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本編
リーダーの資質
しおりを挟む『いや、ファングもアルディも、とても頑張っていたね!子供達が生き生きとして、情報屋のお仕事、こんなふうにやるんだなあ、と好奇心も満足させられ、大変面白かった!!』
ニコニコとテレビ電話の画面の中、ワイルドウルフ国のブレイブ王様が、ご機嫌にお耳をピン!とさせる。ヒョコ、とお隣に、ラーヴ王妃も。
こちらでも、ファング王太子、アルディ王子のもふもふお耳尻尾な兄弟と、ハルサ王様、マルグリット王妃様、3王子に竜樹、それから夫婦眷属のレザンとエタニテも呼ばれて王宮の1室に。
「お父様!お母様!アンファン!お仕事検証中、見て下さったんですね!私たちも、番組、すっごく面白かったです!」
「お土産も買ったんだよ!」
ぶんぶん。尻尾は忙しく振れて、ご機嫌なファングとアルディ。
あの、ちゃっかり買い食い寄り道を思い出して、ブレイブ王もラーヴ王妃も、くすくすと笑った。
『ふふふ。子供達も、何と少し離れただけなのに、大分成長したようだね。今後も楽しみだ。なあハルサ王様。』
話を振られて、ハルサ王様もニコニコと。
「ですなぁ。本当に!」
「頼もしい限りですわ!」
ふふふ、ほほほ、と一頻り笑い合って、竜樹も番組の感想のお礼を言い、お互いお茶飲みを挟んだ所で。
「さて。レザン父ちゃんとエタニテ母ちゃんよ。」
《はい、ブレイブ王様。》
《はい。かあちゃよ。》
キリ、と様子を改めて、ブレイブ王様が言うには。
『クマの郷から、2人に会いたいと。郷のリーダー夫婦と、次代の、そのエタニテ母ちゃんの妹夫婦になるな、4人が、正式に申し出てきた。私が思うにーーー何となく、厄介な気配がするというか。』
ブレイブ王様が、お耳をフニュ、と左右に開いて、遺憾の意を込める。
「かけおち、したのね!」
「ニリヤ、駆け落ちなんて言葉、良く知ってたなあ。」
驚いて聞けば、ムフフフ、と得意そう。お口をお手てで押さえて。
「オランネージュにいさまに、おしえてもらった!あいしあう、ふたりは、てにてをとって、とうひこうをきめた!」
オランネージュは、ムフ、肩をキュ、と持ち上げて、不適切に笑った。いやいや王子様よ。まあ•••隠せば隠すほど、様々なお上品ばかりでない言葉と状況はただあってしまうだろうし、これも学びのうちか。ネクターがポポッとしている。
『そうだ、駆け落ちしたのだよな。私は、レザン父ちゃんとエタニテ母ちゃんの、そちらで穏やかにやってゆく、その希望を話したし。神の眷属様たる2人を、その意志に反して連れ帰る事は決して出来ないぞ、と釘を刺したのだが、どうもーーー次代のリーダー達がな。』
「聞き入れてくれない感じなのですね?」
竜樹が、ローテーブルの上の画面に、ふかふかソファに埋まりつつ、何だかなあ、と応えた。
「駆け落ちしてまで添い遂げる覚悟のあった2人なのだから、最初から結婚を許してあげれば良かったのにね。そうすれば、今頃は、眷属にもならずに、デュランを産む時に苦しまず、無事に親子3人クマの郷にいられたのでしょうに。事情もあるのでしょうが、今となってはこちらにも大事な、デュランとレザン父ちゃんエタニテ母ちゃんですから、俺も抵抗しますよ。」
『竜樹様も口添えして下さるか!有り難い。兎に角、私からは、無理に連れ帰るな、決して!と言明してある。会うなとまでは言えぬ。肉親なのだものな。そちらの皆もそのように、レザン父ちゃんエタニテ母ちゃんの意志を守ってやってくれまいか。ファング、王太子として同席し、止める役を頼むぞ。』
「はい!お父様!」
「私もお手伝いします!お父様!」
「みんなであお!つれてかないでぇ、って、いお!」
「デュランがいなくなったら、寂しいもんね。」
「レザン父ちゃんと、エタニテ母ちゃんもね!」
「眷属が自国にいれば得もありましょうに、事前にお知らせ下さり、ありがとう、ブレイブ王様。こちらで良きようにしますから、ご安心なされ。」
