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第628話
――とにかく視ろ!
総合的な技量ならともかくシックスセンスの扱いに関してはヨシナリの方が上だ。
その為、使い方に関しては彼のそれを参考にしてきた。
挙動から相手の行動傾向を読み取れ。 スタイルを変えた敵機の動きはとにかく無駄がない。
そこから逆算して相手の挙動を引き出して刺す。
大抵の相手に通用する運用方法だが、そこまで持って行くのは容易ではない。
特に格上の相手なら猶更だ。
カカラの弾幕を掻い潜り、タヂカラオのエネルギーリングによる高速を嘲笑うかのように躱しながら肉薄。
フォローに入ろうとしたベリアルとユウヤを牽制した後、ブレードを出現させて一突き。
カカラはこの時点で察していたが最後まで諦める気はないようで全ての武装を展開してとにかく撃ちまくるが、次の瞬間には敵機の砲に胴体を撃ち抜かれて崩れ落ちた。
恐らくはマルメルと同じハンドレールキャノンだろう。
敵機は使い終わった装備を投げ捨てる。 捨てられた装備は地面に落ちる前に霧散して消えた。
これで前線がほぼ崩壊。 ベリアル、ユウヤ、ふわわが残っている事で完全に崩れてはいないがこのままでは不味い。
隙を伺っていたフカヤが仕掛けようとしていたが、敵機が無造作に出現させた散弾銃を一発。
まともに喰らって大破する。
後衛はまんまる、アリス、グロウモス、タヂカラオ。
あれだけいたというのにここまで減らされてしまった。
ユウヤがクソと小さく呟く。
「前のイベントの時も大概だったが、こいつは更に酷いな」
「言っても仕方がないゾ。 どう抉じ開けるか……」
全体のバランスを取っていたヨシナリがやられたのはかなり痛い。
それにより連携の難易度が上がった。 どうする? どうすれば勝てる?
挙動の傾向は掴めたが、まだ刺せるレベルではない。 相手の戦闘能力は推定で2000点以上。
能力差があり過ぎる。 もう少し情報を集めないと――
「全員、下がってろ」
そんな彼女の思考を遮るようにユウヤが前に出た。
ユウヤは真っ直ぐに敵を見据える。 戦況は圧倒的不利。
本来なら焦りの一つも浮かべるべき場面だろうが、不思議と落ち着いていた。
ラーガストに散々、痛めつけられたからだろうか? 分からない。
だが、一つだけ分かる事がある。 こいつを越える事が自身の成長に繋がるという事だ。
ラーガストとの訓練――と呼べるのかは疑問な時間を経て、彼から教えられたのは二つ。
モチベーションを高く維持する為の燃料となる感情を常に燃やし続ける事。
彼は憎めといったが、今のユウヤにはそれだけでは高いパフォーマンスを発揮する事は難しい。
カナタが目の前にいるというのなら話は別だが、あの女が絡まない状態で実力を発揮できないのであれば話にならなかった。
――勝ちたい。 今はただそれだけを純粋に思う。
そしてもう一つ。 自己を知る事。
ヨシナリは相手を視る事でその動きを利用し、適切な対処を行う。
アレを体得できるのなら自分は更に飛躍を遂げるだろうが、自分にそんな広い視野で物を視れるのか?
答えはノーだ。 ユウヤという人間はあくまで利己の生き物。
外界よりも内面に意識を向ける事でここまで登って来たのだ。
目の前の敵はラーガストに匹敵する強者。 あの日々がどれだけ自分を高めたのかを確かめるいい機会だ。
さっきまではヨシナリが居たからサポートに徹したが、居なくなった以上は義理立てする相手もいない。
ここからは好きにやらせて貰う。
敵機はユウヤの動きから誘っていると判断したのか手の中に大型のライフルを出現させ、発射。
回避して走る。 空中よりも地に足を付けた地上の方が何かと動き易い。
スラスターの噴射に合わせて一歩ごとのストライドを伸縮させる事で相手の狙いを狂わせる。
二、三発とレーザーを撃ち込んだ所で当たらないと判断したのか砲を投げ捨て突撃銃を呼び出して銃撃。
手品のように次々と武器を切り替えて距離を選ばないのは大したものだが、もう充分に見た。
更に加速。 躱しきれなくなった銃弾は背を向ける事で大剣で受ける。
散弾砲の射程に入ったと同時に発射。 敵機は最小の動作で躱す。
