上 下
10 / 10

7.5

しおりを挟む


─「今日のデザートに別に特別な意味なんて無いんですよ!」



と言って普段は出てこないとっても甘い僕の大好物のケーキにそれに合わせたちょっと渋めに入れた紅茶を持ってきてくれたユーナ。



    そんな僕の大好きな激甘ケーキを、ユーナが頑張って、頑張って頑張って1口を飲み込むのを眺めてそれをオカズに自分の分を残さず平らげた。



あ、もちろんユーナの残した分もその後ぺろりと食べた。



    僕の誕生日以外で初めてのケーキこれに彼女の気持ちの変化があるのだと思うと嬉しくてしょうがない。



やっと、やっとユーナが僕の事を愛してくれた。そう思った。素直じゃないのは昔からだからお見通し。





    幼い頃に、賢くて行動力があってちょっと意地っ張りの彼女にどっぷり嵌り。いつの間やらすっかり惚れ込み、なんとか彼女と彼女の父親に気に入られる様に立ち回って漸く仮婚約まで漕ぎ着けた所で何処ぞの馬の骨に彼女を強引に掠め取られた。



彼女の周りには気をつけていたが父親を泣き脅して無理矢理婚約されるとは思いもしなかった。



“僕”の事を知っていての暴挙か、それともただの無知なのか。



答えは後者だった。それも特大の無知で無礼者。



なんせ初対面の僕に向かって



「あの女は俺の婚約者だ。誑かすのはやめてくれ」



と言い、呆気に取られている間に男は居なくなっていた。



    サンドリア伯爵家の三男はまともに社交に参加していないのは周知の事実(常に下町で遊び歩いている)だったがなんというか…公爵家の人間という驕りがあった自分を反省出来た。うん。良い経験だった。



そんな男にユーナをかっさらわれた僕だが、勿論諦める筈も無く彼女の為にせっせとあの男の噂を集め始めた。



    そして驚きと呆れ一種の尊敬(軽蔑ともいう)の念を抱いた。



こんな男に僕のユーナがかっ拐われたのかと。



そこから僕の行動は早かった。



    まずユーナにあのクズ三男坊の噂を人伝に伝わる様に細工をして億が一にも彼女が惚れてしまうのを回避しておき、並行してあの男がどれほど婿として不適格かを父方の叔父(別名国王陛下)と母方の叔父(別名ユーナの父であるナイトレイ伯爵)に訴えた。



そしてほぼ同時期にユーナから素行調査報告書なるものが提出されており(ちなみに僕が調べた物より更に詳細が書いてあった)これを読んだ叔父達はサンドリア伯爵を呼び付け無事にユーナの婚約は解消された。



ユーナの詳細な報告書が決め手だったとのこと。流石



    もちろんその場で叔父達に僕との新しい婚約も結ばせて貰い、晴れて僕とユーナは結婚した。



翌日ユーナにプロポーズして今に至る。



まあ彼女とあの男の婚約期間この間は情報収集でユーナに会えなかったけど、先の為に1ヶ月半会えなくても我慢に我慢した。



ちょっとあの男を諸々の刑で捕縛する時にはさせて貰った。何にしてもいい経験だったよね?



    まあそんな過ぎた過去の事はもう良い。あの苦労が報われて今とても幸せだから。



甘いケーキで胸焼け気味でゲッソリしているユーナはとても可愛いし、これから色んな表情の彼女を見て歳を重ねていけるし愛し愛されていける。



幸せだ。間違いなく僕はこの世で世界一幸せな男だ。愛してるよユーナ 
 






HappyEND?

 





──────────────────────

 この度は長々とお付き合い頂きありがとうございました。

かなり間を空けてしまいましたが最後までお付き合い誠にありがとうございました。

このお話はこれにて終わりになります。




実はこの話私の両親が元ネタでして…ヤバい奴が父親です!!!←

事実は小説よりも奇なり

別れないと我が家の完成です。



どうしてもこのもやもやを文として表現したかったのが始まりでした。





 重ね重ねお付き合い頂きありがとうございました!

他作品の執筆も頑張って行きますのでそちらもどうぞ宜しくお願い致します!
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...