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心配
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「……アレン様アレン様。そんなにずっと見つめられちゃったらボク照れちゃいます。そりゃあいつまでもずっとずっと僕を見てほしいんですけどね?」
「えっ……。ごめんね!そんなにいっぱい見てた?」
「朝から今までずっと見つめられ続けてもう恥ずかしいやら嬉しいやらで……。」
「あっごめんね他意はないんだよ!」
「えっ。」
アレンシカは気がついたら登校してから今までずっとエイリークを見続けていたようだ。エイリークに言われるまでは全く気が付かなかった。
あれから、考える度にエイリークを見てしまう。
エイリークは天啓で何を見たのだろう。自分が見たのは王子とエイリークが寄り添いながら婚約破棄を告げた未来だ。
それならば当のエイリークは?そう考えると夜も眠れず、少しでも何か天啓に繋がる素振りがないかとずっと観察をしていた。
まさかエイリークに天啓を問うことは出来ない。それはマナー違反もマナー違反。それでもはしたないことだと、良くないことだとは分かっている。天啓の内容を知ろうなんて、いけないことなのに。……殿下の天啓も知らないからってエイリークの天啓を知ろうとするなんて。
心の中で自分に平手打ちして、自分を諌めた。
「アレン様、もしかして……。」
「ん?」
「テストが不安なんですか?」
エイリークがとても澄んだ目をするから、見透かされた質問でもされるのかと思って、肩が上がった。
「大丈夫ですよ!アレン様!アレン様は普段の授業も素晴らしいですし、僕にも丁寧に教えてくれるじゃないですか!なんにも心配することなんてないですよ!」
確かに幼少期から第二王子に恥じないように勉強は特に頑張っている。
家柄と立場故に当たり前だと言われることもあるが、素直にそう言ってくれるエイリークの言葉は嬉しい。思わず笑みが溢れる。
とりあえず今だけはそんな悩みは置いておいて勉強に専念する方が先決か。
教室で少しだけ先程の授業の確認をしていたが、図書館に移動することにして立ち上がると、エイリークは、あ!と思い出したように言った。
「今日もまた先生に聞いてきたいんです!また図書館で落ち合いましょ!」というエイリークに返事をするとその場でエイリークと分かれた。
図書館に行く前に庭園のベンチで休む。
テスト期間中はクラブ活動は停止なので、ここには誰もいない。
いつもは活動日以外は持ち回りで水やりをするがテスト期間中は勉強が本分だと水やりは用務員が代わりにやってしまう為、花壇にいられる時間はあまりない。
アレンシカは久しぶりに見た花壇を見ながら、考える。
やっぱり分かっていても、ひとりになってしまうとまた蓋をしていた悩みが蓋を持ち上げ飛び出て来る。
分かっている。そんなこといつまでも考えていたってエイリークに失礼でとてもマナーの悪いことなのだと。
それなのに考えたくて、聞きたくてたまらない。かと言って聞けない。
どうすればいいのか、アレンシカは膝を抱えた。
「アレンシカ様ー。」
急に影がかかった。
エイリークが来たのかとパッと顔を上げるとそこにはプリムの顔がひっくり返っていた。
「わ!」
突然現れた顔に驚く。
プリムは背後からアレンシカの顔を覗き込んで来たので、アレンシカはプリムの方向に向き直った。
「プリム、どうしたの?」
「んー。なんかなんとなく来てみただけっていうか?そんな感じですよー私はー。」
「そうなの?」
「はい。」
キャンプが終わってからブリムはこちらをチラチラと見て、こうしてエイリークがいなくなった時にチョロチョロとアレンシカに近づくことがあった。
もっともエイリークがあまりアレンシカのそばから離れないので頻度は少ないが。
プリムは特に用はないと言いつつもアレンシカの横にちょこんと座ると何故かじーっとアレンシカを見つめる。
「プリム?」
「うーん。勉強、うまくいかないんです?」
「え?」
「んーと、なんかそんな話が聞こえただけです。」
ここは庭園で、その話をしていたのは教室だ。その教室での話をプリムは聞いていたらしい。
どことなく素っ気ない雰囲気は出しているものの、わざわざここに来てついてきてまで心配してくれているのかなと思ったアレンシカはなんとなく目の前にあった頭を撫でてしまった。
「わ!わ……!何しますかー!」
「あ、ごめんね。なんか、撫でちゃった……。」
「もー!もー!なんかじゃないですもー!」
プリムは文句を言いながら少しだけ乱れた髪をササッと元に戻した。
「こんなの、見られたらどうするんですかまったくもー。」
「うーんごめんね。本当につい。」
「……まー別にいいですけどねー。うん。もう別に怖くないですし。」
不思議なことを言いながらプリムはアレンシカの手をとった。
「うん?」
「お返しですー。ただのお返しですー。やり返しただけなんですー。」
そのままアレンシカの手をまた自分の頭の上に持っていく。
「特別ですよー。特別なんですよー。」
アレンシカの手はプリムの頭の上のまま。撫でていいんだろうか。
よく期待するような目で見てくる。そのままでなんだかワクワクした様子だったから再び頭を撫でた。
「えっへっへー。」
ひとしきり撫でた後プリムは満足したのかパッと立ち上がってそのまま離れていく。
「えっへー。自慢しちゃお自慢しちゃお。じゃーねーアレンシカ様ー。」
どんどん小さくなっていくプリムに呆気に取られる。
