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人類戦線編
第五十三話 命の恩人
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両方死んでた?
「強請るにしてももうちょっと現実味のあるネタにした方が良いと思うよ?」
あの日から僕と城崎は今まで、特に命の危険を感じることなく生きてこれている
むしろ、こいつが原因で起こった最近の騒動中がこの数年で一番命の危険を感じているくらいだ
『だからちゃんと言ってるでしょ?【僕が財閥を乗っ取っていなかったら】君も城崎君も危険だったって。実際には乗っ取ってるんだから君が危険を感じるわけ無いじゃん?日本語学校に行った方が良いと思うよ?』
「それで!何で危険なの?!」
自分でも驚くことに、結構イライラしているようだ
僕は声を荒らげながらそう聞いた
『まあまあ、もうちょっと落ち着いてって。ちゃんと理由は話すから』
やはりこちらの神経を逆撫でするような話し方でそう言ってから、一息ついてゆっくりと話し出す
『まずさ、そもそもおかしいと思わなかったの?仮に大きな財閥が後継者争いで揉めてて、それが原因で後継者候補を殺した時に、その一人の周りに他にも候補が居るんだよ?普通はその他の候補―分かりやすく言うと君と城崎くんだね―も始末しようとするよね?』
反論は、出来ない
『その上、当時は君も城崎クンも何の力も無い子供だ。幾ら神柱俊樹が頑張っても、大きな財閥が相手なら君達は殺されていただろう。普通ならね』
そう言って話を続ける
『ところが、君達の場合は違ったわけだ。何でかって言うと、僕がその後継者争いを終わらせたからだ』
「何?つまり、アンタがトップに立ったから後継者争い終了、って感じだったの?」
『いや、そういう訳には行かなかった。というか、僕が財閥の当主に成り代わったときはむしろそれ以前よりも跡継ぎ争いが過激になってたかな?』
その理由はなんとなく分かる
今までは身内の中から誰が一番大きな利権を手にするのかを争っていたのに、突然外部から人が入ってきてその利権を全部掻っ攫っていったんだ
そりゃあ掻っ攫った相手を何が何でも排除したくなるだろう
『まあ結局僕が欲しいのは財閥の持つ権力で、人材じゃあ無かったから、そういう馬鹿なことをする人はガンガン粛清して僕の配下と入れ替えた。その結果、財閥の中から行動力のある人が随分と減っちゃったんだよね。石神少年の殺害を指示した人間も含めて』
その話を聞いて他人事ながら少し心配になった僕は挑発も兼ねてある質問を投げかける
「行動力のある人が随分減った、って言ってるけど、それは大丈夫なのかな?アンタの一時的な癇癪によってその財閥の未来がなくなった、みたいな馬鹿なことをしていなければ良いんだけど」
『ああ、その可能性は有るかもれね』
特別なことでもないかのようにサラッと言い放つ
『けどまぁ、その【未来】っていうのが影響してくるのって今から更に十何年後とかでしょ?じゃあ、あんまり関係無いから別にこの財閥がどうなっても構わないかなぁ?』
今まで薄っすら思ってたことをここで革新する
こいつは、あまりにも刹那的過ぎる
今楽しければそれでいいとか、多分そういう考えなんだと思う
そういう人自体は結構そこら中に居るから、別にそのこと自体は悪いわけじゃあ無い
問題は、こいつが世界全体に影響を与えるほどの力を持っていることだ
そんな力を持つ人間が気ままに、自分のやりたいように、享楽的に、世界の行く末を気にせずに力を振るっているんだ
そんなの、ニューヨークでツァーリボンバをボールにラグビーをしているのと同じくらい恐ろしい
正直、今までは高貴なる者の責任が必要だと思ったことは無かったけど、今ならそれを求めている人達の気持ちが少し分かる
あの人達は妬んでるんじゃない
恐れてるんだ
超常的とも思えるような力の持ち主の気まぐれで自分達が殺されるようなことがあるかもしれないと恐れてるんだ
だから、それを防ぐ為に力を持つ者に責任を負わせるんだろう
「そっか……そういうことを言うんなら、僕はちょっと許せないかな」
少々不格好ながらも刀を構える
それを見て、相手も少し僕のことを警戒したようだ
声の調子を少し変えた
『そっか……じゃあ、仕方ないね』
いや、違うか
相手は僕のことを警戒したんじゃない
単に僕と協力できないことを悟っただけか
それでちょっと怒ってるとか、その程度のことなんだろう
(……待てよ、相手が僕のことを全く警戒してないんなら、この手が使えるんじゃないか?)
