32 / 80
恋愛偏差値
しおりを挟む常日頃から尾上さんにはプレゼントが届くのだろうか。
アタシの持ってきた物は、仕事の資料であってプレゼントではない。
きちんと説明しなくては。
口を開こうとしたら、先に言葉が耳に届いた。
「おっ渡辺、悪いな」
振り返ると、きちんとスーツを纏った尾上さんが立っていた。
はっきりと先程の女性の態度も柔らかくなる。
「早いほうがいいかとお持ちしました」
「俺が言い出したことだから取りに行ったのに。悪かったね」
紙袋を覗いて、ファイルに気づくと「これは」と首を傾げた。
「それはアタシからのおまけです。ここ一、二ケ月くらいですが高遠さんについての資料になればと思って」
ファイルにまとめたものは、ホームページからの経歴のコピーや最近掲載された雑誌の記事、舞台のチラシやパンフレットまでに及ぶ。尾上さんは、ぱらぱらとめくって感嘆の声をあげた。
「渡辺がファンだったなんて知らなかったよ」
「ファンだなんて程じゃありませんよ。つい最近目覚めちゃいましたから」
「ありがとな。助かる」
くったくのない笑顔をむけて、アタシの頭をわしわしと撫でていった。
「もう頭やめてください。朝から髪が乱れちゃいます」
きょとんとした顔でアタシを見てから、尾上さんはふっと笑った。
「お前、恋愛経験ないだろ」
その言葉ばザクリと胸に刺さった。
「なにをいきなり…」
「ピンク色の色気がなかった。小学生レベル…いや今は保育園の子だってチューするからな」
品定めするようにアタシを見る。
「だから高遠なのか」
0
あなたにおすすめの小説
強引な初彼と10年ぶりの再会
矢簑芽衣
恋愛
葛城ほのかは、高校生の時に初めて付き合った彼氏・高坂玲からキスをされて逃げ出した過去がある。高坂とはそれっきりになってしまい、以来誰とも付き合うことなくほのかは26歳になっていた。そんなある日、ほのかの職場に高坂がやって来る。10年ぶりに再会する2人。高坂はほのかを翻弄していく……。
恋は、やさしく
美凪ましろ
恋愛
失恋したばかりの彼女はひょんなことから新橋の街中で上司にお姫様抱っこされ……!? ――俺様な美形上司と彼女とのじんわりとした恋物語。
性描写の入る章には*マークをつけています。
触れる指先 偽りの恋
萩野詩音
恋愛
武井夏穂は、お人よしな性格が玉にキズなカフェ店員。
ある日、常連のお客様のトラブルに遭遇し、とっさに彼を手助けしたところ、そのまま「恋人のふり」をすることになって――。
<登場人物>
武井夏穂(たけい かほ)28歳 カフェ店員
×
貴島春樹(きじま はるき)35歳 エリートサラリーマン
『本当の自分』を受け入れてくれるひとに、出会えたかもしれない。
かりそめ婚のはずなのに、旦那様が甘すぎて困ります ~せっかちな社長は、最短ルートで最愛を囲う~
入海月子
恋愛
セレブの街のブティックG.rowで働く西原望晴(にしはらみはる)は、IT企業社長の由井拓斗(ゆいたくと)の私服のコーディネートをしている。彼のファッションセンスが壊滅的だからだ。
ただの客だったはずなのに、彼といきなりの同居。そして、親を安心させるために入籍することに。
拓斗のほうも結婚圧力がわずらわしかったから、ちょうどいいと言う。
書類上の夫婦と思ったのに、なぜか拓斗は甘々で――。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる