王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
106 / 702
本編

みんなで朝ごはん

しおりを挟む

「バラン王兄様。どこから盆踊りの情報を?」

「私の所に、音楽の情報があったら、知らせに来てくれる吟遊詩人達がいるんだよね。オルビット伯爵家の屋敷で、不思議な音楽が聞こえてきた、と知らせがあって。結構、民達の話題になっていたみたいなんだよ。それで、君たち昨日オルビット伯爵家に行ったというから、昨夜遅くに帰ってきたマルサに、詳細聞いて。」
むふふん。得意気な顔しつつ。

「で、ぼんおどりとは?竜樹君?」
「バラン王兄様~教えるから、先に顔洗わせてくだせぇ。朝ごはんも食べさせてくだせぇ~。」タハァ。
竜樹はまだ、朝のトイレさえ行ってないのだ。
子供達が、ムニムニ起き出して、おしっこ行ったり、し始めながら「誰?」という顔をしている。

「うむ!教えてくれるというなら、良いとも良いとも。しばらく待つよ。朝食、私も、もらおうかな?」
「子供達と同じ、簡素なものでよろしければ。一人分くらい大丈夫かな?タカラ~。」
はい、お呼びですか。
早起きタカラとミランは、バラン王兄と一緒に来たらしく、そこに控えていた。ミランは、既にカメラを回しており。
タカラに、食事一人増やす旨連絡してもらって、竜樹と王子達と子供達は、朝の支度。
「ほれほれ、ニリヤ、アルディ王子、ネクター、オランネージュ。起きてください、朝だよ~。」
「ムニ•••あさ•••。」
「•••はっ!ねれた!」
「ふぁ~い。起きるぅ。」
「お、おふぁよう。」

「ジェム達も、起きれたかぁ~。」
ちっちゃい子を、子供同士で起こしたりし合って、竜樹が、「みんな、顔洗うよ~。」と言えば、ちょこちょこくっついてくる者もいたり。
順々に管理人夫婦にも促されて、みんなして顔を洗い、くりくりと顔を拭いて拭かれて、わちゃわちゃと着替える。

「ふふふ。賑やかで、いいね。」
バラン王兄は、子供好きなようである。

炒めたじゃがいもと、ほうれん草。
チーズ1カケにハム2枚。
温めたミルク。
むっしりと割れる雑穀パンを、大人は3個、子供は2個か1個。

「なかなか美味しい朝食じゃないか?」
「王宮の料理人さんが作ってますからね。本当は目玉焼きつけたいんですけど、まぁそれはこれからの目標で。まずは、お腹空かないで3食、食べられるを確実に。栄養も考えて、でね。」
竜樹とバラン王兄は、ワシワシとパンを食べながら話し合う。
ジャムとかバターつけられたら、もっといいかなぁ、などと言い合うが、ジェム達は、ご飯美味しいよ、食べられていい感じ、と笑っている。
少し余分に作ってあるので、余ったのをもう少し食べたい子がもらい、さっぱりと残りを綺麗にする。

キリッと着替えて、仕事に向かうジェム達に、今日は休みの番の子が、手を振って見送る。
「じゃあ、バラン王兄様に盆踊りを教えてあげる人、集まれ~!」
「「「はーい!はーい!」」」

どどん ど どん と、スマホから音頭が流れて、バラン王兄も音にノリ、しばらく踊ったら満足し。
「低く響く、空気を震わす太鼓が、血潮を高揚させるね!面白かった!ありがとう、みんな、竜樹君!」
ニコニコと帰っていった。

その後は、王子達とアルディ王子は、教師を寮に呼んで、みんなでそれぞれのお勉強をして。
休みの子とちっちゃい子達と竜樹で、昨日花街のお姉さんにもらったお花を押し花にした。
お昼を、帰ってきたジェム達と食べて、一度、パンセ伯爵家のエフォール君を迎えに、王宮の中の待ち合わせ部屋へ行く。

