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第795話
「思金神」の一軍と戦う上で絶対に必要な事があった。
それはタカミムスビと他を切り離す事。 彼の火力は圧倒的だ。
初手で軽く斉射するだけで並のチームは崩壊する。 文字通りの鎧袖一触だ。
当然ながらやらない訳がないので、序盤の斉射を防ぐ為の策が必要だった。
そういった意味でもアイロニーが居てくれたのはありがたい。
開始と同時に対光学兵器対策をこれでもかと使用した。
レーザーを減衰、拡散させるスモークに防御系の装備を備えている者は全開にして防御。
そこまでやって何とか序盤を凌げた。 次は彼の興味を引き付ける事。
これに関しては以前にタヂカラオから触りだけでも聞いていた事もあって何となった。
タカミムスビは合理で動いているように見えて自己の欲望を優先する傾向にあると。
そして彼はヨシナリに対して妙な関心を抱いている。 そんな相手が鼻先で見慣れない挙動――ベリアルとの合体を披露すればどうなるか?
ここに関しては賭けだったがどうにか上手くは行った。
映像の中でタカミムスビはカタトゥンボとサニーを撃破したヨシナリ達に対して露骨に食いついている。
「これ、マジで酷ぇな」
「ぴかぴかして眩しいわぁ」
マルメルは引き気味でふわわはそんな感想を漏らす。
こうして映像で見ると本当に酷い。 ジェネシスフレーム「アマノイワト」
あの形態は巨大な鐘の形をしたウエポンコンテナだ。
内蔵された光学、実弾兵器、左右に飛んでいるドローンと言うには巨大すぎる手のような形状をした攻撃ユニット。 馬鹿じゃないのかと言いたくなるほどの圧倒的な火力。
少なくとも他のサーバー対抗戦を含めてもラーガストと戦ったフランスのSランク以外でここまでの火力を叩き出しているプレイヤーをヨシナリは知らない。
そこにテクニックや策が入り込む余地がない圧倒的な火力と攻撃密度による暴力。
カカラも凄まじいと思っていたがタカミムスビは文字通り桁が違う。
彼ですら正面から殴り合えば数秒と保たない。 それだけの隔絶した物を感じた。
――ただ、この状態はそれだけだ。
要は正面から受けなければいいのだ。
手数の多さに惑わされがちだが、タカミムスビの武装は大火力、長射程に偏重している事もあって基本的に真っすぐに飛ぶ物が多い。
その為、確実に消し飛ばされる火力の集中する正面にさえ居なければ割と何とかなるのだ。
問題はミサイル等の誘導兵器だ。 あれで退路を制限して火線の中央に持ってこようとする。
何も考えずに逃げ回ればあっという間に正面に引きずり出されて消し飛ばされて終わりだ。
凌ぐのに必要のは回避に優れ、ミサイルを処理できる手数。
該当するのはホロスコープ=プセウドテイしかなかった。
ベリアル単騎でも粘れない事はないだろうが、タカミムスビが転移対策をしていない訳がない以上、ヨシナリと二人で対処した方が生存率は大きく高まる。
そんな訳で二人でタカミムスビを引き付けるという役目を買って出た訳だが――
「いや、何回死ぬかと思ったか……」
「よく生きてたな」
マルメルの言う通りだった。
加速で射線の中央から常に外れ、ミサイルは可能なら撃ち落として対処、処理が不可能になったら転移で躱す。 ポイントは転移での移動距離を大きく取らない事。
空間情報変動を探知する手段があるのなら転移先を狙われる可能性が高い事もあって下手に大きく移動するとかえって危険だからだ。
「だから、転移中の無敵時間を利用する形で躱してたんだよ」
「はぇー、出たり消えたりと忙しいなぁ」
忙しいなんてものではなかった。 一瞬でもミスると即死の綱渡りを強いられるのだ。
