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第791話
凍露にばかりフォーカスしてしまい肝心のふわわの動きに関して言及されないのはどうかと思ってしまうが、ヨシナリも他のメンバーも言う事がないのだ。
だから彼の動きにばかり触れてしまう。
最初こそ慣れない絡め手にやや後手に回っている印象のふわわだったが、徐々に動きに慣れて来たのか対処に無駄がなくなってきていた。
「これ、酷ぇな」
思わず呟く。
凍露がふわわの重心の移動を察知して凍結により初動を遅らせようとしたが、即座に軸足を切り替えて斬撃。 適応が早すぎる。 妨害が入っているにも関わらず動きのクオリティが落ちないのだ。
相手からすればやってられないだろう。
「おもろい相手やったけど引っ張る足がどっちか分かったらあんまり怖くなくなってきたなぁ」
「それ言えるのふわわさんぐらいですよ。 後、当人には絶対に言わないでくださいね」
言外に目が慣れたから飽きて来たと言っているのだ。
自分が似たような事を言われれば悔しさの余り、十数分は部屋で暴れる自信があった。
ふわわの言っている事も理解はできる。
凍露の組み立ては凍結を用いた妨害と氷によって形成した両手足のブレードを軸とした斬撃。
重装甲の相手にはその形状変化を利用しての打撃も選択肢に入っているのだろう。
ただ、妨害ありきなので、その前提が崩されると脆さが露呈するのだ。
見た感じ、凍露自体も気が付いてはいたようだが、全く効果がない訳ではないのでそのまま使い続けていた。 だが、そうなると純粋な技量が物を言う場面に移行し、スキルの差が露骨に出てしまう。
倍に近い手数があるにも関わらず圧倒されているのだ。 凍露からすれば理解しがたいだろう。
具体的にどう捌いたかというと小太刀でいなして後、太刀で返すという普通に見える戦い方だが、タイミングの取り方が絶妙だ。 いなした後、追撃に被せるように刺突と斬撃を織り交ぜている。
「あー、これは駄目ですねー。 完全にタイミングを取られてます」
シニフィエの言う通り、もう凍露がふわわ相手にどこまで粘れるかの話でしかなかった。
「接近戦に拘らずに味方と合流を狙えば良かったのに……」
思わず呟く。 明らかに自分で打開したいといった感情が透けて見える。
要はムキになっているのだ。
「そうやと思うよ~。 ムキになってる感じはしたけど、芯は冷静やったわー」
つまり接近戦での勝利に拘りはしたが、挙動に関しては自分出せる最大のパフォーマンスを維持できていたという訳だろう。 凍露の刺突をいなしながら野太刀をパージ。
動きが露骨に変わった。 仕留めに行くつもりだ。
同時に鞘も捨てていた。 傾向的に掴みか投げだな。
ヨシナリはそんな予想をしながら推移を見守る。
凍露の蹴りがふわわの太刀を蹴り飛ばすが、その頃には既に彼女は懐だ。
「あれ蹴られたんじゃなくて蹴らせたんじゃないですか?」
「そうやね」
即答。 片手が空いた事で相手を掴めるようになった。
氷結攻撃の起点となっているのは肘、膝より下。
掌から冷気を放出して凍結させる事もあって懐に入ってしまえば簡単に使えない。
凍露は即座にブレードを短くして対応しようとしたが、次の瞬間には凍露を掴んで背負い投げ。
凄まじいのは掴んでから即座にエネルギーウイングを噴かして投げの姿勢に移行している点だ。
凍露からすれば掴まれたと認識した瞬間には天地が逆転したと感じたはずだ。
碌に受け身も取れずに叩きつけられた彼は態勢を立て直す事も叶わずにコックピットを小太刀で貫かれて決着となった。
「いや、お見事でした」
もうそれしか言えなかったが、本音でもあった。
彼女と同じ土俵に上がって打ち破るはあまり現実的ではないと再確認させられる。
ふわわはふふん少しだけ自慢気に胸を張っていたが、それに苦笑しながら映像を切り替え。
次はグロウモスだ。 彼女の場合は戦闘開始から大きな動きが少なかった為、追いかけやすい。
タカミムスビの斉射から逃れ、彼の意識がヨシナリ達に向いたと同時に狙撃姿勢に移行。