ココン、とドアを叩き、竜樹が入る。
「お待たせしました!パンセ伯爵家の方ですか?俺は、畠中竜樹、ギフトの御方やってます。今日は、急なのに来ていただいて、ありがとうございます。」

中には、車椅子に乗った少年。藁色のボブにした髪に飴色の瞳の、そしてネクターくらいの身体の大きさに、足はほっそりとした子が1人と。

「いえいえ、こちらこそ。我が家のエフォールの事でとか。呼んでくださって嬉しく思います。パンセ伯爵家当主、エスポワールと申します。」

焦茶にチラッと白髪混じりの髪をリボンで結び、車椅子の横についた、スッとした立ち姿のおじさまが、優雅に礼をした。
そして、息子にも礼を促す。

「パンセ伯爵家のエフォールと申します。本日は、お声かけくださりありがとうございます。」
「エフォールは足が悪く、座ったままでのご挨拶、ご無礼申し上げます。」
目を見開いて、戸惑いながら、2人の父子は、挨拶をした。側に、車椅子を押す付き人と、癒やし魔法を使う魔法使いも控えている。

竜樹は、花街のコリエ嬢の話はせず、ぜんそくの話と、足の話をした。
「そ、それでは、もしかしたら、エフォールの足が、動くようになると?!」
「絶対ではないです。でも、希望はあります。そして、もし神経が治っても、忍耐強く、少しずつ、歩く練習をしていかねばならないでしょう。今日は、このお話をして、もし良かったら治療を受けてみるか、考えていただきたかったのと。」
ニコリ、と竜樹はエフォールに笑いかけ。
「ぜんそく仲間の、アルディ王子や、3王子達、新聞売りの子達と、遊んだりしてみない?と思って誘ったんですよ。」

ふっ、とエフォールは、暗い顔をする。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

◆◆お別れなので「王位継承セット」をプレゼントしたら、妹カップルが玉座を手に入れました。きっと喜んでくれてますよね◆◆

ささい
恋愛
ん?おでかけ楽しみ? そうだね。うちの国は楽しいと思うよ。 君が練ってた棒はないけど。 魔術に棒は要らない。素手で十分? はは、さすがだね。 なのに棒を量産したいの? 棒を作るのは楽しいんだ。 そっか、いいよ。たくさん作って。飾ってもいいね。君の魔力は綺麗だし。 騎士団に渡して使わせるのも楽しそうだね。 使い方教えてくれるの? 向上心がある人が好き? うん、僕もがんばらないとね。 そういえば、王冠に『民の声ラジオ24h』みたいな機能つけてたよね。 ラジオ。遠く離れた場所にいる人の声を届けてくれる箱だよ。 そう、あれはなんで? 民の声を聞く素敵な王様になってほしいから? なるほど。素晴らしい機能だね。 僕? 僕には必要ないよ。心配してくれてありがとう。 君の祖国が素晴らしい国になるといいね。 ※他サイトにも掲載しております。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

婚約破棄? めんどくさいのでちょうどよかった ――聖女もやめて、温泉でごくらくしてます

ふわふわ
恋愛
婚約破棄を告げられた聖女リヴォルタ・レーレ。 理由は、「彼女より優秀な“真の聖女”が見つかったから」。 ……正直、めんどくさい。 政略、責任、義務、期待。 それらすべてから解放された彼女は、 聖女を辞めて、ただ温泉地でのんびり暮らすことを選ぶ。 毎日、湯に浸かって、ご飯を食べて、散歩して。 何もしない、何も背負わない、静かな日常。 ところが―― 彼女が去った王都では、なぜか事故や災害が相次ぎ、 一方で、彼女の滞在する温泉地とその周辺だけが 異様なほど平和になっていく。 祈らない。 詠唱しない。 癒やさない。 それでも世界が守られてしまうのは、なぜなのか。 「何もしない」ことを選んだ元聖女と、 彼女に“何もさせない”ことを選び始めた世界。 これは、 誰かを働かせなくても平和が成り立ってしまった、 いちばん静かで、いちばん皮肉な“ざまぁ”の物語。

処理中です...