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第630話
ふわわは鍔迫り合いをしながら相手を観察する。
反応は自分よりも上。 根拠は一部の攻撃は見てから反応してるからだ。
マシンスペックだが、圧倒的に負けている。
鍔迫り合いだけで出力の違いが露骨に現れていた。 力比べは命取りだ。
技量に関しては専門技能を修めたというよりは最適化の果てに至った合理の剣といった印象。
淡々と勝利への最適解を導き出そうとする動きはヨシナリに近いが、彼との違いは「熱量」だろう。
ヨシナリは意地でも勝利を捥ぎ取ってやろうという執念がある。
それが時にはノイズとなって敗北に繋がる事も多いが、上手く機能すれば実力以上のパフォーマンスを発揮する事をふわわは知っていた。
振れ幅が存在しない代わりにどんな状況でも安定したパフォーマンスを発揮するのは間違いなく強みではあるが、熱のない相手は余り面白いと感じない。
それでも目の前の敵は越えるべき壁として自分が熱くなるには最適な相手といえる。
モタシラに惨敗し、このゲームから離れて自分を見つめ直した際に色々と考えたのだ。
自分に何が足りないのか? 何をすれば自分は伸びるのかを。
長所を伸ばすだけならここまでする必要はない。
経験が自らを研磨してくれるので、戦いを重ねれば精度は向上していく。
自分のスタイルは徐々に完成に向かうだろう。
だが、それは単なる成長でしかない。 そんな低い意識でやっているとヨシナリ達に置いていかれる。
必要なのは「成長」ではなく「進化」だ。 もっと根本的な部分での強さが欲しい。
その為に必要なのは既存の殻を破る経験や知見。
だから彼女はリアルで剣を振るい、様々な道場を巡って新しい何か――今の自分を変える欠片を探す旅に出たのだ。
結局、途中で連れ戻される形になったので納得のいく明確な答えは得られなかったが、気付きや学びはあった。
剣を振り続けてふわわはふと考えたのだ。 自分は剣に拘り過ぎなのではないか?と。
これまでは剣を中心に戦い方を組み立てて来た。
最も手に馴染むのが刀だった事もあって自然とそうなり、ふわわ自身もその判断は間違っていないと今でも思っているが今はその選択が自身の可能性を縛っているのではないか?
そんな事を考えてしまうのだ。 このゲームでは自らは鋼の塊。
つまり己自信を刃と化す事が可能なのだ。 それに朧気ながら気付いたのはユニオン対抗戦の時。
敵機の銃弾を素手で弾いた時だ。 生身ならできても大きな傷を負う危険な行為。
だが、この鋼の巨人であるなら何の問題もない。
ふわわは生身の延長という意識が強すぎてトルーパーという鋼の巨人の本質を見落としていたのだ。
そこに気が付いた時、新しい選択肢が無数に現れ、自らの可能性が大きく広がった感覚が脳裏を満たした。
そう、これが進化なのだ。 技量はさておき、思考は一段上に上がれた感覚は得た。
後はそれをこの仮想現実に反映するだけだ。
――今のウチなら結構、いい所まで行けそう。
思考を広げろ。 敵の行動を予測しつつ反応で上回れ。
敵の力の流れに逆らわずに刃を滑らせる。
そうする事で敵機の態勢を崩す事を狙ったが、即座にブレードを手放し武器を拳銃に切り替えた。
ドローンと同じではあるが、武器の精製は機体の動きと連動しており、精製前には既に引き金に指をかけている事もあって攻撃に入るまでが驚くほどに早い。
叩き落そうとしたが、出力で敵わないので回避を選択。 上体を僅かに傾けて躱す。
返しに小太刀での刺突。 敵機も最小の動き――機体を傾ける事で躱し、お返しとばかりに蹴り。
エネルギーウイングを噴かして背後に旋回。
回避先に刃が振るわれるのを身を低くしてやり過ごし腰にマウントした曲刃を投げる。
頭部を狩る軌道の曲刃は首を僅かに傾けるだけで躱される。 攻撃と防御に二手使わせた。
本命はこちらと言わんばかりに片手が空いたので両手で握った太刀を下から斜めに一閃。
敵機はブレードを出現させて受け止めるが、これを待っていた。
ふわわは意識を集中。 アバター状態では成功したのだ機体でも充分にやれる。
息を大きく吸って可能な限り意識を振るった刃に集中。
理屈ではないが彼女は昔から剣を振るった時、どうなるのかが何となくだが予想できた。
