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第749話
少し照れながらも意識を映像へと戻す。
映し出されているのはヨシナリが「豹変」に囲まれている所だ。
ホーコートが助けに入ろうとしていたが早々にニャーコに引きはがされる。
この時点でツェツィーリエは動いていない。
間違いなくベリアルを待っているからだろう。
「ってかあのメンツだと一番、ヨシナリと相性がいいのってツェツィーリエさんだろ? なんでベリアルに行ったんだろ? ヨシナリを袋にしてからでも遅くね?」
マルメルの指摘は尤もだったが、意図に関しては何となく察していた。
「多分だけどツェツィーリエさんはポンポンさんを指揮官として育てたかったんだと思う」
これまで見てきた限り、指揮能力に関してはツェツィーリエよりもポンポンの方が上だ。
だからと言ってツェツィーリエに指揮官としての適性がないかと問われればそれもない。
彼女は「豹変」のトップとして相当数のメンバーを引っ張ってきたのだ。
そんな彼女に指揮官としての適性がない訳がない。
問題は彼女の得意とするポジションにある。 彼女の得意レンジは近距離。
相手が格下なら何の問題もないが、同格以上となると指揮を執っている余裕がない。
これも恐らくになるが、彼女は待っていたのかもしれない。
自分の代わりに指揮を執ってくれる人材が育つのを。
ポンポンがAランクに上がり、ジェネシスフレームを手に入れ、メンバーからの信頼を勝ち取った今こそ彼女は時期だと判断し、彼女に全権を託したのだ。
「ふ、つまるところ奴は王ではなく戦士だったということだ」
「貴公の言う通りだろう。 彼女は玉座に座すことを良しとせず、己が能を十全に発揮できる場所に身を置いたのだ」
ベリアルが分かっていると言わんばかりに身をくねらせ、ヨシナリもその指摘が正しいと頷きながら身をくねらせる。
「要は前に出たいから指示出しをポンポンちゃんに代わって貰った訳やねー」
「はい『豹変』のスタイル的にもツェツィーリエさんは指揮よりも前に出しつつ機動性を活かした遊撃が最適なポジションです。 裏を返せばチーム戦では真価を発揮できていなかったとも取れますね」
逆にポンポンは指揮を意識したビルドを行っている点から期待されている事も分かった上での事だろう。
まんまる、ニャーコの機体構成的にも個人戦だけでなくチーム戦での動きも視野に入っているはずだ。
――そんな新体制となった「豹変」の最初の獲物がヨシナリという訳だったようだ。
ポンポンを筆頭に八機による集中砲火。 ヨシナリは即座に逃げを打つ。
「いや、この体勢に持っていかれた時点で無理だなって思って逃げて時間を稼ぐ方針に切り替えました」
「まぁ、ジェネシスフレーム二機もいたし、俺に言わせりゃよく生きてたなって感じだよ」
「実をいうと逃げに徹するだけなら割と何とかなるんだ」
「そうなのか?」
あぁと頷きながらヨシナリは映像を止めて「豹変」の方へとフォーカス。
「戦力の内訳はジェネシスフレームを除くとアークエンジェル4、プリンシパリティ2っていう機動性に振った構成になっている。 加えてこれまでの傾向上『豹変』の戦い方――まぁ、ポンポンさんの戦い方は簡単に言うと堅実。 そこまで分かってるなら何をしてくるかは見えてくる」
恐らくはポンポンにとって重要なタスクは敵の撃破と同等ぐらいのプライオリティを味方の生存に振っている。 つまり、ポンポンは可能な限り、チームの損害を抑えつつヨシナリの撃破を狙うという訳だ。
そうなると囲んで袋叩きが最も可能性が高い。
口にすれば簡単だが、彼女達の連携を以ってすれば、それは単純な包囲という言葉では括れない。
「いや、マジでここはきつかった」
基本的に攻撃の起点はアークエンジェルタイプのどれか。
二機がお互いを誤射しないポジションを確保して攻撃を開始。 当然ながらヨシナリとしては素直に食らってやる訳にもいかず少数の利を活かすために逆に誤射を誘発するように立ち回りたい。
そこで邪魔なのがポンポンだ。
彼女は常にヨシナリの攻撃範囲に居座り、敵の頭を押さえようとするのを邪魔してくる。
「まぁ、簡単に言うと攻撃を吸い込んでくるんですよ」
「ウゼぇな」
ユウヤが小さくそう呟く。 ヨシナリは苦笑。