狙いは霧ヶ峰だ。 彼女の排除は正面からだと高い確率で他からの横槍が入るので、他のメンバーには可能であれば、グロウモスには確実に仕留める事を依頼した。
霧ヶ峰。 攪乱と長距離戦に重きを置いた支援系の機体「ブリザード・ミスト」
彼女の強みは二つシックスセンスとそれに紐づけされた火器管制と特殊なジャミングシステムによる敵機の誘導阻害。 その二つの組み合わせで優位に立ち回る。
こうして見ると同じシックスセンスでも使い手によって運用に差が出るなと感心してしまう。
照準補正、ミサイルなどの誘導兵器を用いる際の精度向上。
遠距離戦機ではあっても狙撃に頼らない点も面白い。
大抵のプレイヤーはばら撒く形での運用だが、彼女の場合は当てに行っている点からも違いが分かる。
霧ヶ峰はレールキャノンで先制しつつミサイルを発射。
大型機だけあって積んでいるミサイルの数も非常に多い。
グロウモスはレールキャノンを躱しながらミサイルを可変形態で掻い潜る。
一応ではあるが、彼女の機体はそれなり以上のステルス性能があるはずなのにかなり正確に狙って来ていた。
「この時点で捕捉されてるな」
「う、うん。 多分だけど、私が最初に撃った時点でもうバレてた」
「確かに。 露骨に狙ってますね」
霧ヶ峰自身もグロウモスを脅威度が高く見積もっているのか露骨に殺しに行っていた。
「なぁ、ヨシナリ」
「どうした?」
「俺、ミサイル系の武器あんまり使わないから分かんないんだけど、狙って当てられる物なのか?」
「……一応狙えはする。 お前も知ってると思うけど、ミサイルって直接当てるのって思った以上に難しいんだよ。 比較的だけど、弾速も遅いから迎撃もできなくはない。 だから、ばらけるタイプの多弾頭ミサイルとか何処で爆発してもある程度の効果が期待できる大型とか、面白い所では電磁パルスを撒いて嫌がらせに特化させるとかな」
ミサイルポッド、ミサイル発射管、要はミサイルを積む為の装置は非常に嵩張る事もあって軽量機寄りのヨシナリとしては余り採用の選択肢には上がらない。
どうしても使いたいなら霧ヶ峰やマルメル、ケイロンのような重量機寄りのビルドに変えなければならないだろう。
では、霧ヶ峰はどのように運用しているのか?
それは――
だから彼の動きにばかり触れてしまう。
最初こそ慣れない絡め手にやや後手に回っている印象のふわわだったが、徐々に動きに慣れて来たのか対処に無駄がなくなってきていた。
「これ、酷ぇな」
思わず呟く。
凍露がふわわの重心の移動を察知して凍結により初動を遅らせようとしたが、即座に軸足を切り替えて斬撃。 適応が早すぎる。 妨害が入っているにも関わらず動きのクオリティが落ちないのだ。
相手からすればやってられないだろう。
「おもろい相手やったけど引っ張る足がどっちか分かったらあんまり怖くなくなってきたなぁ」
「それ言えるのふわわさんぐらいですよ。 後、当人には絶対に言わないでくださいね」
言外に目が慣れたから飽きて来たと言っているのだ。
自分が似たような事を言われれば悔しさの余り、十数分は部屋で暴れる自信があった。
ふわわの言っている事も理解はできる。
凍露の組み立ては凍結を用いた妨害と氷によって形成した両手足のブレードを軸とした斬撃。
重装甲の相手にはその形状変化を利用しての打撃も選択肢に入っているのだろう。
ただ、妨害ありきなので、その前提が崩されると脆さが露呈するのだ。
見た感じ、凍露自体も気が付いてはいたようだが、全く効果がない訳ではないのでそのまま使い続けていた。 だが、そうなると純粋な技量が物を言う場面に移行し、スキルの差が露骨に出てしまう。
倍に近い手数があるにも関わらず圧倒されているのだ。 凍露からすれば理解しがたいだろう。
具体的にどう捌いたかというと小太刀でいなして後、太刀で返すという普通に見える戦い方だが、タイミングの取り方が絶妙だ。 いなした後、追撃に被せるように刺突と斬撃を織り交ぜている。
「あー、これは駄目ですねー。 完全にタイミングを取られてます」
シニフィエの言う通り、もう凍露がふわわ相手にどこまで粘れるかの話でしかなかった。
「接近戦に拘らずに味方と合流を狙えば良かったのに……」
思わず呟く。 明らかに自分で打開したいといった感情が透けて見える。
