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第731話
周囲から無数のワイヤーアンカーが飛んでくる。
コンシャスは咄嗟に急上昇で躱したが、逃げ遅れた味方数機が絡め取られた。
内、一機に更にワイヤーが絡みつき、地面へと引きずりおろされる。
直後に何かが背後から伸し掛かり背が抉られた。
「く、くそ!? 何か入って――」
仲間が何か言っていたが、その直後に機体がぐずぐずと溶けていく。
強力な腐食液だ。 この手の攻撃手段を使う相手はそう多くない。
コンシャスの知る限り最も可能性が高いのは――
「アイロニカルか!?」
交戦経験はないが、名前と戦闘スタイルだけは知っていた。
アイロニカル。 つい最近、Aランクに上がった無所属の野良ランカー。
癖の強い人物という事でユニオンに所属はしても長続きはしないという話だったが『星座盤』に引き抜かれていたようだ。
――ケイロンといい、どうやってランカーばかりを引き入れているんだ!?
意味が分からない。 見る度にメンバーが強力になっていくのだ。
それも大手や有名どころのプレイヤーや集団に馴染めないランカーばかり。
ヨシナリというプレイヤーは洗脳能力でも持っているのではないかと疑いたくなるレベルだった。
コンシャスはエネルギーライフルを向けるがアイロニカルは音もなく森の中へと消える。
反応が即座にロスト。 この距離で見失う時点で凄まじい隠密能力だ。
コンシャスの思考はグシャリという何かが潰れる音で現実へと引き戻される。
アイロニカルによって拘束された仲間が追い付いたケイロンのハルバードで叩き潰されたのだ。
「ケイロン! お前、何で『星座盤』なんかに入ってるんだ!?」
「貴様には関係ない。 俺は騎士として彼等を守ると誓いを立てただけだ」
「誓い? お得意の騎士ごっこの話か?」
「好きに解釈しろ。 数を集めて包囲殲滅とは騎士道にあるまじき行為。 気に入らんな」
そう言って肩にマウントされた重機関銃を抜いて連射。
腹に響くような重たい銃声が連続して響く。 コンシャスは旋回しながら上昇。
ケイロンの銃は特注品でまともに喰らうと被弾部分が千切れ飛んでしまう。
彼を処理するには距離を取りつつ速度で引っかき回すのがいい。
ケイロンは近~遠とどの距離にも対応しているが、特徴的な機体構造のお陰で旋回性能が低いのだ。
その為、ハルバードが届かないギリギリの距離まで肉薄する事で優位に戦える。
――はずだったのだが、加速からの旋回で僅かに減速した瞬間、足に何かが絡みついた。
アイロニカルのワイヤーアンカーかとも思ったが別物だ。
「よぉ、毎回毎回、必死にお友達かき集めなきゃ喧嘩も売れねぇとは雑魚は大変だなぁ」
「ユウ――」
電流が流れ機体の機能が麻痺。
視線を向けるとアイロニカルのドローンが被っているヴェールを脱ぎ捨てたユウヤが散弾砲を構えている所だった。 当然ながらケイロンも重機関銃を無言で向けていた。
――クソッ!
