝転び、ため息をついて考える

「後で院長にどう説明しよう……」

ちょっと無理矢理話を進めたからね……

「あの、暫くここに泊まったりできます?」

「ああ。構わない。ただ、この分なら或いは数日後には……」

あまり話を聞いている様子が無いけど……

まあ、一応了解は取れたから大丈夫でしょ

「じゃあ、僕は準備しておきますね」

寝れそうな場所を探さないと

ちゃんと布団で寝ないと体中が痛くなるからね……

だから、この騒動の最初の方は結構大変だったなぁ……

保健室も使えなければ寮も無理、みたいな時期が有ったからね……

そう考えている間にもベットメイクを進める

「よし!これで大丈夫でしょ!」

いつも僕が寮で寝ているような布団になった

……所長の分もやっとこうかな

なんか布団がぐちゃぐぢゃで気になるし

そうして、僕はもう一つの部屋に入った
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