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第666話
――凄まじい物を見てしまった。
アーシュリアを片付けたヨシナリはふわわの援護をと思ったのだが、目に飛び込んできたのは凄まじい光景だった。 ふわわは両手で左右の野太刀を掴むとマウントを解除。
それを見てヨシナリは内心で訝しむ。 あれは片手で振れる代物ではないはず。
一体、何を狙っているんだと注視すると次の瞬間、思わず「ひぇ」と変な声が漏れた。
やった事自体は単純だ。 野太刀を抜いてその場で一回転。
それによって齎された被害は尋常なものではなかった。
大体、三、四十メートル圏内にいた敵機がほぼ全て両断されたのだ。
あの液体金属刃はアップグレードにより刃の形状を自由に弄れるようになったのだが、ふわわのスタイル的にほぼ活用されていなかったのだがここに来て使い方を編み出したらしい。
抜き放つと同時に刃が掌のように複数に広がって範囲内の敵機を切り刻んだのだ。
恐らく、攻撃範囲から味方機が居なくなるタイミングをずっと狙っていたのだろう彼女の斬撃は二十機近くのトルーパーを撃破。
ヨシナリは何であんな真似ができたんだと疑問を抱いたが、ややあってなるほどと納得した。
ふわわの野太刀は彼女自身の力で振っている訳ではなく、鞘という銃身からブレードを発射している。
それを制御する事で斬撃に見えるのだが、本質的には射撃に近いのだ。
ふわわはそれを利用して、左右の鞘から斬撃を射出する事であのような範囲攻撃を実現したという訳だ。
ただ、振る際に鞘を下に向けておかないと何処かに飛んで行ってしまうので動作はある程度、固定されてしまう。 そして鞘を下に向ける関係で空中でしか使えない。
挙動としては片方の斬撃を放ち、一回転した所でもう片方を射出して二撃目を繰り出す。
恐ろしいのは一度振り切った後に狙いを修正してから二撃目を放ったのだ。
明らかに強そうなシシキンというプレイヤーは流石はランカーだけあって急上昇する事で足を失っただけで済ませたのは大したものだった。
だが、そんな彼でもふわわに勝つのは難しいと判断したのか早々に逃げを打った。
思い切りの良さはヨシナリとしては素直に評価したいが、体が温まっているふわわ相手にそれは悪手だ。 露骨に不快そうになった彼女は強化装甲の機能を解放。
磁界が発生し、地面に突き刺さった鞘を引き抜いて手元に引き寄せる。
柄をはめ込んで刺突の構え。
突き出したと同時に鞘と柄の間に放電したかのようなスパークが走り、凄まじい速度で鞘が射出される。 原理はレールガンと変わらない事もあって飛ぶ速度は凄まじい。
不穏な気配を察したのか僅かに振り返ろうとしたシシキンが胴体を貫かれて爆散。
完全に即死だった。 あれに関しては発射の瞬間を見なかったのが致命的な失敗だ。
少なくとも構えを見ていれば躱せる可能性もあったのだが、逃げる事に拘泥した事で結果的に敗北を招いてしまった。
――いや、凄ぇ物を見たなぁ。
次、戦る時は気を付けようとふわわから視線を切って周囲を確認。
マルメルとアイロニーは残敵の掃討中で司令塔のアーシュリアが居なくなった事で総崩れとなり、驚くほどに脆くなっていた。
同時にキルゾーンを維持していた者達も『思金神』に駆逐されつつあり、このまま行けば拠点に手が届きそうだ。 ヤガミもそれを理解しているのか仲間を率いて前線を一気に押し上げる。
ヨシナリはどうしたものかと考えていた。 ユウヤとベリアルの反応は生きているがかなり遠い。
インド側の拠点を挟んで向こう側だ。 随分と深追いしている。
心配ではあるが、今の状況で簡単に辿り着ける位置ではない。
一先ず、このままヤガミ達に続いて敵陣に斬り込むのも選択肢としては有りだが、機体のダメージ蓄積が少し気になる。
アイロニーに回復して貰えたがあくまでも応急処置だ。
完調させたいのならメンテナンス施設に入れる必要がある。
進むか戻るかなのだが、進む事への懸念があるように戻る事にも懸念があった。
日本側の拠点は現在、インド側の猛攻を受けており、メンテナンス施設を使っている間に建物ごと吹き飛ばされそうな怖さがある。
結構な距離があるにも関わらず、目立つ戦闘があった。 片方はタカミムスビ。
あの巨体は間違えようがない。
内蔵された火器を惜しげもなく解放してトルーパーというカテゴリーから逸脱した圧倒的な火力で敵を焼き払っている。 『思金神』トップだけあって凄まじい火力だ。
――どれだけのアップグレードを繰り返したらあんなことになるんだ?
