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第745話
その後の展開はある意味、予想通りだったが善戦したと言える。
ニャーコはふわわ相手に全くの勝算なしに挑んだという訳ではなく最低限の勝ち筋を見出してから挑んだのだ。
彼女は拳を使うだけあって反射神経、動体視力に優れている。
来ると分かればふわわの斬撃でも躱す事は出来なくはないはずだ。
事実として、初手の首を狩りに来た斬撃を見事なダッキングで躱し、小太刀の一撃を拳で防ぐ。
腕に防御機構が備わっているだけあってこういった場面では非常に強い。
加えて下手に仰け反って躱さずに搔い繰るなどをして刃をしっかりとやり過ごしているのも上手い。
一つ一つ丁寧に処理しているのが分かる動きだ。
だが、それだけで攻略できないのがふわわというプレイヤーの恐ろしさだった。
躱されたと判断すると即座に太刀を手放して背の柄を掴んで一閃。
手放しているだけあって返しが早い。 柄から小太刀ぐらいの長さの刃が形成され、そのまま斬りに行く。
対するニャーコは拳で打ち落とすがふわわの液体金属刃は自由に形を変える。
一撃目は小太刀だったが、二撃目は鎌、三撃目は曲刃と振るう度に形状が変わっていた。
「これエグいな」
そう呟きながらおやと内心で首を傾げる。 ニャーコは例の分身拳を使っていないからだ。
温存できる相手ではないと分かっているはずだ。 一発を狙っている?
いやとヨシナリは内心で首を振った。 恐らくは防御力場を展開している間は使えないのだろう。
攻撃防御と多機能を詰め込んでいるのは便利かもしれないが、併用できないのは弱点として無視できない。 リソースを攻防に割り振らなければならないと白状しているような物だ。
つまりは攻撃中は防御できず、防御中は攻撃用のギミックを使えない。
リソースというよりは機能の限界だろう。
小型化は素晴らしいと思うが、何でもかんでも詰め込むのは無理があったという訳だ。
ニャーコがふわわの斬撃を防げているのは防御機構を使って刃との接触を防いでいるからだろう。
相手の武器との接触は想定しているのだろうが、ふわわの場合はどういう訳か相手の武器ごと切断するという離れ業をやってのける。 それを警戒して拳を固めているのだ。
ニャーコなりにふわわをよく研究している。 将来的にぶつかると判断しての事だろう。
こういった勤勉な姿勢は見習うべきだと思いながら対するふわわを見るのだが――
――相変わらず訳が分からない。
ふわわは武器、ニャーコは拳。 両者の差は何か?
前者のアドバンテージは間合いにある。 拳よりも広い範囲を攻撃できる点が最も大きい。
なら後者のアドバンテージはなにか? 回転の早さだ。
ニャーコは掻い潜って武器の間合いの内の更に奥へ入る事で長さを逆手に取るという戦い方を選択したのだが、ふわわの液体金属刃はそれを悉く無効化する。
彼女の機体は自機を中心に磁界のような物を展開する事で範囲内の武器を念動力のように自由に動かす事ができる。
さて、それが何を意味するのかというとふわわが落とした武器は勝手に鞘に収まるのだ。
それは液体金属刃も同様で充填されている液体金属が切れると手放して次を抜く。
使い終わった柄は勝手に背に戻り、再充填を行うのだろう。
追加された奇妙な追加パーツは液体金属を溜め込む――もしくは生産する装置だ。
それによりふわわは使えなくなった武器をそのまま手放して次を抜く事で隙を減らしている。
――いや、そんな生易しい物じゃないな。
隙を減らすどころか素手のニャーコと攻撃の回転速度がほとんど変わらないのはもはや詐欺か何かではないかと思ってしまう。 ニャーコのラッシュを取り回しの効く武器で次々といなす。
それだけではない。 徐々にだが押し負けていた。
信じられない。 ふわわは近接特化のジェネシスフレームを正面から攻撃の回転で圧倒し始めたのだ。
性能差は絶対だ。 何故そんな真似ができるのか?
