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人類戦線編
第五十五話 起動
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(まずい……)
さっきから、思いつく限りの方法を試した
でも、どれも上手く行かない
そろそろ城崎のところに逃げ帰ることを考えても良いかもしれないな
「……君さ、逃げようとしてる?」
あれ?バレた?
そういう素振りを見せた覚えはなかったんだけど……
「察しが良いですね」
僕は少し勝ち気に見えるようにそう答えた
「まあ、僕は結構昔から他人の考えが読めるタイプの人間って言われてたし、君がそう思っちゃうのも仕方ないかな」
余裕綽々とそう言った
「さて、もう出来ることが無いんならこれで終わりで良いのかな?」
そう言って左手で聖杯を傾ける
(抜刀)
非常にラッキーなことに、突然チャンスが降って湧いてきた
僕は相手が手に聖杯を持っているのを確認するとすぐに加速状態に入り、相手の元まで猛ダッシュで向かった
「よし!OK!」
相手の手を刀で叩くと、相手の手から聖杯が零れ落ちる
(解除)
加速状態を解除すると、その瞬間まで空中で浮いていた聖杯が重力に従って地面に落ちていく
「っ?!」
相手が恐らく初めて焦った
とても人間とは思えないスピードで手を伸ばす
いや、実際人間じゃ無いんだろう
そのまま手を伸ばし、聖杯を再び掴む
その瞬間を狙って、僕は相手の手首を切った
「!」
ライアンは苦痛に顔を歪めた……ように見えた
でも、今は手を切られる痛みを我慢してでもやらなければいけないことがライアンにはある
諦めずに、もう片方の手を伸ばす
その手も、僕が切り落とした
不思議と、どこを切れば良いのかは分かっていた
相手がうずくまる
流石に足で聖杯を拾うのは諦めたようだ
僕は地面に落ちた聖杯をすぐさま遠くに蹴飛ばす
僕があの聖杯を有効活用してライアンをどうにかするのが最適ではあるけど、そんなことを狙ってライアンに聖杯を奪い返されたらおしまいだ
その最悪を避けるためにも、聖杯はこの場から少しでも遠ざけておいた方が良いだろう
「どうかな?これで僕が勝ったんじゃない?」
僕は本心からそう言った
「……」
ライアンは黙り込む
(お?これはもしかしたら本当に効いているんじゃないか?)
「じゃあさ、どうする?ここで降参?」
目線は相手に向けて、それでいて意識は聖杯に向けながらそう聞く
「……ふふっ」
すると、相手は突然笑い出した
「……何?頭がおかしくなったフリをして僕の動揺を誘って隙を作るつもり?残念だけど、それは無理だと思うよ」
口ではそう言いながらも、相手が急に笑い出した意図を探ろうとライアンをじっくりと観察する
僕の目に隠れて何かをやろうとしているのかもしれないけど、こいつが蹲った時点で何か仕掛けてくることへの警戒心は最大まで引き上げてある
今の僕はそんなに簡単には欺けないんじゃ無いかな?
「いや、備えあれば憂いなし、って言葉を思い出してね」
その言葉を聞いて、警戒心を更に引き上げる
(変なものが周りを飛んでいる気配は無い……ブラフかな?)
音や空気の流れから判断するに、増援が来ているという様子では無い
あと何か有るとしたら……
「もしかしてその『備え』って、あの巨人絡みのこと?」
そう聞く
「EXACTLY。ところで、今僕の腕かどうなっているのか気にならないかな?」
「腕?」
もしかしたらこう言うことによって腕に注目を集めて、その間に視線誘導技術の要領でなにか仕掛けるのが相手の目的かもしれない
その可能性を考えた上で、僕は相手の腕を叩いた
「……?」
僕が腕を叩くと、確かに腕は揺れた
けど、真ん中だけが揺れたんだ
肩も、手首から先も動かなかった
見間違いかと思って何度も叩くけど、結果は変わらない
流石になにかおかしいと思って相手の手首をよく見る
「……くっついてる?」
さっき僕が切り落としたから、ライアンには手首から先が無い
それは良いんだけど、問題はその切り口だ
僕が作った切り口が地面に接合されていた
「結構気付くのが遅いんだね。確かに君は見るからに察しが悪そうだけど、ここまでとは思ってなかったな……」
呆れたようにそう言ってきた
「何を……しようとしてんの?」
そう聞く
「人生何事も思い通りに行くわけじゃない。だから『僕が聖杯を使える状態で君達を圧倒する』っていう理想的な計画は失敗したけど、他のパターンも考えてあったんだ」
「その内の一つがこれさ。僕がこの巨人と一体化する」
そんなことを言われて黙っているわけには行かないが、それを阻止する方法もない
僕はただ見ているしかなかった
「……うん。そろそろだね。じゃあ楽しませてくれたお礼だ。君を故郷に返してあげよう」
「そこでこのゲームの終わりを見届けるといい」
――――――――――――――――――――――――
「……あの、なんかあの巨人、さっきから動き方が変わってません?」
僕は望遠鏡を覗きながらそう言った
「ん?そうなのか?ちょっと見してみろ」
隣りにいる人が望遠鏡を覗き込んでくる
「……おいおい、これ……人が動かしてねぇか?」
そう言ってくる
「……確かに、言われてみるとそういう感じもしますね」
一緒に巨人を見つめながらそう言った
「……おい、あいつ、こっちに歩いてきてないか?」
「確かにそうですね……一応、逃げておきましょうか」
僕たちは転移用のカーペットに乗った
さっきから、思いつく限りの方法を試した
でも、どれも上手く行かない
そろそろ城崎のところに逃げ帰ることを考えても良いかもしれないな
「……君さ、逃げようとしてる?」
あれ?バレた?
