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第751話
ホロスコープとマーシュマロウが螺旋を描くように上昇していく。
これは背後を取ろうとするヨシナリとそれを阻止しようとするポンポンのせめぎ合いだ。
「あの機体の一番厄介なところは盾にある。 肩にマウント用のジョイントで固定しつつ手でも構えていて、必要に応じて自分の方に引き寄せて防御を固めるんだ。 盾の方の頑丈さもかなりのものでしつこく食らわせれば突破できない事はないんだろうけどあんまり現実的じゃないな」
「壊すのは無理やから盾を使えへん後ろに回ろうとしてるんやねー」
あの盾の便利な所は防御面の広さだけに留まらず、ジョイントで固定しているので手を離す事もできる。
つまり片手を空ける事もできるのだ。 裏にはいくつかの武器を仕込んでおり、持ち変える事も可能。
手元が見えないから意識せざるを得ないのだ。
「普通に閃光手榴弾とか使われると面倒なので飛び道具以外はまともに使えないように高速戦闘に持ち込むしかないんですよ」
「確か盾の淵も斬れるようになってるんやったけ?」
「はい、ジョイントは固定を解除して可動させる事も可能なので見た目以上に防御範囲も広い上、下手に近寄ると斬られたり押し出し――シールドバッシュしてくる事もあるので単純な盾と思い込むと痛い目に遭いますよ」
旋回して回り込まなければならないヨシナリに比べてポンポンはその場で回転するだけでいいのも厄介だった。 特に火力で押すタイプではないヨシナリとは相性があまりよくない。
「よ、ヨシナリはこの時点で先の事まで考えてたの?」
崩すのは難しい。 ただし単独であるならだ。
グロウモスの質問にヨシナリは苦笑する。
「はい、実をいうとこの時点でもう一人で潰すのは諦めました」
下の戦いに関しても決着が着き、仲間が次々とフリーになっているのだ。
利用しない手はない。
個人技のみで勝ちたい気持ちはあったが、こだわった結果負けたらヨシナリは自分を許せそうになかった。
「星座盤」の敗北はヨシナリ一人の物ではない。 一緒に来てくれた仲間達の敗北でもあるのだ。
私情で余計なリスクを負うべきではない。 だから、連携で仕留めると決めたのだ。
位置が近かったマルメル、グロウモスがフリーになった事も大きい。
後はグロウモスの狙撃に対する警戒を可能な限り削ぎ落し、土壇場で最大にする。
そうする事で彼女はグロウモスの射線から全力で逃れようとするだろう。
「ポイントは撃つギリギリまで粘る事ですね。 ポンポンさんはグロウモスさんの腕を知ってます。 だから確実に当ててくると読む。 ――で、躱させて回避先にドローンで反射させて一撃。 おみごとです」
「ふ、フヒッ! ヨシナリがちゃんと誘導してくれてたから。 ……こ、これが愛の力」
最後の方はもごもごと何を言っているか不明だったが、彼女の貢献が大きい事は確かなのでヨシナリは感謝していますよと大きく頷いて見せた。
グロウモスは再度「フヒッ」といつもの笑い声をあげる。
――その後はもう消化試合に近かった。
コンシャス達は一角が崩れれば脆く、次々に片付けて戻ってくる「星座盤」メンバーに「豹変」は対応しきれずに次々と数を減らしていく。
まんまるはかなり粘った方だが、マルメルとグロウモスの二人を相手にするには厳しかったようだ。
最後にベリアルがツェツィーリエを撃破して終了となった。
「終わってみれば完勝でしたね。 お義兄さんが結構、貰ったぐらいで目立った損耗もなかったし、分断に対しての対策が今後の課題ぐらいですか?」
シニフィエのいう通りだった。 ヨシナリとしてはポンポンを単独で撃破できなかった所に少し不満が残る結果ではあったが、チームとしての勝利を得たので今はここで満足しておくべきだろう。
個人的にはまんまるとニャーコの機体を見れた事も収穫だった。
前者はより砲戦に特化しつつも中距離での制圧力も失っていない集団、個人の両方での立ち回りを意識したビルド。 まんまるらしいいい機体だった。
ニャーコも自身の強みであるフットワークの軽さを活かした近接機。
エーテルを採用したのはベリアルの影響かもしれない。 空中での緩急のつけ方も良い。
練習したであろう事が伝わってくる。 懐に入る際の動きが少し似ていたので参考にしたのだろう。
機体の分身ではなく手数を増やす為にエーテルを用いる。 部分的に真似できそうな所が素晴らしい。
ポンポンに関しても特に盾の扱いと中~近距離での立ち回りがかなり上手くなっている。
マルメルとは違ったベクトルの堅牢さは彼女が自分なりに考えて編み出したオリジナルだろう。
指揮官機である以上、生存性が求められるが中距離戦が得意という強みも殺さないいい戦い方だ。
最後にツェツィーリエ。
機体にはほとんど手を付けず、技量のみの向上でベリアルとあそこまで戦えたのは凄まじい。
映像越しでも彼女の勝利への執念が伝わり、手に汗握る素晴らしい戦いだった。
――俺ももっと強くなってあんな凄い戦いがしたい。
ヨシナリはそんな事を考えながら拳を強く握っていると不意にシステムからメッセージが入る。
予選が終了したとの事だ。 それにより本戦の組み合わせが決定した。
一回戦の相手は――『ライラプス』
知らない所だった。
記憶を探るが思い当たる事はない。 あまり有名ではない所なのだろうか?
