王子様を放送します

竹 美津

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本編

番組撮影、あかちゃんがうまれるしくみ2

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「さて、女の人は、いつでも排卵してるんじゃない、って言ったよね。人族、エルフ族、獣人族でそれぞれ、女の大人の人は、赤ちゃんを作る準備を、ぐるぐる回して身体の中でしています。とても特徴的な事があります。大人の女の人には、生理がある、って事だね。」

せいり?
はてなのチーム王子、ニリヤ達に、チームジェム達が、うんうん、と頷く。
「おんなの月のものの時には、男はさからっちゃいけねえんだ。優しくしてやんなきゃあ。」

オリーブ女史が、ぶ、と吹き出しそうになりながら、ニコニコしている。
そして、チーム女子は、マテリア、リーヴはまだ知らなかったから、はてな?だけど自分達の事だから、グッと拳を握って興味津々に。クーランは、お年頃で、もう既に毎月あるから、ぽ、それもやるの?と赤らんで。元王女シエルとエクレは、ええ!?それまで言うの!?とワタワタした。

「女の人は、身体の子宮の中に、赤ちゃんのベッド、って言い方をしたりしますけど、子宮の壁、子宮内膜を厚くして、排卵に合わせて身体の準備をします。そこで性交して、卵がくっついて、赤ちゃんになっていけば、って事だね。けど、赤ちゃんてそんなにポコポコ産まれないでしょう?排卵しても、卵が、着床、1人の赤ちゃんの小さい粒になって、子宮にくっつく事をしなかった時に、いらなくなるよね、壁が。」

「いっかいかべしたら、ずっとあるんじゃないの?」
ニリヤも、お目々をまん丸にして聞いてくる。
「そうなんだよねえ。一回準備したら、それで良いじゃん!なぁーんて、思ったり、するでしょ?でもねえ、女の人の身体は、とっても良く出来ていて、毎回、新鮮なベッドを準備してくれるんです。いらなくなった壁はね、血になって、捨てられる。出てきます。その時期が、生理って言いますね。1週間くらい、続くよ。」

えっ
ええええええー!??
「おんなの人は、血がでるの!?」
アルディ王子が、ビビビ!とお尻尾を震わせている。ファング王子も、オランネージュも、へええ!と驚いているし、ネクターとニリヤは、ギャン!とした顔だ。
「そういえば、サン、おふろにはいったとき、おかあさ、おまたから、ちがでてた。けがじゃないよ、っていってたよ。」
うんうん。お母さんとお風呂に入る事のある子は、知ってたりもするかな。ラフィネも、静かな微笑で、コックリである。

「そう。血になって、壁が出てくるの。そしてきれいになって、また壁が出来て、排卵してーーー。女の子、その生理の時に、身体の中で、いっぱいの事が起こっています。まず、血が出るの、それだけで不快でしょう。その上、お腹痛くなったり、頭痛がしたり、イライラしたり、不安になったり、やけに腹が立ったり、お胸が張って痛くなったりーーー人によって色々ありますね。軽くて元気な人もいれば、重くて辛い人もいる。そして、そんな時に、ドキッとしたから、って、男の人から、性交しようよ、って言われたら、女性は嫌だなあと思ったりする、って思いませんか?具合悪いのに!女の人は、デリケートだな、って思うでしょう?まあ、男の子だって、また違った部分で繊細だけれどね。結婚したら、お互いに、男の人と女の人との身体の違い、調子のタイミングで、どうかな?どうかな?って、相談し合う、それくらい仲良く段々にしていきたいよね。」

「おんなのこ、いたいのに、ダメよー!」
ニリヤが、眉を寄せて。
「優しく、しねえとな。」
うんうん、と皆、ここまでは分かってくれてるようだ。

「獣人は、繁殖期の前に生理があるようです。妊娠しなかったら、繁殖期の後にもあるね。エルフは、仲良くなって排卵の準備が出来てきたら、生理があるのですって。生理後、妊娠できる、お印になっています。人族は毎月、ぐるぐるしてるね。血が出たら、汚れるよね。何とかしなきゃ、女の人は、行動しづらいね?この世界では、布ナプキン、っていうのが主流で、その時期、下着に当てています。洗って、乾かして使います。こういうものです。」

