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第1章 護衛騎士は交易の要の街に行く
護衛騎士は揚げ饅頭を食べる
しおりを挟む「え、いやいやいやいやいやいやいやいやいや!いいです!!俺はそんなつもりで買ってきてませんから!!」
「そうはいきませんわ!ちゃんとお金は払います」
「いえいえいえ!いらないです!!」
方や揚げ饅頭を片手に後退する騎士、方や銅貨を片手にじりじり距離を詰めて来る幼女。
「元々殿…お嬢様が食べるかなって買ったものなのでそのまま食べてください!!!」
そう一息に言い切ると、ぴたりと殿下の動きが止まり不思議そうに俺を見て
「何もいらないの…?」
ぽつりとそう言いました。大きなエメラルドの瞳を更に大きくしてかなり驚いてました。何故に…
俺は全力で首を縦に振り、殿下の前に膝を折り揚げ饅頭を袋ごと差し出す。
「対価は要りませんので存分に食べてください」
そっと袋ごと受け取った殿下はまだ不思議そうに俺を見てますが、俺が立ち上がるとハッとしたように小さく
「ありがとう、シャーロットちゃん」
といいました。で…お嬢様は嬉しそうな照れた様なそんな顔をしてます。
まあ俺もだけど。
「いえ、あの、一応もう一度言いますが俺の名前はシャーロッk「それじゃあ向こうの広場で休憩しつつ食べようか」
と今まで黙ってなりゆきを見ていた侍女が割り込んできた。
殿下を連れて広場に向かっていく後ろを見送ると、殿下がこちらを向いて
「シャーロットちゃん置いていきますわよ」
と声を掛けられ慌てて追いかける。
追いつくと大きな噴水があるこの広場には休憩場所としての椅子があり、そこに二人が座っていました。
真ん中に殿下、向かって右に侍女が座っていて殿下がちょいちょいと左側を指差しているので左端にちょっと失礼しました。
殿下がとっても楽しそうな顔をしている気がします。
ごそごそと揚げ饅頭の袋に手を入れて、ひとつを俺に、もうひとつは侍女に其々渡し、そして最後のひとつを手に取り嬉しそうにそして美味しそうに食べてました。
そんな顔もするんですね、初めて見ました。
今日は笑顔も含め殿下の表情を沢山見た気がします。
いつも俺の襲撃に嫌そうな顔をしてるか貼り付けた様な笑顔ばっかりだったので…。
各々もくもくと食べ、ひと段落したところで侍女が殿下の手をポケットから出したハンカチで綺麗にしながら聞き込みの成果を話し出した。
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