王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
100 / 702
本編

こーぢねーたー

しおりを挟む

「バレちゃった。」

てへへ、とアルディ王子が舌を出す。

「みんな、楽にして。今日はお忍びだから、どうか普通に接してね。意見が聞きたくて、連れてきてもらったんだ。」

はっ、はい!
獣人3人、それぞれ、キジトラ猫耳オレンジ毛男子「お、おれ、私はパーシモンと言います。」、茶髪獅子耳男子「マロンです。」、金髪に黒毛混じり熊耳女子「ノワールです。」は、恐れ多い、といった風で、縮こまりつつも立ち上がった。

「よく、私のかお、わかったね。」
「はい、テレビ、あの、『みんなの健康』俺たちも観て。ご病気、良くなったですか?」
パーシモンが、眉を下げて聞いてきた。
「この病気は、すぐ治るっていうのじゃないんだ。でも、今までは何も出来なかったけど、こんどは咳出た時は、おさえる魔道具、これができて、だいぶ楽になったの。」首にかけた魔道具を見せる。

そうですかー、よかったー、とうんうん頷き。

「私達、初めてアルディ様のご病気知って。」
ノワールが、ためらいつつも話しかけ。

マロンも。
「俺たち頑丈だから、病気とかよく分かんなかったけど、そういえば故郷に、身体の弱い知り合い、結構いたな、なんて話し合ったりもして。」

「アルディ様のご病気が、よくなって、俺たちの国にも、何かいい事あったら、嬉しいなって。」
「アルディ様が、お試し治療してくださってるの、応援してます。」
「一人でも多く、よくなるといいです。」

「ありがとう!」
アルディ王子は、ふくふくっと尻尾が膨らむのを感じる。嬉しい、嬉しい。
「みんなは、この国に働きに来たの?」

そうです、とパーシモンが言う。
獣人達は、主に身体能力を使って、春から秋までの間、出稼ぎに出る。土建業者や冒険者として、身体が動くうちは外国にも出て働く。歳をとった者や、子供、子持ちの女性、大人しい獣人などが、国内の事を回している。

「俺たち、冒険者やってます。」
「そうなの。この国と友好条約を結んだから、これからも働きやすいといいんだけど。困ってることはない?」

あー。と3人、顔を見合わせて。
「そんなに差別とかはないけど、何か、やっぱり、人と比べると、何でも力任せで、やってみりゃいいじゃん、てなりがちみたいで。」
「人のが弱いから、良く、待って待って、良く考えて、って言われる。合同チーム組む時とか、意見が食い違って、困る事あります。」
「土建の方が、そう言う事でぶつかるの多いみたい。人のが、一回動いてやり直し、とかに体力使うから、慎重だよね。かかる時間と人足で、お金違うって。」

そうなんだ•••。
アルディ王子と、その周りで聞いていた3王子やジェム達は、へえーなるほど、とふむふむ聞いた。竜樹もである。
「故郷にいた時は、ウサギ系獣人のダチとかが、待って待って、って言って説明してた事が、ここに来て何となくわかるようになった気がします。」
「そうだよね。私も、ネズミ獣人の友達に、ノワールちゃんと同じにはできないよ~、って言われてたの、思い出すよ。」

アルディ王子は、そうなんだ、私は弱いと思ってたけど、私だけじゃなくて、獣人だからって、みんながみんな強い訳じゃないんだ。と、認識を新たにする。
「大人しい系の獣人たちは、人の弱さが、わかるんだね。」

「考えたら、大体同じくらいの力のなさですもんね。」
「その代わり、考えたり、細かい事が得意だよねぇ。」
「人もそうだよな。」

「そしたら、大人しい系獣人に、真ん中に入ってもらったら、人と獣人の気持ち、両方、分かるんじゃないかなぁ。」
アルディ王子は、ふと思いついた事を言ってみた。

「すごいな、アルディ王子。コーディネーターだね。真ん中で調整する役。それ、父王様に言ってみたら?」
竜樹が、横からちょろっとアドバイスする。
ひえっ!そのマントの留め具、ギフトの御方様!と獣人3人は、びっくり恐れ入った。

「ごめんごめん、横入りして。でも、なんかいい案に思ったからさ。3人とも、話し慣れた大人しい獣人に説明してもらったら、分かりやすいって思うかい?」
ピャッとしながらも、考えて答えて。
「お、思います!」
「私達の習性なんかも、分かってくれてるし。人に説明するの、興奮してると、その場だと焦って上手く出来なかったりするんです。」
「別に暴力振るうつもりなくても、俺なんか最初から怖がられてるし。」

へえ~。
子供達も、初めて聞く話に、何とも納得である。

「みんな、話してくれてありがとう。きなこ飴、もらっていってね。私、こーぢねーたーの案、お父様に話してみるね。」
「はい、お願いします。」
「そうなったら、助かります。」
「ありがとうございます!」

飴係の小さい子が、3つずつ、きなこ飴を獣人3人組の手のひらに乗せていく。うわー本当にお菓子もらえたぁ、と嬉しそうだ。

それを遠目に見ながら、狐系獣人護衛のクルーが、チッと舌打ちした。
何だよ。あのヒョロイ王子が、何だか生き生きとしてて。冒険者の獣人と仲良く話なんかして。何だかムカつく。
ムダ話してないで、持って帰って食えよ。ここで食うな!

何にムカついているのか、自分でも分からないままに、足で小石を蹴る。

そこに。

シャラン
シャラン

鈴の音がして。

「王子様方、ギフトの御方様、新聞売りの子供達がいる、というのは、こちらでしょうか?」

華やかな、ドレスを纏った一団。

ふわふわのフリルのワンピースを着た、10才位の少女が先頭に花を持って、アンケートとってる子供達と竜樹の顔を窺った。
警護の騎士団が、ピリッと緊張をする。
それを知ってか、近づき過ぎずに、少女と、その後ろの華やかな女性達が、ゆっくりと礼をする。

「本日は、王子様方、ギフトの御方様が、新聞売りの子供達といらっしゃる、そう聞いて、この花街の花、私達一同、お礼に参りました。」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」 「……あぁ、君がアグリア、か」 「それで……、離縁はいつになさいます?」  領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。  両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。  帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。  形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。 ★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます! ※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

処理中です...