今は違うが幼き彼女にとっては物を斬る事はイメージ通りになっているのかの確認作業という意味合いが強く、自分でも何故そんな事が分かるのかも理解できていない。
分かるのはただ斬れるという事実だけ。
今回もその感覚に従い、敵機のブレードを切断し、刃はその機体の一部を切り裂いた。
ユウヤの与えた損傷を抉る形で斬ったのだがまだ浅い。 内部機構にダメージが入ったのは確かだ。
このまま畳みかけられればいいのだが、そうもいかなさそうだった。
――あ、何か地雷踏んだんかなぁ……。
内心でそう呟く。 理由は簡単で敵機から殺気が漏れ始めたからだ。
さっきまでは淡々と作業のように攻防をこなしていた敵機から始めて漏れた感情。
これを引き出しただけでも追いつめた手応えは感じるが、同時に危険だという予感も感じていた。
これまでも手は抜いていないが、本気でもなかった敵機の動きが変調する。
折れたブレードを手放し、代わりに拳銃が出現。 体を傾けて銃口から逃れる。
バースト射撃によって三発の銃弾が何もない空間を通り過ぎ、それに構わず太刀で防御、膝が飛んで来たからだ。 空いた手にもう一挺の同じ拳銃。
これは躱せないと判断し蹴りを入れて距離を取る。
その頃には敵機の腕には大型の重機関銃が握られていた。
薙ぎ払うような連射。 旋回で回避するが、弾丸が空中で破裂して破片を撒き散らす。
強化装甲のお陰で大したダメージはないが装甲表面にダメージが蓄積。
距離が離れたのは悪い事ばかりではない。 ふわわは回避行動をしながら野太刀の使用準備。
エネルギーと液体金属の充填を確認したと同時に縦に振り下ろす。
両断したが出応えがない。 ホログラム。
殺気を感じて急上昇。 横薙ぎのレーザーがふわわのいた場所を薙ぐ。
ナインヘッド・ドラゴンに手を添える。 上昇を止めて振り返って敵機を目視。
出現位置を設定して一閃。 九つの分割された刃が敵機に襲い掛かるが、途中で刃が止まった。
正確には何かに阻まれて進めないのだ。 斥力フィールド。
転移と同時に当てるように展開したのだ。 敵機はまた武器を交換。
今度は大型の狙撃銃。 殺気から狙いは読める。
ドンと腹に響く銃声というよりは砲撃と形容した方がいい轟音。
大型の弾だが横に当てて逸らすぐらいは――
反応は自分よりも上。 根拠は一部の攻撃は見てから反応してるからだ。
マシンスペックだが、圧倒的に負けている。
鍔迫り合いだけで出力の違いが露骨に現れていた。 力比べは命取りだ。
技量に関しては専門技能を修めたというよりは最適化の果てに至った合理の剣といった印象。
淡々と勝利への最適解を導き出そうとする動きはヨシナリに近いが、彼との違いは「熱量」だろう。
ヨシナリは意地でも勝利を捥ぎ取ってやろうという執念がある。
それが時にはノイズとなって敗北に繋がる事も多いが、上手く機能すれば実力以上のパフォーマンスを発揮する事をふわわは知っていた。
振れ幅が存在しない代わりにどんな状況でも安定したパフォーマンスを発揮するのは間違いなく強みではあるが、熱のない相手は余り面白いと感じない。
それでも目の前の敵は越えるべき壁として自分が熱くなるには最適な相手といえる。
モタシラに惨敗し、このゲームから離れて自分を見つめ直した際に色々と考えたのだ。
自分に何が足りないのか? 何をすれば自分は伸びるのかを。
長所を伸ばすだけならここまでする必要はない。
経験が自らを研磨してくれるので、戦いを重ねれば精度は向上していく。
自分のスタイルは徐々に完成に向かうだろう。
だが、それは単なる成長でしかない。 そんな低い意識でやっているとヨシナリ達に置いていかれる。
必要なのは「成長」ではなく「進化」だ。 もっと根本的な部分での強さが欲しい。
その為に必要なのは既存の殻を破る経験や知見。
だから彼女はリアルで剣を振るい、様々な道場を巡って新しい何か――今の自分を変える欠片を探す旅に出たのだ。
結局、途中で連れ戻される形になったので納得のいく明確な答えは得られなかったが、気付きや学びはあった。
剣を振り続けてふわわはふと考えたのだ。 自分は剣に拘り過ぎなのではないか?と。
これまでは剣を中心に戦い方を組み立てて来た。
最も手に馴染むのが刀だった事もあって自然とそうなり、ふわわ自身もその判断は間違っていないと今でも思っているが今はその選択が自身の可能性を縛っているのではないか?