ラフィネ母さんが、ぱっ、と角丸の四角いガーゼ布を見せる。薄いピンクで可愛いもの。角の2つで、下着の股部分を包んで、染み出しに備える。

「はんかちみたいね!」
「だよねえ。今ね、タンポン、ってのも、開発しています。これは、羽の形を畳んだ、長細い形のワタを、血が漏れないように、子宮からの道に入れる生理用品です。使い捨てです。血が漏れないで沢山吸収するから、生理の時、女の子がもっと積極的に行動がしやすい。血が漏れないかな、って不安を、軽くする。そんなものです。布ナプキンの良さがあるから、全部それにしろ、なんて言わないよ。肌ざわりが良かったり、自然で、血の色や量がわかる事で、女の人の、病気の特徴が分かる事もある。タンポンは、湿り気が少ないと、入れる時、痛かったりもするみたいです。ゴミも出ます。女の人に、選択肢が増えるのが、良いなって思うよね。」

生理痛の薬も、重い辛すぎる生理を止める薬もある。
「女の人は、自分の身体と相談して、将来子供が欲しいかな、とか、そんな事も考えながら、身体の訴えてくる変化、話を聞いて、動いたり静かにしたり温めたり薬を飲んだり、コントロールして生きていかなきゃなりません。死ぬまで生理がある訳じゃない。歳をとると、生理は来なくなります。って事は、女の人は、子供が産める時期があるよ、それを過ぎると産めないよ、って事でもあります。」

「おばあちゃんは、あかちゃんうまないね!」
「産まねえな!」
うん、うん、と男子は素直にあからさまである。
女子は神妙に聞いている。

「産む?産まない?産みたい?産めない?女性はその事で、とっても悩んだりする事もあります。男は、そういう時、どうしたらいいか?っていうと、一緒に赤ちゃんを作りたいなって思う、親密な女の人になら、俺に相談してみない?って聞くこともあるね。その時は、どんな話も、親身になって聞いて、信頼できる、女性の身体に詳しいお医者さんに一緒に行って、話を聞いたりしましょう。もし、知り合い、くらいなら、さりげなく優しくしてあげる、もう少し親しいなら、相談できる女性を紹介しようか?って遠慮しながら聞いてみる、なんて所でしょうか?どうでしょう、ラフィネ母さん。」
竜樹の問いに、ラフィネも。
「そうですね!すぐ!すぐ!解決しなさい!ってしないで、のんびり、仲良しの相談できる女性達との時間を作ってくれたり、君の事を思ってるよ、って細かく手伝ってくれたり、気にしてくれる。そんな事が嬉しいですね。」

竜樹は、すう、と息を吸う。
「そして、産みたい時。排卵をお知らせする、おしっこをかけると変色する葉っぱを見つけました。生理後、生理が始まった日から約14日後に排卵がある、ととりあえず仮定して、その前後に葉っぱで排卵日を知って。その時に性交する。卵が出た時、男の人が赤ちゃんのもとの半分を入れる、ってことね。タイミングを合わせれば、子供が産まれる可能性が増えますね。排卵を促す成分の木の実もあるんですけど、卵がいっぺんに沢山出ちゃうと、赤ちゃんが沢山出来ちゃう。今、その調整をしています。赤ちゃんが欲しい人には、まず少し良い情報ですね。」

うんうん。
オリーブ女史が、竜樹がいる事で新たに発見された排卵のお知らせ葉っぱや、促進の木の実について、すごくワクワクした思いで聞いている。大変画期的である。タンポンも、ぜひ使ってみたいと思っている。竜樹の世界のタンポンも、開発したのは女性ではなく男性だそうだからーー出るのを待つのでなく迎えに行くーー竜樹が女性により良い製品を作るのも、なるほどと言えるかもしれない。

