Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第755話

 ――やり難い。

 この戦いでユウヤが最初に感じた事だった。 
 チーム戦はこれまででそれなりの場数を踏んできたと自負しており、戦場の空気感が何となく分かるようにはなっているつもりだ。 

 その経験に照らし合わせるとどうにも気に入らない展開だった。
 出鼻を挫かれたのは分からなくはない。 
 ヨシナリとアルフレッドが居る以上、そう簡単に奇襲は喰らわないのだが、ステルス特化機体等ごまかす手段はいくらでもある。 

 だが、ここまで綺麗に分断された上、主力の大半が同数に抑えられている状況はどうにも解せない。
 自分達は無敵だと自惚れるつもりはないが、真っ先にヨシナリの頭を押さえ、並行してグロウモスを狩りに行く動きといいこちらに対しての対処が適切すぎる。

 動きからやっているのは分かるが、これまでと違い上手に使いこなしている印象を受けた。
 つまりはこれまでのチート頼りの連中とは一味違う。 敵のソルジャータイプが地面を滑るようにホバー移動しながらこちらに銃撃。 

 躱しながら散弾砲を発射。 あっさりと躱す。 
 動きは随所にチート特有の硬さはあるが、回避先を狙うと急に動きが変わる。
 間合いを詰めて電磁鞭を横凪ぎに振るう。 敵機は上半身を大きく傾けて躱し、持っていたグレネードランチャーを発射。  

 躱しながらの射撃。 
 ユウヤは大剣を盾に強行突破を図ろうとしたが、飛んできた榴弾は爆発せず、代わりにボコボコと液体とも個体とも知れない物が噴出した。 

 なんだと振り払おうとしたが、動かない。 即座に凝固して地面と大剣を固定したのだ。
 敵機はさらにグレネードランチャーを発射。 ポンポンと榴弾が飛ぶ。
 大剣は剥がせない事はないが少しかかりそうだ。 

 手放すか否かで僅かに迷ったが、散弾砲で撃ち落とす事を選択。
 放物線を描いて飛んできた榴弾を撃ち落とすが、今度は爆発。 閃光と音がまき散らされた。
 キーンという耳鳴りと同時にセンサー系の大半が麻痺。 ユウヤは即座に大剣の陰へ入る。

 一瞬遅れて無数の銃弾が大剣に着弾する感触。 途切れる前に動き出す。
 何故なら回り込んでくるのが分かり切っていたからだ。 推進装置を全開に噴かして移動。
 腕は大剣の柄を握りしめる。 メリメリと嫌な音がしたが強引に引き剝がして持っていく。

 ――いくら何でも露骨すぎる。

 明らかにユウヤの動きと機体に対しての対策を練りに練ったというような戦い方だ。
 ケイロンの方を見ても同じ状況だった。 例の特殊弾で動きを封じられそうになったのか、ハルバードの先端には例の――おそらくふわわも使っているグルーだ。

 ただ、通常の物に比べて一気に膨張して絡め取ろうとする辺り、厄介な代物だった。
 負ける気はしないが時間がかかりそうだ。 

 「面倒くせぇ……」

 思わずそう呟いた。


 ――大体分かった。

 ヨシナリは敵機の動きを見て凡その事は理解した。 
 どうやっているのかまでは不明だが、あの敵機はこちらに合わせた専用の装備、戦い方を用意してきている。 

 対策を練っているとかいうレベルではなく、目の前の機体はヨシナリを撃破する為に用意されたと言っても過言ではない仕上がりだ。
 初手でダミーを掴まさせて反応を遅らせる手口といい明らかにヨシナリを狙い撃ちにした策だった。

 動きに関しても読んでいるというよりは最初から分かっていると言わんばかりに先回りしてくる。
 浮かんだ印象はカンニングだ。 例のチートと合わせれば何となく見えてくる。
 
 ――そして攻略方法もだ。

 パンドラのリミッター解除。 300%。
 これで機動性は相手を大きく上回る。 
 アトルムとクルックスを連射しながら背後を取りに行くが、敵機は旋回しながら急降下。
 
 明らかに読まれている。 エーテルを二挺拳銃に強引に充填。
 エーテルの散弾を強引に連射し弾幕を張る。 
 アトルムとクルックスが壊れたと同時にアシンメトリーに持ち替えて二連射。 

 敵機のバトルライフルを撃ち抜いて破壊。 やはりか。

 「こんなのを用意してくれるのは見方によっては光栄なのかもしれないけどあんまり面白くはないな」

 アシンメトリーにもエーテルを充填。 発射。
 敵機は回避に入ったが吸い込まれるようにエーテルの弾が命中。 
 綺麗にコックピット部分を貫き撃破となった。

 「この様子だと他も気づき始めたっぽいな」

 
 「うざってぇなぁ!」

 マルメルは吠えながらアノマリーとリトル・クロコダイルをフルオート射撃。 
 とにかく敵を釘付けにしておかなければ。 その一心だった。
 それにしても見れば見るほどにもやもやとストレスのかかる動きをしてくる敵だ。

 敵の方針は挟んで削るつもりのようだった。 上の機体が圧をかけつつ、下が手数で削る。
 片方を無視しようとするとアルフレッドを追う素振りを見せると嫌らしさも中々だ。
 現状、味方のステータスはグロウモス以外は全機健在だが、この様子だと少し危ないかもしれない。

 そんな事を考えていたのだが――

 「プラクティカル。 初見では中々に厄介だが、種が割れればそこまで怖い相手ではないな!」

 地上からエネルギーライフルを撃ち込もうとしていたエンジェルフレームが咄嗟に躱そうとしていたが、四方八方から飛んできたワイヤーに絡め取られ動きを封じられる。
 
 「助かった!」

 マルメルは即座にリトル・クロコダイルを散弾からスラグ弾に切り替えてフルオート射撃。
 エンジェルフレームは瞬く間に原型を留めないほどに破壊されて大破。
 上空のエンジェルフレームもどきがバトルライフルを向けてくるが、横合いから不可視の機体が体当たり。 姿勢を維持できずに墜落。

 「ジャッカル! 私が来るのは想定外かな?」
 
 空中で姿勢制御を試みていたがそんな暇を与えるわけがない。
 両肩のガトリングガンとアノマリーのフルオート射撃で穴だらけに変え、そのまま撃破。
 残骸に成り果てた敵機を見てふうと一息。

 「いや、マジで助かりました。 ありがとうございます」
 「ティピカル。 チーム戦なのだから助け合うのは当然だろう。 こちらこそすまなかった。 もう少しはやくドローンを展開できていればこうまで押し込まれなかったのだが、速攻を許すとはな……」

 アイロニーは大破したグロウモスの機体を見て小さく肩を落とした。

 「いやいや、そっちにも一機行ってたんじゃないんすか? 大丈夫でしたか?」
 「フィジカル。 問題ない。 返り討ちだ」

 空を見上げると敵の数が減っており、そろそろ決着が近そうだった。
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