事実としてポンポンの動きは非常に鬱陶しかった。
他を狙いたいならまずは自分を仕留めて見せろと言わんばかりの挑発。
ここで乗って彼女に意識を向けると拘束されるだけでなく、他に付け入る隙を与えてしまうという二重の罠だ。 加えて彼女の機体――マーシュマロウは防御に振っているだけあって簡単には落ちない。
味方であった時点でわかってはいたが敵として相対するとその硬さは厄介だ。
わざわざ特注の盾を用意するだけあって時間をかけるか数で圧し潰すかしないと粘られる。
ポンポンが標的に張り付きタンクをしつつ指揮。 機動性に振った機体が複数で相手の意識を散らしつつ刺しに来る。 それでも生き残るなら砲戦機体の出番だ。
まんまるの機体へフォーカス。
「これもヤバかったなぁ」
明らかに重装甲の砲戦機体と分かりやすい構成だが、それだけではない怖さがあった。
まずは両肩の左右で八門の砲。 高出力のレーザーとプラズマグレネードの撃ち分けができる。
シックスセンスでよくよく見ればエネルギーの充填量でどちらが来るのか見えるのだが、分かるようになるまで少しかかった。
「よく見たら砲口がちょこちょこ動いとるなぁ」
「そうなんですよ。 微妙に動かして軌道を変えてくる所もかなり厄介でした」
全ての砲口が互い違いに動く事もあって見た目以上に攻撃範囲が広い。
加えて背面に付いている機構もまた厄介だ。 レーザーを発射するが直進せずに弧を描いている。
「うへ、曲がってらぁ」
「動きからしてホーミングレーザーだな。 ただ、誘導性能はあんまり高くないからあんな感じになるけど、退路を塞ぎに来る感じで狙ってくるから撃ってくる前に近くの敵機にへばりついてないとすぐに落とされちまう」
「こうしてみてるとお前の動きも大概だぞ」
左右からの挟撃を旋回で躱し、逃げた先にいたポンポンが手を出す前にアトルムとクルックスで牽制。
ポジションを変えた二機の銃撃を変形して直線加速で振り切り、追いかけてきたポンポンに逆に接近する事でまんまるに誤射を意識させる。 即座に移動して他の砲戦機体との間に敵機を挟むポジショニング。
――こうしてみると忙しいなぁ。
そんな感想しか出なかった。
映し出されているのはヨシナリが「豹変」に囲まれている所だ。
ホーコートが助けに入ろうとしていたが早々にニャーコに引きはがされる。
この時点でツェツィーリエは動いていない。
間違いなくベリアルを待っているからだろう。
「ってかあのメンツだと一番、ヨシナリと相性がいいのってツェツィーリエさんだろ? なんでベリアルに行ったんだろ? ヨシナリを袋にしてからでも遅くね?」
マルメルの指摘は尤もだったが、意図に関しては何となく察していた。
「多分だけどツェツィーリエさんはポンポンさんを指揮官として育てたかったんだと思う」
これまで見てきた限り、指揮能力に関してはツェツィーリエよりもポンポンの方が上だ。
だからと言ってツェツィーリエに指揮官としての適性がないかと問われればそれもない。
彼女は「豹変」のトップとして相当数のメンバーを引っ張ってきたのだ。
そんな彼女に指揮官としての適性がない訳がない。
問題は彼女の得意とするポジションにある。 彼女の得意レンジは近距離。
相手が格下なら何の問題もないが、同格以上となると指揮を執っている余裕がない。
これも恐らくになるが、彼女は待っていたのかもしれない。
自分の代わりに指揮を執ってくれる人材が育つのを。
ポンポンがAランクに上がり、ジェネシスフレームを手に入れ、メンバーからの信頼を勝ち取った今こそ彼女は時期だと判断し、彼女に全権を託したのだ。
「ふ、つまるところ奴は王ではなく戦士だったということだ」
「貴公の言う通りだろう。 彼女は玉座に座すことを良しとせず、己が能を十全に発揮できる場所に身を置いたのだ」
ベリアルが分かっていると言わんばかりに身をくねらせ、ヨシナリもその指摘が正しいと頷きながら身をくねらせる。
「要は前に出たいから指示出しをポンポンちゃんに代わって貰った訳やねー」
「はい『豹変』のスタイル的にもツェツィーリエさんは指揮よりも前に出しつつ機動性を活かした遊撃が最適なポジションです。 裏を返せばチーム戦では真価を発揮できていなかったとも取れますね」
逆にポンポンは指揮を意識したビルドを行っている点から期待されている事も分かった上での事だろう。