「私たちも同席致しますわ。眷属として人に乱暴な事が出来ない2人を、なし崩しに連れて行くことのないよう、見守りますね!和解出来ればとも思いますし。」
王様と王妃様もついててくれる。なら大丈夫だろう。
心配されニコニコの眷属の2人は。
《ありがと。みんな。》
《ありがとうございます。ここに居たいです。》
と、手を繋いで、元いたワイルドウルフ国の王様に敬意を表し、頭を下げた。
『神の眷属様ともなれば、私よりよほど位の高い方。獣人から眷属になった、そのことそのものが誉であるよ。どうか、私にもお2人を助けさせておくれ。それから、獣人の妊娠出産の話。竜樹様、また詳しくお話ししましょうね。』
「はい!また、ゆっくりしましょう!」
ラーヴ王妃も、是非是非に!とお耳をピコピコさせて微笑み、手を振ってテレビ電話を切った。
レザン父ちゃんとエタニテ母ちゃんの話によれば。
クマの郷のリーダー、クレヴィはエタニテの父親。片親しかなかった、後ろ盾の弱い彼は、自分の経験から、孤児だったレザンが、次代のリーダーの妻予定な総領娘、エタニテの夫になることに難色を示したそうだ。
クマの郷のリーダー決めは、まあ血でもあり強さでも賢さでもあり、兎に角、認められれば良いそうなので、渋々ながらもクレヴィは、古くからの家柄で、エタニテの許嫁だった若者、リグレスとの対戦を許可した。
《だけど、その対戦の前の晩、俺は大勢のクマ獣人達に襲われた。対戦相手のリグレスもいた。皆、武器を持ってたし、殺すな!怪我をさせろ!って言っていた。腕の骨を折り、目的を果たした奴らは散って、俺はエタニテの所に、クレヴィリーダーに、その足で会いに行った。無駄かもしれないけど、対戦の日を伸ばしてもらえないか、って。》
無論それは却下された。
諦めろと諭された。体調管理も、リーダーの力を示す根拠になるから、と。
エタニテは怒り、クレヴィ父さんが指示したのだろ!と問い詰めた。
クレヴィは、だったら何だ?それくらい跳ね返す者でなくて、娘がやれるか、リーダーが務まるかと。冷たく笑ったそうである。
《腹黒オヤジ。エタニテかあちゃは、レザンの妻!》
《俺とエタニテは、話し合って駆け落ちする事にしました。リーダーをやりたかった訳じゃない。エタニテには妹がいるから、もしならそちらが何とかするだろうと思った。妹のイリキュートは、エタニテの許嫁リグレスが好きであったようなのでーーピッと俺たちが抜けたら、後は上手くいく、そう思って。》
クマの郷を抜けて街道に出る直前、クレヴィが待ち構えていた。少なからず路銀を寄越して、達者で暮らせと。
《クレヴィリーダーなりの、娘への愛情があってそうしたんだな。俺はそう思って、恨まなかったし、エタニテとの生活は楽しかったし。》
しかし、ここで妊娠出産なのである。
竜樹が調べた所によると、獣人の、しかも大型獣人の子は、ほっとくとお腹の中で大きくなりすぎて、難産になりやすいので。経験豊富なお産婆さんが付いて相談にものり、頃合いに陣痛を促進させる薬湯を飲ませて、お産を早めにコントロールするものなのだそうだ。
若い夫婦は、そんな事を知らなかった。デュランは難産で生まれた。デュランに障がいが残らなくて良かったけれど、エタニテは、出産時に血を失い過ぎて、儚くなった。それからは段々とジリ貧である。
クレヴィが、お産の事情を知っていたかどうかは、分からない。ただ、クマの郷にいれば、馴染みの近所のお産婆さんや、経産婦達がいて、エタニテもデュランも、レザンも苦労する事がなかっただろう。
「知らないという事は、とっても危険なのですよね。今のところ、獣人女性達は、発情期の春秋に妊娠すると、自分の郷に帰って出産するものだそうだから、情報が渡されて何とかなっているのかも。でも、危ういですよ。知らないで他国で過ごせば、命に関わる。」
