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20>> 乖離
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「違うっ!!
違う……っ、ただ……」
ルナリアの責めるような言葉にロッチェンは困ってしまう。
お飾りにするつもりはないが『ルナリアは何もしなくていいよ』と思っていたのは事実なので強く否定もできないのだ。
アリーチェがおかしな事を言い出さなければルナリアも『遊んで暮らせる』事を喜んで受け入れたはずなのに、アリーチェがルナリアを馬鹿にした言い方をした所為でルナリアはプライドを傷付けられて怒っている。そこに『遊んで暮らしていいんだよ』と伝えたところでその言葉は言葉通りの意味には取られないだろう。
甘い言葉は逆から見れば単純に馬鹿にしている様にしか聞こえない。『お前にはできないんだから何もするな』と言われて喜ぶ人はあまり居ないだろう。そしてルナリアはプライドが高い。そんなルナリアになんと伝え直せばいいのか、ロッチェンには分からなくなってしまった。
ただわたわたとするロッチェンに痺れを切らしたのかサバサがルナリアに向き合って口を開いた。
「アリーチェは既に旦那様の仕事を手伝っているのだから、アリーチェがこのまま仕事をしていれば貴女の負担も減るでしょう?!」
ルナリアに『貴女の為なのよ』と伝える為に言葉を発したその言葉を、アリーチェはまた正しい言葉に言い換える。
「ルナリアにはどうせ当主の仕事はできない、ですって」
「「アリーチェ!!」」
その小馬鹿にした言い方に両親は揃って非難する。しかしアリーチェはさも正しい主張だと言わんばかりの態度で続ける。
「わたくしがちゃんとしたお父様の娘なら、わたくしが当主の仕事をするならルナリアは要らないでしょう。
そして、わたくしがお父様の血を引いていないのなら、今度は王家への偽申告として然るべきところに訴えねばなりませんね。
そうなったらお母様はどんな罰を受けるかしら?」
アリーチェが目を据わらせて言い出した言葉にロッチェンは動揺した。
「偽申告など……っ」
しかし畳み掛けられた言葉の波に頭は混乱していてその言葉を強く否定する事もできない。ロッチェンの心に引っ掛かってしまった疑心を取り払う完璧な答えなど今は無いのだ。
そんな夫の反応にサバサはショックを受けた。馬鹿なことを言うなと一蹴するところで戸惑いを見せた夫に、サバサは我慢できなかった。
「あぁもうっ!! 頭がおかしくなりそうっ……!
わたくしは旦那様しか知りませんっ!! 貴女の歪んだ妄想など話さないでっ!!!」
ヒステリックに騒ぐ母親にアリーチェはどこまでも冷たかった。
「わたくしだってこんな事を言いたくありませんわ。
でも言わなければ、わたくしはこの家に奴隷のように繋ぎ止められそうなのですもの。もう手段は選んでいられません」
「奴隷などと……」
あんまりな例えにロッチェンはショックを受ける。その横でサバサは怒りのままに騒いだ。
「ならもうさっさと出て行きなさい!!
貴女など……っ、貴女など生まなければ良かったっ!!!」
「サバサっ!!」
妻の言葉にロッチェンは青褪めた。
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「違うっ!!
違う……っ、ただ……」
ルナリアの責めるような言葉にロッチェンは困ってしまう。
お飾りにするつもりはないが『ルナリアは何もしなくていいよ』と思っていたのは事実なので強く否定もできないのだ。
アリーチェがおかしな事を言い出さなければルナリアも『遊んで暮らせる』事を喜んで受け入れたはずなのに、アリーチェがルナリアを馬鹿にした言い方をした所為でルナリアはプライドを傷付けられて怒っている。そこに『遊んで暮らしていいんだよ』と伝えたところでその言葉は言葉通りの意味には取られないだろう。
甘い言葉は逆から見れば単純に馬鹿にしている様にしか聞こえない。『お前にはできないんだから何もするな』と言われて喜ぶ人はあまり居ないだろう。そしてルナリアはプライドが高い。そんなルナリアになんと伝え直せばいいのか、ロッチェンには分からなくなってしまった。
ただわたわたとするロッチェンに痺れを切らしたのかサバサがルナリアに向き合って口を開いた。
「アリーチェは既に旦那様の仕事を手伝っているのだから、アリーチェがこのまま仕事をしていれば貴女の負担も減るでしょう?!」
ルナリアに『貴女の為なのよ』と伝える為に言葉を発したその言葉を、アリーチェはまた正しい言葉に言い換える。
「ルナリアにはどうせ当主の仕事はできない、ですって」
「「アリーチェ!!」」
その小馬鹿にした言い方に両親は揃って非難する。しかしアリーチェはさも正しい主張だと言わんばかりの態度で続ける。
「わたくしがちゃんとしたお父様の娘なら、わたくしが当主の仕事をするならルナリアは要らないでしょう。
そして、わたくしがお父様の血を引いていないのなら、今度は王家への偽申告として然るべきところに訴えねばなりませんね。
そうなったらお母様はどんな罰を受けるかしら?」
アリーチェが目を据わらせて言い出した言葉にロッチェンは動揺した。
「偽申告など……っ」
しかし畳み掛けられた言葉の波に頭は混乱していてその言葉を強く否定する事もできない。ロッチェンの心に引っ掛かってしまった疑心を取り払う完璧な答えなど今は無いのだ。
そんな夫の反応にサバサはショックを受けた。馬鹿なことを言うなと一蹴するところで戸惑いを見せた夫に、サバサは我慢できなかった。
「あぁもうっ!! 頭がおかしくなりそうっ……!
わたくしは旦那様しか知りませんっ!! 貴女の歪んだ妄想など話さないでっ!!!」
ヒステリックに騒ぐ母親にアリーチェはどこまでも冷たかった。
「わたくしだってこんな事を言いたくありませんわ。
でも言わなければ、わたくしはこの家に奴隷のように繋ぎ止められそうなのですもの。もう手段は選んでいられません」
「奴隷などと……」
あんまりな例えにロッチェンはショックを受ける。その横でサバサは怒りのままに騒いだ。
「ならもうさっさと出て行きなさい!!
貴女など……っ、貴女など生まなければ良かったっ!!!」
「サバサっ!!」
妻の言葉にロッチェンは青褪めた。
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