そういう素振りを見せた覚えはなかったんだけど……
「察しが良いですね」
僕は少し勝ち気に見えるようにそう答えた
「まあ、僕は結構昔から他人の考えが読めるタイプの人間って言われてたし、君がそう思っちゃうのも仕方ないかな」
余裕綽々とそう言った
「さて、もう出来ることが無いんならこれで終わりで良いのかな?」
そう言って左手で聖杯を傾ける
(抜刀)
非常にラッキーなことに、突然チャンスが降って湧いてきた
僕は相手が手に聖杯を持っているのを確認するとすぐに加速状態に入り、相手の元まで猛ダッシュで向かった
「よし!OK!」
相手の手を刀で叩くと、相手の手から聖杯が零れ落ちる
(解除)
加速状態を解除すると、その瞬間まで空中で浮いていた聖杯が重力に従って地面に落ちていく
「っ?!」
相手が恐らく初めて焦った
とても人間とは思えないスピードで手を伸ばす
いや、実際人間じゃ無いんだろう
そのまま手を伸ばし、聖杯を再び掴む
その瞬間を狙って、僕は相手の手首を切った
「!」
ライアンは苦痛に顔を歪めた……ように見えた
でも、今は手を切られる痛みを我慢してでもやらなければいけないことがライアンにはある
諦めずに、もう片方の手を伸ばす
その手も、僕が切り落とした
不思議と、どこを切れば良いのかは分かっていた
相手がうずくまる
流石に足で聖杯を拾うのは諦めたようだ
僕は地面に落ちた聖杯をすぐさま遠くに蹴飛ばす
僕があの聖杯を有効活用してライアンをどうにかするのが最適ではあるけど、そんなことを狙ってライアンに聖杯を奪い返されたらおしまいだ
その最悪を避けるためにも、聖杯はこの場から少しでも遠ざけておいた方が良いだろう
「どうかな?これで僕が勝ったんじゃない?」
僕は本心からそう言った
「……」
ライアンは黙り込む
(お?これはもしかしたら本当に効いているんじゃないか?)
「じゃあさ、どうする?ここで降参?」
目線は相手に向けて、それでいて意識は聖杯に向けながらそう聞く
「……ふふっ」
すると、相手は突然笑い出した
「……何?頭がおかしくなったフリをして僕の動揺を誘って隙を作るつもり?残念だけど、それは無理だと思うよ」
口ではそう言いながらも、相手が急に笑い出した意図を探ろうとライアンをじっくりと観察する
僕の目に隠れて何かをやろうとしているのかもしれないけど、こいつが蹲った時点で何か仕掛けてくることへの警戒心は最大まで引き上げてある
今の僕はそんなに簡単には欺けないんじゃ無いかな?
「いや、備えあれば憂いなし、って言葉を思い出してね」
その言葉を聞いて、警戒心を更に引き上げる
(変なものが周りを飛んでいる気配は無い……ブラフかな?)
音や空気の流れから判断するに、増援が来ているという様子では無い
あと何か有るとしたら……
「もしかしてその『備え』って、あの巨人絡みのこと?」
そう聞く
「EXACTLY。ところで、今僕の腕かどうなっているのか気にならないかな?」
「腕?」
もしかしたらこう言うことによって腕に注目を集めて、その間に視線誘導技術の要領でなにか仕掛けるのが相手の目的かもしれない
その可能性を考えた上で、僕は相手の腕を叩いた
「……?」
僕が腕を叩くと、確かに腕は揺れた
けど、真ん中だけが揺れたんだ
肩も、手首から先も動かなかった
見間違いかと思って何度も叩くけど、結果は変わらない
流石になにかおかしいと思って相手の手首をよく見る
「……くっついてる?」
さっき僕が切り落としたから、ライアンには手首から先が無い
それは良いんだけど、問題はその切り口だ
僕が作った切り口が地面に接合されていた
「結構気付くのが遅いんだね。確かに君は見るからに察しが悪そうだけど、ここまでとは思ってなかったな……」
呆れたようにそう言ってきた
「何を……しようとしてんの?」
そう聞く
「人生何事も思い通りに行くわけじゃない。だから『僕が聖杯を使える状態で君達を圧倒する』っていう理想的な計画は失敗したけど、他のパターンも考えてあったんだ」
「その内の一つがこれさ。僕がこの巨人と一体化する」
そんなことを言われて黙っているわけには行かないが、それを阻止する方法もない
僕はただ見ているしかなかった
「……うん。そろそろだね。じゃあ楽しませてくれたお礼だ。君を故郷に返してあげよう」
「そこでこのゲームの終わりを見届けるといい」
――――――――――――――――――――――――
「……あの、なんかあの巨人、さっきから動き方が変わってません?」
僕は望遠鏡を覗きながらそう言った
「ん?そうなのか?ちょっと見してみろ」
隣りにいる人が望遠鏡を覗き込んでくる
「……おいおい、これ……人が動かしてねぇか?」
そう言ってくる
「……確かに、言われてみるとそういう感じもしますね」
一緒に巨人を見つめながらそう言った
「……おい、あいつ、こっちに歩いてきてないか?」
「確かにそうですね……一応、逃げておきましょうか」
僕たちは転移用のカーペットに乗った
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