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第683話
手強いというよりは面倒な相手だった。
過去形で語っているのはもう仕留めるまで秒読みだからだ。
ヨシナリはシックスセンスで油断なくカンチャーナを観察。
ユウヤの一撃で動力が不安定、エネルギー流動もあちこちで滞っている。
爆発していないのが不思議なぐらいの有様だった。
――が、それもここまでだ。
「さっさとくだばれ」
ユウヤがそう言って散弾砲を向ける。
まったくもって同感だった。 まだ本陣で暴れまわっているSランクらしきプレイヤーも健在なのだ。
やる事は多い。 いつまでもチート頼りの萎える奴を相手にしていられない。
どんな手を使ってこんな状況を成立させたのかには興味があったが、真似する気は欠片もなかった事もあってさっさと消し飛ばして次に行きたい気持ちの方が強かったのだ。
発射。 完全に捉えた。 散弾はカンチャーナを貫く――直前に周囲の機体の残骸が集まってできた壁に阻まれて防がれる。
「何?」
流石に想定外の事態にベリアルが小さく声を漏らす。
ユウヤも同様なのか明らかに何だと眉を顰めつつ、周囲を警戒。
何故ならこれまでのカンチャーナ挙動からこんな真似ができるとは思えないからだ。
つまり第三者の介入。 ヨシナリは新手かと周囲をスキャニングするがそれらしき反応はない。
じゃあ何なんだよと残骸の壁を確認するとヨシナリの眉が無意識に釣り上がる。
カンチャーナの機体から不可視の力場が蜘蛛の巣のように伸びて周囲の残骸を引き寄せたのだ。
「おいおい、追いつめられて新しいチートを使いだしたとかか?」
明らかに元々積んであった奥の手を使いましたといった様子ではなかったからだ。
加えて、あの損傷でこんな大規模な範囲に影響を与える装備が使えるとは思えなかった。
そもそもあんな事ができるのならとっくに使っているはずだ。
――にも関わらずこのタイミングで切ったという事は使う事に対してかなりのリスク、または使った後に面倒な事になる代物である可能性が高い。
「ふ、追いつめられ、虚飾なる力に手を伸ばしたか。 本質は虚ろとはいえ、実を伴う以上、脅威たり得る。 だが、愚かとしか言えんな。 力と割り切っているのだろうが芯が虚ろである以上、我が闇を越える事は叶わない」
「ここは我等という所だろう?」
ヨシナリがそう言うとベリアルが愉快そうに笑う。
そのままシックスセンスでの解析を続ける。
確かにチートではあるのだろうがこのゲームの傾向上、絶対に勝てないようにはできていない。
視た感じ力場を用いての物体の引き寄せなのだが、それだけではないだろう。
――何をしてくるのか――
残骸を投げつけて手数を増やすか? それとも過去のエネミーのように残骸を操るか?
正解は想像の斜め上だった。 カンチャーナは残骸を自機に取り込んで再生を始めたのだ。
生物のように吸収するというよりは引き寄せた残骸から使えるパーツをより分けて自機の損傷を埋めているのだ。
それだけに留まらずにジェネレータや推進装置を取り込んで強引なスペックアップまで図っている。
背中には大小様々な推進装置やエネルギーウイングやジェネレーター。
胴体も装甲などがべたべたと張り付いて機体が巨大化。
凄まじい勢いて質量を増していくのだが、当然ながら黙って見ている訳がない。
ユウヤが散弾砲を叩きこみ、ベリアルもエーテル弾を連射。
「ジェネレーターや推進装置を狙え! 無事な奴を強引に接合して性能を嵩増している! ブクブク太った自重を支える為の推進装置とジェネレーターがなければただの的にしからならない!」
言いながらヨシナリは背面に回ってアシンメトリーを連射。
片端からジェネレーターと推進装置を破壊する。 途中で意図に気付かれてフィールドを展開。
鬱陶しいと思いつつシックスセンスで展開範囲をスキャニングするが――
「……この野郎」
フィールドの展開装置まで取り込んでいるらしく、様々な障壁が多重展開されていた。
攻撃が通らない。
「だったら!」
背のイラを抜いてハンマーに変形。
ユウヤも全く同じ事を考えていたのか同様にハンマーを構えて突っ込んでいた。
僅かにタイミングをずらして横薙ぎに振るう。
ヨシナリの扱っているイラはユウヤの物に比べて旧式という事もあって対応しているフィールドの種類が少ないのだ。 その為、ユウヤに厄介なフィールドを剥がして貰った上で叩きこむ。
思惑通り、ユウヤの一撃はカンチャーナの防御をあっさりと突き破るとその背中――ジェネレーターや推進装置が密集している個所を打ち抜いた。
