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人類戦線編
第十九話 増援
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「遠征?入ったばっかなのに?」
ウスリースクにある軍基地で私はそう言った
「そうだヒロオカ。現在東アジアとイスラエルにおいて大規模な軍事作戦が行われている。お前にはその内の東アジアの方に向かってもらう」
東アジア……
(運が良ければ、戻れるかもしれない)
あの日、私はウラジオストクに移動させられた私は暫くしたら最寄りのロシアの抑留所に連れて行かれた
幸いにもこの先の読めない状況で日本との関係を悪くしたくなかったのか、強制労働のようなことはさせられなかったけど
その後は昨日まで抑留所に留められていたけど、今日の朝から自由時間が大幅に増えた
(体、鈍ってないかな……?)
体の調子を確認するために軽く動いてみるけど、特に違和感は感じない
これなら今すぐにでも出発出来るだろう
「それでは、あちらの飛行機に乗ってもらおう」
そうして指さした先にある発着場では最新鋭の爆撃機が着陸しようとしていた
「……投下する気?」
「いや。しないさ」
少し不穏な空気を感じながらも、私は爆撃機の中に乗り込んだ
中には、恐らく無理やり詰め込まれたであろう人達が手枷と足かせをつけた状態で寝かせられていた
「投下するのはあいつらだ。お前じゃない。もっても、お前の行動次第ではその予定を変更することになるかもしれないがな。まあ、乗組員として帰って来いよ」
「……善処する」
というか、乗組員として帰ってこれるのかどうかは私の行動よりもロシア軍の方針に左右されると思うけど……
気味が悪いほどに静かな爆撃機に乗り込み、前線部隊という意味のロシア語が書かれた張り紙の前に私は座り込んだ
そのタイミングで運転手らしき人物が私に向かって話しかけてきた
「これから基地をいくつか回って人を集め、その後に燃料を補給してから目的地に向かう予定だ。目的地に付いたらすぐにでも降りられるよう、パラシュートの使い方を周りのやつに聞いておけ」
「了解」
周りとは言っても、寝かせられている人達は意識が無いようだから聞ける相手は限られてくる
私は、私と同じように前線部隊の張り紙の前で座っている人に向かって話しかけた
――――――――――――――――――――――――
「という訳だ。この基地は俺が占領させてもらった。今からは俺の指示に従ってもらうことになる。各々思うところはあるだろうが、戦争時はこういうものだと思って割り切ってくれ」
俺はそう言って放送を終えた
(さて、問題はこれに対して駐留している兵がどういう反応をするか、だ)
今の放送を行った意味は複数ある
まず一つは基地、というよりは基地が作られている人工島全体に指揮系統が変わったことを知らせるためだ
そして、もう一つ
(この通達に対する反応を見てこの基地内にいる人間の愛国心や忠誠心等を調べる)
それがある一定よりも高いと判断できた場合、その時点でそいつを殺す
愛国心や忠誠心の高い人物というのは味方に引き入れるのが面倒だ
それでも、味方に入った上で何も考えずにこちらの指示に従ってくれるのなら引き込む価値はある
しかし、恐らく重要な兵器である対航空機用の誘導ミサイルの扱いを任せられるような有能な者なら自分で考えて行動することもあるだろう
そういった存在は駒として扱うのが難しいため、邪魔になる前に潰しておきたい
(その愛国心を調べるための今回の演説だが……)
どういう反応をするのかを少し待つ
その間に基地全体の構造や島の形などを把握しておく
しばらくすると、相手側に動きがあった
「……抵抗する気か」
相手の内の何人かが集まって作戦を練っているような雰囲気がある
となると、こいつらを仲間に入れるのはナシだな
「しかし、こんな場所に配置されるとなると実質左遷のような扱いだろうに、よく裏切らずに居られるものだな」
そういう教育をしているのだろうか?
俺の方針とは合わないからその教育を考えだした人間に教えを請うことは無いだろうが、少し尊敬できるレベルの技術ではあるな
(もう部隊行動を始めたか)
俺が基地全体に通達を出して僅か数分後には既に小規模な部隊がいくつか出来上がっていた
丁度良い
俺も基地を直接動かす訓練はしておきたかったからな
ただ、まだ基地全体の支配が終わっていない
流石にこの基地内に居る兵士達が行動を開始するまでにはおおよそ終わると思うが……
「ん?これは……」
友軍の戦闘機を事前に察知するためのレーダーが、ロシア軍の飛行機が近付いていることを伝えていた
増援か
一番避けたいのは増援の者たちが基地内に居る兵士達とやり取りできる手段を持っていて、俺の知らない間に共闘されることか
「なら、少なくとも向こうが近寄れないようにはしておかないとな」
司令室にあるミサイルの操作装置に手を当てて、その機械を支配する
そして、操作ボタンなどに触れることなく直接ミサイルを打ち出した
(残っているものをすべて吐き出すようなペースでも構わないだろう)
俺にはボタンに触れずにミサイルを直接誘導するような技術は無い
だから今出来ることはこれが限界だ
(効果はあったようだな)
相手の飛行機がスピードを落とすのを確認してから、俺は基地内の人間の対処に集中するために意識を切り替えた
ウスリースクにある軍基地で私はそう言った
「そうだヒロオカ。現在東アジアとイスラエルにおいて大規模な軍事作戦が行われている。お前にはその内の東アジアの方に向かってもらう」
東アジア……
(運が良ければ、戻れるかもしれない)
あの日、私はウラジオストクに移動させられた私は暫くしたら最寄りのロシアの抑留所に連れて行かれた
幸いにもこの先の読めない状況で日本との関係を悪くしたくなかったのか、強制労働のようなことはさせられなかったけど
その後は昨日まで抑留所に留められていたけど、今日の朝から自由時間が大幅に増えた
(体、鈍ってないかな……?)
