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第763話
思わず二度見してしまった。
何度見てもチーム名は「思金神」で後ろに数字が付いていない。
――つまり「思金神」の一軍だ。
「おいおい、まだ二回戦だぞ。 何で決勝で当たるような所とぶつかるかなぁ……」
ヨシナリの反応を見た他のメンバーも対戦相手を確認して納得する。
「うわ、マジで『思金神』だ。 しかも一軍。 ヤバいの来たなぁ」
「ふーん? 面白そうやん」
マルメルは嫌そうに対照的にふわわは嬉しそうに呟く。
「ど、どちらにせよ。 倒す予定の相手だし、が、がんばろ」
「前の『烏合衆』の時といいお義兄さん持ってますねー」
グロウモスは何とか前向きに捉えようとし、シニフィエは他人事のように笑う。
ホーコートはうっすと小さく頷く。
「上等だ。 連中をぶっ潰せば『思金神』は頭数だけの雑魚って証明できるな」
「ふ、欲望の鐘楼か。 奴にこの闇の王の力を見せつけるいい機会だ」
ユウヤ、ベリアルは気負わずに勝利を信じて拳を握る。
「タクティカル! 面白い。 相手に不足なし、だ」
アイロニーは楽し気に笑みを浮かべ、ケイロンは動じずに頷くだけだった。
開始は10分後、それまでに作戦会議を済ませなければならない。
幸いにもこちらにはAランクプレイヤーが四人もいるのだ。
タカミムスビは確定だろうが、残りの九人に関しても推測は可能で対策も練れる。
作戦に関しては以前にタカミムスビの戦いを見ていた事もあって一応は考えてはいた。
問題は残りのメンバーの情報をどこまで割れるかだ。
「時間もないので急いで話を纏めます。 まずはタカミムスビ以外のメンバーとして現れる可能性が高いプレイヤーについての情報を共有しましょう」
ヨシナリは時計を気にしながらやや早口で話をそう切り出した。
――はっはっは、素晴らしい。
タカミムスビは運営も粋な事をすると内心で小躍りしたい気持ちだった。
まさかこんなに早く「星座盤」と当たるとは思わなかったからだ。
敵としてヨシナリの欲望に触れる事ができるとは嬉しい限りで、叩き潰せば彼はこの敗北を糧に更に欲望を深めて成長してくれるに違いないと確信していた。
――丁寧に圧し折ってあげようじゃないか。
ぐるりと見回すとメンバーが対戦相手を確認し、各々の反応を示している。
「では、簡単な作戦会議と情報共有と行こうか? 任せていいかな?」
振り返るとスーツを着た女性アバターが前に出る。
短く切り揃えられた髪と四角い眼鏡が翌朝的だ。
プレイヤーネーム「霧ヶ峰」このチームの参謀役として重宝されている。
「お任せを。 全員、注目してください。 二回戦の対戦相手は『星座盤』。 これまでのユニオン対抗戦の戦績はほとんどが三回戦落ちのチームですが油断ができない相手です」
霧ヶ峰がウインドウを可視化し、全員に見えるように大きくする。
「通常三回戦チームならそこまで警戒に値しないと思う者もいるかもしれませんが、前回は『烏合衆』
をほぼ引き分けに近い形まで追い込み、その過程でウチの三軍を破っています」
「あー、タヂカラオ君が寝返った時の奴でしょー? ヤガミさんが負けたのって情報を流されたからじゃないのー??」
発言したのは褐色肌の少女型のアバター。 プレイヤーネームは「サニー」。
「要因の一つではあると思いますが、彼女は一軍でも通用する実力者です。 負けたのならそれだけ相手が強かったとも取れます。 決して油断はしないように」
霧ヶ峰はそう言うとウインドウの映像を切り替える。
映し出されたのは「星座盤」のメンバーのデータだ。
ヨシナリ、マルメル、ふわわ、グロウモス、ホーコート、シニフィエ。
そしてユウヤ、ベリアル。
「他の試合の様子を確認できない仕様という事もあって確定情報だけを共有します。 脅威度が低い順番に、まずはホーコート、彼は『ユーザー』なので、モーションのバリエーションを掴めば瞬殺も可能です」
「はン。 要はチート頼りの雑魚って事だろ? おーおー、やだねぇ。 イカサマ使わなきゃ戦績を維持できねぇ奴は。 哀れで仕方がねぇぜ」
心底から小馬鹿にしたように語るのは真っ赤な髪と顔のあちこちにピアスを着けた男性アバターだ。