「女の人で、妊娠しない事に悩んでいるのには、相手の男の人に原因がある事もあります。半分半分なのに、なーんか、女の人のせいにされない?酷いよね?でも、竜樹とーさとお産研究チームで開発中、男性の子供のもとが、ちゃんと元気か、いっぱいあるか、さっきみたいに大きくして見て調べたりできるように、なります。魔法で卵をとって、精子が少なくても元気なひとつを選んで入れて、お腹に戻す。将来、そんな事が出来るように、って考えています。こちらの世界の人の卵も精子も、魔法の力を含んでいるので、不可能ではない、そうですよ。男の人も、不妊に半分、自分にも関係があるかもな、って自覚をもって、女の人と相談していけるといいね。」

ほわァ、と未来の妊娠に、子供達は、びっくりであるが。素直に。

「あかちゃん、できるようになったら、よいね!」
「街でも、悩んでる女の人、けっこういたよー!」

そうだねぇ、と笑顔であった竜樹だが、む、とここで真面目な顔になる。

「妊娠したい時の事は、少し進歩しました。でも•••妊娠したくない時は、どうする?」

キョトン、とするニリヤ。そして子供達。
だって、女の人と、男の人が、仲良くなったら、けっこんして、赤ちゃんができてーーー。

「男の人は、赤ちゃんが欲しくない時でも、性交したくなります。気持ち良いんだもんね。それに、妊娠もしたりしないし、性交沢山、色々な人とした方が得じゃん!て思う人もいる。やり逃げできます。ひどいねー。花街って、結婚してない男女が、お金で性交をする街もあります。そこでは、赤ちゃんは、出来て欲しくない。皆は、まだ、結婚できない、若い少年の頃に、段々と身体が大人になって、したくもなります。女の子も、まだ、大人の女性になりきってない、少女の頃に、身体は赤ちゃんが産まれる準備をします。大好きだな!って思ったから、って、性交しちゃったらーーー赤ちゃん、出来ちゃうかも?まだ、お仕事もできてなくて、学園に通ってたり、自分も子供なのに?お世話、大人みたいに出来ないのに?赤ちゃん、どうなっちゃうのーーーそれは、とっても、良くないですね!」

はっ、と息を飲む子供達である。

「まだ身体が出来上がってない女の子が、妊娠、赤ちゃんができたりすると、お母さんの身体や、赤ちゃんが、危険だったりもするよ。好きな相手の女の子が大事なら、男は、相手がもし、いいよって言っても、まだダメよ、って断れる。そんな知識も持っていて下さい。女の子は勿論、自分の身体を大事にする事。避妊、っていう、妊娠しないで済む性交の仕方もあります。避妊して性交しろって言うんじゃないよ。俺としては、大人になるまで、男も女も、身体を大事にして欲しいと思っています。でも、正しいその方法を知って、まだ妊娠したくないのに、失敗して妊娠したりする事もないようにしたいね。花街では、避妊してるね。女の人が、お金で性交をさせる、花街が良いか悪いかは、ここでは言わないよ。難しい問題です。でもね、大人だからって、いつでも赤ちゃんが来ていいか、っていったら、人によるよね、って知って欲しい。赤ちゃんだって、来てね、待ってるね、って所に来た方が、その後、育ててもらうのに、やりやすいね。だって、赤ちゃんは、大事に、大好きだよ、って育てたいじゃない?」

「あかちゃん、だいじよ!ぼくのあかちゃん、コクリコおかあさんの、コクリコおかあさんーーー。」
ニリヤが、言って、そして。
コクリコおかあさん、なんていってた?
おとしやに?だまされて?

