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本編
情報が多すぎるジャンドル
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「父上、母上。ちょっとお話が。」
高級縫いぐるみ作家なんて副業でやっている、自分にとっては不可解な事の多い息子、ジャンドルに、ニッコリ話しかけられて、父のベルジェ伯爵家当主、フィアーバは、ぎくっ、とした。
息子が笑顔で話しかけてくる時、碌でもない事を言うことが多いのである。
騎士団に入ったよ、と嫡男なのに事後報告で言い出した時。
花街のコリエの借金を払って、後々は見受けしたい、手続きをしてると事後報告だった時。
借金なんて返せるか!と叱ったら、副業で縫いぐるみ作家をやってるよ、とキチンとした地道な返済計画を、やっぱり事後報告で淡々と伝えられた時。
そもそも、子爵家の娘だったコリエを婚約者にするのだって、あの娘に決めたよ、仲良くなったんだ、約束もしてきた。とニッコリして事後報告だったのだ。兎に角大事な事は自分で決めて、事後報告な息子だ。しっかりしてるといえば聞こえは良いが、そして手間がかからない息子だったが、心労はいかばかりか。フィアーバには身に余る。
これは、最近まで自分の事は自分でして、矍鑠としていた祖父様の血であろう。プロ顔負けのシャツを仕立てたりする、縫い物の手仕事嗜む、職人気質で風変わりな所もあった。それを恥に思っていた、そもそも不器用なフィアーバには、現れなかった血だ。
地味でありふれた貴族のフィアーバは、息子が恐ろしい。決めたら外野の意見など何であろうと、いやひらりとかわして、淡々と一筋に、必ずやり通す芯の強さが、息子にはある。貴族として何とか外聞を整わせ維持してきた、柔いフィアーバには、毎度、勘弁してくれ!となるのだ。
これは妻のセンプリチェも同意見で、特に秀でた所もなく維持、とにかく先代が広げてきたベルジェ伯爵家の、そこそこの繁栄を、次代に繋げる駒としてーーーフィアーバは自分を正しく評価している。自分が事業や家を拡大していける力があるとは思ってないーーーとにかく、維持していければ!という必死の思いでやってきたのである。
それを息子は、外聞の悪い事をサクサクッと、決めたから、と言ってくる。
そしてそれが、家の為にならないか、といえば微妙な所で、縫いぐるみ作家の活動をしながら得た情報で密かに維持できた事が色々ある。腹に座りが悪いのだ。
花街でもそうで、遊ばないのに借金を返しに行って世間話をしてきて、ちょっとした事業の変化の、ヒントを拾ってきたりする。大体反対するが、ジャンドルが執事に通してしまってやり始めれば利益が出て、或いは赤字を回避でき、結局利用することになる。祖父様が指名した長年働く執事は、ジャンドルの味方だ。
それでもフィアーバは、孫のエフォールの事は隠し通した。はずだった。
だってあちらは、もうパンセ家の息子さんなのだし。こちらが余分な口を出す方が悪い心象を与えそうである。関わってほしくない、花街の母だという情報も隠せたら、そう思っているはずだ。
妻のセンプリチェは、少し残念そうだったが、人間何でもは手に入らない。穏やかな毎日をお互いに、家族が過ごすには、と、目を瞑ったのだ。
ジャンドルはニッコリを崩さず。
「エフォール君と会ってます。」
ガタガタん!