答えは単純でふわわの攻撃がニャーコの反応速度を上回っているのだ。
ニャーコが拳を握り、拳を繰り出す前には既にふわわは先に仕掛けていた。
先読み? いや、ここまで行くともはや予知に近い。
「これどうやってるんですか?」
「んー? 何となくかなー」
即答。 何となくでそれが出来てしまう事が何よりも恐ろしい。
恐らく映像の中のニャーコはそれを誰よりも感じているだろう。
同時に自分の不利も悟っているはずだ。 打開する為に勝負に出た。
スウェーバックではなくバックステップで強引に距離を取る。
腕のギミックを切り替える為だ。 ふわわは即座に開いた間合いを詰めに行ったが、僅かに間がある。
ニャーコにはそれで充分だった。
地面をしっかりと踏みしめ拳を握り、真っすぐに大砲のようなストレートを放つ。
この動きの秀逸さは拳が微妙に届く間合いという事だ。
それにより拳の分身による奇襲から意識を削げる事にある。
射出されたエーテルの拳は頭部と腹――コックピット部分を狙う。
――これは通っただろう。
結果を知らなければそんな感想を抱けるほどに見事な一撃だった。
大抵の相手は射抜けるだろう。 悲しい事にふわわはその大抵に当てはまらなかったが。
ふわわは恐ろしい事に上のエーテルの拳を上半身を傾ける事で躱し、ニャーコ自身の拳はそのまま躱して一歩前へ。 残ったコックピット狙いの一撃に至っては手の平で受け止めていたのだ。
密着と言っていいほどの至近距離。 ニャーコは直ぐに次の攻撃行動に移る。
躱された動揺はあるが、それを捻じ伏せての動きだ。 彼女も成り立てとは言えランカー。
負けられないという矜持を感じる。
――が、ふわわという怪物はそれを捻じ伏せる。
「ここまで近づくと後は楽やったわー」
次の瞬間、ニャーコは掴まれて一回転。 そのまま地面に叩きつけられる。
ニャーコは叩きつけられながらも地面を転がって距離を取ろうとするが、それは良くなかった。
既にふわわは背の柄を引き抜いて一閃。 ニャーコは咄嗟に腕で防御したが、肘から下が斬り飛ばされる。
「そうか、防御範囲が肘から上だから……」
体勢が悪かった。 付け加えるならふわわ相手に見せすぎたのも不味い。
流石にこれは無理だと判断したニャーコは失った腕を庇いながら後退。
下がってまんまるの援護を求めるつもりのようだった。
ニャーコはふわわ相手に全くの勝算なしに挑んだという訳ではなく最低限の勝ち筋を見出してから挑んだのだ。
彼女は拳を使うだけあって反射神経、動体視力に優れている。
来ると分かればふわわの斬撃でも躱す事は出来なくはないはずだ。
事実として、初手の首を狩りに来た斬撃を見事なダッキングで躱し、小太刀の一撃を拳で防ぐ。
腕に防御機構が備わっているだけあってこういった場面では非常に強い。
加えて下手に仰け反って躱さずに搔い繰るなどをして刃をしっかりとやり過ごしているのも上手い。
一つ一つ丁寧に処理しているのが分かる動きだ。
だが、それだけで攻略できないのがふわわというプレイヤーの恐ろしさだった。
躱されたと判断すると即座に太刀を手放して背の柄を掴んで一閃。
手放しているだけあって返しが早い。 柄から小太刀ぐらいの長さの刃が形成され、そのまま斬りに行く。
対するニャーコは拳で打ち落とすがふわわの液体金属刃は自由に形を変える。
一撃目は小太刀だったが、二撃目は鎌、三撃目は曲刃と振るう度に形状が変わっていた。
「これエグいな」
そう呟きながらおやと内心で首を傾げる。 ニャーコは例の分身拳を使っていないからだ。
温存できる相手ではないと分かっているはずだ。 一発を狙っている?
いやとヨシナリは内心で首を振った。 恐らくは防御力場を展開している間は使えないのだろう。
攻撃防御と多機能を詰め込んでいるのは便利かもしれないが、併用できないのは弱点として無視できない。 リソースを攻防に割り振らなければならないと白状しているような物だ。
つまりは攻撃中は防御できず、防御中は攻撃用のギミックを使えない。
リソースというよりは機能の限界だろう。
小型化は素晴らしいと思うが、何でもかんでも詰め込むのは無理があったという訳だ。
ニャーコがふわわの斬撃を防げているのは防御機構を使って刃との接触を防いでいるからだろう。
相手の武器との接触は想定しているのだろうが、ふわわの場合はどういう訳か相手の武器ごと切断するという離れ業をやってのける。 それを警戒して拳を固めているのだ。
ニャーコなりにふわわをよく研究している。 将来的にぶつかると判断しての事だろう。
こういった勤勉な姿勢は見習うべきだと思いながら対するふわわを見るのだが――
――相変わらず訳が分からない。
ふわわは武器、ニャーコは拳。 両者の差は何か?