要はムキになっているのだ。
「そうやと思うよ~。 ムキになってる感じはしたけど、芯は冷静やったわー」
つまり接近戦での勝利に拘りはしたが、挙動に関しては自分出せる最大のパフォーマンスを維持できていたという訳だろう。 凍露の刺突をいなしながら野太刀をパージ。
動きが露骨に変わった。 仕留めに行くつもりだ。
同時に鞘も捨てていた。 傾向的に掴みか投げだな。
ヨシナリはそんな予想をしながら推移を見守る。
凍露の蹴りがふわわの太刀を蹴り飛ばすが、その頃には既に彼女は懐だ。
「あれ蹴られたんじゃなくて蹴らせたんじゃないですか?」
「そうやね」
即答。 片手が空いた事で相手を掴めるようになった。
氷結攻撃の起点となっているのは肘、膝より下。
掌から冷気を放出して凍結させる事もあって懐に入ってしまえば簡単に使えない。
凍露は即座にブレードを短くして対応しようとしたが、次の瞬間には凍露を掴んで背負い投げ。
凄まじいのは掴んでから即座にエネルギーウイングを噴かして投げの姿勢に移行している点だ。
凍露からすれば掴まれたと認識した瞬間には天地が逆転したと感じたはずだ。
碌に受け身も取れずに叩きつけられた彼は態勢を立て直す事も叶わずにコックピットを小太刀で貫かれて決着となった。
「いや、お見事でした」
もうそれしか言えなかったが、本音でもあった。
彼女と同じ土俵に上がって打ち破るはあまり現実的ではないと再確認させられる。
ふわわはふふん少しだけ自慢気に胸を張っていたが、それに苦笑しながら映像を切り替え。
次はグロウモスだ。 彼女の場合は戦闘開始から大きな動きが少なかった為、追いかけやすい。
タカミムスビの斉射から逃れ、彼の意識がヨシナリ達に向いたと同時に狙撃姿勢に移行。
狙いは霧ヶ峰だ。 彼女の排除は正面からだと高い確率で他からの横槍が入るので、他のメンバーには可能であれば、グロウモスには確実に仕留める事を依頼した。
霧ヶ峰。 攪乱と長距離戦に重きを置いた支援系の機体「ブリザード・ミスト」
彼女の強みは二つシックスセンスとそれに紐づけされた火器管制と特殊なジャミングシステムによる敵機の誘導阻害。 その二つの組み合わせで優位に立ち回る。
こうして見ると同じシックスセンスでも使い手によって運用に差が出るなと感心してしまう。
照準補正、ミサイルなどの誘導兵器を用いる際の精度向上。
遠距離戦機ではあっても狙撃に頼らない点も面白い。
大抵のプレイヤーはばら撒く形での運用だが、彼女の場合は当てに行っている点からも違いが分かる。
霧ヶ峰はレールキャノンで先制しつつミサイルを発射。
大型機だけあって積んでいるミサイルの数も非常に多い。
グロウモスはレールキャノンを躱しながらミサイルを可変形態で掻い潜る。
一応ではあるが、彼女の機体はそれなり以上のステルス性能があるはずなのにかなり正確に狙って来ていた。
「この時点で捕捉されてるな」
「う、うん。 多分だけど、私が最初に撃った時点でもうバレてた」
「確かに。 露骨に狙ってますね」
霧ヶ峰自身もグロウモスを脅威度が高く見積もっているのか露骨に殺しに行っていた。
「なぁ、ヨシナリ」
「どうした?」
「俺、ミサイル系の武器あんまり使わないから分かんないんだけど、狙って当てられる物なのか?」
「……一応狙えはする。 お前も知ってると思うけど、ミサイルって直接当てるのって思った以上に難しいんだよ。 比較的だけど、弾速も遅いから迎撃もできなくはない。 だから、ばらけるタイプの多弾頭ミサイルとか何処で爆発してもある程度の効果が期待できる大型とか、面白い所では電磁パルスを撒いて嫌がらせに特化させるとかな」
ミサイルポッド、ミサイル発射管、要はミサイルを積む為の装置は非常に嵩張る事もあって軽量機寄りのヨシナリとしては余り採用の選択肢には上がらない。
どうしても使いたいなら霧ヶ峰やマルメル、ケイロンのような重量機寄りのビルドに変えなければならないだろう。
では、霧ヶ峰はどのように運用しているのか?
それは――
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