ほぼ負けが確定している状況だが、一縷の望みをかけてユニオンメンバーに助けを求めようと探そうとして固める。
何故ならいつの間に全員のシグナルが消えていたからだ。 つまり全滅している。
馬鹿な? いつの間に? そんな疑問が浮かんだと同時にユウヤとケイロンの放った銃弾がコンシャスを跡形もなく破壊した。
ジェネシスフレーム『ラガマフィン』。
それが最近、Aランクに上がったニャーコの機体だ。
格闘戦――特に拳を用いた接近戦を得意としている。
彼女の役目はホーコートを早々に処理してポンポン達の援護に回る事。
相手はヨシナリ一人。 正直、彼一人にこれだけの人数をかけるのは少し大人げないと思ってはいたが、これまでのヨシナリの活躍を見た身としては割と妥当な使い方なのかもしれないとも考えていた。
微妙に人見知りなニャーコは他人との距離の詰め方が難しいと考えており、ヨシナリとも少し話した程度だったが、強いという事だけは知っている。
格下と侮っていい相手ではない。 だからこそポンポンは加減抜きで潰しに行ったのだ。
さて、ヨシナリの評価と脅威度に関しては分かり切った事でもあった。
ニャーコにとっての問題は目の前のホーコートだ。 彼に関しては詳しい訳ではないが知ってはいる。
ポンポン曰く『星座盤』の穴。 まんまる曰く『寄生のゴミクズ』。
後者の評価に関しては少し酷いなと思っていたが、概ね間違ってはいない。
総合力に関してはランク相応だろう。 動きも少し見た感想としては妙なちぐはぐさが気にはなるが、そこまで怖い相手ではなかった。 本来なら他のメンバーを当てて処理という形ではあったが、機体が変わっている事もあって警戒したポンポンが念の為にとニャーコを当てたのだ。
ニャーコとしてはポンポン達の事は余り心配していないが『星座盤』を相手にすると何が起こるのかが分からないというのが『豹変』の共通認識だった。
少しでも不確定な要素があるなら必ず警戒するべきだ。 ホーコートに関してももしかしたら何かしら策を授けられているのかもしれない。 侮りは捨てて全力で叩き潰すのだ。
ニャーコは重力制御を用いた推進装置を全開にしてホーコートへと突っ込む。
ホーコートは脇に吊っている機関拳銃を連射しつつ後退。 空いた手でマウントしていたバトルライフルを脇で挟むように構えてバースト射撃。
フルオートなら旋回一択だが、バースト射撃なら上半身を縮めて掻い潜る動き――ダッキングで抜けられる。 見慣れない機体という事もあって少し観察したが、性能に関しては見えて来た。
まずフレームは形状からエンジェルフレームの下位互換であると思われる。
ただ、拡張性はオリジナルよりもやや高い印象を受けた。
根拠はあちこちに取り付けられた拡張パーツの存在だ。
元々、エンジェルフレームは互換性のあるパーツが少ない事もあって実の所、拡張性という点ではソルジャータイプに大きく劣る。
機動性は高い。 上位機種のアークエンジェルと比べても遜色ないだろう。
理由は背に付いている四基のエネルギーウイング。
流石にあれだけ付いていれば速度も旋回性能も十二分に確保できる。
だが、下位互換だけあってジェネレーターの出力上限は低い。
その為、息切れは早いと思われる。 掻い潜って拳を振るうとホーコートは四基のエネルギーウイングを器用に動かして斜めに旋回。
上手い。 これまでに見た事のない挙動だ。
コンシャスは咄嗟に急上昇で躱したが、逃げ遅れた味方数機が絡め取られた。
内、一機に更にワイヤーが絡みつき、地面へと引きずりおろされる。
直後に何かが背後から伸し掛かり背が抉られた。
「く、くそ!? 何か入って――」
仲間が何か言っていたが、その直後に機体がぐずぐずと溶けていく。
強力な腐食液だ。 この手の攻撃手段を使う相手はそう多くない。
コンシャスの知る限り最も可能性が高いのは――
「アイロニカルか!?」
交戦経験はないが、名前と戦闘スタイルだけは知っていた。
アイロニカル。 つい最近、Aランクに上がった無所属の野良ランカー。
癖の強い人物という事でユニオンに所属はしても長続きはしないという話だったが『星座盤』に引き抜かれていたようだ。
――ケイロンといい、どうやってランカーばかりを引き入れているんだ!?
意味が分からない。 見る度にメンバーが強力になっていくのだ。
それも大手や有名どころのプレイヤーや集団に馴染めないランカーばかり。
ヨシナリというプレイヤーは洗脳能力でも持っているのではないかと疑いたくなるレベルだった。
コンシャスはエネルギーライフルを向けるがアイロニカルは音もなく森の中へと消える。
反応が即座にロスト。 この距離で見失う時点で凄まじい隠密能力だ。
コンシャスの思考はグシャリという何かが潰れる音で現実へと引き戻される。
アイロニカルによって拘束された仲間が追い付いたケイロンのハルバードで叩き潰されたのだ。
「ケイロン! お前、何で『星座盤』なんかに入ってるんだ!?」
「貴様には関係ない。 俺は騎士として彼等を守ると誓いを立てただけだ」
「誓い? お得意の騎士ごっこの話か?」
「好きに解釈しろ。 数を集めて包囲殲滅とは騎士道にあるまじき行為。 気に入らんな」
そう言って肩にマウントされた重機関銃を抜いて連射。
腹に響くような重たい銃声が連続して響く。 コンシャスは旋回しながら上昇。
ケイロンの銃は特注品でまともに喰らうと被弾部分が千切れ飛んでしまう。
彼を処理するには距離を取りつつ速度で引っかき回すのがいい。
ケイロンは近~遠とどの距離にも対応しているが、特徴的な機体構造のお陰で旋回性能が低いのだ。
その為、ハルバードが届かないギリギリの距離まで肉薄する事で優位に戦える。
――はずだったのだが、加速からの旋回で僅かに減速した瞬間、足に何かが絡みついた。
アイロニカルのワイヤーアンカーかとも思ったが別物だ。
「よぉ、毎回毎回、必死にお友達かき集めなきゃ喧嘩も売れねぇとは雑魚は大変だなぁ」
「ユウ――」
電流が流れ機体の機能が麻痺。
視線を向けるとアイロニカルのドローンが被っているヴェールを脱ぎ捨てたユウヤが散弾砲を構えている所だった。 当然ながらケイロンも重機関銃を無言で向けていた。
――クソッ!