前者のアドバンテージは間合いにある。 拳よりも広い範囲を攻撃できる点が最も大きい。
なら後者のアドバンテージはなにか? 回転の早さだ。
ニャーコは掻い潜って武器の間合いの内の更に奥へ入る事で長さを逆手に取るという戦い方を選択したのだが、ふわわの液体金属刃はそれを悉く無効化する。
彼女の機体は自機を中心に磁界のような物を展開する事で範囲内の武器を念動力のように自由に動かす事ができる。
さて、それが何を意味するのかというとふわわが落とした武器は勝手に鞘に収まるのだ。
それは液体金属刃も同様で充填されている液体金属が切れると手放して次を抜く。
使い終わった柄は勝手に背に戻り、再充填を行うのだろう。
追加された奇妙な追加パーツは液体金属を溜め込む――もしくは生産する装置だ。
それによりふわわは使えなくなった武器をそのまま手放して次を抜く事で隙を減らしている。
――いや、そんな生易しい物じゃないな。
隙を減らすどころか素手のニャーコと攻撃の回転速度がほとんど変わらないのはもはや詐欺か何かではないかと思ってしまう。 ニャーコのラッシュを取り回しの効く武器で次々といなす。
それだけではない。 徐々にだが押し負けていた。
信じられない。 ふわわは近接特化のジェネシスフレームを正面から攻撃の回転で圧倒し始めたのだ。
性能差は絶対だ。 何故そんな真似ができるのか?
答えは単純でふわわの攻撃がニャーコの反応速度を上回っているのだ。
ニャーコが拳を握り、拳を繰り出す前には既にふわわは先に仕掛けていた。
先読み? いや、ここまで行くともはや予知に近い。
「これどうやってるんですか?」
「んー? 何となくかなー」
即答。 何となくでそれが出来てしまう事が何よりも恐ろしい。
恐らく映像の中のニャーコはそれを誰よりも感じているだろう。
同時に自分の不利も悟っているはずだ。 打開する為に勝負に出た。
スウェーバックではなくバックステップで強引に距離を取る。
腕のギミックを切り替える為だ。 ふわわは即座に開いた間合いを詰めに行ったが、僅かに間がある。
ニャーコにはそれで充分だった。
地面をしっかりと踏みしめ拳を握り、真っすぐに大砲のようなストレートを放つ。
この動きの秀逸さは拳が微妙に届く間合いという事だ。
それにより拳の分身による奇襲から意識を削げる事にある。
射出されたエーテルの拳は頭部と腹――コックピット部分を狙う。
――これは通っただろう。
結果を知らなければそんな感想を抱けるほどに見事な一撃だった。
大抵の相手は射抜けるだろう。 悲しい事にふわわはその大抵に当てはまらなかったが。
ふわわは恐ろしい事に上のエーテルの拳を上半身を傾ける事で躱し、ニャーコ自身の拳はそのまま躱して一歩前へ。 残ったコックピット狙いの一撃に至っては手の平で受け止めていたのだ。
密着と言っていいほどの至近距離。 ニャーコは直ぐに次の攻撃行動に移る。
躱された動揺はあるが、それを捻じ伏せての動きだ。 彼女も成り立てとは言えランカー。
負けられないという矜持を感じる。
――が、ふわわという怪物はそれを捻じ伏せる。
「ここまで近づくと後は楽やったわー」
次の瞬間、ニャーコは掴まれて一回転。 そのまま地面に叩きつけられる。
ニャーコは叩きつけられながらも地面を転がって距離を取ろうとするが、それは良くなかった。
既にふわわは背の柄を引き抜いて一閃。 ニャーコは咄嗟に腕で防御したが、肘から下が斬り飛ばされる。
「そうか、防御範囲が肘から上だから……」
体勢が悪かった。 付け加えるならふわわ相手に見せすぎたのも不味い。
流石にこれは無理だと判断したニャーコは失った腕を庇いながら後退。
下がってまんまるの援護を求めるつもりのようだった。
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