神経がすり減っているのをリアルタイムで実感させられる余りしたくない経験だった。
第一関門は味方の援軍が来るまでアレを凌ぎ続ける事だ。
そしてそれは何とか成功し、映像の中ではマルメル達が援護に現れていた。
「いや、この時はマジで助かったよ」
ケイロンの背に乗ったマルメルは重機関銃と対物ライフルを連射。
流石にこれは重装甲のアマノイワトでも効いたのか装甲が被弾の度に剥がれ落ちていく。
「あんまり効いてねぇな」
「いや、そうでもない。 あの形態の内に剥がさせるだけ剥がしておいた方が後が楽だからな」
アマノイワトはあの時点で十二分に強いが、この後の形態が更に厄介だ。
インドのSランクですら歯が立たなかったあの反射兵器。
あのイソギンチャクの武装をそのまま再現するという発想と実行できる資金力は凄まじいの一言だ。
変形の際に鐘の形を維持している殻が分解し、反射板へと変わる。
つまりあの装甲を削れば削るほどに相手の反射板を減らせるのだ。
タカミムスビが二人を攻撃対象に加えた所でマルメルが飛び降りて散開する。
あの形態は旋回性能はあまり高くない。 その為、散って攪乱は有効だ。
畳みかけるように上方から銃撃、ついで後方から砲撃。
前者はホーコート、後者はユウヤだ。 敵を片付けたメンバーが次々と集まって来る。
――長かったなぁ。
逃げ回っていた時間は数分といった所だが、数時間ぐらい我慢した後のようなカタルシスがあった。
タカミムスビの狙いが散った所でヨシナリ達も反撃に転じる。
集中していないなら懐に入る事は充分に可能だからだ。 こちらに照準が向かなくなった瞬間に転移で肉薄し、突き出ている砲を破壊し手当たり次第に弾を撃ち込んで破壊していく。
こうして見ると連携面での完成度はかなり高まっている事が分かる。
ヨシナリ、ベリアルが速度でタカミムスビ引っかき回し、ケイロン、マルメルが周囲を回りながら銃撃。 特に手数と重さを両立させているケイロン、マルメルがいい仕事をしている。
巨大なドローンがケイロンに狙いを付けたと同時にマルメルがハンドレールキャノンで撃ち抜き、残りをユウヤが散弾砲で破壊。 火力を剥ぎ取りにかかる。
特に死角をカバーしているドローンの処理が出来たのは大きい。
「このまま袋叩きで仕留められたら楽だったんだけどなぁ……」
文字通り雲行きが怪しくなったのはこれからだった。
こうして俯瞰して見ると雲の動きが不自然で、徐々に集まってきている。
ゴロゴロと嫌な音と共に連続した落雷が発生。 インドのSランカーも使っていた気象兵器だ。
「ちょっと格落ち品っぽいけど機能自体は同じだな」
ダラヴァグプタに比べると規模が小さい。
想定外だった事もあり、対策をしっかりと練れていないヨシナリ達が落ちなかった点からもそれは顕著だ。
それはタカミムスビと他を切り離す事。 彼の火力は圧倒的だ。
初手で軽く斉射するだけで並のチームは崩壊する。 文字通りの鎧袖一触だ。
当然ながらやらない訳がないので、序盤の斉射を防ぐ為の策が必要だった。
そういった意味でもアイロニーが居てくれたのはありがたい。
開始と同時に対光学兵器対策をこれでもかと使用した。
レーザーを減衰、拡散させるスモークに防御系の装備を備えている者は全開にして防御。
そこまでやって何とか序盤を凌げた。 次は彼の興味を引き付ける事。
これに関しては以前にタヂカラオから触りだけでも聞いていた事もあって何となった。
タカミムスビは合理で動いているように見えて自己の欲望を優先する傾向にあると。
そして彼はヨシナリに対して妙な関心を抱いている。 そんな相手が鼻先で見慣れない挙動――ベリアルとの合体を披露すればどうなるか?