名前は「カタトゥンボ」。 彼はピアス塗れの舌をべっと出して鼻で笑う。
「……言っている事は分かります。 それにウチは基本的にチート持ちは簡単に階級を上げられないようになっていますからね」
運営が一部のプレイヤーにばら撒いているチートは「思金神」は余り歓迎しておらず、特に頼り切りのユーザーは露骨に評価を落とされる。
「はン。 その『星座盤』ってのはチート使いを入れなきゃならねぇ程に人がいねぇのかよ。 そんなんに負けるとかヤガミの奴もヤキが回ったんじゃねぇか? あぁ、だから予選でやらかしたのかぁ?」
「それはこの後、あなた自身の目で確認しなさい。 次、シニフィエ。 個人ランクこそ低いですが、格闘戦に関するセンスは極めて高く、恐らくはリアルスキルを持ちこんでいる有段者でしょう。 戦闘の際は接近戦に付き合わずに中距離以上の間合いを維持して処理を」
「思金神」は個人戦での戦闘記録を収集してプレイヤーのデータベースを作成している事もあってメンバーが一度でも戦った事のある相手の情報は直ぐに集まるようになっていた。
「星座盤」のデータが直ぐに出てきたのもこれが理由となる。
「マルメル。 ここ最近、ランク戦、イベント戦と好成績を残している中距離戦を得意とするプレイヤーです。 ハンドレールキャノン装備という癖の強い装備こそ積んでますが終始間合いを維持する堅実なプレーが特徴ですね。 突き抜けた強みこそありませんが、目立った弱点もありません。 攻守に於いてチームを支える要と言えます」
「あの――」
口を開こうとした者がいたが、霧ヶ峰は手で制する。
「ちょっと時間が押しているので先に私の話を聞いてからにしてください」
言いながら映像を切り替え。 次に映し出されたのはグロウモスだ。
「グロウモス。 Cランクの狙撃手。 狙撃精度に関してはランカーでも通用するレベルですね。 イベント戦等では好成績を残しています」
「知ってるー。 タカミムスビさんの獲物を横取りした奴だー」
サニーはインドサーバー戦の事を言っているのだが、霧ヶ峰は無視して話を続ける。
「実弾、エネルギーの複合ですが、どちらかというと光学に寄っている印象を受けます。 射線さえ通っていれば確実に当てて来るので、早めの処理が必要な相手です」
霧ヶ峰は次へと移る。
何度見てもチーム名は「思金神」で後ろに数字が付いていない。
――つまり「思金神」の一軍だ。
「おいおい、まだ二回戦だぞ。 何で決勝で当たるような所とぶつかるかなぁ……」
ヨシナリの反応を見た他のメンバーも対戦相手を確認して納得する。
「うわ、マジで『思金神』だ。 しかも一軍。 ヤバいの来たなぁ」
「ふーん? 面白そうやん」
マルメルは嫌そうに対照的にふわわは嬉しそうに呟く。
「ど、どちらにせよ。 倒す予定の相手だし、が、がんばろ」
「前の『烏合衆』の時といいお義兄さん持ってますねー」
グロウモスは何とか前向きに捉えようとし、シニフィエは他人事のように笑う。
ホーコートはうっすと小さく頷く。
「上等だ。 連中をぶっ潰せば『思金神』は頭数だけの雑魚って証明できるな」
「ふ、欲望の鐘楼か。 奴にこの闇の王の力を見せつけるいい機会だ」
ユウヤ、ベリアルは気負わずに勝利を信じて拳を握る。
「タクティカル! 面白い。 相手に不足なし、だ」
アイロニーは楽し気に笑みを浮かべ、ケイロンは動じずに頷くだけだった。
開始は10分後、それまでに作戦会議を済ませなければならない。
幸いにもこちらにはAランクプレイヤーが四人もいるのだ。
タカミムスビは確定だろうが、残りの九人に関しても推測は可能で対策も練れる。
作戦に関しては以前にタカミムスビの戦いを見ていた事もあって一応は考えてはいた。
問題は残りのメンバーの情報をどこまで割れるかだ。
「時間もないので急いで話を纏めます。 まずはタカミムスビ以外のメンバーとして現れる可能性が高いプレイヤーについての情報を共有しましょう」
ヨシナリは時計を気にしながらやや早口で話をそう切り出した。
――はっはっは、素晴らしい。
タカミムスビは運営も粋な事をすると内心で小躍りしたい気持ちだった。
まさかこんなに早く「星座盤」と当たるとは思わなかったからだ。
敵としてヨシナリの欲望に触れる事ができるとは嬉しい限りで、叩き潰せば彼はこの敗北を糧に更に欲望を深めて成長してくれるに違いないと確信していた。
