Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

文字の大きさ
747 / 865

第747話

 プセウドテイの新機能に関しては凄まじいと思いつつもヨシナリはどうなっているかの考察も並行して行う。 このゲームの性質上、何かしらの種があるはずだからだ。
 見た目は凄まじいが本質を理解すれば突破、攻略は可能なはずだった。

 「ふ、戦友よ。 我が闇の叡智を見極めんとする姿勢、悪くない」
 「貴公の闇。 その秘密を今、詳らかにするつもりはないのだろう? ならば我が魔眼で看破するのみだ」

 ベリアルは面白いと言わんばかりにくねっとしたので、ヨシナリも応じるように身をくねらせた。
 
 「マジカル? あれは何かの儀式なのか?」
 「意味が分からん」

 アイロニーはヨシナリとベリアルが謎に身をくねらせている様子を見て首を傾げ、ケイロンは分からんと思考を放棄するように目を逸らした。
 
 「ん、んん、ゴホン。 まぁ、ベリアルが頼もしいという事ですね。 はい、次行きますよ」

 次は東側――コンシャス達を仕留めに行った者達だ。
 ケイロンが先頭だった事もあって彼にフォーカスする。
 こうして改めて見ると彼は前衛というよりは先鋒という言葉が相応しい。

 ケンタウロスのような機体は走破性と突破力に優れ、重たい一撃は文字通り道を切り開く。
 特に正面からの撃ち合い、打ち合いに非常に強い。 
 それを支えるのがあの頑強なフレームと重装甲だろう。 

 防御系の機構も積んではいるのだろうが、あの機体の柱は打たれ強さと機動性の両立。
 少々のダメージは物ともせず、中距離の相手は高威力の重機関銃や散弾銃、近距離はハルバードで一撃だ。 分かり易いが故に穴が少ない。

 弱点はあるが、特に今回のようなチーム戦では埋める手段はいくらでもある。
 騎兵という性質上、側面攻撃に対しての脆さはあるが、ユウヤが居る以上はそんな事は許されない。
 ケイロン自身、チーム戦に慣れていない事もあって他のメンバーが積極的にフォローに入る形が望ましいと判断してこの形になった。

 幸いな事にケイロンの戦闘スタイルは連携の起点として使い易い事もあって合わせる事の難度が低いのもいい。 基本的に好きにさせて後はこちらで勝手にフォローすればいいのだ。
 ユウヤとしても彼の死角を守ればいいという事もあって、そこまで窮屈には見えなかった。

 ――事前に話をしておいてよかったぁ……。

 ケイロンが居なければユウヤが彼のポジションに収まっていたが、奪った形になったので少し気にしていたのだ。 ヨシナリとしては折角手に入った強力な手札は最大限有効に使いたい。
 そんな気持ちが通じたのかユウヤは何も言わずにフォローに回ってくれたのだ。

 内心でユウヤに感謝しつつ映像に意識を向ける。 序盤を過ぎ、コンシャス達が仕掛けて来た所だ。
 ケイロンはかなり早い段階で反応し、真っすぐにコンシャスを仕留めるべく突っ込んで行く。
 ユウヤ達はそれに引っ張られる形にはなっているがそれでいい。

 ヨシナリとしてもケイロンにはそういった動きを期待していたからだ。
 変な方向に誘導されるのは困るのだが、彼の戦いに関する嗅覚はベリアルやユウヤと比べても遜色ない。 つまり、何も言わなくても良い位置に行ってくれる。

 敵の先鋒が射程に入ったと同時に重機関銃を抜いて連射。 
 木々等の障害物があるが、物ともせずにぶち抜いていく。 とんでもない威力だ。
 銃自体も大きいが弾自体も既存品よりも遥かに大きい。 この辺りはジェネシスフレームならではだ。

 「すっげぇな。 地形とか完全に無視して穴だらけになってらぁ」
 
 マルメルも似たような事を考えていたのかそんな感想を漏らしていた。
 以前に戦った事があるだけに恐ろしさがよく分かる。 
 総合的な破壊力ならマルメルの突撃散弾銃も負けてはいないが、ケイロンの銃はそれ以上だ。

 単純な破壊力ならほぼ互角だが、ケイロンの場合は腕と銃を固定する関係で射撃姿勢が安定している。
 その為、無駄が少ないのだ。 マルメルの場合は反動が強い事もあって撃つ際――特にフルオートで発射する時はしっかりと地面を踏みしめていた。