体の調子を確認するために軽く動いてみるけど、特に違和感は感じない
これなら今すぐにでも出発出来るだろう
「それでは、あちらの飛行機に乗ってもらおう」
そうして指さした先にある発着場では最新鋭の爆撃機が着陸しようとしていた
「……投下する気?」
「いや。しないさ」
少し不穏な空気を感じながらも、私は爆撃機の中に乗り込んだ
中には、恐らく無理やり詰め込まれたであろう人達が手枷と足かせをつけた状態で寝かせられていた
「投下するのはあいつらだ。お前じゃない。もっても、お前の行動次第ではその予定を変更することになるかもしれないがな。まあ、乗組員として帰って来いよ」
「……善処する」
というか、乗組員として帰ってこれるのかどうかは私の行動よりもロシア軍の方針に左右されると思うけど……
気味が悪いほどに静かな爆撃機に乗り込み、前線部隊という意味のロシア語が書かれた張り紙の前に私は座り込んだ
そのタイミングで運転手らしき人物が私に向かって話しかけてきた
「これから基地をいくつか回って人を集め、その後に燃料を補給してから目的地に向かう予定だ。目的地に付いたらすぐにでも降りられるよう、パラシュートの使い方を周りのやつに聞いておけ」
「了解」
周りとは言っても、寝かせられている人達は意識が無いようだから聞ける相手は限られてくる
私は、私と同じように前線部隊の張り紙の前で座っている人に向かって話しかけた
――――――――――――――――――――――――
「という訳だ。この基地は俺が占領させてもらった。今からは俺の指示に従ってもらうことになる。各々思うところはあるだろうが、戦争時はこういうものだと思って割り切ってくれ」
俺はそう言って放送を終えた
(さて、問題はこれに対して駐留している兵がどういう反応をするか、だ)
今の放送を行った意味は複数ある
まず一つは基地、というよりは基地が作られている人工島全体に指揮系統が変わったことを知らせるためだ
そして、もう一つ
(この通達に対する反応を見てこの基地内にいる人間の愛国心や忠誠心等を調べる)
それがある一定よりも高いと判断できた場合、その時点でそいつを殺す
愛国心や忠誠心の高い人物というのは味方に引き入れるのが面倒だ
それでも、味方に入った上で何も考えずにこちらの指示に従ってくれるのなら引き込む価値はある
しかし、恐らく重要な兵器である対航空機用の誘導ミサイルの扱いを任せられるような有能な者なら自分で考えて行動することもあるだろう
そういった存在は駒として扱うのが難しいため、邪魔になる前に潰しておきたい
(その愛国心を調べるための今回の演説だが……)
どういう反応をするのかを少し待つ
その間に基地全体の構造や島の形などを把握しておく
しばらくすると、相手側に動きがあった
「……抵抗する気か」
相手の内の何人かが集まって作戦を練っているような雰囲気がある
となると、こいつらを仲間に入れるのはナシだな
「しかし、こんな場所に配置されるとなると実質左遷のような扱いだろうに、よく裏切らずに居られるものだな」
そういう教育をしているのだろうか?
俺の方針とは合わないからその教育を考えだした人間に教えを請うことは無いだろうが、少し尊敬できるレベルの技術ではあるな
(もう部隊行動を始めたか)
俺が基地全体に通達を出して僅か数分後には既に小規模な部隊がいくつか出来上がっていた
丁度良い
俺も基地を直接動かす訓練はしておきたかったからな
ただ、まだ基地全体の支配が終わっていない
流石にこの基地内に居る兵士達が行動を開始するまでにはおおよそ終わると思うが……
「ん?これは……」
友軍の戦闘機を事前に察知するためのレーダーが、ロシア軍の飛行機が近付いていることを伝えていた
増援か
一番避けたいのは増援の者たちが基地内に居る兵士達とやり取りできる手段を持っていて、俺の知らない間に共闘されることか
「なら、少なくとも向こうが近寄れないようにはしておかないとな」
司令室にあるミサイルの操作装置に手を当てて、その機械を支配する
そして、操作ボタンなどに触れることなく直接ミサイルを打ち出した
(残っているものをすべて吐き出すようなペースでも構わないだろう)
俺にはボタンに触れずにミサイルを直接誘導するような技術は無い
だから今出来ることはこれが限界だ
(効果はあったようだな)
相手の飛行機がスピードを落とすのを確認してから、俺は基地内の人間の対処に集中するために意識を切り替えた
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