王子様を放送します

竹 美津

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本編

なわとび

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メルラはあれから、夜にもかかわらず王妃が王宮付きの医者を呼んでくれ、診てもらったそうだ。

「更年期?に、詳しいお医者様を紹介してくださるそうですし、お話しもして、気持ちが安心する、お薬も頂いたんです。私、母が早くに逝ったものですから、ある年齢になってくると女性に嵐が沸き起こる事がある、なんて聞ける人がいなかったです。」
だから、マリコ様とお話しさせてもらって、良かった。随分と気持ちが柔らぎました。
しみじみと話した。

竜樹達もあれから、更年期についての情報をスマホで検索して、対処法を学んだ。付け焼き刃だが、知らないよりはいい。そして、男性にも更年期があると知って震え上がった。

「ストレス、嫌な緊張状態がずっと続くの、ダメだね!美味しく楽しくご飯を食べて、運動もして、休む時は休み、ホワイトなチームでやっていきたいと思います!」

うんうんうん。

「メルラさんもルディさんも来てくれてありがとう。ニリヤもご挨拶だよ。」
「ニリヤです。こにちわ。」
「わ、私はチリでーす。テレビ番組制作の、技術担当でーす。」

チリは、もはや竜樹達の部屋に泊まり込んでいる。ソファが寝床。ふかふかで、毛布もあって、快適だ。

「テレビが普及したら、更年期とかの情報も、情報番組でやったら良いのかもしれないなぁ。メルラさんみたいに、経験者が身近にいなかったり、いても職場で聞く雰囲気じゃなかったりして、情報が入ってこない人もいるかも。」
「それは、凄くありがたいと思います。私も、先輩方はいたし、聞けば教えてくれたと思うのですけど、勇気が出なくて。今となれば、早く聞いておくんだったと思うのです。」

なかなかプライベート、話せないこともあるよね。

「メルラは、ニリヤ様の事で、凄くイライラしてたんです。それが解決して、良かったなと思っていたのですが、元気がなかなか出なくて。私も、メルラの悩み事を、今回知れて良かった。それに、ニリヤ様の、お力になれる、お仕えできるのも、嬉しいんです。」
ルディが、ニリヤを、目を細めじっと見る。

「私も、何かしたかった。自分達だけで終わるんじゃない、何かのお手伝いを、してみたかったんです。だから、ニリヤ様のお話しがきて、嬉しかったです。」

「おかしのじじょさんと、ごえいのひと?」
「メルラとお呼び下さい。」
「私も、よろしければルディと。」

「めるらと、るでぃ。いっしょ、いてくれるの?みんな、いっぱい、いっしょね?」

ニリヤは、ルディの手をぎゅ、ぎゅ、と握ると、照れて、竜樹の後ろに隠れた。
ルディも照れて、ふ、と笑った。

「賑やかで良いなぁ。」
竜樹はニリヤの頭を、ワシワシ撫でた。

「あとは音楽か。王妃様の紹介待ちだなー。」



「ふっふふんふんふ、ふーん♪」

時間があるから、遊ぼうか。
いつまでに、これをやらなければ、と決まった仕事のない竜樹達は、庭に出ていた。長い縄をもらって、縄跳び。
ニリヤは、初めて縄跳びするので、1人用の短く切ったので、パッタンこ、パッタンこ、縄をまわしては前に進み、前に進みしている。長縄跳びするぞー、竜樹がみんなを集め、チリとタカラが大きく縄を回す。
スマホで音楽を流してノリつつ、たん、たん、たん、と回る縄に入っていく。

「うわあ!すごい!はいった!」

ニリヤもおいでー。
ゆっくり、ゆーっくり回して、せー、のー、でー。

ぴょん。 ピョコ。 ぴょん。

「キャハ!ハ、ハハ!」

「縄で、こんな事、できるん、だな!」

1人でストイックにピュンピュン飛んでいるマルサ。顔はボクサーの特訓だが、口がニマっとしている。
身体動かすの、気持ちいいよね。
ミランが長縄跳びにカメラ回しながら入ろうとして、びたんと縄が顔面に当たった。

「あ~面白かった。」
ポッチリ、スマホの音楽を切る。

「音止めちゃうの?もっとその板で、音楽を鳴らしてくれないかい?」

ん?

にこにこした、プラチナアッシュの髪色をした、夢みるようなおっとり垂れ目のおじさまが、ベンチに座ってこちらを、見ていた。頬に手を当て、上気した様子で。

「不思議だね、板から聞いたこともない音楽が聞こえてくる。音そのものの質は、ちょっと鋭い感じだけれど、確かにきっかりと聞こえてる。もっと聴きたいな。」


「バラン兄上。いつの間にこちらへ。」
王妃様が紹介して下さるのではなかったのですか。

マルサによれば、この人がバラン・エトワール、王兄なのだと。

「だって、音楽が必要だっていうじゃないか?そうしたら私の出番だろう。王妃様のお手を煩わさなくても、会いに来たよ。」
どこで演奏すれば良いのかな?それとも楽団が必要?何をしたら、その板でもっと音楽聞かせてくれる?

ニコニコ、ワクワク、竜樹の手の中のスマホを覗き込む。

竜樹は動画サイトを開いて、流れるがままに色々な音楽を流してみた。
熱心に見つめ、待って待って、と言うと、先程まで流れていた曲を歌い出した。
朗々と響く、甘い声。

「おうた、じょうずね。」
「リサイタルだな。」

歌いきり、どう?歌えてた?ふふふと腰に腕をやって、ドヤった。

「凄く斬新な曲だね!今までのこの世界に、なかった曲だ。興味深い!もっと聴きたいな。この板くれない?」

「それはダメです。」
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