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人類戦線編
第五十七話 戦線復帰
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「細胞……」
僕はその言葉を反芻する
「そうだ。まあ、細胞というのは少しわかりにくい言い方だったかもしれないな」
そう言って話を続ける
「分身体、とでも呼べばいいのだろうか……まあとにかく『ライアンはそいつを操ることが出来るが、そのライアンを殺しても本人には何のダメージも通らないもの』と理解してくれれば良い」
まあ、リソースの無駄遣いというデメリットが無いわけでは無いが、と城崎は付け加える
「そう考えた場合、本体と分体が存在するわけだが……ここで問題となるのは本体が一体どこにあって、何をしているのかだ」
本体の場所か……
「どこかに置いてあるのかな?」
「恐らく、そうだろうな。そして俺の推測では本体は元々巨人の中にある……もしくはライアンが元からあの巨人だった、と考えている」
「最初からあの巨人だった……」
ちょっと話が分かりにくくなってきたな
「ああ。そもそもあいつは最初から人間じゃ無いのでは無いか?という話だ」
「俺たちは装備が降ってきてから感覚が麻痺しているが、そもそも普通の人間は願うだけで物理法則を無視した物事を引き起こすことは出来ない」
まあ、そりゃあそうだ
「もちろん、装備を使うことでその原則を捻じ曲げることは出来るかもしれないが、そもそもその装備自体がライアンの持つ聖杯から派生したものだ」
「つまり、今までの話の中であの聖杯だけが明らかに異常な存在ということになる」
「もしかしたら、本当にただあの聖杯が特殊なだけなのかもしれない」
「だが、俺にはそうは思えない」
「俺は、聖杯だけでなくライアン本人も俺達の理から外れた存在であると考えるべきだと思う」
そこまでゆっくり話した後、城崎は一旦言葉を止める
「つまり、僕たちは装備によってこの世界の理から外れた存在になったけど、そもそもその装備を作り出したのがライアンだ。だから、ライアンはもとから理を外れた存在だった、っていうこと?」
「俺が言いたいのはそういうことだ」
う~ん……
「ちょっと気になることが有るんだけどさ……」
「言ってみろ」
そう言われたので僕は話し始める
「だとしたら、あの聖杯を手に入れた話も嘘ってことだよね?」
「そうだな」
城崎は答える
「でもさ、そもそもあの話は僕たちが聞いても無いのにライアンが勝手に話しだしたんだよ?なんでそんな話で嘘をつくの?その辺りが僕には分からないんだけど……」
城崎はため息をつく
「え?何?……もしかして、僕また的はずれなことを言っちゃってた?」
「いや、そういうわけじゃない」
あ、違うんだ
今まで城崎が僕の前でため息を付くときは大抵僕に呆れているときだったから、勘違いしちゃうところだった
「そのことについては俺も正直頭を抱えている。いくら考えても『単に話したかったから』以外の理由が見つからなくてな……」
城崎もその辺りはわからないのか……
「あいつの性格が俺たちの見た通りならそれで正解なんだが……そこも演技が入っている可能性があることを考えるとな……」
そう言ってまた考え出す
「……ねぇ、もう考えるのが面倒くさいからさ、ライアンの本体が何なのかを考えるよりもあいつを殺しにいった方が早いんじゃないの?」
「それは否定できないな……」
城崎もそんなことを言ってしまう
「じゃあさ、まずはライアンの本体の場所よりもあの巨人を対策しよう?結局復活できるんだとしても巨人をどうにかすれば後は消化試合みたいなものでしょ?最悪他の国の軍に頼んで生身の人間相手にミサイルを撃ち込んでもらっても良いと思うし」
僕がそう言うと、城崎も納得してくれたのか態度を変える
「そうだな。そうするのが早そうだ」
城崎はそう言うと早速部屋を出る
「もう動くの?」
「事態は一刻を争うんだ。立ち止まってる時間は一秒も無いぞ」
そのまま何処かに電話をかけながら官邸に止まっている一台の車に乗る
「お前も乗れ。神柱」
そう言われたので僕は車の中に入った
「僕は一応車がなくても結構高速で移動できるんだけど、それでも乗っちゃって良いのかな?」
「別に構わん。一人だろうが二人だろうが車で運べば大した違いは無い。それとも、歩きたいのか?」
「いや、そういう訳じゃ無いんだけど……」
僕が乗ったときに運転手さんがちょっと嫌そうな顔をしたからそこが気になった、と言い出すことは出来なかった
――――――――――――――――――――――――――
「お、車、来たみたいだぜ」
「あ、本当ですね」
僕達が海辺で巨人の動向を見ながら少しゆっくりしていると、偉い人が来るという話が来た
そこから少しだけ巨人への警戒を強めて暫く待っていると、その人達らしき車がやってきた
「よ~し、みなさ~ん。そこ、駐車スペースだから退いてくださいね~」
「そうだぞ。あんまり偉い人に対して迷惑をかけんなよ」
僕たちがそう言うと、駐車場でたむろしていた人達はダラダラとその場を動き始めた
ちょうどその人達が粗方出ていったくらいのタイミングで暫定官房長官の人の乗る車がやってきた
(一応は国のトップな人がこんな風に前線に出てくるのって大丈夫なのかな……?)