彼の機体の凄まじさにやや頬を引き攣らせる。
だが、そんな圧倒的な火力をもってしても敵機はそれを物ともせずに反撃すらしていた。
恐らくはインド側のSランクプレイヤーで、空から雷を降らせている。
気象兵器の類なのだろうが、日本側の拠点を中心に広範囲に雷の雨が降り、射抜かれた機体が一撃で行動不能になっている点からもその恐ろしさが伝わってくる。
――こういう時は報連相か。
「一先ずの機器は脱しましたが、イベントはまだ終わってないのでこれからどうするかを決めたいと思います。 選択肢としては三つ」
「三つ? 進むか戻るかじゃねーのか?」
「進むに当たって二つあるんだよ」
マルメルの質問にヨシナリは小さく頷いて応える。
「まずは一つ目。 このまま『思金神』にくっ付いて前線を突破してあの二人を助けに行く」
「タクティカル。 だが、機体のコンディションは思わしくない。 そこで二つ目の選択肢だな。 敵のメンテナンス施設に押し入って修理と補給を済ませるのだろう?」
「正確には補給と修理は一部だけですね。 全部直してたら時間がかかり過ぎるので、推進系や動力系等の重要パーツ周りの修理だけやってベリアル達を助けに行きます」
敵の施設を利用する関係で上手くいけばコンディションを万全に近い状態にできるが、非常にリスキーだ。 そんなアイデアが何故、選択肢に出るのかというと敵の配置を見れば不可能ではないからだった。
基本的にサーバー対抗戦は同数で行う。
つまり数が同じである以上、戦場を俯瞰すれば大体どの程度拠点内部に敵機が残っているのかが分かる。 インド側の作戦は非常に分かり易い。
下手に守らずに攻める。 それも示し合わせた訳ではないアドリブでだ。
一枚岩ではない事は明らかで拠点を襲っている推定Sランクプレイヤーが他を引っ張って突出した結果がこの状況だろう。
アーシュリアを片付けたヨシナリはふわわの援護をと思ったのだが、目に飛び込んできたのは凄まじい光景だった。 ふわわは両手で左右の野太刀を掴むとマウントを解除。
それを見てヨシナリは内心で訝しむ。 あれは片手で振れる代物ではないはず。
一体、何を狙っているんだと注視すると次の瞬間、思わず「ひぇ」と変な声が漏れた。
やった事自体は単純だ。 野太刀を抜いてその場で一回転。
それによって齎された被害は尋常なものではなかった。
大体、三、四十メートル圏内にいた敵機がほぼ全て両断されたのだ。
あの液体金属刃はアップグレードにより刃の形状を自由に弄れるようになったのだが、ふわわのスタイル的にほぼ活用されていなかったのだがここに来て使い方を編み出したらしい。
抜き放つと同時に刃が掌のように複数に広がって範囲内の敵機を切り刻んだのだ。
恐らく、攻撃範囲から味方機が居なくなるタイミングをずっと狙っていたのだろう彼女の斬撃は二十機近くのトルーパーを撃破。
ヨシナリは何であんな真似ができたんだと疑問を抱いたが、ややあってなるほどと納得した。
ふわわの野太刀は彼女自身の力で振っている訳ではなく、鞘という銃身からブレードを発射している。
それを制御する事で斬撃に見えるのだが、本質的には射撃に近いのだ。
ふわわはそれを利用して、左右の鞘から斬撃を射出する事であのような範囲攻撃を実現したという訳だ。
ただ、振る際に鞘を下に向けておかないと何処かに飛んで行ってしまうので動作はある程度、固定されてしまう。 そして鞘を下に向ける関係で空中でしか使えない。
挙動としては片方の斬撃を放ち、一回転した所でもう片方を射出して二撃目を繰り出す。
恐ろしいのは一度振り切った後に狙いを修正してから二撃目を放ったのだ。
明らかに強そうなシシキンというプレイヤーは流石はランカーだけあって急上昇する事で足を失っただけで済ませたのは大したものだった。
だが、そんな彼でもふわわに勝つのは難しいと判断したのか早々に逃げを打った。
思い切りの良さはヨシナリとしては素直に評価したいが、体が温まっているふわわ相手にそれは悪手だ。 露骨に不快そうになった彼女は強化装甲の機能を解放。