更にもう一発躱させた後、電磁鞭を一閃。 足を狙うがこちらも僅かに上昇する事で回避する。
とにかく無駄を嫌うのは分かった。 まずはその余裕を削ぎ落してやる。
呼び出す武器の種類は多岐に渡るので下手に覚えて既知にするよりはこの状況ならどんな武器を使って来るかと相手の思考から推測した方が分かり易い。
それとさっきから見ていて分かった事がある。
正確にはあの戦い方の崩し方だ。 ヨシナリは出を潰す事で対処したが、もっといい手があった。
一気に肉薄。 この距離なら敵機は飛び道具に頼らず、接近戦用の武器を用意しての接近戦を仕掛けてくる。
近くにアルフレッドが居るので敵機の挙動はしっかりと視えている。
当然ながら武器を呼び出そうとしている事も。
――ここだ。
胸部のアケディアを起動。
周囲のエネルギーの精製を阻害するフィールドを展開し相手を影響下に置く。
敵機の手の中に現れようとしていた武器が霧散。
流石にこれは想定していなかったのか、敵機は大きな動きで後退しようとする。
「逃がすかよ!」
アケディアは効果範囲内に与える影響が絶大な分、ジェネシスフレームの動力を以ってしても長時間の稼働は難しく、敵味方の区別を付けられな事もあって乱戦では使い辛い。
だが、一対一の状況であるなら何の問題なかった。
敵機が武器を召喚するのに合わせて使えば無効化が可能だ。
タイミングはかなりシビアではあるが、相手の思惑を崩す事が出来た。
手数の多さは封じた。 後は相手の機動を越えて叩き潰すだけだ。
背の大剣オディウム・イラを抜いて縦に振り下ろす。
敵機はエネルギーウイングを噴かそうとするがアケディアを起動。
機能が停止。 敵機は諦めてスラスターの噴射と体捌きでのみで躱す。
これで完全にユウヤの間合いに収める事が出来た。
武器を封じはしたが、敵機の脅威度がゼロになる事はあり得ない。
得物がないのなら四肢を使うと言わんばかりに殴りかかって来るが、振り下した大剣を立てて拳を受け、散弾砲を向けて発射。
上半身を大きく傾けて躱すが、散弾の一部が霞めて敵機の肩パーツの一部を吹き飛ばす。
即座に反撃が来るが地面に突き立てる形になった大剣の腹を向け、左右に振る事で盾にする。
射線が通るタイミングで散弾砲を二連射。 敵機も器用に大剣を障害物にして回り込もうとする。
――ここだ。
ユウヤは相手が回り込むタイミングで大剣を変形。
それにより刃先が地面から抜け、そのまま横に振り抜いた。
総合的な技量ならともかくシックスセンスの扱いに関してはヨシナリの方が上だ。
その為、使い方に関しては彼のそれを参考にしてきた。
挙動から相手の行動傾向を読み取れ。 スタイルを変えた敵機の動きはとにかく無駄がない。
そこから逆算して相手の挙動を引き出して刺す。
大抵の相手に通用する運用方法だが、そこまで持って行くのは容易ではない。
特に格上の相手なら猶更だ。
カカラの弾幕を掻い潜り、タヂカラオのエネルギーリングによる高速を嘲笑うかのように躱しながら肉薄。
フォローに入ろうとしたベリアルとユウヤを牽制した後、ブレードを出現させて一突き。
カカラはこの時点で察していたが最後まで諦める気はないようで全ての武装を展開してとにかく撃ちまくるが、次の瞬間には敵機の砲に胴体を撃ち抜かれて崩れ落ちた。
恐らくはマルメルと同じハンドレールキャノンだろう。
敵機は使い終わった装備を投げ捨てる。 捨てられた装備は地面に落ちる前に霧散して消えた。
これで前線がほぼ崩壊。 ベリアル、ユウヤ、ふわわが残っている事で完全に崩れてはいないがこのままでは不味い。
隙を伺っていたフカヤが仕掛けようとしていたが、敵機が無造作に出現させた散弾銃を一発。
まともに喰らって大破する。
後衛はまんまる、アリス、グロウモス、タヂカラオ。
あれだけいたというのにここまで減らされてしまった。
ユウヤがクソと小さく呟く。
「前のイベントの時も大概だったが、こいつは更に酷いな」
「言っても仕方がないゾ。 どう抉じ開けるか……」
全体のバランスを取っていたヨシナリがやられたのはかなり痛い。
それにより連携の難易度が上がった。 どうする? どうすれば勝てる?