コミュニティを出る、ということは、それなりのリスクもある。助け合う仲間から外れる者も、これから転移魔法陣で遠方に行けるとなれば、益々増えるかもしれない。
知っていれば、対策がとれる。
《多分、クレヴィリーダーは、お産の事は、知らなかったんじゃないかな。今も知らないと思う。妹夫婦、イリキュートとリグレスがいるんだから、別にクマの郷も大丈夫なんだろうし、すんなり諦めてくれないかなぁ。》
寮の子供達を、逞しい腕にプランプランぶら下げて遊ばせながら、レザン父ちゃんは、たはぁ、とため息を吐いた。
デュランが、ぎゅむ!と腕輪した手をその足に。
「父ちゃん。じいちゃとばあちゃと、おじさん、おばさんがくる?」
《だな。ほどよく仲良くできて、うまくバイバイできたら良いんだけど。》
「? 分かった?」
分かんない顔をして、デュランは、わーいとか言いつつレザン父ちゃんの腕にぴょん!と飛びついた。振り回し。
ぶーん、ぶーん。わーわー。
キャハハ!と笑う子供達に、エタニテ母ちゃんも、転移魔法陣で遊びに来た地方教会の女の子達と、お人形遊び、ほっこりと楽しそうである。
「デュランたち、まもる!」
「うん!私たちの、仲良しだもの!」
「今幸せなんだからね!デュラン達は!」
フンス!と守る気満々な3王子と、ファング王太子とアルディ王子は、お手てを出して重ね、円陣を組み、やったるでー、おー!と突き上げてやる気満々であった。
竜樹は冷静にお供して、口も出そう、と決めて午後、転移魔法陣を経由し王宮の1室、デュランも含めて眷属親子とクマの郷の面々の、再会である。
王様王妃様もいるので、お部屋は広々。お茶にお菓子も用意して、和やかにお話しできるよう、調度も落ち着いて爽やかに。
先に着いてお茶して待っているクマの郷のリーダー達。その部屋に、さて、皆で行ってみましょう。
トントン、と先導する侍女さんがノックする。間を空けて、ドアを開けて、促され、まずはデュランと眷属夫婦が、ツイと部屋に入った。
シロクマ、シロクマ、茶クマ、黒クマ。4人、ガタガタ!と立って、ワワワ!とデュラン達に駆け寄ってきた。
「レザン!エタニテ!すまなかったな•••。」
しゅん、としたクレヴィリーダーは、ブレイブ王様から、お産の事を聞いたそうである。シロクマのふかっとした銀毛のお耳をはためかせ、渋いお顔をしゅんとして、でもデュランを見てすまなそうに少し、微笑んだ。
「エタニテ、お母さんに一言、相談してくれれば•••!」
うる、と瞳を揺らしたシロクマ獣人、目尻に皺のある、エタニテそっくりな銀の目、はっきりとした美人、だが暖かそうなふっくら大きな口で泣きのミュリエル。
その周りで、不安そうな妹、茶クマな茶髪のくるんと内巻きヘアで大きなタレ目、イリキュート。
居心地悪そうな黒クマ、背の高い黒髪に碧い目のちょいイケメン、リグレス。
《腹黒オヤジ。久しぶり。母ちゃん、ごめん。》
エタニテがニヤッとすれば、もう!って感じにクレヴィ夫婦は目を擦り、笑った。
《クレヴィリーダー。ミュリエルおばさん。色々あったけど、今は俺たち、幸せにやってます。デュランを抱っこしてやってください。》
さあ、とレザンが、ちょっと照れている足元のデュランを押し出して、2人のじいちゃんとばあちゃんに触れさせた。
「まあ、まあ!デュラン!重たい!立派なシロクマね!健康そうな、ぶっとい手足の子だわ!良い子ね!」
「うん、うん、流石エタニテとレザンの子だ。」
ほくほくと抱きしめて抱き上げたミュリエルは、嬉しそうにデュランに頬擦り。クレヴィも、おずおずとデュランのお耳を人差し指で、ふこふこ、と撫でてやり。くすぐったげにもじもじのデュランだけれど、嫌そうではなかった。
後ろで見守っていた竜樹や3王子にファング、アルディ王子、王様王妃様に、ハッと4人は丁寧に挨拶をして、肉親がお世話になった事を、厚く礼した。
「まあまあ、挨拶なんて良いから、積もる話もあるでしょう。同席させてもらって無粋でごめんなさいね、我が国の、大切な眷属様の事でもあるから、一緒させてね。さあ、お茶にして、ゆっくりお話ししましょう?」