まんまる、ニャーコの機体構成的にも個人戦だけでなくチーム戦での動きも視野に入っているはずだ。
――そんな新体制となった「豹変」の最初の獲物がヨシナリという訳だったようだ。
ポンポンを筆頭に八機による集中砲火。 ヨシナリは即座に逃げを打つ。
「いや、この体勢に持っていかれた時点で無理だなって思って逃げて時間を稼ぐ方針に切り替えました」
「まぁ、ジェネシスフレーム二機もいたし、俺に言わせりゃよく生きてたなって感じだよ」
「実をいうと逃げに徹するだけなら割と何とかなるんだ」
「そうなのか?」
あぁと頷きながらヨシナリは映像を止めて「豹変」の方へとフォーカス。
「戦力の内訳はジェネシスフレームを除くとアークエンジェル4、プリンシパリティ2っていう機動性に振った構成になっている。 加えてこれまでの傾向上『豹変』の戦い方――まぁ、ポンポンさんの戦い方は簡単に言うと堅実。 そこまで分かってるなら何をしてくるかは見えてくる」
恐らくはポンポンにとって重要なタスクは敵の撃破と同等ぐらいのプライオリティを味方の生存に振っている。 つまり、ポンポンは可能な限り、チームの損害を抑えつつヨシナリの撃破を狙うという訳だ。
そうなると囲んで袋叩きが最も可能性が高い。
口にすれば簡単だが、彼女達の連携を以ってすれば、それは単純な包囲という言葉では括れない。
「いや、マジでここはきつかった」
基本的に攻撃の起点はアークエンジェルタイプのどれか。
二機がお互いを誤射しないポジションを確保して攻撃を開始。 当然ながらヨシナリとしては素直に食らってやる訳にもいかず少数の利を活かすために逆に誤射を誘発するように立ち回りたい。
そこで邪魔なのがポンポンだ。
彼女は常にヨシナリの攻撃範囲に居座り、敵の頭を押さえようとするのを邪魔してくる。
「まぁ、簡単に言うと攻撃を吸い込んでくるんですよ」
「ウゼぇな」
ユウヤが小さくそう呟く。 ヨシナリは苦笑。
事実としてポンポンの動きは非常に鬱陶しかった。
他を狙いたいならまずは自分を仕留めて見せろと言わんばかりの挑発。
ここで乗って彼女に意識を向けると拘束されるだけでなく、他に付け入る隙を与えてしまうという二重の罠だ。 加えて彼女の機体――マーシュマロウは防御に振っているだけあって簡単には落ちない。
味方であった時点でわかってはいたが敵として相対するとその硬さは厄介だ。
わざわざ特注の盾を用意するだけあって時間をかけるか数で圧し潰すかしないと粘られる。
ポンポンが標的に張り付きタンクをしつつ指揮。 機動性に振った機体が複数で相手の意識を散らしつつ刺しに来る。 それでも生き残るなら砲戦機体の出番だ。
まんまるの機体へフォーカス。
「これもヤバかったなぁ」
明らかに重装甲の砲戦機体と分かりやすい構成だが、それだけではない怖さがあった。
まずは両肩の左右で八門の砲。 高出力のレーザーとプラズマグレネードの撃ち分けができる。
シックスセンスでよくよく見ればエネルギーの充填量でどちらが来るのか見えるのだが、分かるようになるまで少しかかった。
「よく見たら砲口がちょこちょこ動いとるなぁ」
「そうなんですよ。 微妙に動かして軌道を変えてくる所もかなり厄介でした」
全ての砲口が互い違いに動く事もあって見た目以上に攻撃範囲が広い。
加えて背面に付いている機構もまた厄介だ。 レーザーを発射するが直進せずに弧を描いている。
「うへ、曲がってらぁ」
「動きからしてホーミングレーザーだな。 ただ、誘導性能はあんまり高くないからあんな感じになるけど、退路を塞ぎに来る感じで狙ってくるから撃ってくる前に近くの敵機にへばりついてないとすぐに落とされちまう」
「こうしてみてるとお前の動きも大概だぞ」
左右からの挟撃を旋回で躱し、逃げた先にいたポンポンが手を出す前にアトルムとクルックスで牽制。
ポジションを変えた二機の銃撃を変形して直線加速で振り切り、追いかけてきたポンポンに逆に接近する事でまんまるに誤射を意識させる。 即座に移動して他の砲戦機体との間に敵機を挟むポジショニング。
――こうしてみると忙しいなぁ。
そんな感想しか出なかった。
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