ここに関しては賭けだったがどうにか上手くは行った。
映像の中でタカミムスビはカタトゥンボとサニーを撃破したヨシナリ達に対して露骨に食いついている。
「これ、マジで酷ぇな」
「ぴかぴかして眩しいわぁ」
マルメルは引き気味でふわわはそんな感想を漏らす。
こうして映像で見ると本当に酷い。 ジェネシスフレーム「アマノイワト」
あの形態は巨大な鐘の形をしたウエポンコンテナだ。
内蔵された光学、実弾兵器、左右に飛んでいるドローンと言うには巨大すぎる手のような形状をした攻撃ユニット。 馬鹿じゃないのかと言いたくなるほどの圧倒的な火力。
少なくとも他のサーバー対抗戦を含めてもラーガストと戦ったフランスのSランク以外でここまでの火力を叩き出しているプレイヤーをヨシナリは知らない。
そこにテクニックや策が入り込む余地がない圧倒的な火力と攻撃密度による暴力。
カカラも凄まじいと思っていたがタカミムスビは文字通り桁が違う。
彼ですら正面から殴り合えば数秒と保たない。 それだけの隔絶した物を感じた。
――ただ、この状態はそれだけだ。
要は正面から受けなければいいのだ。
手数の多さに惑わされがちだが、タカミムスビの武装は大火力、長射程に偏重している事もあって基本的に真っすぐに飛ぶ物が多い。
その為、確実に消し飛ばされる火力の集中する正面にさえ居なければ割と何とかなるのだ。
問題はミサイル等の誘導兵器だ。 あれで退路を制限して火線の中央に持ってこようとする。
何も考えずに逃げ回ればあっという間に正面に引きずり出されて消し飛ばされて終わりだ。
凌ぐのに必要のは回避に優れ、ミサイルを処理できる手数。
該当するのはホロスコープ=プセウドテイしかなかった。
ベリアル単騎でも粘れない事はないだろうが、タカミムスビが転移対策をしていない訳がない以上、ヨシナリと二人で対処した方が生存率は大きく高まる。
そんな訳で二人でタカミムスビを引き付けるという役目を買って出た訳だが――
「いや、何回死ぬかと思ったか……」
「よく生きてたな」
マルメルの言う通りだった。
加速で射線の中央から常に外れ、ミサイルは可能なら撃ち落として対処、処理が不可能になったら転移で躱す。 ポイントは転移での移動距離を大きく取らない事。
空間情報変動を探知する手段があるのなら転移先を狙われる可能性が高い事もあって下手に大きく移動するとかえって危険だからだ。
「だから、転移中の無敵時間を利用する形で躱してたんだよ」
「はぇー、出たり消えたりと忙しいなぁ」
忙しいなんてものではなかった。 一瞬でもミスると即死の綱渡りを強いられるのだ。
神経がすり減っているのをリアルタイムで実感させられる余りしたくない経験だった。
第一関門は味方の援軍が来るまでアレを凌ぎ続ける事だ。
そしてそれは何とか成功し、映像の中ではマルメル達が援護に現れていた。
「いや、この時はマジで助かったよ」
ケイロンの背に乗ったマルメルは重機関銃と対物ライフルを連射。
流石にこれは重装甲のアマノイワトでも効いたのか装甲が被弾の度に剥がれ落ちていく。
「あんまり効いてねぇな」
「いや、そうでもない。 あの形態の内に剥がさせるだけ剥がしておいた方が後が楽だからな」
アマノイワトはあの時点で十二分に強いが、この後の形態が更に厄介だ。
インドのSランクですら歯が立たなかったあの反射兵器。
あのイソギンチャクの武装をそのまま再現するという発想と実行できる資金力は凄まじいの一言だ。
変形の際に鐘の形を維持している殻が分解し、反射板へと変わる。
つまりあの装甲を削れば削るほどに相手の反射板を減らせるのだ。
タカミムスビが二人を攻撃対象に加えた所でマルメルが飛び降りて散開する。
あの形態は旋回性能はあまり高くない。 その為、散って攪乱は有効だ。
畳みかけるように上方から銃撃、ついで後方から砲撃。
前者はホーコート、後者はユウヤだ。 敵を片付けたメンバーが次々と集まって来る。
――長かったなぁ。
逃げ回っていた時間は数分といった所だが、数時間ぐらい我慢した後のようなカタルシスがあった。
タカミムスビの狙いが散った所でヨシナリ達も反撃に転じる。
集中していないなら懐に入る事は充分に可能だからだ。 こちらに照準が向かなくなった瞬間に転移で肉薄し、突き出ている砲を破壊し手当たり次第に弾を撃ち込んで破壊していく。
こうして見ると連携面での完成度はかなり高まっている事が分かる。
ヨシナリ、ベリアルが速度でタカミムスビ引っかき回し、ケイロン、マルメルが周囲を回りながら銃撃。 特に手数と重さを両立させているケイロン、マルメルがいい仕事をしている。
巨大なドローンがケイロンに狙いを付けたと同時にマルメルがハンドレールキャノンで撃ち抜き、残りをユウヤが散弾砲で破壊。 火力を剥ぎ取りにかかる。
特に死角をカバーしているドローンの処理が出来たのは大きい。
「このまま袋叩きで仕留められたら楽だったんだけどなぁ……」
文字通り雲行きが怪しくなったのはこれからだった。
こうして俯瞰して見ると雲の動きが不自然で、徐々に集まってきている。
ゴロゴロと嫌な音と共に連続した落雷が発生。 インドのSランカーも使っていた気象兵器だ。
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