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第1章 護衛騎士は交易の要の街に行く

護衛騎士戸惑う

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「そうと決まれば急いで諸々の準備を整えてきます。姫様は如何されますか?」



「先にポルティナ邸に行きますので準備が終わったら合流しましょう」



「承知しました」



    返事と同時にポケットにハンカチをしまった侍女が全速力で自邸の方に走って行きました。めちゃめちゃ砂煙すごいけど前見えてるのかなあれ…



「ではシャーロットちゃん、一緒に行きましょう」



「え、俺一緒で良いんですか?」



    いままでというかこの旅の間、一度も聞いたことないことを言われたので思わず聞き返しちゃいました。



や、当然言われなくてもこっそり陰ながら付いて行くつもりつもりではあったけどまさかまさかの


『一緒に行こう』


と言われる日が来るとは…
 


俺がそう言うと、殿下は歩き出そうとしていた右足を空中でぴたりと動きを止め、そのまま固まってしまった。



「「……………」」



えっと、殿下大丈夫ですか…息してますか…



固まった体勢のままの殿下がぎぎぎぎと音がしそうな程ゆっくりと首だけをこちらに向け、



「ツイテクルナライッショデモカマイマセンデショウ?」



とかなりカタコトで言い終わると小走りで駆けて行く。



あ、置いてかれる前に追いつかねば!



「待って下さいよで…じゃなくてお嬢様―!」



幼女とは思えない脚力で走っていく殿下を追って突如始まった追いかけっこは目的地のポルティナ邸近くまで続いた。


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