主婦、王妃様も主婦っていうのかどうか分からないが、場慣れしているマルグリット王妃様が、ニコニコ促し、皆でお茶のテーブルを囲んだ。
デュランはおばあちゃん、ミュリエルのお膝で焼き菓子を食べ、嬉しそう。今のクマの郷の、年中行事の話なんかで、ふふふ、と和やかな空気は。俯く妹茶グマ、イリキュートのこんな言葉で、ヒヤッとなった。
「エタニテお姉ちゃん。く、クマの郷に帰ってきてくれない?私たち、次のリーダーなんて、無理よ。」
《ヤダ。》
即、断。
エタニテは、バリン、と焼き菓子を齧ると、デュランを良い子良い子した。
《エタニテ、難しいこと、わからない。ここで、かあちゃ、やる。》
「そんな•••!お姉ちゃん頭良かったじゃない!神様の眷属になったのでしょ!もっと凄くなったんじゃないの?奥さん連中との付き合いや、他の郷との女衆のやりとり、私、ほんと、ダメで、嫌なの!!」
「エタニテ•••本当に、帰ってきてくれないか。それで、それで、レザンも、その。」
黒グマ夫のリグレスも、あちこち目を彷徨わせていたけれど。
「次代のリーダーがこんなに大変なんて、思わなかった•••!!」
曰く。
レザンを皆で襲った事を、隠しているのが苦しくて、若者達の集まりがあった時にバラしてしまったのだと。皆、ビミョーな顔をしたそうだ。
だってなあ、もういないし。エタニテも、レザンも。
仕方ないなあ、と、女衆も男衆も、若いも年寄りも、イリキュートとリグレスを、それでも次代のリーダーとして、育てようと。
そう、育てようと。
チヤホヤはしない。あれこれ、言ってくる。ここはこうするのよ、ああした方がいいんじゃないか?これ頼める?こうやってみたら?
それは地味にストレスの溜まる毎日で•••人によって言う事も違うし。例えてみれば、新入社員が先輩を差し置いて次のリーダー候補になったれば、周りも生ぬるく受け入れてくれ、教育をしてくれた。しかし、いきなりあっち引っ張ってこっち引っ張ってのリーダー教育はやっぱりちょっと大変で、先輩を排除した罪悪感にも打ちひしがれて人目も気になり、ヘタってる、と。
何だかなあ。
王様王妃様竜樹は、半目になりながら、ふす、とお茶を啜った。まあ、若者は失敗をするんだけどもさあ。
「イリキュート。リグレス。お前たち、リーダーをやるから結婚させてほしい、エタニテとレザンを結ばせてやってほしい、逃がしてやれと俺に言ったろう。その結果を、覚悟して受け止めろ。お前たちは奸計を図った。狡い事も、悪い事も、俺だってやる。だが、結果のためにやったなら、覚悟をもって貫かなきゃダメだ。やっぱりイヤです出来ませんは、通らない!それにいつだって助けはいるし、何も、無理な事をさせてる訳じゃないだろう。」
うんうん。クレヴィリーダーは、腹黒オヤジらしいが、オヤジらしく責任をぐっと腹に溜めて堪える胆力があるのだな。流石にリーダーである。
「確かにレザンより、リグレスは弱い。身体も、心もそうだ。俺は知ってたよ。だけど、その代わり周りの助けがこれでもかとある。孤高のレザンより、リーダー向きかと思った。俺は、片親で、周りにゆるしてゆるされて、力を信頼してもらうのに、時間がかかった。苦労もした。その分、楽なんだぜ?リグレス、お前に足りないのは実力、まあそれもあるが、覚悟なんだよ。」
お説教を聞いて、リグレスが。グッと喉に、言いたいことを詰まらせた。
オランネージュが、ふむふむ、と参考にしている。
その隣で、ファング王太子が、なーる、と頷く。
ネクターとニリヤは、言葉のやりとりを、玉を追う猫みたいにあっちこっちしている。
アルディ王子は、ファング兄様を見て、兄様にはかくご、あるな!とコックリ頷いた。
