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第675話
闇の王とは深淵を進みゆく求道者にして闇を司り、影を支配し、覇道を成す存在だ。
それ故にベリアルはどのような苦境、苦難に対しても受け入れ、乗り越える胆力を己に求め、客観的に見て上手くやれていると自分で思っていた。
だが、この瞬間に自分が立たされている状況に対して上手くやれるのかが少し分からない。
何故なら――カナタが大剣の横薙ぎに振るい、カンチャーナが回避。
ユウヤが散弾砲で回避先を狙うが上を取っており、カナタを巻き込むようなポジショニングだった。
「ちょっと! 危ないじゃない!」
「纏めて死ね」
文句を言うカナタにあわよくば事故に見せかけて纏めて葬ろうとするユウヤ。
この状況で自分はどう動くべきか? 二人の間に入って形だけでも連携の体裁を整える役だ。
その為、得意の接近戦がやり辛くなった。 それ以前にこの状況で肉薄するのは危険でもある。
ユウヤだけなら問題はなかったのだが、カナタが混ざった以上は自分が立ち回りを考えなければならない。
元々、ベリアルとユウヤの連携はそれなりの期間、共に戦った事で徐々にではあるが形になってきてはいた。
回転が遅いが一撃が重いユウヤと回転が速いが攻撃の軽いベリアル。
ベリアルがラッシュで崩してユウヤが仕留めるという形も出来上がりつつあった。
それによりこの包囲網を突破し、カンチャーナの喉元まで刃を届かせたのだ。
これでヨシナリが居れば最高だったが、突出してしまった以上、援護は期待できない。
二人でかかってなお、カンチャーナの防御は崩せなかった事もあって流れを変える存在はありがたくもあったが、この状況ではノイズとなってしまっている。
カナタは大剣と二刀で近~中距離を器用に切り替えながら仕留めに行っているが、こちらとの連携を一切考慮せず、カンチャーナを仕留める事に注力している所為でさっきまで機能していた連携が使えないのだ。
特に大剣は攻撃範囲が広い事もあって意識しないと巻き込まれかねない。
カナタもその点は理解している様で当てないようにはしているが、動き出しが遅れる要因となってしまっていた。
ユウヤはそれを煩わしいと感じ、カナタが射線に入っても気にせずに散弾砲で射撃といったやや消極的な攻撃方法に変わってしまっている。
その為、カナタのフォローにベリアルが入るといった形になってしまった。
カナタは強い。 そこはベリアルも認める所ではあるが、個人技と集団戦では勝手が違う。
突出した個人がチーム戦で十全に機能するかと問われればベリアルは否と答える。
集団戦闘に於いて最も重要なのは連携だ。 彼はそれをヨシナリから教えられた。
個々の戦闘能力で劣っていたとしても連携の完成度で容易く覆せる。
それを理解しているからこそ、ベリアルは集団戦に於いては円滑な連携を意識し、立ち回りもそれに合った物に変えて来た。 こういう時にはどうするべきだろうか?
ユウヤの回答は相手にせず、あわよくば纏めて排除。 ならヨシナリの場合はどうするだろうか?
魔弾の射手の千里眼は戦況を読み解き、未来を予測演算する。
彼の視野の広さはその観察眼にあった。 視て、そこから読み取った情報で戦い方を組み立て、戦場という環境に最適な状態へと適応するのだ。
この場合は何を見るべきか? カンチャーナ? それともカナタ?