僕の心配を余所に、出てきた人がこう喋った
「さっそくで悪いが、この場であの巨人への対策を話し合おうと思う。お前達の得た情報を伝えてくれ」
僕はその言葉を反芻する
「そうだ。まあ、細胞というのは少しわかりにくい言い方だったかもしれないな」
そう言って話を続ける
「分身体、とでも呼べばいいのだろうか……まあとにかく『ライアンはそいつを操ることが出来るが、そのライアンを殺しても本人には何のダメージも通らないもの』と理解してくれれば良い」
まあ、リソースの無駄遣いというデメリットが無いわけでは無いが、と城崎は付け加える
「そう考えた場合、本体と分体が存在するわけだが……ここで問題となるのは本体が一体どこにあって、何をしているのかだ」
本体の場所か……
「どこかに置いてあるのかな?」
「恐らく、そうだろうな。そして俺の推測では本体は元々巨人の中にある……もしくはライアンが元からあの巨人だった、と考えている」
「最初からあの巨人だった……」
ちょっと話が分かりにくくなってきたな
「ああ。そもそもあいつは最初から人間じゃ無いのでは無いか?という話だ」
「俺たちは装備が降ってきてから感覚が麻痺しているが、そもそも普通の人間は願うだけで物理法則を無視した物事を引き起こすことは出来ない」
まあ、そりゃあそうだ
「もちろん、装備を使うことでその原則を捻じ曲げることは出来るかもしれないが、そもそもその装備自体がライアンの持つ聖杯から派生したものだ」
「つまり、今までの話の中であの聖杯だけが明らかに異常な存在ということになる」
「もしかしたら、本当にただあの聖杯が特殊なだけなのかもしれない」
「だが、俺にはそうは思えない」
「俺は、聖杯だけでなくライアン本人も俺達の理から外れた存在であると考えるべきだと思う」
そこまでゆっくり話した後、城崎は一旦言葉を止める
「つまり、僕たちは装備によってこの世界の理から外れた存在になったけど、そもそもその装備を作り出したのがライアンだ。だから、ライアンはもとから理を外れた存在だった、っていうこと?」
「俺が言いたいのはそういうことだ」
う~ん……
「ちょっと気になることが有るんだけどさ……」
「言ってみろ」
そう言われたので僕は話し始める
「だとしたら、あの聖杯を手に入れた話も嘘ってことだよね?」
「そうだな」
城崎は答える
「でもさ、そもそもあの話は僕たちが聞いても無いのにライアンが勝手に話しだしたんだよ?なんでそんな話で嘘をつくの?その辺りが僕には分からないんだけど……」
城崎はため息をつく
「え?何?……もしかして、僕また的はずれなことを言っちゃってた?」
「いや、そういうわけじゃない」
あ、違うんだ
今まで城崎が僕の前でため息を付くときは大抵僕に呆れているときだったから、勘違いしちゃうところだった
「そのことについては俺も正直頭を抱えている。いくら考えても『単に話したかったから』以外の理由が見つからなくてな……」
城崎もその辺りはわからないのか……
「あいつの性格が俺たちの見た通りならそれで正解なんだが……そこも演技が入っている可能性があることを考えるとな……」
そう言ってまた考え出す
「……ねぇ、もう考えるのが面倒くさいからさ、ライアンの本体が何なのかを考えるよりもあいつを殺しにいった方が早いんじゃないの?」
「それは否定できないな……」
城崎もそんなことを言ってしまう
「じゃあさ、まずはライアンの本体の場所よりもあの巨人を対策しよう?結局復活できるんだとしても巨人をどうにかすれば後は消化試合みたいなものでしょ?最悪他の国の軍に頼んで生身の人間相手にミサイルを撃ち込んでもらっても良いと思うし」
僕がそう言うと、城崎も納得してくれたのか態度を変える
「そうだな。そうするのが早そうだ」
城崎はそう言うと早速部屋を出る
「もう動くの?」
「事態は一刻を争うんだ。立ち止まってる時間は一秒も無いぞ」
そのまま何処かに電話をかけながら官邸に止まっている一台の車に乗る
「お前も乗れ。神柱」
そう言われたので僕は車の中に入った
「僕は一応車がなくても結構高速で移動できるんだけど、それでも乗っちゃって良いのかな?」
「別に構わん。一人だろうが二人だろうが車で運べば大した違いは無い。それとも、歩きたいのか?」
「いや、そういう訳じゃ無いんだけど……」
僕が乗ったときに運転手さんがちょっと嫌そうな顔をしたからそこが気になった、と言い出すことは出来なかった
――――――――――――――――――――――――――
「お、車、来たみたいだぜ」
「あ、本当ですね」
僕達が海辺で巨人の動向を見ながら少しゆっくりしていると、偉い人が来るという話が来た
そこから少しだけ巨人への警戒を強めて暫く待っていると、その人達らしき車がやってきた
「よ~し、みなさ~ん。そこ、駐車スペースだから退いてくださいね~」
「そうだぞ。あんまり偉い人に対して迷惑をかけんなよ」
僕たちがそう言うと、駐車場でたむろしていた人達はダラダラとその場を動き始めた
ちょうどその人達が粗方出ていったくらいのタイミングで暫定官房長官の人の乗る車がやってきた
(一応は国のトップな人がこんな風に前線に出てくるのって大丈夫なのかな……?)
僕の心配を余所に、出てきた人がこう喋った
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