Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

文字の大きさ
643 / 865

第643話

 サーバー対抗戦や侵攻、防衛戦なら問題はないのだが、ユニオン対抗戦で欠員が出るのはあまりよろしくない。
 それに未だに枠が余っている状態なのは更によろしくない。
 欠員を想定してもう三人から四人は欲しい所だった。 

 現状、『星座盤』の構成メンバーは八人。
 ヨシナリ、マルメル、ふわわ、グロウモス、ユウヤ、ベリアル、シニフィエ、ホーコート。
 構成としてはふわわ、ベリアル、シニフィエが前衛、マルメル、ホーコートが中衛。
 ユウヤは前衛寄りの中衛といった所だろう。 

 ただ、前に出たがるのでヨシナリとしてはどちらにカテゴライズするのかは少し迷ってしまう所だった。
 ヨシナリは全体を見て動く遊撃、そして後衛はグロウモスのみ。
 バランスを考えるなら後衛がもう一枚欲しい所だ。 

 アルフレッドが居るのである程度は補えるが、ユウヤが落ちると自動的に脱落するという欠点がある上、撃破はパーツロストのリスクがある。 
 あまり無理させるのはよろしくないと思っていた。

 後衛をこなせて、欲を言えばタヂカラオ並に全体を視れるプレイヤーだという事ないのだが……。

 「そんなのが都合よく落ちてる訳ないよなぁ……」

 増やすだけならどうとでもなるのだが、即戦力でなければあまり意味がない。
 育てるという手もなくはないが『星座盤』の規模的に何人も抱えられないのだ。
 やるにしてもホーコートがもう少し育ってからになるだろう。

 付け加えるなら『星座盤』の空気に合うプレイヤー――要は既存のメンバーとある程度上手くやれる奴でないと場合によっては更に深刻な問題になりかねない。
 
 「考えても仕方がない、か」

 ヨシナリは小さく息を吐くとウインドウを操作。 ランク戦へのマッチングを開始する。
 通常ではなく、当然フリーの方だ。 
 格下と当たってもあまり意味はないが、格上と当たればランクアップまでの道のりがぐっと楽になる。

 ――まぁ、勝てればの話だけどな。

 マッチングが成立。 相手のステータスが表示される。
 
 「相手は――お、これは楽しめそうだ」

 プレイヤーネーム『アイロニカル』機体名『ティピカル・ジャッカル』
 ランクはA。 見た事のないプレイヤーだ。
 Aランクという事は高い確率でジェネシスフレームを使って来る。 

 完全初見の相手。 しかも何をしてくるか分からない事もあって対応力が試されるだろう。
 ランクアップの為の作業のような戦いには飽きて来た所だ。
 それにさっきまでのごちゃごちゃした考えを頭から追い払いたいといった気持ちもあった。

 今はこの戦いにだけ集中しよう。 そんな期待と警戒の入り混じった気持ちでフィールドへと移動。
 ホロスコープを駆り、降り立ったのだが――

 「お、珍しいな」

 見慣れた市街地ステージだが、珍しく夜になっていた。 
 廃墟と違って一応は電気が来ているという設定という事もあって街灯がぽつぽつと点灯している。
 基本的に対戦時はステージ、時間、気候はランダムだが、夜や豪雨のような視界などが著しく悪くなる状態になるのは少し珍しい。

 試合開始。 敵機の姿は――視認できない。
 隠密タイプか? そう考えながらシックスセンスで索敵しながら空に上がる。
 隠れている相手には一度撃たせて居場所を割った方が早い。
 
 仮に撃って来なくても移動の痕跡などで特定は可能。 
 どちらにせよ相手はヨシナリのアクションに対して何らかの反応を返すはずだ。
 そこを狙い撃ては良い。 

 ――はずだったのだが――

 「何の反応もないな」

 動体、熱源、エネルギー流動に反応なし。 
 後者二つは隠す方法はいくらでもあるが、前者を隠すのは少し面倒だ。
 隠していなければ動いていない事になるのだが、現状ではさっぱり分からない。

 割と派手に噴かして居場所をアピールしているのだが、反応がないのはどういう事だ?
 警戒している? 相手はAランクである以上、ヨシナリは格下だ。
 そんな相手にここまで慎重になるのだろうか? 