挙動の傾向は掴めたが、まだ刺せるレベルではない。 相手の戦闘能力は推定で2000点以上。
能力差があり過ぎる。 もう少し情報を集めないと――
「全員、下がってろ」
そんな彼女の思考を遮るようにユウヤが前に出た。
ユウヤは真っ直ぐに敵を見据える。 戦況は圧倒的不利。
本来なら焦りの一つも浮かべるべき場面だろうが、不思議と落ち着いていた。
ラーガストに散々、痛めつけられたからだろうか? 分からない。
だが、一つだけ分かる事がある。 こいつを越える事が自身の成長に繋がるという事だ。
ラーガストとの訓練――と呼べるのかは疑問な時間を経て、彼から教えられたのは二つ。
モチベーションを高く維持する為の燃料となる感情を常に燃やし続ける事。
彼は憎めといったが、今のユウヤにはそれだけでは高いパフォーマンスを発揮する事は難しい。
カナタが目の前にいるというのなら話は別だが、あの女が絡まない状態で実力を発揮できないのであれば話にならなかった。
――勝ちたい。 今はただそれだけを純粋に思う。
そしてもう一つ。 自己を知る事。
ヨシナリは相手を視る事でその動きを利用し、適切な対処を行う。
アレを体得できるのなら自分は更に飛躍を遂げるだろうが、自分にそんな広い視野で物を視れるのか?
答えはノーだ。 ユウヤという人間はあくまで利己の生き物。
外界よりも内面に意識を向ける事でここまで登って来たのだ。
目の前の敵はラーガストに匹敵する強者。 あの日々がどれだけ自分を高めたのかを確かめるいい機会だ。
さっきまではヨシナリが居たからサポートに徹したが、居なくなった以上は義理立てする相手もいない。
ここからは好きにやらせて貰う。
敵機はユウヤの動きから誘っていると判断したのか手の中に大型のライフルを出現させ、発射。
回避して走る。 空中よりも地に足を付けた地上の方が何かと動き易い。
スラスターの噴射に合わせて一歩ごとのストライドを伸縮させる事で相手の狙いを狂わせる。
二、三発とレーザーを撃ち込んだ所で当たらないと判断したのか砲を投げ捨て突撃銃を呼び出して銃撃。
手品のように次々と武器を切り替えて距離を選ばないのは大したものだが、もう充分に見た。
更に加速。 躱しきれなくなった銃弾は背を向ける事で大剣で受ける。
散弾砲の射程に入ったと同時に発射。 敵機は最小の動作で躱す。
更にもう一発躱させた後、電磁鞭を一閃。 足を狙うがこちらも僅かに上昇する事で回避する。
とにかく無駄を嫌うのは分かった。 まずはその余裕を削ぎ落してやる。
呼び出す武器の種類は多岐に渡るので下手に覚えて既知にするよりはこの状況ならどんな武器を使って来るかと相手の思考から推測した方が分かり易い。
それとさっきから見ていて分かった事がある。
正確にはあの戦い方の崩し方だ。 ヨシナリは出を潰す事で対処したが、もっといい手があった。
一気に肉薄。 この距離なら敵機は飛び道具に頼らず、接近戦用の武器を用意しての接近戦を仕掛けてくる。
近くにアルフレッドが居るので敵機の挙動はしっかりと視えている。
当然ながら武器を呼び出そうとしている事も。
――ここだ。
胸部のアケディアを起動。
周囲のエネルギーの精製を阻害するフィールドを展開し相手を影響下に置く。
敵機の手の中に現れようとしていた武器が霧散。
流石にこれは想定していなかったのか、敵機は大きな動きで後退しようとする。
「逃がすかよ!」
アケディアは効果範囲内に与える影響が絶大な分、ジェネシスフレームの動力を以ってしても長時間の稼働は難しく、敵味方の区別を付けられな事もあって乱戦では使い辛い。
だが、一対一の状況であるなら何の問題なかった。
敵機が武器を召喚するのに合わせて使えば無効化が可能だ。
タイミングはかなりシビアではあるが、相手の思惑を崩す事が出来た。
手数の多さは封じた。 後は相手の機動を越えて叩き潰すだけだ。
背の大剣オディウム・イラを抜いて縦に振り下ろす。
敵機はエネルギーウイングを噴かそうとするがアケディアを起動。
機能が停止。 敵機は諦めてスラスターの噴射と体捌きでのみで躱す。
これで完全にユウヤの間合いに収める事が出来た。
武器を封じはしたが、敵機の脅威度がゼロになる事はあり得ない。
得物がないのなら四肢を使うと言わんばかりに殴りかかって来るが、振り下した大剣を立てて拳を受け、散弾砲を向けて発射。
上半身を大きく傾けて躱すが、散弾の一部が霞めて敵機の肩パーツの一部を吹き飛ばす。
即座に反撃が来るが地面に突き立てる形になった大剣の腹を向け、左右に振る事で盾にする。
射線が通るタイミングで散弾砲を二連射。 敵機も器用に大剣を障害物にして回り込もうとする。
――ここだ。
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それにより刃先が地面から抜け、そのまま横に振り抜いた。
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