手に持った文箱を落として。フィアーバは、目を見張る。
同席していたセンプリチェも、口に手を当てて、ひゅ、と息を吸う。
「意地が悪いなあ、父上、母上。エフォール君の事を秘密にしているなんて。まんまと、こんなに大きくなるまで俺に息子がいる事を知りませんでした。会ってみれば、俺にそっくりで、とても良い子でね。編み物が好きなんですって。」
ああ。祖父様の血だ。そう、テレビでもそう言っていたっけ。歩けるようになるまで、りはびり、というのをやっていると。根気よく、努力ができる、一筋に。
「パンセ家へやった子だ。あまり関わってはーーー。」
センプリチェも、じと、とやりきれない思いで手を組み、ジャンドルを見つめている。
「仲良くしたいんですって。エフォール君。知りたいんですって。俺のこと。可愛いですよね。勿論パンセ家には配慮致しますけど、あちらも仲良くしましょう、ってエフォール君の気持ちを第一に考えてらっしゃる。愛情深い、良いお家です。パンセ家で良かった。エフォール君の養父母様が。」
ニッコー!輝くばかりの息子の笑顔に、フィアーバは顔色が悪くなってゆくし、センプリチェはハラハラし出した。
「それで今度、コリエの借金の残りをパンセ家が一括で払って、肩代わりしてくれて。一括にしたら、大分低く抑えられたので、今後の返済計画は、上方修正できそうです。エフォール君の、編み物のクマちゃんを売ったお金も当てて、本当、情の深い子なんです。」
「まあ•••。」
センプリチェはちょっと感動したっぽいが、フィアーバは冷や汗が出るのを抑えられない。その話は、どこに、落ち着くの、かな。
「それでコリエが花街から解放されたので、今はギフトの御方様の寮にいるんですが、借金に負けず結ばれた運命の恋人達と応援を受けまして。ギフトの御方様の世界の、素敵な結婚式の様式を広めるために、私たちが選ばれて、王妃様も後援して下さるそうなので、父上と母上も、明後日マルグリット王妃様に謁見願います。直々に、お声をかけて下さるそうなので。」
えっ?なんだって?
情報が多すぎて入ってこないな?
「まさか。王妃様と言わなかったか?」
「王妃様が。私とコリエの結婚式を後援して下さるそうで。お言葉も下さるので、明後日、謁見です。」
大事な所だけ、もう一回言ったジャンドルに。
ぱか。
フィアーバの口は開いたまま。
センプリチェは、ヒッと言って、青ざめる。
ニッコリ。
「私はコリエと結婚します。もう大分前から決めていました。やっと実現します。外聞を気になさる、父上母上にも受け入れられる後ろ盾を、得て参りました。ご安心下さい。お喜び下さい。」
な、なんとーーーーー!!!???
長年働く執事は、これでこそジャンドルぼっちゃまです。と、うんうんしつつ、文箱を拾ってテーブルに置いた。
ーーーーーーーーーーー⭐︎
土日の更新はここまででした。
お母さんズの所まで書きたかったのです
また日々がんばりますー
高級縫いぐるみ作家なんて副業でやっている、自分にとっては不可解な事の多い息子、ジャンドルに、ニッコリ話しかけられて、父のベルジェ伯爵家当主、フィアーバは、ぎくっ、とした。
息子が笑顔で話しかけてくる時、碌でもない事を言うことが多いのである。
騎士団に入ったよ、と嫡男なのに事後報告で言い出した時。
花街のコリエの借金を払って、後々は見受けしたい、手続きをしてると事後報告だった時。
借金なんて返せるか!と叱ったら、副業で縫いぐるみ作家をやってるよ、とキチンとした地道な返済計画を、やっぱり事後報告で淡々と伝えられた時。
そもそも、子爵家の娘だったコリエを婚約者にするのだって、あの娘に決めたよ、仲良くなったんだ、約束もしてきた。とニッコリして事後報告だったのだ。兎に角大事な事は自分で決めて、事後報告な息子だ。しっかりしてるといえば聞こえは良いが、そして手間がかからない息子だったが、心労はいかばかりか。フィアーバには身に余る。
これは、最近まで自分の事は自分でして、矍鑠としていた祖父様の血であろう。プロ顔負けのシャツを仕立てたりする、縫い物の手仕事嗜む、職人気質で風変わりな所もあった。それを恥に思っていた、そもそも不器用なフィアーバには、現れなかった血だ。
地味でありふれた貴族のフィアーバは、息子が恐ろしい。決めたら外野の意見など何であろうと、いやひらりとかわして、淡々と一筋に、必ずやり通す芯の強さが、息子にはある。貴族として何とか外聞を整わせ維持してきた、柔いフィアーバには、毎度、勘弁してくれ!となるのだ。
これは妻のセンプリチェも同意見で、特に秀でた所もなく維持、とにかく先代が広げてきたベルジェ伯爵家の、そこそこの繁栄を、次代に繋げる駒としてーーーフィアーバは自分を正しく評価している。自分が事業や家を拡大していける力があるとは思ってないーーーとにかく、維持していければ!という必死の思いでやってきたのである。
それを息子は、外聞の悪い事をサクサクッと、決めたから、と言ってくる。
そしてそれが、家の為にならないか、といえば微妙な所で、縫いぐるみ作家の活動をしながら得た情報で密かに維持できた事が色々ある。腹に座りが悪いのだ。
花街でもそうで、遊ばないのに借金を返しに行って世間話をしてきて、ちょっとした事業の変化の、ヒントを拾ってきたりする。大体反対するが、ジャンドルが執事に通してしまってやり始めれば利益が出て、或いは赤字を回避でき、結局利用することになる。祖父様が指名した長年働く執事は、ジャンドルの味方だ。
それでもフィアーバは、孫のエフォールの事は隠し通した。はずだった。
だってあちらは、もうパンセ家の息子さんなのだし。こちらが余分な口を出す方が悪い心象を与えそうである。関わってほしくない、花街の母だという情報も隠せたら、そう思っているはずだ。
妻のセンプリチェは、少し残念そうだったが、人間何でもは手に入らない。穏やかな毎日をお互いに、家族が過ごすには、と、目を瞑ったのだ。
ジャンドルはニッコリを崩さず。
「エフォール君と会ってます。」
ガタガタん!