正解は両方だ。 まずはカンチャーナを注視する。
六本の腕をフルに使った挙動は攻防に置いて非常に高いレベルで機能していた。
刃を伸ばす事で両剣として扱える独鈷を回転させて振り回す事で死角を物理的に消しているのはシンプルに厄介だった。 特にベリアルとはあまり相性が良くなく、勝負を決める為にはユウヤの一撃が鍵をだと思っていたのだが、この独鈷が思った以上に厄介な代物だ。
どうやら機体内部で精製しているらしく破壊しても次から次へと出て来る上、取り落とした物は遠隔操作で攻撃ドローンとしても扱える。 つまりカンチャーナは好きなだけ手数を増やす事ができるのだ。
以前に戦った運営の走狗――敵性トルーパーと同じシステムを採用しているというのなら操作できる数は十では利かないだろう。 何せ思考リソースが通常の三倍なのだ。
本当に複座を採用しているのかは不明だが、可能な限り最悪を想定するべきだった。
その為、三人乗りと認識していた方が足元を掬われる可能性は減る。
武装に関しては今の所、これ以上は出ていないが何かを隠している可能性は高い。
ただ、それでも突破自体は不可能ではないはずなのだが、問題はあの機体に備わっている特殊武装だ。
相手に偽りの風景を見せ、幻聴を聞かせる惑乱の波動。 接近戦の間合いに入れば確実に影響下に置かれる事もあって攻めきれないのだ。 迂闊に踏み込むと強制的に前後不覚にされるのは非常に厄介だった。
ユウヤ達もそれを警戒してやや離れた位置から攻撃を繰り返すというやや消極的なスタイルになってしまった大きな要因だ。
幸いにもエーテルはこの幻惑に対しての抵抗力があるのか、ベリアルには効果がない。
この状況でカンチャーナと接近戦ができるのはベリアルだけなのだが、ユウヤとカナタが噛み合わないお陰で間に入るしかない事もあって動けないのだ。
なら捨て身で行くか? ギャンブルになるが、撃破の目はある。
だが、それ以上にリスクが高かった。 この状況でカンチャーナの幻惑が効かないベリアルが落ちる事は致命的だ。 何故なら替えが利かないからだ。
この局面に於いてベリアルは絶対に落とされる訳にはいかなかった。
加えて――エネルギーウイングを全開に噴かして突っ込んで来るエンジェルフレームが背後から襲い掛かって来る。 転移で即座に背後を取るとエーテルブレードでコックピットを貫いて撃破。
――カナタ達が連れて来た援軍が居るが、それでもここは敵陣が近い事もあって次から次へと敵が集まって来る。
膠着は不味い。 徐々に不利になっていく。
それを理解しているカナタも徐々にだが動きに焦りが見える。
ユウヤはカナタの存在を意識している所為か動きが悪い。
表立って攻撃できない事でかなりのストレスがかかっている事が分かる。
やはりカナタとユウヤは合わせられない。 カンチャーナは逃げ回りながら独鈷をばら撒いて手数を増やして明らかに時間を稼ごうとしている。
――やるしか――
ベリアルが覚悟を決めようとした時、基地の方で巨大な爆発が発生した。
それ故にベリアルはどのような苦境、苦難に対しても受け入れ、乗り越える胆力を己に求め、客観的に見て上手くやれていると自分で思っていた。
だが、この瞬間に自分が立たされている状況に対して上手くやれるのかが少し分からない。
何故なら――カナタが大剣の横薙ぎに振るい、カンチャーナが回避。
ユウヤが散弾砲で回避先を狙うが上を取っており、カナタを巻き込むようなポジショニングだった。
「ちょっと! 危ないじゃない!」
「纏めて死ね」
文句を言うカナタにあわよくば事故に見せかけて纏めて葬ろうとするユウヤ。
この状況で自分はどう動くべきか? 二人の間に入って形だけでも連携の体裁を整える役だ。
その為、得意の接近戦がやり辛くなった。 それ以前にこの状況で肉薄するのは危険でもある。
ユウヤだけなら問題はなかったのだが、カナタが混ざった以上は自分が立ち回りを考えなければならない。
元々、ベリアルとユウヤの連携はそれなりの期間、共に戦った事で徐々にではあるが形になってきてはいた。
回転が遅いが一撃が重いユウヤと回転が速いが攻撃の軽いベリアル。
ベリアルがラッシュで崩してユウヤが仕留めるという形も出来上がりつつあった。
それによりこの包囲網を突破し、カンチャーナの喉元まで刃を届かせたのだ。
これでヨシナリが居れば最高だったが、突出してしまった以上、援護は期待できない。
二人でかかってなお、カンチャーナの防御は崩せなかった事もあって流れを変える存在はありがたくもあったが、この状況ではノイズとなってしまっている。
カナタは大剣と二刀で近~中距離を器用に切り替えながら仕留めに行っているが、こちらとの連携を一切考慮せず、カンチャーナを仕留める事に注力している所為でさっきまで機能していた連携が使えないのだ。
特に大剣は攻撃範囲が広い事もあって意識しないと巻き込まれかねない。
カナタもその点は理解している様で当てないようにはしているが、動き出しが遅れる要因となってしまっていた。
ユウヤはそれを煩わしいと感じ、カナタが射線に入っても気にせずに散弾砲で射撃といったやや消極的な攻撃方法に変わってしまっている。
その為、カナタのフォローにベリアルが入るといった形になってしまった。
カナタは強い。 そこはベリアルも認める所ではあるが、個人技と集団戦では勝手が違う。
突出した個人がチーム戦で十全に機能するかと問われればベリアルは否と答える。
集団戦闘に於いて最も重要なのは連携だ。 彼はそれをヨシナリから教えられた。
個々の戦闘能力で劣っていたとしても連携の完成度で容易く覆せる。
それを理解しているからこそ、ベリアルは集団戦に於いては円滑な連携を意識し、立ち回りもそれに合った物に変えて来た。 こういう時にはどうするべきだろうか?