磁界が発生し、地面に突き刺さった鞘を引き抜いて手元に引き寄せる。
柄をはめ込んで刺突の構え。
突き出したと同時に鞘と柄の間に放電したかのようなスパークが走り、凄まじい速度で鞘が射出される。 原理はレールガンと変わらない事もあって飛ぶ速度は凄まじい。
不穏な気配を察したのか僅かに振り返ろうとしたシシキンが胴体を貫かれて爆散。
完全に即死だった。 あれに関しては発射の瞬間を見なかったのが致命的な失敗だ。
少なくとも構えを見ていれば躱せる可能性もあったのだが、逃げる事に拘泥した事で結果的に敗北を招いてしまった。
――いや、凄ぇ物を見たなぁ。
次、戦る時は気を付けようとふわわから視線を切って周囲を確認。
マルメルとアイロニーは残敵の掃討中で司令塔のアーシュリアが居なくなった事で総崩れとなり、驚くほどに脆くなっていた。
同時にキルゾーンを維持していた者達も『思金神』に駆逐されつつあり、このまま行けば拠点に手が届きそうだ。 ヤガミもそれを理解しているのか仲間を率いて前線を一気に押し上げる。
ヨシナリはどうしたものかと考えていた。 ユウヤとベリアルの反応は生きているがかなり遠い。
インド側の拠点を挟んで向こう側だ。 随分と深追いしている。
心配ではあるが、今の状況で簡単に辿り着ける位置ではない。
一先ず、このままヤガミ達に続いて敵陣に斬り込むのも選択肢としては有りだが、機体のダメージ蓄積が少し気になる。
アイロニーに回復して貰えたがあくまでも応急処置だ。
完調させたいのならメンテナンス施設に入れる必要がある。
進むか戻るかなのだが、進む事への懸念があるように戻る事にも懸念があった。
日本側の拠点は現在、インド側の猛攻を受けており、メンテナンス施設を使っている間に建物ごと吹き飛ばされそうな怖さがある。
結構な距離があるにも関わらず、目立つ戦闘があった。 片方はタカミムスビ。
あの巨体は間違えようがない。
内蔵された火器を惜しげもなく解放してトルーパーというカテゴリーから逸脱した圧倒的な火力で敵を焼き払っている。 『思金神』トップだけあって凄まじい火力だ。
――どれだけのアップグレードを繰り返したらあんなことになるんだ?
彼の機体の凄まじさにやや頬を引き攣らせる。
だが、そんな圧倒的な火力をもってしても敵機はそれを物ともせずに反撃すらしていた。
恐らくはインド側のSランクプレイヤーで、空から雷を降らせている。
気象兵器の類なのだろうが、日本側の拠点を中心に広範囲に雷の雨が降り、射抜かれた機体が一撃で行動不能になっている点からもその恐ろしさが伝わってくる。
――こういう時は報連相か。
「一先ずの機器は脱しましたが、イベントはまだ終わってないのでこれからどうするかを決めたいと思います。 選択肢としては三つ」
「三つ? 進むか戻るかじゃねーのか?」
「進むに当たって二つあるんだよ」
マルメルの質問にヨシナリは小さく頷いて応える。
「まずは一つ目。 このまま『思金神』にくっ付いて前線を突破してあの二人を助けに行く」
「タクティカル。 だが、機体のコンディションは思わしくない。 そこで二つ目の選択肢だな。 敵のメンテナンス施設に押し入って修理と補給を済ませるのだろう?」
「正確には補給と修理は一部だけですね。 全部直してたら時間がかかり過ぎるので、推進系や動力系等の重要パーツ周りの修理だけやってベリアル達を助けに行きます」
敵の施設を利用する関係で上手くいけばコンディションを万全に近い状態にできるが、非常にリスキーだ。 そんなアイデアが何故、選択肢に出るのかというと敵の配置を見れば不可能ではないからだった。
基本的にサーバー対抗戦は同数で行う。
つまり数が同じである以上、戦場を俯瞰すれば大体どの程度拠点内部に敵機が残っているのかが分かる。 インド側の作戦は非常に分かり易い。
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