手に持った文箱を落として。フィアーバは、目を見張る。
同席していたセンプリチェも、口に手を当てて、ひゅ、と息を吸う。
「意地が悪いなあ、父上、母上。エフォール君の事を秘密にしているなんて。まんまと、こんなに大きくなるまで俺に息子がいる事を知りませんでした。会ってみれば、俺にそっくりで、とても良い子でね。編み物が好きなんですって。」
ああ。祖父様の血だ。そう、テレビでもそう言っていたっけ。歩けるようになるまで、りはびり、というのをやっていると。根気よく、努力ができる、一筋に。
「パンセ家へやった子だ。あまり関わってはーーー。」
センプリチェも、じと、とやりきれない思いで手を組み、ジャンドルを見つめている。
「仲良くしたいんですって。エフォール君。知りたいんですって。俺のこと。可愛いですよね。勿論パンセ家には配慮致しますけど、あちらも仲良くしましょう、ってエフォール君の気持ちを第一に考えてらっしゃる。愛情深い、良いお家です。パンセ家で良かった。エフォール君の養父母様が。」
ニッコー!輝くばかりの息子の笑顔に、フィアーバは顔色が悪くなってゆくし、センプリチェはハラハラし出した。
「それで今度、コリエの借金の残りをパンセ家が一括で払って、肩代わりしてくれて。一括にしたら、大分低く抑えられたので、今後の返済計画は、上方修正できそうです。エフォール君の、編み物のクマちゃんを売ったお金も当てて、本当、情の深い子なんです。」
「まあ•••。」
センプリチェはちょっと感動したっぽいが、フィアーバは冷や汗が出るのを抑えられない。その話は、どこに、落ち着くの、かな。
「それでコリエが花街から解放されたので、今はギフトの御方様の寮にいるんですが、借金に負けず結ばれた運命の恋人達と応援を受けまして。ギフトの御方様の世界の、素敵な結婚式の様式を広めるために、私たちが選ばれて、王妃様も後援して下さるそうなので、父上と母上も、明後日マルグリット王妃様に謁見願います。直々に、お声をかけて下さるそうなので。」
えっ?なんだって?
情報が多すぎて入ってこないな?
「まさか。王妃様と言わなかったか?」
「王妃様が。私とコリエの結婚式を後援して下さるそうで。お言葉も下さるので、明後日、謁見です。」
大事な所だけ、もう一回言ったジャンドルに。
ぱか。
フィアーバの口は開いたまま。
センプリチェは、ヒッと言って、青ざめる。
ニッコリ。
「私はコリエと結婚します。もう大分前から決めていました。やっと実現します。外聞を気になさる、父上母上にも受け入れられる後ろ盾を、得て参りました。ご安心下さい。お喜び下さい。」
な、なんとーーーーー!!!???
長年働く執事は、これでこそジャンドルぼっちゃまです。と、うんうんしつつ、文箱を拾ってテーブルに置いた。
ーーーーーーーーーーー⭐︎
土日の更新はここまででした。
お母さんズの所まで書きたかったのです
また日々がんばりますー
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