 これまでの相手にしてきたランカーの傾向的に非常に珍しいケースだ。
 
 「こちらを舐めずに徹底して自己のプレイを貫くタイプか?」

 小さく呟き、どうしたものかと考える。 手っ取り早いのは空から撃ちまくって炙り出す事だ。
 だが、相手はそれを待っているのかと考えていると軽々に試せない。
 焦らしてくる。 もしかするとこちらが我慢できなくなるのを待っている可能性もあった。

 一番いいのは先に見つけてしまう事なのだが現状、正確な位置を特定できずにいる。
 初期配置的にヨシナリは西側だったので相手は東側にいる可能性が高い。
 動いていないのなら大雑把な位置は絞り込める。 

 ――まずは東側に集中して――

 それは索敵の為に高度を落とした時に起こった。 動体に反応。
 ビルの隙間からワイヤーのような物に繋がったアンカーが二つ飛んで来たのだ。
 尻尾を出したかとヨシナリはアトルムとクルックスを抜いてアンカーを銃撃。

 アンカーはスラスターを内蔵していたようで、銃撃に合わせて噴かして躱す。
 片方は躱したが、残りが足に絡みついた。 繋がったワイヤーがピンと張られる。
 引きずり込もうとしている事は明白だった。 ヨシナリは即座にワイヤーに銃撃。

 弾は命中したが僅かにたわむだけで千切れる気配がない。
 だったらとエネルギー弾に切り替えて発射。 弾かれた。
 恐らくは対光学兵器用のコーティングが施されている。 

 同じ場所に連続して当てるか高出力のレーザーなら焼き切れるだろう。
 アシンメトリーを抜いている暇はない。 だったらとヨシナリはイラを抜いてギミックを起動。
 回転刃を当てて強引に切断。 流石は材質不明とヨシナリは大剣に感謝しつつ即座に上昇。

 一瞬、後れて弾体が通過。 レールキャノン。
 マルメルが使っている物よりも小口径だがまともに喰らえば一撃で沈みかねない代物だ。
 引き千切るのがあと少し遅れれば不味かったと思いつつも敵機の居場所を割った以上、今度はこちらの番だとアトルムを連射。

 流石に居場所を隠し通す事は難しかったようでようやく敵の姿を捉える事に成功した。
 変わった形状の機体だった。 姿勢が異様に低いのは四つん這いになっているからだろうか?
 その割には探知するまで気配がなかった。 接地していない?

 犬のような四つ足の形状だけならキマイラ・ループスのような可変機で珍しくはないが、ひらひらと靡く物で全身を覆っている事でデザインの詳細が分からない。

 ヨシナリの印象としてはヴェールのような物で覆われた四つ足の獣だ。
 ともあれ、姿を確認できた以上、ここからこちらが仕掛ける番だった。 
感想 0

あなたにおすすめの小説

局地戦闘機 飛電の栄光と終焉

みにみ
歴史・時代
十四試局戦 後の三菱雷電J2Mとして知られるこの戦闘機は爆撃機用の火星エンジンを搭載したため胴体直径の増加、前方視界不良などが続いたいわば少し残念な機体である この十四試局戦計画に地方の無名メーカーが参加、雷電を超える高性能機が誕生し、零戦の後継として太平洋戦線を駆ける これは設計者、搭乗員の熱く短い6年間を描いた物語だ

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

森のカフェしっぽっぽ

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
五十代後半の初老――サトルが営むのは、就労支援B型事業所を兼ねた猫カフェ「森のカフェしっぽっぽ」。 一階には利用者が作った木工小物や布雑貨が並び、 猫たち(イチ・きな・トラ・チビ・そして極度の臆病猫ジル)が自由気ままに接客(?)をしている。 しかしこの店には、誰も知らない“もう一つの顔”があった。 地下の倉庫兼店舗は異世界と繋がっている。 ただし、異世界人は地球には来られない。 行き来できるのはサトルだけ。 向こう側には|蜥蜴人族≪リザードマン≫の商人、 頑固な|鉱人族≪ドワーフ≫の職人、 静かな|森人族≪エルフ≫たちがいて、 サトルは彼らから“ちょっとだけ現実を楽にする品”を仕入れている。 仕事に疲れた会社員。 将来に迷う若者。 自信をなくした人。 サトルは客の空気を読み、異世界の商品をさりげなく勧める。 そして、棚の影で震えるジル。 怖がりで、音にびくつき、すぐ隠れる。 それでも店からは逃げない。 その姿が、なぜか人の心を少しだけ軽くする。 これは―― 福祉と商売と猫と異世界が、ゆるく混ざり合う物語。 震えながらでも前に立つ者が、 今日も小さく世界をつなぐ。

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。