ユウヤの回答は相手にせず、あわよくば纏めて排除。 ならヨシナリの場合はどうするだろうか?
魔弾の射手の千里眼は戦況を読み解き、未来を予測演算する。
彼の視野の広さはその観察眼にあった。 視て、そこから読み取った情報で戦い方を組み立て、戦場という環境に最適な状態へと適応するのだ。
この場合は何を見るべきか? カンチャーナ? それともカナタ?
正解は両方だ。 まずはカンチャーナを注視する。
六本の腕をフルに使った挙動は攻防に置いて非常に高いレベルで機能していた。
刃を伸ばす事で両剣として扱える独鈷を回転させて振り回す事で死角を物理的に消しているのはシンプルに厄介だった。 特にベリアルとはあまり相性が良くなく、勝負を決める為にはユウヤの一撃が鍵をだと思っていたのだが、この独鈷が思った以上に厄介な代物だ。
どうやら機体内部で精製しているらしく破壊しても次から次へと出て来る上、取り落とした物は遠隔操作で攻撃ドローンとしても扱える。 つまりカンチャーナは好きなだけ手数を増やす事ができるのだ。
以前に戦った運営の走狗――敵性トルーパーと同じシステムを採用しているというのなら操作できる数は十では利かないだろう。 何せ思考リソースが通常の三倍なのだ。
本当に複座を採用しているのかは不明だが、可能な限り最悪を想定するべきだった。
その為、三人乗りと認識していた方が足元を掬われる可能性は減る。
武装に関しては今の所、これ以上は出ていないが何かを隠している可能性は高い。
ただ、それでも突破自体は不可能ではないはずなのだが、問題はあの機体に備わっている特殊武装だ。
相手に偽りの風景を見せ、幻聴を聞かせる惑乱の波動。 接近戦の間合いに入れば確実に影響下に置かれる事もあって攻めきれないのだ。 迂闊に踏み込むと強制的に前後不覚にされるのは非常に厄介だった。
ユウヤ達もそれを警戒してやや離れた位置から攻撃を繰り返すというやや消極的なスタイルになってしまった大きな要因だ。
幸いにもエーテルはこの幻惑に対しての抵抗力があるのか、ベリアルには効果がない。
この状況でカンチャーナと接近戦ができるのはベリアルだけなのだが、ユウヤとカナタが噛み合わないお陰で間に入るしかない事もあって動けないのだ。
なら捨て身で行くか? ギャンブルになるが、撃破の目はある。
だが、それ以上にリスクが高かった。 この状況でカンチャーナの幻惑が効かないベリアルが落ちる事は致命的だ。 何故なら替えが利かないからだ。
この局面に於いてベリアルは絶対に落とされる訳にはいかなかった。
加えて――エネルギーウイングを全開に噴かして突っ込んで来るエンジェルフレームが背後から襲い掛かって来る。 転移で即座に背後を取るとエーテルブレードでコックピットを貫いて撃破。
――カナタ達が連れて来た援軍が居るが、それでもここは敵陣が近い事もあって次から次へと敵が集まって来る。
膠着は不味い。 徐々に不利になっていく。
それを理解しているカナタも徐々にだが動きに焦りが見える。
ユウヤはカナタの存在を意識している所為か動きが悪い。
表立って攻撃できない事でかなりのストレスがかかっている事が分かる。
やはりカナタとユウヤは合わせられない。 カンチャーナは逃げ回りながら独鈷をばら撒いて手数を増やして明らかに時間を稼ごうとしている。
――やるしか――
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