人類戦線

さむほーん

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怪奇編

第四十九話 教祖

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「なんだよ……ふざけんなよ……」

「黙ってて。声が掠れてるから、多分気道かどこかに損傷がある。喋るのは禁止」

さっきからずっとボソボソ何かを喋っているけど、少し黙っているように伝える

せっかく無事なのに、こんなところで喋ったのが原因で傷が悪化したらいけない

「でも、何で突然……」

城崎が突然動いたってことは、急に現れたのだろう

だとしたら、何かの装備を使ったことになるだろう

だとしたら、どんな装備なんだろう

今まで見たこともないようなものなんだろうか……?

「おや、ここでしたか」

目の前に黒い穴が開き、人が出てくる

(?!)

今ので分かった

こいつだ

恐らく、教祖が急に現れた原因もこの黒い穴なのだろう

(早く倒さないと仲間を呼ばれる可能性が……)

けど、今はこいつを抱えているからあんまり派手な動きは出来ない

ゆっくりと置いてから戦おうか……?

でも、相手がそれを待ってくれるとは……

「そちらの方は運んでからで構いませんよ。基本的に傷付けてはいけないと言われていますので」

そう言ってくるが、信用等できない

だから、私はゆっくりと伏原さんを下ろして刀を構える

「……できれば無戦で終わらせておきたいのですが……」

そう言いながらも、相手も戦う準備を済ませてくる

(今の言葉を信じるとしたら、相手は何らかの理由で私を強く攻撃できないことになる。そこを突けばどうにか……)

さらに、さっき神柱が言っていたことと組み合わせると、多分こいつが例の運び屋だ

だとしたら、そこまで戦闘は得意ではない筈……

(変な手を使われる前に倒す!)

そう思って足に力を込め、必要な部分の筋繊維を硬化して跳ぶ

「ですので、野蛮な方はこの場所から離れて頂きます」

相手に向かって飛び込んだ先には、何処なのかも分からない倉庫が有った

――――――――――――――――――――

「本当に話をしたいだけなんですがね……それに、あなたの知り合いらしき方に関する忠告もしたのですが……話、聞いてくれませんか?」

「その『話し合い』は俺たちの意思を尊重するものなのか?」

この手のことを言ってくる相手というのは大抵の場合、こちらと交渉する気が無いか、一方的な押し付けのことを交渉と思っているかのどちらかだ

そんな相手との話し合いなど、時間稼ぎ以外の価値は無い

そして、今の俺達は時間稼ぎを行えば行うだけ不利になる状況にあるかもしれない

それだけで、交渉破棄の理由としては十分だ

「う~ん……私としてはちゃんとお互いの意思を尊重した上での話し合いで私達の意見を全面的に肯定してもらえると思うのですが……そちらがそう仰るのなら仕方ありませんね……」

相手がそう言っている間にも近付こうとするが、尽く異形に阻まれる

(チッ、こいつら……いくら湧いてくるんだ……?)

この異形たちの妨害のせいで、攻撃のチャンス何度も潰されている

こいつらも教祖の配下なんだろうが、動きが人間離れし過ぎている

作り出したのか、どこかから連れてきたのか……

もしくは、誰かを改造したのか

そこを見極めないと対処のしようが無い

「う~ん……やはり、先に数人に対して真実を気付かせておいた方が良かったのですかね……?主要な人物の方から攻めていくという作戦は失敗だったのでしょうか?」

そう言いながらその場に椅子を作り出して座る

いや……どこかから持ってきたのか?

「ねぇ……やっぱり、ちゃんと話しませんか?あなたなら私の考え、分かってくれると思いますよ?」

なるほど、この場合は先程のパターンで言う後者か

相手としては話し合っているつもりなんだが、こちらからするとただ押し付けられているだけ、というやつだな

「そのつもりは無い。さらに言うなら、お前達がどのような提案をしてきても、それに乗るつもりは無い」

そのことを伝えて、交渉という道を完全に断つ

「なるほど……これは、一旦静かになってもらわないと話が出来ませんね……」

相手の雰囲気が少し変わる

そして、初めて明確にこちらに向かって攻撃をした

俺の目の前で突然爆発が起こった

その衝撃で、二・三メートル程吹き飛ばされる

(思っていたよりも能力が多様なんだな……)

そんな感想を抱きながら相手から離れ、体勢を立て直す

(さて、どう戦うか……)

時間をかければ確実に倒せるんだが

諸事情でそれは避けたいからな……

いかに早く終わらせるか、に焦点を当てて攻略法を探し始める

すると、俺の使っている通信機器に連絡が入った

(……思っていたよりも随分早かったな)

それは、今の俺にとっては朗報だった

(これなら今すぐにでも勝てそうだ)

そう思いつき、早速行動パターンを変える

「?」

教祖は何か不思議そうなものを見る目でこちらを見た

まあ、それもそうだろう

今まで相手取っていた人間が突然口から血を吹いて倒れたんだから

(これは……予想外だな……)

俺はそう思いながら地に伏せる

その間も俺の口からはダラダラと血が流れていく

「えぇと……では」

そう言って、相手は手をかざす

「?」

しかし、何も起こらない

その間に俺は寝転んだまま地面のコンクリートを操っていた

そして、相手がコンクリートの穴の中に埋められ、頭だけが残される

(本当はこうするのも危険なんだがな……)

そう考えながら、俺は首だけが残った教祖と話し始めた
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