「誰か知ってる?」
ヨシナリがそう尋ねるが全員が首を横に振る。
「全然知らねー」
「ウチも聞いた事ないわぁ」
ベリアル達Aランクプレイヤーも全員知っている様子がない。
これは少し珍しい。 彼らはこのゲームでの歴が長い。
そんな彼らが全員知らないというのは少し珍しい事だった。
ざっと調べたがユニオンランクは一番下。 規模としても大手という訳ではないようだ。
「情報がないのはちょっと気持ち悪いな」
可能であればチームの傾向だけでも掴んで簡単な作戦を立てておきたかったのだが、情報がない以上はアドリブで行くしかない。
「まぁ、その辺は見てから考えたらどうだ? 今の俺達なら簡単にやられる事はないだろ」
マルメルが気楽にいこうぜと肩を叩く。
「そうだな。 気にはなるけど分らん事は考えても無駄か。 どんなチームかが不明な以上、相手の構成を見てから仕掛ける方にしたい」
話している間に試合開始時間が表示される。 後、15分ほどだ。
その間にヨシナリはどう動くべきかと思考を回す。 来る試合に備えて。
これは背後を取ろうとするヨシナリとそれを阻止しようとするポンポンのせめぎ合いだ。
「あの機体の一番厄介なところは盾にある。 肩にマウント用のジョイントで固定しつつ手でも構えていて、必要に応じて自分の方に引き寄せて防御を固めるんだ。 盾の方の頑丈さもかなりのものでしつこく食らわせれば突破できない事はないんだろうけどあんまり現実的じゃないな」
「壊すのは無理やから盾を使えへん後ろに回ろうとしてるんやねー」
あの盾の便利な所は防御面の広さだけに留まらず、ジョイントで固定しているので手を離す事もできる。
つまり片手を空ける事もできるのだ。 裏にはいくつかの武器を仕込んでおり、持ち変える事も可能。
手元が見えないから意識せざるを得ないのだ。
「普通に閃光手榴弾とか使われると面倒なので飛び道具以外はまともに使えないように高速戦闘に持ち込むしかないんですよ」
「確か盾の淵も斬れるようになってるんやったけ?」
「はい、ジョイントは固定を解除して可動させる事も可能なので見た目以上に防御範囲も広い上、下手に近寄ると斬られたり押し出し――シールドバッシュしてくる事もあるので単純な盾と思い込むと痛い目に遭いますよ」
旋回して回り込まなければならないヨシナリに比べてポンポンはその場で回転するだけでいいのも厄介だった。 特に火力で押すタイプではないヨシナリとは相性があまりよくない。
「よ、ヨシナリはこの時点で先の事まで考えてたの?」
崩すのは難しい。 ただし単独であるならだ。
グロウモスの質問にヨシナリは苦笑する。
「はい、実をいうとこの時点でもう一人で潰すのは諦めました」
下の戦いに関しても決着が着き、仲間が次々とフリーになっているのだ。
利用しない手はない。
個人技のみで勝ちたい気持ちはあったが、こだわった結果負けたらヨシナリは自分を許せそうになかった。
「星座盤」の敗北はヨシナリ一人の物ではない。 一緒に来てくれた仲間達の敗北でもあるのだ。
私情で余計なリスクを負うべきではない。 だから、連携で仕留めると決めたのだ。
位置が近かったマルメル、グロウモスがフリーになった事も大きい。
後はグロウモスの狙撃に対する警戒を可能な限り削ぎ落し、土壇場で最大にする。
そうする事で彼女はグロウモスの射線から全力で逃れようとするだろう。
「ポイントは撃つギリギリまで粘る事ですね。 ポンポンさんはグロウモスさんの腕を知ってます。 だから確実に当ててくると読む。 ――で、躱させて回避先にドローンで反射させて一撃。 おみごとです」
