王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
256 / 717
本編

陽炎の月12日 竜樹4

しおりを挟む
「ごちそうさまでしたー!」
「「「ごちそさまでした!!」」」

ランチミーティングは盛り上がって、食べながら話す子供達は、いつもよりゆっくり目に食べ終わった。竜樹は途中から、スムーズに話が進むよう、ちょいちょい、とアシストするくらい。子供達の自由に任せた。
今日は、自己紹介を途中までと、教会毎のリーダー決めまでで、よしとする、となった。
片付けもそれぞれ。器を洗ったりするのを、教会によっては当番を決めて、子供達で回していたり。全員自分のをやる所もある。時間はかかるが、躾なのだろう。小ちゃい子も、布巾で皿を拭いて、手伝いしたり。

「俺たちも、当番する?決めちゃう?」
「せいかつのこと、できると、トクなんだよね、竜樹とーさ。」

他の地区の子も、自然に話に混ざる。

「うん、そうだよ。段々に、皆に教えてあげるね。こないだから、寮では、時々自分の服の洗濯もしてるんだよね~。」
うん!と良いお返事。

「どうしてトクなの~?」
「人に任せる事ができるのも重要だけど、生活の事ができると、気持ちよく健康に、自分のご機嫌とって暮らせるからねぇ。大きくなって、結婚したりして、家族ができても役立つしね。」
ヘェ~。

王都から一番遠い、アンクル地方のモニターに、歩きはじめてまだ、よちよちな、ぽっこりお腹の赤ちゃんが、大アップで映る。興味を持って、モニターについている自動で話をしたい人にフォーカスするカメラに、近づいてきたのだ。
面倒をみる大人の、お手伝いらしき女性が、微笑んで膝をつき、様子を見守っている。

竜樹をじっと見て。指をちゅ、ちゅ、と吸っている。ふす、と鼻息。
「こんにちは~ラマン。ご飯たくさん貰えたかい?ごきげんかな?」

お名前呼ばれて、は~い、ができるのだ。小さなおててが、ぱ、と開いた。
「そうなの、ごきげんなの。良いねぇ、良かったねぇ。」
竜樹の、ゆっくりした喋りに、うふ、と笑って。
おててが、こっちにおいで、おいで、した。

ふふふ、とお手伝いの女性が、笑って竜樹に説明する。
「ラマンは、普段、面倒見の良い助祭様が主に相手をしているものだから、ギフトの御方様くらいの年齢の男性が、好きらしいんですよ。」
背景で、確かに竜樹くらいの年齢の、下がり眉で痩せ気味な助祭が、他の子の背中に手をやりながらも、ふは、とこちらに笑ってみせた。

「そうなんですかぁ。好きなの、ラマン。嬉しいなぁ。竜樹父さんも、大好きだよー。」
こっちにおいで、か。
画面に映ってたら、飛び越えて会いに来れると思うよね。
しきりに、おいでおいでをする、ラマン。
「竜樹父さんも、ラマンや、皆に会いたいよ~。画面から、皆の所に行き来できると良いんだけ、ど、ねぇ~。んん?」
あう~、と画面を舐めんばかりに近づき、女性に、はいはい、と宥められて抱っこされて連れていかれるラマンに苦笑しつつ、竜樹は、はたと。

「てんい•••。」

(転移魔法って概念は、チリ魔法院長に、教えるべき?)

可能かどうかも分からないが、しかしチリに頼めば、可能になりそうな気がしないでもない。かつ、運用には、注意が沢山必要だろう。

国々の、戦いの力に利用されないように。軍隊をまるっと転移で送られでもしたら。暗殺者が、スパイが、送られたら。
ぶるる、とする竜樹である。

それに、飛びトカゲ便で、国の血脈とも言える運送が、やっと国という体内に、栄養を届けながら末端の地方まで巡りはじめたのに。その道が閉ざされ、飛びトカゲ便が廃れ、転移で飛ばされた途中の都市や村が衰え、限られた点だけ潤うのは、よくない。

しかし、転移が出来れば、この16と1、そして寮の子供達と、心配な時すぐに会えて、話ができ、面倒も見られる。報告も毎日貰える。

「ぬぬぬぬぬ。」

ぶるるるる。

ん?
スマホを見ると、神々の庭。

ルート
『竜樹。私は運送、道の神、ルート。
今、竜樹が考えている事は、その危惧は、正しい問題、課題よな。
しかし、重々注意して運用すれば、血脈たる道も、地方も、益々栄えよう。
扱いは慎重に、慎重に。
そして他の国とも連携をとって、どこかの国に、言い訳しながら自由にさせて、壊死や戦いを起こさせぬようにな。そうなっては、せっかくの道が、壊れてしまう。コントロールが必要だ。』

竜樹
「はい、ルート神様。初めまして、畠中竜樹です。慎重に、大胆に、ですね!」

ルート
『うむ、うむ。もし、制限する方法に困ったら、転移には漏れなく、神への宣誓、誓いが必要だとすればいい。悪に利用せぬ、人を他国を傷つけぬ、と。』

竜樹
「そんな風にさせてもらっても、宜しいのですか?ルート神様、大変じゃないですか?」

ルート
『ふふふ。違反している者、悪意ある者、悪意はなくても悪に利用されている者だけ通さない、など、軽くできる事よ。我は運送、道の神。血脈の中の、異物を除く事など容易である。任せなさい。』

竜樹
「ありがとうございます!では、転移という概念を、まずはこっそり極秘で、チリ魔法院長にだけ伝えてみますね。注意点も話しつつ。」

ルート
『うむ。よろしい。竜樹は今日は、神の相手も2度目、私もこっそり参った!すまぬな。ランセに怒られないうちに、ではまたな!』

竜樹
「いえいえ、ご配慮ありがとうございます!では、今後とも、よろしくお願いします!」

ルート
『(^_-)-☆』

ランセ
『(*´-`)』

おおお、神様、顔文字使ったよ!








「片付け終わりましたか~。」
「「「は~い!!」」」

「じゃあ、ここからは竜樹父さんにお話を戻させてね。おぼんの準備をしよう。まずは、祭壇になる机を出して、布をかけてね。邪魔じゃない所にね。」

大人達も、この辺がいいかな、なんて言いつつ、どこの教会でも夕方から迎え火、魂迎えの儀式の準備があるから、何となく忙しげだ。
子供達が机に布をかけ、自分達の大事な、夢に出てきてくれた親やご先祖との写真を飾り、御神酒とお供物を捧げて。
夕方から迎え火に使う、魔道具ランプを祭壇の前に準備。

ここらで、小っちゃい子達が、ふわぁあ、と欠伸をし出したから、お昼寝、するかぁ~、とテレビ電話を一旦切る事にした。

「また夕飯の時に会いましょう。皆、またね~!」
「またね~竜樹父さん!」
「「また~!!」」
「「とーちゃ~!」」

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?

あーもんど
ファンタジー
精霊の愛し子で、帝国唯一の錬金術師である公爵令嬢プリシラ。 彼女は今日もマイペースに、精霊達と楽しくモノ作りに励む。 ときどき、悪人を断罪したり人々を救ったりしながら。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆三人称視点で本格的に書くのは初めてなので、温かい目で見守っていただけますと幸いです◆

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

処理中です...