――丁寧に圧し折ってあげようじゃないか。
ぐるりと見回すとメンバーが対戦相手を確認し、各々の反応を示している。
「では、簡単な作戦会議と情報共有と行こうか? 任せていいかな?」
振り返るとスーツを着た女性アバターが前に出る。
短く切り揃えられた髪と四角い眼鏡が翌朝的だ。
プレイヤーネーム「霧ヶ峰」このチームの参謀役として重宝されている。
「お任せを。 全員、注目してください。 二回戦の対戦相手は『星座盤』。 これまでのユニオン対抗戦の戦績はほとんどが三回戦落ちのチームですが油断ができない相手です」
霧ヶ峰がウインドウを可視化し、全員に見えるように大きくする。
「通常三回戦チームならそこまで警戒に値しないと思う者もいるかもしれませんが、前回は『烏合衆』
をほぼ引き分けに近い形まで追い込み、その過程でウチの三軍を破っています」
「あー、タヂカラオ君が寝返った時の奴でしょー? ヤガミさんが負けたのって情報を流されたからじゃないのー??」
発言したのは褐色肌の少女型のアバター。 プレイヤーネームは「サニー」。
「要因の一つではあると思いますが、彼女は一軍でも通用する実力者です。 負けたのならそれだけ相手が強かったとも取れます。 決して油断はしないように」
霧ヶ峰はそう言うとウインドウの映像を切り替える。
映し出されたのは「星座盤」のメンバーのデータだ。
ヨシナリ、マルメル、ふわわ、グロウモス、ホーコート、シニフィエ。
そしてユウヤ、ベリアル。
「他の試合の様子を確認できない仕様という事もあって確定情報だけを共有します。 脅威度が低い順番に、まずはホーコート、彼は『ユーザー』なので、モーションのバリエーションを掴めば瞬殺も可能です」
「はン。 要はチート頼りの雑魚って事だろ? おーおー、やだねぇ。 イカサマ使わなきゃ戦績を維持できねぇ奴は。 哀れで仕方がねぇぜ」
心底から小馬鹿にしたように語るのは真っ赤な髪と顔のあちこちにピアスを着けた男性アバターだ。
名前は「カタトゥンボ」。 彼はピアス塗れの舌をべっと出して鼻で笑う。
「……言っている事は分かります。 それにウチは基本的にチート持ちは簡単に階級を上げられないようになっていますからね」
運営が一部のプレイヤーにばら撒いているチートは「思金神」は余り歓迎しておらず、特に頼り切りのユーザーは露骨に評価を落とされる。
「はン。 その『星座盤』ってのはチート使いを入れなきゃならねぇ程に人がいねぇのかよ。 そんなんに負けるとかヤガミの奴もヤキが回ったんじゃねぇか? あぁ、だから予選でやらかしたのかぁ?」
「それはこの後、あなた自身の目で確認しなさい。 次、シニフィエ。 個人ランクこそ低いですが、格闘戦に関するセンスは極めて高く、恐らくはリアルスキルを持ちこんでいる有段者でしょう。 戦闘の際は接近戦に付き合わずに中距離以上の間合いを維持して処理を」
「思金神」は個人戦での戦闘記録を収集してプレイヤーのデータベースを作成している事もあってメンバーが一度でも戦った事のある相手の情報は直ぐに集まるようになっていた。
「星座盤」のデータが直ぐに出てきたのもこれが理由となる。
「マルメル。 ここ最近、ランク戦、イベント戦と好成績を残している中距離戦を得意とするプレイヤーです。 ハンドレールキャノン装備という癖の強い装備こそ積んでますが終始間合いを維持する堅実なプレーが特徴ですね。 突き抜けた強みこそありませんが、目立った弱点もありません。 攻守に於いてチームを支える要と言えます」
「あの――」
口を開こうとした者がいたが、霧ヶ峰は手で制する。
「ちょっと時間が押しているので先に私の話を聞いてからにしてください」
言いながら映像を切り替え。 次に映し出されたのはグロウモスだ。
「グロウモス。 Cランクの狙撃手。 狙撃精度に関してはランカーでも通用するレベルですね。 イベント戦等では好成績を残しています」
「知ってるー。 タカミムスビさんの獲物を横取りした奴だー」
サニーはインドサーバー戦の事を言っているのだが、霧ヶ峰は無視して話を続ける。
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