「そうだね、ニリヤ。」
気づいたのだ。言葉として聞いていても、それが望まぬ妊娠だと、今、幼い頭の中で、分かった。

「女の人は、自分が妊娠したくないのに、男の人に、無理に性交させられて、結果的に妊娠してしまう事が、あります。女の人は、妊娠したら、お腹の中の赤ちゃんから、逃げられない。そんな事になる前に、自分を守らなきゃならない。好きじゃない人との性交は、とっても、辛いと思わない?デリケートな部分を、触られたくないじゃない?ひどいね。ひどいね。それはね、男だって、そういう事があります。好きじゃない人に、触られたくない。男の子も女の子も、大人になって、ああ、好きだなあ、って思い合った者同士で、段々と仲良くする。それが、一番、結果も良いし、お互いに関係を作っていく感じがあって、結ばれた時に気持ち良いと思いますね。理想的です。でも、現実は、色々ある。ーーーコクリコお母さんは、落とし屋に、騙されたんだったね。そうしてーー赤ちゃんを、それでも、大事にして、愛そうと、産もうとしている。覚悟がいる事です。赤ちゃんは、何も悪くないよね。産まれてきたい。愛されたい。育ちたい。大人になるのに、とても時間がかかりますよね。長い時間を、赤ちゃんと分け合って、コクリコお母さんは、愛したいと決めた。赤ちゃんのお父さんは、赤ちゃんの事なんて、何とも思ってない。そんな、辛い妊娠でもあります。勿論、竜樹父さんも、ラフィネ母さんも、コクリコお母さんのお父さんもお兄さんも、お兄さんのお嫁さんも、助ける。赤ちゃんは、一人じゃ、なかなか育てるのが大変です。」

しん、と静まる交流室である。

「あかちゃ、あかちゃん、わるくないよ。ぼくの、あかちゃん!」
ぐす、と涙をつるしたニリヤが、バン!と机を打つ。
竜樹は側に寄っていって、撫でこ、とした。
「皆で、ふつうに、愛して育てよう。ニリヤ。大事な、他の赤ちゃんと同じに、特別なコクリコお母さんの赤ちゃん。コクリコお母さんはね、赤ちゃんを、これからの人生を切り開く赤ちゃんだって。期待してるんだって。」
「ウン。ウン。ぐすっ•••。」
撫でこ、撫でこ。

ギュッとして、離すと、スクリーンの前に戻って竜樹は話を進めた。

「さあ。そんなコクリコお母さんは、皆に、出産を見せてくれるんですって。赤ちゃんて、どうやって産まれてくる?お腹の中で、どうなってるの?知りたくなーい?皆に伝える事で、コクリコお母さんも、赤ちゃんも、皆の役にたつんです。それは、この妊娠、出産に、重ねて重要な意味がある、って事にも、なりますね。皆が、良い妊娠と出産が出来るように、特別に見せてくれる。だから皆は、よく見て、勉強して、知って、将来、好きな人と、幸せに、赤ちゃんを作ったり育てたり、もし自分の子供が産まれなかったとしても、周りにいる赤ちゃんもお母さんも、時にはお父さんも、大切にしてあげて欲しいと思います。」

はーい!!!
と皆、良いお返事である。

そこで、コクリコが、大きなお腹で出てきた。
ラフィネの隣で、恥ずかしそうに、でも、全然悲壮な顔なんかしていなくて、微笑んでいて。子供達はホッとした。

「さあ、これから、コクリコお母さんが、皆に、赤ちゃんのいるお腹の中を、見せてくれますよ!赤ちゃん、どんなかな?もう、出産できるくらい、大きく育っているんだよね。コクリコさん。」
「はい、竜樹様!予定日を計算する、っていう考え方を、竜樹様に教えてもらったので、最後に生理があった日から計算して、予定日は、あと10日後です。でも、もう出てきても全然大丈夫なくらいに育っています。私も、陣痛や、破水の事など、皆ともう一回勉強しますね。お腹の中を見るの、私も楽しみなんです。元気だなあ、大っきくなったなあ、って、いつも嬉しいんです。」

ぐしゅん、とお手てで涙を拭いたニリヤが、それでもニ、と笑ってコクリコを見た。コクリコはニリヤに小さく手を振り、皆に、ニッコリして、一緒にみようねー!ポンポン、とお腹を叩いた。

オリーブ女史が、身体スキャナのハンディを、そうっと。
コクリコのお腹に、近づける。
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