そんな事を考えてしまうのだ。 このゲームでは自らは鋼の塊。
つまり己自信を刃と化す事が可能なのだ。 それに朧気ながら気付いたのはユニオン対抗戦の時。
敵機の銃弾を素手で弾いた時だ。 生身ならできても大きな傷を負う危険な行為。
だが、この鋼の巨人であるなら何の問題もない。
ふわわは生身の延長という意識が強すぎてトルーパーという鋼の巨人の本質を見落としていたのだ。
そこに気が付いた時、新しい選択肢が無数に現れ、自らの可能性が大きく広がった感覚が脳裏を満たした。
そう、これが進化なのだ。 技量はさておき、思考は一段上に上がれた感覚は得た。
後はそれをこの仮想現実に反映するだけだ。
――今のウチなら結構、いい所まで行けそう。
思考を広げろ。 敵の行動を予測しつつ反応で上回れ。
敵の力の流れに逆らわずに刃を滑らせる。
そうする事で敵機の態勢を崩す事を狙ったが、即座にブレードを手放し武器を拳銃に切り替えた。
ドローンと同じではあるが、武器の精製は機体の動きと連動しており、精製前には既に引き金に指をかけている事もあって攻撃に入るまでが驚くほどに早い。
叩き落そうとしたが、出力で敵わないので回避を選択。 上体を僅かに傾けて躱す。
返しに小太刀での刺突。 敵機も最小の動き――機体を傾ける事で躱し、お返しとばかりに蹴り。
エネルギーウイングを噴かして背後に旋回。
回避先に刃が振るわれるのを身を低くしてやり過ごし腰にマウントした曲刃を投げる。
頭部を狩る軌道の曲刃は首を僅かに傾けるだけで躱される。 攻撃と防御に二手使わせた。
本命はこちらと言わんばかりに片手が空いたので両手で握った太刀を下から斜めに一閃。
敵機はブレードを出現させて受け止めるが、これを待っていた。
ふわわは意識を集中。 アバター状態では成功したのだ機体でも充分にやれる。
息を大きく吸って可能な限り意識を振るった刃に集中。
理屈ではないが彼女は昔から剣を振るった時、どうなるのかが何となくだが予想できた。
今は違うが幼き彼女にとっては物を斬る事はイメージ通りになっているのかの確認作業という意味合いが強く、自分でも何故そんな事が分かるのかも理解できていない。
分かるのはただ斬れるという事実だけ。
今回もその感覚に従い、敵機のブレードを切断し、刃はその機体の一部を切り裂いた。
ユウヤの与えた損傷を抉る形で斬ったのだがまだ浅い。 内部機構にダメージが入ったのは確かだ。
このまま畳みかけられればいいのだが、そうもいかなさそうだった。
――あ、何か地雷踏んだんかなぁ……。
内心でそう呟く。 理由は簡単で敵機から殺気が漏れ始めたからだ。
さっきまでは淡々と作業のように攻防をこなしていた敵機から始めて漏れた感情。
これを引き出しただけでも追いつめた手応えは感じるが、同時に危険だという予感も感じていた。
これまでも手は抜いていないが、本気でもなかった敵機の動きが変調する。
折れたブレードを手放し、代わりに拳銃が出現。 体を傾けて銃口から逃れる。
バースト射撃によって三発の銃弾が何もない空間を通り過ぎ、それに構わず太刀で防御、膝が飛んで来たからだ。 空いた手にもう一挺の同じ拳銃。
これは躱せないと判断し蹴りを入れて距離を取る。
その頃には敵機の腕には大型の重機関銃が握られていた。
薙ぎ払うような連射。 旋回で回避するが、弾丸が空中で破裂して破片を撒き散らす。
強化装甲のお陰で大したダメージはないが装甲表面にダメージが蓄積。
距離が離れたのは悪い事ばかりではない。 ふわわは回避行動をしながら野太刀の使用準備。
エネルギーと液体金属の充填を確認したと同時に縦に振り下ろす。
両断したが出応えがない。 ホログラム。
殺気を感じて急上昇。 横薙ぎのレーザーがふわわのいた場所を薙ぐ。
ナインヘッド・ドラゴンに手を添える。 上昇を止めて振り返って敵機を目視。
出現位置を設定して一閃。 九つの分割された刃が敵機に襲い掛かるが、途中で刃が止まった。
正確には何かに阻まれて進めないのだ。 斥力フィールド。
転移と同時に当てるように展開したのだ。 敵機はまた武器を交換。
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