「だって!今はあの時と違うじゃない!私たちは結局、お姉ちゃん達を追い出したんだな、って思われてるし、しかも神様の眷属になったんだなんて、惜しまれてるに決まってるでしょ!私たち、お呼びじゃないのよ!お姉ちゃん達が帰ってくれば丸く収まるんだから、それも、眷属がリーダーで守ってくれるなんて郷にとって幸運なんだし、良いじゃない!それに、そもそもお姉ちゃん達、この国の人じゃないじゃん!」
妹茶グマは、必死である。
あ~。疲れちゃったのかな。でも、自業自得ってやつもある。それに、周りの優しさに気づかない、まだ子供染みた甘さも。
「イリキュート。あなたは、見通しが甘くてわがままなだけね。疲れてるのは分かるけど、両手を挙げて歓迎されるのでなければ、やれない、なんて、どんなお姫様なのよ。いいえ、お姫様だってもっと、戦ってます!お姉ちゃんに甘えて、どうにかしてもらえると思ったら違います。」
ミュリエルはリーダーの妻を長年やってきた。本当は、甘ったれイリキュートより、エタニテが女衆を率いるのが、ベストだったと今でも思っている。けれど、ベストでない状況がなんだ。満たない現実を、そこにある条件で、何とかしてきた。
「あなたにも、覚悟ってやつが、足りないわね。お姉ちゃんは、お産で、苦しんで苦しんで死んでるのよ。あなたたちの、浅はかな案のせいで、女衆達に頼れずにね。それなのに何でイリキュートが甘ったれたいのを助けなきゃなの?今、竜樹様のところで、神様からもお母さんやってね、って、幸せなのに?クレヴィにだって私、怒ってるのよ。」
う、うん。とクレヴィリーダーは、頷くばかりである。
むぐぐ、と言えなくなった妹夫婦に、ふー、とリーダー夫婦はため息を吐く。
「今日は、会いたかっただけなんだ。もう、二度と会えまいと思っていたから、それだけで俺たちは幸せだ。クマの郷の事は気にせず、こちらで幸せにな。」
「ええ、ええ。デュランを大事に、皆さんに可愛がってもらってね。」
ふ、と笑う両親に、レザンとエタニテは笑った。
デュランも、優しい、じいちゃんとばあちゃんに、えへ、と笑った。
王様も王妃様も、3王子も、ファング王太子もアルディ王子も、えへへ、っと。
「•••分かった。がんばる。」
「リグレス!分かんないでよ!」
腕を叩くイリキュートをそのままに、俯くリグレスは、一つ頷く。飲み込んだんだ。
「でも、お願いします!対戦はやって欲しい!戦わないで逃げたままじゃ、男として、腹が括れない!」
「負けるに決まってるじゃん!リグレス、私を助けてよ!?お姉ちゃん、何とか言って!!」
《リグレス、良く言った!》
エタニテ母ちゃんは、カカカと笑うのである。
竜樹は、どうしたもんかね~、と思った。これからも、獣人の国のお産の事だって、女衆達に教えて欲しい。仲良く出来た方がいいのだ。
デュランだって、じいちゃんばあちゃんとこれっきり、より、何かと頼りにできたら良いだろう。
だから、レザンのシロクマお耳を、ちょいちょい、と呼んで、ひそそ、と内緒話した。エタニテもお耳を寄せる。
《いいよ。》
《いいワよ!》
王様と王妃様にも、ひそそ。
ふむふむ、何だって?なるほどね!
「と、言う訳で!!」
「ってアンタ誰よ!」
妹茶グマは、涙ながらに訴えては周りの袖を引っ張っていたが、パパーンと立った竜樹に、ついにぞんざいな口をきいて。
母ミュリエルにパシン!と叩かれていた。
「ギフトの竜樹が参ります!クマの郷にて、リーダー選抜対戦試合、テレビのレポーターも一緒に、取材に行っちゃうよ!」
ババーンと特番、皆さんいかが?
「逃げも隠れもせぬ男道、見せてやろうじゃん!?リグレスさん!!」
「えっ!?あっ?うっ、うん!?」
ぼくも、私も、私もいく~!!!
の王子達大合唱に囲まれて、竜樹はニヒリと笑った。
王様と王妃様も、ニシシシである。
キョトン、としたクレヴィリーダーと、面白そうに、ニヒン!と笑って拍手したミュリエル。エタニテはイイ性格も、ミュリエルに似たのかもしれない。
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