僕はこの状況から相手を殺しに行ける打開策を思い付いた
「あのさ……正直なところ、アンタのことは殺したいくらいに嫌なんだけど。だからさ、殺しに行きたいんだ。そういうわけだし、アンタのところに連れて行ってくれないかな?」
相手が普通の人間なら、こんなことを言う意味は無いだろう
言っても受け入れられる訳が無いからね
でも、この相手なら……
『……なるほど、それは良いね』
面白そう、と思ったら普通に承諾するんだろう
例えそれが後々自分を殺すことになったとしても、特に気にしない
この短時間話しただけの僕が導き出したこいつの人物分析だ
『それじゃあ、この中に入ってごらん?そうすれば、僕の居るところに来れるから』
目の前に黒い穴が出来る
僕は一切迷うことなくその穴の中に入った
「強請るにしてももうちょっと現実味のあるネタにした方が良いと思うよ?」
あの日から僕と城崎は今まで、特に命の危険を感じることなく生きてこれている
むしろ、こいつが原因で起こった最近の騒動中がこの数年で一番命の危険を感じているくらいだ
『だからちゃんと言ってるでしょ?【僕が財閥を乗っ取っていなかったら】君も城崎君も危険だったって。実際には乗っ取ってるんだから君が危険を感じるわけ無いじゃん?日本語学校に行った方が良いと思うよ?』
「それで!何で危険なの?!」
自分でも驚くことに、結構イライラしているようだ
僕は声を荒らげながらそう聞いた
『まあまあ、もうちょっと落ち着いてって。ちゃんと理由は話すから』
やはりこちらの神経を逆撫でするような話し方でそう言ってから、一息ついてゆっくりと話し出す
『まずさ、そもそもおかしいと思わなかったの?仮に大きな財閥が後継者争いで揉めてて、それが原因で後継者候補を殺した時に、その一人の周りに他にも候補が居るんだよ?普通はその他の候補―分かりやすく言うと君と城崎くんだね―も始末しようとするよね?』
反論は、出来ない
『その上、当時は君も城崎クンも何の力も無い子供だ。幾ら神柱俊樹が頑張っても、大きな財閥が相手なら君達は殺されていただろう。普通ならね』
そう言って話を続ける
『ところが、君達の場合は違ったわけだ。何でかって言うと、僕がその後継者争いを終わらせたからだ』
「何?つまり、アンタがトップに立ったから後継者争い終了、って感じだったの?」
『いや、そういう訳には行かなかった。というか、僕が財閥の当主に成り代わったときはむしろそれ以前よりも跡継ぎ争いが過激になってたかな?』
その理由はなんとなく分かる
今までは身内の中から誰が一番大きな利権を手にするのかを争っていたのに、突然外部から人が入ってきてその利権を全部掻っ攫っていったんだ
そりゃあ掻っ攫った相手を何が何でも排除したくなるだろう
『まあ結局僕が欲しいのは財閥の持つ権力で、人材じゃあ無かったから、そういう馬鹿なことをする人はガンガン粛清して僕の配下と入れ替えた。その結果、財閥の中から行動力のある人が随分と減っちゃったんだよね。石神少年の殺害を指示した人間も含めて』
その話を聞いて他人事ながら少し心配になった僕は挑発も兼ねてある質問を投げかける
「行動力のある人が随分減った、って言ってるけど、それは大丈夫なのかな?アンタの一時的な癇癪によってその財閥の未来がなくなった、みたいな馬鹿なことをしていなければ良いんだけど」
『ああ、その可能性は有るかもれね』
特別なことでもないかのようにサラッと言い放つ
『けどまぁ、その【未来】っていうのが影響してくるのって今から更に十何年後とかでしょ?じゃあ、あんまり関係無いから別にこの財閥がどうなっても構わないかなぁ?』
今まで薄っすら思ってたことをここで革新する
こいつは、あまりにも刹那的過ぎる
今楽しければそれでいいとか、多分そういう考えなんだと思う
そういう人自体は結構そこら中に居るから、別にそのこと自体は悪いわけじゃあ無い
問題は、こいつが世界全体に影響を与えるほどの力を持っていることだ
そんな力を持つ人間が気ままに、自分のやりたいように、享楽的に、世界の行く末を気にせずに力を振るっているんだ
そんなの、ニューヨークでツァーリボンバをボールにラグビーをしているのと同じくらい恐ろしい
正直、今までは高貴なる者の責任が必要だと思ったことは無かったけど、今ならそれを求めている人達の気持ちが少し分かる
あの人達は妬んでるんじゃない
恐れてるんだ
超常的とも思えるような力の持ち主の気まぐれで自分達が殺されるようなことがあるかもしれないと恐れてるんだ
だから、それを防ぐ為に力を持つ者に責任を負わせるんだろう
「そっか……そういうことを言うんなら、僕はちょっと許せないかな」
少々不格好ながらも刀を構える
それを見て、相手も少し僕のことを警戒したようだ
声の調子を少し変えた
『そっか……じゃあ、仕方ないね』
いや、違うか
相手は僕のことを警戒したんじゃない
単に僕と協力できないことを悟っただけか
それでちょっと怒ってるとか、その程度のことなんだろう
(……待てよ、相手が僕のことを全く警戒してないんなら、この手が使えるんじゃないか?)
僕はこの状況から相手を殺しに行ける打開策を思い付いた
「あのさ……正直なところ、アンタのことは殺したいくらいに嫌なんだけど。だからさ、殺しに行きたいんだ。そういうわけだし、アンタのところに連れて行ってくれないかな?」
相手が普通の人間なら、こんなことを言う意味は無いだろう
言っても受け入れられる訳が無いからね
でも、この相手なら……
『……なるほど、それは良いね』
面白そう、と思ったら普通に承諾するんだろう
例えそれが後々自分を殺すことになったとしても、特に気にしない
この短時間話しただけの僕が導き出したこいつの人物分析だ
『それじゃあ、この中に入ってごらん?そうすれば、僕の居るところに来れるから』
目の前に黒い穴が出来る
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