プリムの行動はアレンシカにはよく分からなかった。
ただその場から去っていくプリムはなんだか楽しそうだった。
「えっ……。ごめんね!そんなにいっぱい見てた?」
「朝から今までずっと見つめられ続けてもう恥ずかしいやら嬉しいやらで……。」
「あっごめんね他意はないんだよ!」
「えっ。」
アレンシカは気がついたら登校してから今までずっとエイリークを見続けていたようだ。エイリークに言われるまでは全く気が付かなかった。
あれから、考える度にエイリークを見てしまう。
エイリークは天啓で何を見たのだろう。自分が見たのは王子とエイリークが寄り添いながら婚約破棄を告げた未来だ。
それならば当のエイリークは?そう考えると夜も眠れず、少しでも何か天啓に繋がる素振りがないかとずっと観察をしていた。
まさかエイリークに天啓を問うことは出来ない。それはマナー違反もマナー違反。それでもはしたないことだと、良くないことだとは分かっている。天啓の内容を知ろうなんて、いけないことなのに。……殿下の天啓も知らないからってエイリークの天啓を知ろうとするなんて。
心の中で自分に平手打ちして、自分を諌めた。
「アレン様、もしかして……。」
「ん?」
「テストが不安なんですか?」
エイリークがとても澄んだ目をするから、見透かされた質問でもされるのかと思って、肩が上がった。
「大丈夫ですよ!アレン様!アレン様は普段の授業も素晴らしいですし、僕にも丁寧に教えてくれるじゃないですか!なんにも心配することなんてないですよ!」
確かに幼少期から第二王子に恥じないように勉強は特に頑張っている。
家柄と立場故に当たり前だと言われることもあるが、素直にそう言ってくれるエイリークの言葉は嬉しい。思わず笑みが溢れる。
とりあえず今だけはそんな悩みは置いておいて勉強に専念する方が先決か。
教室で少しだけ先程の授業の確認をしていたが、図書館に移動することにして立ち上がると、エイリークは、あ!と思い出したように言った。
「今日もまた先生に聞いてきたいんです!また図書館で落ち合いましょ!」というエイリークに返事をするとその場でエイリークと分かれた。
図書館に行く前に庭園のベンチで休む。
テスト期間中はクラブ活動は停止なので、ここには誰もいない。
いつもは活動日以外は持ち回りで水やりをするがテスト期間中は勉強が本分だと水やりは用務員が代わりにやってしまう為、花壇にいられる時間はあまりない。
アレンシカは久しぶりに見た花壇を見ながら、考える。
やっぱり分かっていても、ひとりになってしまうとまた蓋をしていた悩みが蓋を持ち上げ飛び出て来る。
分かっている。そんなこといつまでも考えていたってエイリークに失礼でとてもマナーの悪いことなのだと。
それなのに考えたくて、聞きたくてたまらない。かと言って聞けない。
どうすればいいのか、アレンシカは膝を抱えた。
「アレンシカ様ー。」
急に影がかかった。
エイリークが来たのかとパッと顔を上げるとそこにはプリムの顔がひっくり返っていた。
「わ!」
突然現れた顔に驚く。
プリムは背後からアレンシカの顔を覗き込んで来たので、アレンシカはプリムの方向に向き直った。
「プリム、どうしたの?」
「んー。なんかなんとなく来てみただけっていうか?そんな感じですよー私はー。」
「そうなの?」
「はい。」
キャンプが終わってからブリムはこちらをチラチラと見て、こうしてエイリークがいなくなった時にチョロチョロとアレンシカに近づくことがあった。
もっともエイリークがあまりアレンシカのそばから離れないので頻度は少ないが。
プリムは特に用はないと言いつつもアレンシカの横にちょこんと座ると何故かじーっとアレンシカを見つめる。
「プリム?」
「うーん。勉強、うまくいかないんです?」
「え?」
「んーと、なんかそんな話が聞こえただけです。」
ここは庭園で、その話をしていたのは教室だ。その教室での話をプリムは聞いていたらしい。
どことなく素っ気ない雰囲気は出しているものの、わざわざここに来てついてきてまで心配してくれているのかなと思ったアレンシカはなんとなく目の前にあった頭を撫でてしまった。
「わ!わ……!何しますかー!」
「あ、ごめんね。なんか、撫でちゃった……。」
「もー!もー!なんかじゃないですもー!」
プリムは文句を言いながら少しだけ乱れた髪をササッと元に戻した。
「こんなの、見られたらどうするんですかまったくもー。」
「うーんごめんね。本当につい。」
「……まー別にいいですけどねー。うん。もう別に怖くないですし。」
不思議なことを言いながらプリムはアレンシカの手をとった。
「うん?」
「お返しですー。ただのお返しですー。やり返しただけなんですー。」
そのままアレンシカの手をまた自分の頭の上に持っていく。
「特別ですよー。特別なんですよー。」
アレンシカの手はプリムの頭の上のまま。撫でていいんだろうか。
よく期待するような目で見てくる。そのままでなんだかワクワクした様子だったから再び頭を撫でた。
「えっへっへー。」
ひとしきり撫でた後プリムは満足したのかパッと立ち上がってそのまま離れていく。
「えっへー。自慢しちゃお自慢しちゃお。じゃーねーアレンシカ様ー。」
どんどん小さくなっていくプリムに呆気に取られる。
プリムの行動はアレンシカにはよく分からなかった。
ただその場から去っていくプリムはなんだか楽しそうだった。
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