次々と爆発が発生し、態勢を崩した所をヨシナリが脇腹を抉るように一撃。
ユウヤがフィールドの発生装置も破壊したお陰で再展開も間に合わずにまともに入った。
単純な質量攻撃は分かり易く有効で、装甲が集まり切る前の脇腹を深く抉る。
カンチャーナは機体のあちこちから突き出た腕を操り、元の持ち主が持っていたであろう大小様々な火器をヨシナリ達に向けるが、それよりも早く巨大な弾体がその頭部に突き刺さり、跡形もなく消し飛ばす。
「おいおいおいおい、何がどうなってるんだこれは!?」
振り返るとマルメルがハンドレールキャノンを冷却しながらこちらに向かって来ていた。
「ナイスだマルメル! いいタイミングだったぜ!」
「ヤバそうだったから取りあえず喰らわしたけど、あのキモいデザインの化け物は何だ? またエネミーの横槍とかじゃないよな?」
「アンビリカル! そこらからパーツを集めているのか!?」
「ひゃー、また面倒そうなのが居ますねー」
マルメルはやや引き気味にアイロニーはやや興奮気味に、シニフィエは少し嫌そうといった反応を示す。
どうやら追いついてきたようだ。
「あれが目当てのカンチャーナだ。 あとちょっとって所であんなんになっちまった」
「意味分かんねーぞ。 戦隊ものの敵じゃあるまいし最後の手段で巨大化したのかよ」
マルメルが後退したヨシナリの横に並ぶ。
「多分、その認識で正しいと思う。 あのカンチャーナって奴、多分だけどやってる」
それを聞いたアイロニーは何の事だと首を傾げるが、マルメルは露骨に嫌そうな声を漏らした。
「ホーコートのアレと同じって事でいいのか?」
ヨシナリが小さく頷くとシニフィエは小さく溜息を吐いた。
「マジですかー。 ランカーで許されるとかどうなってるんですか……」
「その辺は何とも言えない。 どっちにしろ敵である事には変わらない。 叩き潰すぞ」
シニフィエは了解と応えると目の前のカンチャーナに対して構えを取った。
過去形で語っているのはもう仕留めるまで秒読みだからだ。
ヨシナリはシックスセンスで油断なくカンチャーナを観察。
ユウヤの一撃で動力が不安定、エネルギー流動もあちこちで滞っている。
爆発していないのが不思議なぐらいの有様だった。
――が、それもここまでだ。
「さっさとくだばれ」
ユウヤがそう言って散弾砲を向ける。
まったくもって同感だった。 まだ本陣で暴れまわっているSランクらしきプレイヤーも健在なのだ。
やる事は多い。 いつまでもチート頼りの萎える奴を相手にしていられない。
どんな手を使ってこんな状況を成立させたのかには興味があったが、真似する気は欠片もなかった事もあってさっさと消し飛ばして次に行きたい気持ちの方が強かったのだ。
発射。 完全に捉えた。 散弾はカンチャーナを貫く――直前に周囲の機体の残骸が集まってできた壁に阻まれて防がれる。
「何?」
流石に想定外の事態にベリアルが小さく声を漏らす。
ユウヤも同様なのか明らかに何だと眉を顰めつつ、周囲を警戒。
何故ならこれまでのカンチャーナ挙動からこんな真似ができるとは思えないからだ。
つまり第三者の介入。 ヨシナリは新手かと周囲をスキャニングするがそれらしき反応はない。
じゃあ何なんだよと残骸の壁を確認するとヨシナリの眉が無意識に釣り上がる。
カンチャーナの機体から不可視の力場が蜘蛛の巣のように伸びて周囲の残骸を引き寄せたのだ。
「おいおい、追いつめられて新しいチートを使いだしたとかか?」
明らかに元々積んであった奥の手を使いましたといった様子ではなかったからだ。
加えて、あの損傷でこんな大規模な範囲に影響を与える装備が使えるとは思えなかった。
そもそもあんな事ができるのならとっくに使っているはずだ。
――にも関わらずこのタイミングで切ったという事は使う事に対してかなりのリスク、または使った後に面倒な事になる代物である可能性が高い。
「ふ、追いつめられ、虚飾なる力に手を伸ばしたか。 本質は虚ろとはいえ、実を伴う以上、脅威たり得る。 だが、愚かとしか言えんな。 力と割り切っているのだろうが芯が虚ろである以上、我が闇を越える事は叶わない」
「ここは我等という所だろう?」
ヨシナリがそう言うとベリアルが愉快そうに笑う。
そのままシックスセンスでの解析を続ける。
確かにチートではあるのだろうがこのゲームの傾向上、絶対に勝てないようにはできていない。
視た感じ力場を用いての物体の引き寄せなのだが、それだけではないだろう。
――何をしてくるのか――
残骸を投げつけて手数を増やすか? それとも過去のエネミーのように残骸を操るか?
