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恋愛偏差値
しおりを挟む常日頃から尾上さんにはプレゼントが届くのだろうか。
アタシの持ってきた物は、仕事の資料であってプレゼントではない。
きちんと説明しなくては。
口を開こうとしたら、先に言葉が耳に届いた。
「おっ渡辺、悪いな」
振り返ると、きちんとスーツを纏った尾上さんが立っていた。
はっきりと先程の女性の態度も柔らかくなる。
「早いほうがいいかとお持ちしました」
「俺が言い出したことだから取りに行ったのに。悪かったね」
紙袋を覗いて、ファイルに気づくと「これは」と首を傾げた。
「それはアタシからのおまけです。ここ一、二ケ月くらいですが高遠さんについての資料になればと思って」
ファイルにまとめたものは、ホームページからの経歴のコピーや最近掲載された雑誌の記事、舞台のチラシやパンフレットまでに及ぶ。尾上さんは、ぱらぱらとめくって感嘆の声をあげた。
「渡辺がファンだったなんて知らなかったよ」
「ファンだなんて程じゃありませんよ。つい最近目覚めちゃいましたから」
「ありがとな。助かる」
くったくのない笑顔をむけて、アタシの頭をわしわしと撫でていった。
「もう頭やめてください。朝から髪が乱れちゃいます」
きょとんとした顔でアタシを見てから、尾上さんはふっと笑った。
「お前、恋愛経験ないだろ」
その言葉ばザクリと胸に刺さった。
「なにをいきなり…」
「ピンク色の色気がなかった。小学生レベル…いや今は保育園の子だってチューするからな」
品定めするようにアタシを見る。
「だから高遠なのか」
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