ほぼ負けが確定している状況だが、一縷の望みをかけてユニオンメンバーに助けを求めようと探そうとして固める。
何故ならいつの間に全員のシグナルが消えていたからだ。 つまり全滅している。
馬鹿な? いつの間に? そんな疑問が浮かんだと同時にユウヤとケイロンの放った銃弾がコンシャスを跡形もなく破壊した。
ジェネシスフレーム『ラガマフィン』。
それが最近、Aランクに上がったニャーコの機体だ。
格闘戦――特に拳を用いた接近戦を得意としている。
彼女の役目はホーコートを早々に処理してポンポン達の援護に回る事。
相手はヨシナリ一人。 正直、彼一人にこれだけの人数をかけるのは少し大人げないと思ってはいたが、これまでのヨシナリの活躍を見た身としては割と妥当な使い方なのかもしれないとも考えていた。
微妙に人見知りなニャーコは他人との距離の詰め方が難しいと考えており、ヨシナリとも少し話した程度だったが、強いという事だけは知っている。
格下と侮っていい相手ではない。 だからこそポンポンは加減抜きで潰しに行ったのだ。
さて、ヨシナリの評価と脅威度に関しては分かり切った事でもあった。
ニャーコにとっての問題は目の前のホーコートだ。 彼に関しては詳しい訳ではないが知ってはいる。
ポンポン曰く『星座盤』の穴。 まんまる曰く『寄生のゴミクズ』。
後者の評価に関しては少し酷いなと思っていたが、概ね間違ってはいない。
総合力に関してはランク相応だろう。 動きも少し見た感想としては妙なちぐはぐさが気にはなるが、そこまで怖い相手ではなかった。 本来なら他のメンバーを当てて処理という形ではあったが、機体が変わっている事もあって警戒したポンポンが念の為にとニャーコを当てたのだ。
ニャーコとしてはポンポン達の事は余り心配していないが『星座盤』を相手にすると何が起こるのかが分からないというのが『豹変』の共通認識だった。
少しでも不確定な要素があるなら必ず警戒するべきだ。 ホーコートに関してももしかしたら何かしら策を授けられているのかもしれない。 侮りは捨てて全力で叩き潰すのだ。
ニャーコは重力制御を用いた推進装置を全開にしてホーコートへと突っ込む。
ホーコートは脇に吊っている機関拳銃を連射しつつ後退。 空いた手でマウントしていたバトルライフルを脇で挟むように構えてバースト射撃。
フルオートなら旋回一択だが、バースト射撃なら上半身を縮めて掻い潜る動き――ダッキングで抜けられる。 見慣れない機体という事もあって少し観察したが、性能に関しては見えて来た。
まずフレームは形状からエンジェルフレームの下位互換であると思われる。
ただ、拡張性はオリジナルよりもやや高い印象を受けた。
根拠はあちこちに取り付けられた拡張パーツの存在だ。
元々、エンジェルフレームは互換性のあるパーツが少ない事もあって実の所、拡張性という点ではソルジャータイプに大きく劣る。
機動性は高い。 上位機種のアークエンジェルと比べても遜色ないだろう。
理由は背に付いている四基のエネルギーウイング。
流石にあれだけ付いていれば速度も旋回性能も十二分に確保できる。
だが、下位互換だけあってジェネレーターの出力上限は低い。
その為、息切れは早いと思われる。 掻い潜って拳を振るうとホーコートは四基のエネルギーウイングを器用に動かして斜めに旋回。
上手い。 これまでに見た事のない挙動だ。
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