Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第704話

 「概要は前と同じでテロリスト退治でしたよ」
 
 昇降機がゆっくりと下へと向かっていく。 周囲を警戒しながらヨシナリは肩を竦めた。
 
 「あんなのは出なかったの?」
 「出ませんでした――というより俺は・・見てないって感じですね。 いや、これが酷い話でして、俺が入った頃には既に勝負が決まっている状態で参加プレイヤーは獲物の取り合いになってたんですよ」
 「あぁ、報酬が敵の撃破による歩合制だから?」

 グロウモスは察したのか取り合っている理由に納得していた。

 「その通りです。 Ⅰ型固定でステージは砂漠。 今回みたいなテロリストの拠点の制圧だったんですけど、外に居たのはボーンヘッドやテロリストが鹵獲したって設定のⅠ型でした」
 「鹵獲って事はパーツの寄せ集めの機体みたいな感じ?」
 「ですね。 鹵獲機である事を強調する為に色を変えたりしてました」
 
 振動。 昇降機が最下層に到達したようだ。 降りた先は長い一本道だ。 
 途中に小さな人間用の扉があるが恐らくは島の各所に繋がっているのだろう。
 何があっても対応できるように慎重に先へと進む。

 「強かった?」
 「いえ、動き自体は良かったですけど、総合的にはそこまで大した相手じゃありませんでした。 いい所、Dランクって所ですね。 ただ――」
 「ただ?」
 「前に攻めた所も地下に広がってるところでして、偶々下層に降りるエレベーターを見つけたので一番乗りだったのですが、そこでリベリオンフレームっていうエンジェルフレームのデッドコピーみたいな奴と出くわしたんですよ」

 旧式で精度が低そうなレーダーを確認。 動体反応はなく、敵がいる気配はない。
 少し進むと巨大な隔壁が見えて来た。

 「リベリオンフレーム。 そう言えば防衛戦の時にも出て来たんだよね?」
 「はい、覚えてましたか。 あの時は乗り手が手強かったんでちょっと苦戦しましたが、余裕もなかったので性能差で捻じ伏せました」
 「ちゃんと聞いてなかったんだけどデッドコピーっていうのは具体的には?」
 
 ヨシナリはあぁと呟いて記憶を掘り返す。

 「まずは同じ部分から。 基礎――要はフレーム自体は同一でしょうね。 どうやって入手したのかは知りませんが、それをテロリストが現地のパーツやらで肉付けしたって感じです」
 「なら推進装置とかもエネルギーウイングじゃないの?」
 「はい、Ⅱ型とかに使われてる通常推進のブースターとかですね。 それを複数積んで無理矢理底上げしてる感じでした。 で、武装は実弾兵器に実体剣。 この時点で残念感が半端なかったですよ。 ぶっちゃけるとエンジェルフレームの強みってエネルギーウイングによる旋回性能と光学兵器を多用できる事ですからね」

 隔壁に近づくと操作メニューが出現。 
 どうやら機体側に隔壁等の設備に対する操作権限があるようだ。
 つまり機体自体がこの施設に対するキーカードのような物となっている。

 ――こんなのでセキュリティ大丈夫かよ。

 そんな事を考えながら開錠作業を行い隔壁を開く。

 「そ、そうなんだ。 確かにエネルギーウイングも光学兵器もないんなら、ソルジャータイプとそんなに変わらないね」
 「フレーム自体の質は良いのでソルジャー+よりは基礎スペックは上でしょうけど、総合力だとキマイラの方がマシかもしれません」 

 ヨシナリはそう言えばと付け加える。

 「イベントで戦った相手は核融合エンジンとかいう化け物を積んでたらしいのでジェネレーター出力自体は高かったみたいですね。 まぁ、中身が大した事なかったのでボーンヘッドで普通に勝てましたが」
 「あ、これで勝ったんだ」
 「性能差が半端なかったのでちょっと危なかったですが何とかなりました」

 リベリオンフレームに核融合エンジン。 
 そんなワードがすっと出てきたが、そこでおやと内心で首を傾げた。
 何処でそれを知ったのかが思い出せなかったからだ。 いや、何かで見たんだったか?

 ――うーん、はっきりしないな。

 奥歯に何かが挟まったような違和感はあったが今はいい。
 開錠ができるならこの機体は思った以上に使えるかもしれないと考えて液晶画面を操作。
 マップか何かを呼び出せれば最高なのだが――

 「お、あった」
 
 巨大な地下施設のマップが表示される。 
 島は突き出た地上部分というだけで地下はかなり広い。 
 全五層に分かれており、それぞれに役割が割り振られているようだ。

 「えっと詳細はどうやって見るんだ?」
 「これじゃない?」

 グロウモスがすっと手を伸ばしてマップの該当部分に触れると拡大されて詳細が表示された。
 現在地は第一層なのだが、どうやらこのフロアは機体や船のドックを兼ねているようだ。
 メンテナンス設備や港がある。 恐らく船で侵入を試みた者達はここから侵入したとみていい。

 第二層は食料の生産プラント。 
 結構な数のテロリストが生活しているらしく、全員の食料を賄う為の設備らしい。
 この時点で既視感が凄まじかったが、敢えて無視して三層の詳細を確認。

 研究エリア。
 この機体では権限が足りないのか詳細は表示されないらしく、ラボ1、ラボ2と部屋名しか分からない。
 第四層はインフラ関係を担う設備で水のろ過装置や基地全体に電力や水を循環させている。

 「あれ、これって……」

 グロウモスも気が付いたのか小さく疑問を口にしたが、ヨシナリは無言で最後の五層部分タップ。
 この施設全体の動力を賄っている炉心のある場所。 パワープラントと表示されていた。

 「気付きましたか。 これ、前の防衛戦の時のマップその物ですね」

 一層の宇宙港が普通の港になっているぐらいで構造はほぼ同じだった。
 どういう事だ? ヨシナリにはさっぱり分からなかったが、既知のマップというのは悪い事ではない。
 
 「取りあえず下層まで降りますか」
 「道は――あ、そうか」
 「はい、お察しの通り、前の防衛戦の時に一回りしたので大雑把ですが頭に入ってます」

 ヨシナリは念の為にとマップを表示したまま移動。

 「どうする? 昇降機を使う?」
 「それは止めておきましょう。 例の化け物の件もあります、普通に階段――トルーパー用の簡易リフトがあるのでそれで一つずつ降ります」

 この状況で大型のエレベーターなんて逃げ場のない空間に入るのは怖かった。
 本音を言えば一気に五層まで降りたい所ではあるが、ボーンヘッドは飛行ができない事もあってシャフトを飛び降りるなんて真似もできなかったからだ。 
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