「ふ、フヒッ! ヨシナリがちゃんと誘導してくれてたから。 ……こ、これが愛の力」
最後の方はもごもごと何を言っているか不明だったが、彼女の貢献が大きい事は確かなのでヨシナリは感謝していますよと大きく頷いて見せた。
グロウモスは再度「フヒッ」といつもの笑い声をあげる。
――その後はもう消化試合に近かった。
コンシャス達は一角が崩れれば脆く、次々に片付けて戻ってくる「星座盤」メンバーに「豹変」は対応しきれずに次々と数を減らしていく。
まんまるはかなり粘った方だが、マルメルとグロウモスの二人を相手にするには厳しかったようだ。
最後にベリアルがツェツィーリエを撃破して終了となった。
「終わってみれば完勝でしたね。 お義兄さんが結構、貰ったぐらいで目立った損耗もなかったし、分断に対しての対策が今後の課題ぐらいですか?」
シニフィエのいう通りだった。 ヨシナリとしてはポンポンを単独で撃破できなかった所に少し不満が残る結果ではあったが、チームとしての勝利を得たので今はここで満足しておくべきだろう。
個人的にはまんまるとニャーコの機体を見れた事も収穫だった。
前者はより砲戦に特化しつつも中距離での制圧力も失っていない集団、個人の両方での立ち回りを意識したビルド。 まんまるらしいいい機体だった。
ニャーコも自身の強みであるフットワークの軽さを活かした近接機。
エーテルを採用したのはベリアルの影響かもしれない。 空中での緩急のつけ方も良い。
練習したであろう事が伝わってくる。 懐に入る際の動きが少し似ていたので参考にしたのだろう。
機体の分身ではなく手数を増やす為にエーテルを用いる。 部分的に真似できそうな所が素晴らしい。
ポンポンに関しても特に盾の扱いと中~近距離での立ち回りがかなり上手くなっている。
マルメルとは違ったベクトルの堅牢さは彼女が自分なりに考えて編み出したオリジナルだろう。
指揮官機である以上、生存性が求められるが中距離戦が得意という強みも殺さないいい戦い方だ。
最後にツェツィーリエ。
機体にはほとんど手を付けず、技量のみの向上でベリアルとあそこまで戦えたのは凄まじい。
映像越しでも彼女の勝利への執念が伝わり、手に汗握る素晴らしい戦いだった。
――俺ももっと強くなってあんな凄い戦いがしたい。
ヨシナリはそんな事を考えながら拳を強く握っていると不意にシステムからメッセージが入る。
予選が終了したとの事だ。 それにより本戦の組み合わせが決定した。
一回戦の相手は――『ライラプス』
知らない所だった。
記憶を探るが思い当たる事はない。 あまり有名ではない所なのだろうか?
「誰か知ってる?」
ヨシナリがそう尋ねるが全員が首を横に振る。
「全然知らねー」
「ウチも聞いた事ないわぁ」
ベリアル達Aランクプレイヤーも全員知っている様子がない。
これは少し珍しい。 彼らはこのゲームでの歴が長い。
そんな彼らが全員知らないというのは少し珍しい事だった。
ざっと調べたがユニオンランクは一番下。 規模としても大手という訳ではないようだ。
「情報がないのはちょっと気持ち悪いな」
可能であればチームの傾向だけでも掴んで簡単な作戦を立てておきたかったのだが、情報がない以上はアドリブで行くしかない。
「まぁ、その辺は見てから考えたらどうだ? 今の俺達なら簡単にやられる事はないだろ」
マルメルが気楽にいこうぜと肩を叩く。
「そうだな。 気にはなるけど分らん事は考えても無駄か。 どんなチームかが不明な以上、相手の構成を見てから仕掛ける方にしたい」
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