正解は想像の斜め上だった。 カンチャーナは残骸を自機に取り込んで再生を始めたのだ。
生物のように吸収するというよりは引き寄せた残骸から使えるパーツをより分けて自機の損傷を埋めているのだ。
それだけに留まらずにジェネレータや推進装置を取り込んで強引なスペックアップまで図っている。
背中には大小様々な推進装置やエネルギーウイングやジェネレーター。
胴体も装甲などがべたべたと張り付いて機体が巨大化。
凄まじい勢いて質量を増していくのだが、当然ながら黙って見ている訳がない。
ユウヤが散弾砲を叩きこみ、ベリアルもエーテル弾を連射。
「ジェネレーターや推進装置を狙え! 無事な奴を強引に接合して性能を嵩増している! ブクブク太った自重を支える為の推進装置とジェネレーターがなければただの的にしからならない!」
言いながらヨシナリは背面に回ってアシンメトリーを連射。
片端からジェネレーターと推進装置を破壊する。 途中で意図に気付かれてフィールドを展開。
鬱陶しいと思いつつシックスセンスで展開範囲をスキャニングするが――
「……この野郎」
フィールドの展開装置まで取り込んでいるらしく、様々な障壁が多重展開されていた。
攻撃が通らない。
「だったら!」
背のイラを抜いてハンマーに変形。
ユウヤも全く同じ事を考えていたのか同様にハンマーを構えて突っ込んでいた。
僅かにタイミングをずらして横薙ぎに振るう。
ヨシナリの扱っているイラはユウヤの物に比べて旧式という事もあって対応しているフィールドの種類が少ないのだ。 その為、ユウヤに厄介なフィールドを剥がして貰った上で叩きこむ。
思惑通り、ユウヤの一撃はカンチャーナの防御をあっさりと突き破るとその背中――ジェネレーターや推進装置が密集している個所を打ち抜いた。
次々と爆発が発生し、態勢を崩した所をヨシナリが脇腹を抉るように一撃。
ユウヤがフィールドの発生装置も破壊したお陰で再展開も間に合わずにまともに入った。
単純な質量攻撃は分かり易く有効で、装甲が集まり切る前の脇腹を深く抉る。
カンチャーナは機体のあちこちから突き出た腕を操り、元の持ち主が持っていたであろう大小様々な火器をヨシナリ達に向けるが、それよりも早く巨大な弾体がその頭部に突き刺さり、跡形もなく消し飛ばす。
「おいおいおいおい、何がどうなってるんだこれは!?」
振り返るとマルメルがハンドレールキャノンを冷却しながらこちらに向かって来ていた。
「ナイスだマルメル! いいタイミングだったぜ!」
「ヤバそうだったから取りあえず喰らわしたけど、あのキモいデザインの化け物は何だ? またエネミーの横槍とかじゃないよな?」
「アンビリカル! そこらからパーツを集めているのか!?」
「ひゃー、また面倒そうなのが居ますねー」
マルメルはやや引き気味にアイロニーはやや興奮気味に、シニフィエは少し嫌そうといった反応を示す。
どうやら追いついてきたようだ。
「あれが目当てのカンチャーナだ。 あとちょっとって所であんなんになっちまった」
「意味分かんねーぞ。 戦隊ものの敵じゃあるまいし最後の手段で巨大化したのかよ」
マルメルが後退したヨシナリの横に並ぶ。
「多分、その認識で正しいと思う。 あのカンチャーナって奴、多分だけどやってる」
それを聞いたアイロニーは何の事だと首を傾げるが、マルメルは露骨に嫌そうな声を漏らした。
「ホーコートのアレと同じって事でいいのか?」
ヨシナリが小さく頷くとシニフィエは小さく溜息を吐いた。
「マジですかー。 ランカーで許されるとかどうなってるんですか……」
「その辺は何とも言えない。 どっちにしろ敵である事には変わらない。 叩き潰すぞ」
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