Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第648話

 「はい、何だかんだと忙しかったですが、ついにやってきましたね。 サーバー対抗戦」

 先日の敗北を引きずる間もなく、本命のイベントであるサーバー対抗戦の当日となった。
 元々、防衛戦の復刻などはこれを見越して挑んだのだ。 
 準備は万端とまでは行かないが、やれる事はやった。 後は行くだけだ。

 「今回はインドの第二だっけか? またヤバそうな感じがするなぁ」

 マルメルの言う通り、今回の相手はインドの第二サーバーだ。
 インドエリアは人口が多いだけあってサーバーの数が多い。 
 調べたのだが、つい先日に四つ目のサーバーが稼働したというニュースを見た。

 一つのエリアで四つ目はかなり多い部類に入る。 
 今回の相手はその中でも二番目に稼働しているサーバーという事になるのだが、時期としてはやや後発だ。 日本サーバーと比べると進捗に関しては同等程度かやや進んでいるといった印象を受ける。

 ――日本は遅れているからなぁ……。

 特に最初のイベント攻略に回数をかけすぎた。 
 結果、先発サーバーに比べると大きく後れを取る形となってしまっている。
 ヨシナリは内心で小さく溜息を吐いた。 

 これは個人の力でどうにかできる話ではない事もあって、悩ましくはあるがどうにもならない。
 
 「どっちにしてもぶつかって見ないと何とも言えないからな」
 
 どうにもならない事よりも目の前の現状だ。 
 今回は幸いにも全員出席だ。 お陰で戦力的には何の問題もない。
 ヨシナリは全員をぐるりと一瞥。 

 「んじゃぁ、マルメル。 いつも通り頼むぜ」
 「おぅ、任せとけ。 今回は勝とうな!」

 いつも通りのマルメルの様子に問題ないなと思いながら次へ。

 「ふわわさん、シニフィエ。 調子はどうですか?」
 「ウチは大丈夫よー。 最近、お休みばっかりやったし活躍できるように頑張るな~」
 「こっちも問題なしです。 折角、機体も新調した事ですしそろそろ活躍したい所ですね」

 ふわわは特に前の負けを引きずっているようにも見えず、シニフィエも特に問題があるように見えない。
 
 「グロウモスさん。 今日も頼みますよ」
 「フヒッ、ま、任せて」

 こちらもいつも通りだ。 特に問題はなさそうだった。

 「ホーコート、頑張ろうな」
 「うっす。 今日こそ活躍して見せます!」

 やや気負っているように見えるが、許容範囲内だ。
 ユウヤは無言で頷き、アルフレッドが小さく吠える。
 
 「ふ、過去の二戦は不本意な結果に終わったが、今回は共に勝利の美酒に酔うとしよう」
 「俺の闇と貴公の闇はもはや以前とは違う領域に至りつつある。 そしてこの戦いを経て更にその深さを増す事だろう」

 つまり俺達は以前とは違うステージに居るので負ける事などあり得ないと言っている。
 マルメル達は首を傾げていたが、全てを理解しているベリアルは大きく頷いた。

 「道理だな」

 ベリアルがくねっとポージングするのに合わせてヨシナリも同じように身をくねらせる。
 彼に関しては何の心配もいらないだろう。 全員特に問題はなさそうだった。
 ウインドウを操作。 時間を確認するとそろそろ入場が可能な時間だ。

 「よし、行こうか!」

 そのまま全員でフィールドへと移動。 ホームから風景が切り替わった。
 
 
 
 「……そう来たかぁ」

 フィールドへと移動したヨシナリは思わずそう呟いた。
 広大な荒野で東西に巨大な山。 火口内部には拠点が広がっている。
 岩山をくり抜いたような印象を受ける地形だが、ただの岩ではなく何らかの金属を多量に含んでいるようだ。  

 「なんか妙に硬いなぁ」

 ふわわが鞘で地面を軽く突いていた。 金属質な音から硬い事がよく分かる。
 サーバー対抗戦のフィールドは基本的に左右対称だ。 向こうも自陣の確認でもしているのだろう。
 遮蔽物の類は無し。 敵陣、自陣の間を遮るものは一切存在しない事もあって、戦闘は直接の殴り合いになりそうだった。

 衛星兵器、反射兵器対策に関しては既に完了している。 
 前者はひたすらにコマンドを送り続けて相手の命令を上書きし続ければ無効化は可能。
 それは相手にも言える事で常に命令を書き換え合戦を行う事でどちらも使えなくしてしまうのが良い。

 後者に関しては手品の種が割れている以上、破壊してしまえばいい。
 エネルギー反射用のドローンは実体弾で、実体弾の反射用のドローンは光学兵器で処理できる。
 既知の兵器に関しては何の問題もないのだが、イベントの進捗が向こうの方が進んでいるというのなら初手で未知の何かを繰り出してくる可能性は高い。

 ――というか前回、前々回とそれで酷い目に遭っているからなぁ……。

 『思金神』主催の対策会議でも警戒は怠らないようにとかなり強く警告していた。
 
 「なぁ、ヨシナリ。 俺達はどう動くんだ? 地形的に殴り合うしかないよな?」
 
 マルメルはキョロキョロと周囲の地形を確認しているが、本当に身を隠せる場所がないので突っ込むしかないと判断していた。
 
 「まぁ、そうなるだろうな。 流石に先陣を切る度胸はないから本格的に戦端が開いたら北か南から回り込んでから敵陣に斬り込む感じで行こうかと思っている」

 地形的に小細工の入り込む余地がない事もあって、敵が未知の兵器を使用して来る可能性を考慮すれば使わせてから突っ込む形になる。 
 
 「最低限、こっちの知らない物を持っているかいないかだけでも判断を付けておきたいからな」

 基本的にグロウモス、アルフレッドは後方で支援。 
 残りは互いを守りながら敵陣に斬り込むといった動きになる。
 
 「じ、じゃあ、配置に付いてくる」
 「気を付けて」

 グロウモスは早々にアルフレッドを連れて後退。 
 山の頂上付近に陣取るつもりのようだ。 

 「さて、俺達は少しの間、ここで待機かな」

 他のユニオンとの連携は状況次第となる。 
 『栄光』は先陣を切るらしく中央に布陣。 『豹変』は部隊を二つに割って南北にから。
 ポンポン達は北、ヨシナリ達の現在地が南という事を考えると無理に合流を狙わずに戦闘の流れ次第で考えればいい。

 ヴルトム達『大渦』は中衛。 前線からやや下がった位置で様子を見ながら攻めるつもりのようだ。
 『烏合衆』の面々は適当に行くとの事。 
 流石に乱戦で未完成の連携を試すつもりはないようで、今回は個人で戦うつもりのようだ。

 ただ、アドルファスはカカラと二人で戦い抜くとの事。 
 タヂカラオは今回、中間指揮官として指示を出す立場との事で後方で身動きが取れないようだ。
 やがてカウントダウンが始まり――ゼロになった。
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