 そこまでしないと反動を制御できないのだろう。 
 ただ、ケイロンの場合はエイムが安定はするが、固定している事もあって銃口を動かす際は上半身ごと動かす形になる。 結局の所、側面が死角という弱点自体は残るのだ。

 ――それをカバーする為の他の武装と左右での遠近の使い分けなんだろうな。 

 可動域が広いからそこまで致命的という訳でもない。
 迂闊に正面から行った機体は即座にバラバラになり残った敵機は左右に散らばる。
 対処としては分かり易い。 銃口が一つである以上、同時に二か所以上は狙えないのだ。

 なら左右に散れば対処としては正解だろう。 ただ、それはケイロンが一人だった場合の話だ。
 即座にユウヤが死角をカバーしに入る。 狙いはケイロンが上半身を旋回させたのと逆方向に逃げた敵だ。
 姿勢を低くし、射程に入ったと同時に散弾砲で一機を処理した後、足を止めずに大剣で別の一機を叩き切る。

 少し離れた位置にいる機体には電磁鞭を繰り出そうとして――止めた。
 何故ならいつの間にか忍び寄っていたシニフィエが背後から膝を叩きこんでいたからだ。
 そして次の瞬間、杭が飛び出して敵機のコックピットを貫く。

 「相変わらずえぐい武器使ってるなぁ」
 「えー、褒めても何も出ませんよ?」

 シニフィエはそう言ってわざとらしくくねくねと身をくねらせる。
 どうやらさっきのヨシナリのポーズを少し真似たようだ。
 それを見たヨシナリの精神は凪。 思った事はあのポーズは地味に考え抜いて作った物なのだ。

 そんな安っぽい模倣で闇の叡智を愚弄するのか?といった怒りとも疑問とも取れる謎の感情だった。 
 
 「お義兄さん?」
 「あぁ、いや何でもない。 膝と足裏に仕込んでるんだっけ?」
 「そうですよー。 肘にはインパクトボルトっていう使い捨ての衝撃と電磁パルスを機体に叩きこむ打撃武装を積んでます」
 
 打撃主体だけあってフットワークが非常に軽い。 
 ケイロンとユウヤが動いた時点で、既にどの機体を狙うか決めていたようだ。

 「あの動きの意味、聞いていい?」
 「はい、ケイロンさんの武器に関しては上半身を回す関係で右の方が射線を取り易いのでそちらはお任せすれば問題ないと思ったので無視。 ユウヤさんは散弾銃と大剣の間合いを意識しているようなので、その条件から外れる敵機を狙いました」

 納得の理由だった。
  
感想 0

あなたにおすすめの小説

局地戦闘機 飛電の栄光と終焉

みにみ
歴史・時代
十四試局戦 後の三菱雷電J2Mとして知られるこの戦闘機は爆撃機用の火星エンジンを搭載したため胴体直径の増加、前方視界不良などが続いたいわば少し残念な機体である この十四試局戦計画に地方の無名メーカーが参加、雷電を超える高性能機が誕生し、零戦の後継として太平洋戦線を駆ける これは設計者、搭乗員の熱く短い6年間を描いた物語だ

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

森のカフェしっぽっぽ

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
五十代後半の初老――サトルが営むのは、就労支援B型事業所を兼ねた猫カフェ「森のカフェしっぽっぽ」。 一階には利用者が作った木工小物や布雑貨が並び、 猫たち(イチ・きな・トラ・チビ・そして極度の臆病猫ジル)が自由気ままに接客(?)をしている。 しかしこの店には、誰も知らない“もう一つの顔”があった。 地下の倉庫兼店舗は異世界と繋がっている。 ただし、異世界人は地球には来られない。 行き来できるのはサトルだけ。 向こう側には|蜥蜴人族≪リザードマン≫の商人、 頑固な|鉱人族≪ドワーフ≫の職人、 静かな|森人族≪エルフ≫たちがいて、 サトルは彼らから“ちょっとだけ現実を楽にする品”を仕入れている。 仕事に疲れた会社員。 将来に迷う若者。 自信をなくした人。 サトルは客の空気を読み、異世界の商品をさりげなく勧める。 そして、棚の影で震えるジル。 怖がりで、音にびくつき、すぐ隠れる。 それでも店からは逃げない。 その姿が、なぜか人の心を少しだけ軽くする。 これは―― 福祉と商売と猫と異世界が、ゆるく混ざり合う物語。 震えながらでも前に立つ者が、 今日も小さく世界をつなぐ。

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。